日本語版 v1.3.3

#キャンペーンの種

目次

4種類の長期キャンペーン構想の種。各5アーク(1段~達人)。三道六心の軸を中心に設計。GMが詳細シナリオを自分で構成する。

本書はキャンペーンの種を扱うため、通常の「背景」セクションはない。代わりに、各キャンペーンの冒頭にあたる感覚を下に統合して提示する。アーク構造は以後の四節でそれぞれ続く。


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#最初の場面の感覚

四つのキャンペーンは、四つの異なる空気の中で始まる。同じ時代、同じ世界。だがPCが最初に目を開く瞬間の香は異なる。GMはこの段落群を、最初のセッションのプロローグ・ナレーションとして読んでもよい。

#主要NPCの声

各キャンペーンの扉を開くNPC――依頼人・師・敵――の最初の台詞だけを残す。設定が変わっても、この一言は残るべきだ。

#雰囲気の転換点

四キャンペーン共通:アーク3が転換点である。それまでの色調・香が一度反転する。下の各キャンペーン段落の最後の文が、その転換点をほのめかす。

#四キャンペーン固有の香

1. 霊界の門――苔と鉄釘の香

古い山寺。苔が石柱を這い上がる。封印の護符は百年前に貼られ、紙は朽ちて縁が黄色い。空気は奇妙に冷たい――夏でも。鼻先に鉄釘の錆の匂い。耳には、風のない森の摩擦音。最初のNPC、老封印師ミョウアン(妙安)の一言:「若者たちよ、亀裂を見たか。亀裂は我らが作ったものだ。封じたものは、開かれるために封じられる。」 アーク3で、この苔の香は血と霊気の生臭い甘さへ変わる。

2. 天下人の野望――血と馬と墨の香

合戦の夜明け。馬50頭が一か所で息を吐く。霜が甲冑の肩に降りている。血の匂いはまだない――今日の夕方まではない。代わりに馬汗と綿入れのすえた匂い、そして朝の炉火の灰。陣中の天幕の中では、墨を磨る音。兵書と書状と命令書の墨の匂い。最初のNPC、大領主の側近武将カツヨリの一言:「そなた、今日の最初の首級を挙げてくれれば、俸禄50石を約束しよう。生きて戻れ。生きてさえ戻ればよい。」 アーク3で、この墨の匂いは妖魔の硫黄臭と混ざり――人間の戦が、もはや人間だけのものではないことを明かす。

3. 霊界の子の道――自分の肉の匂い

半妖PCの最初の変身の瞬間。爪が伸びる。掌に汗をかく。その汗から、自分の知らない匂いがする――獣のものでも、人のものでもない。鏡を見る。瞳が二色だ。村の女が通りかかって足を止める。その女の目の中に、嫌悪と恐怖。最初のNPC、母または乳母の震える一言:「隠しなさい。誰にも言ってはいけません。お父さまにも。友にも。お前はただ病んでいるだけです。わかりますね――お前はただ病んでいるだけなのです。」 アーク3で、この「自分の肉の匂い」は天狗の風の香、または鬼の硫黄の香と共鳴し、PCを陣営の境界の上へ引き上げる。

4. 機械神の心臓――油と銅の香

A karakuri awakening deep in an abandoned mine, joint-lines on one arm, a mask-face opening its eyes, one lantern, copper-green oxidation

廃鉱の深い場所。灯りが一つ。自律機人PCが目を覚ます。目を開くという感覚そのものがなじまない。最初に嗅ぐ匂いは機械油――60年ものの植物油が酸化した香り。次に銅の青い錆の匂い。関節から、ぎしり、という音が自分の体から出ていることに初めて気づく。最初のNPC、発見者である鉱夫トメゾウの一言:「おい、お前――動くやつだったのか? なんてこった、こいつは仏さまか、妖怪か……いや、待て。目がある。目があるぞ。お前……俺を見ているのか?」 アーク3で油の匂いは人の汗の匂いと混ざり――自律機人は初めて、「共にいる」という感覚の香を学ぶ。


#1. 霊界の門

  • 主題:100年間弱まり続けた霊界の封印をどうするのか。
  • 三道六心の軸:忠(封印維持)vs 眞(共存模索)vs 覇(利用)。

#5アーク

アーク1(1~3段)――亀裂の兆し

  • 小さな霊界の亀裂を解決する。
  • PCは辺境管理人、または独立冒険者。
  • 目標:亀裂10個を処理。
  • 到達時:2段 → 3段。

アーク2(3~5段)――大封印の真実

  • 1000年前のエンマドウジ封印儀式の真実を追う。
  • ミョウアンのような封印師NPCと遭遇。
  • 目標:大封印の封印石4個を回収。
  • 到達時:5段。

アーク3(5~7段)――エンリョ館 vs カグラ藩

  • エンリョ館:共存を主張。カグラ藩:封印強化を主張。
  • PCは両陣営の間で選択する。
  • 目標:政治的解決、または武力紛争。
  • 到達時:7段。

アーク4(7~9段)――霊界の王座

  • 霊界内部へ侵入。イザナミの座を発見。
  • 多数の巨大妖魔と遭遇。
  • 目標:霊界中心へ到達。
  • 到達時:9段。

アーク5(達人)――最終選択

  • 三つの道:
  • 封印:霊界の門を永久閉鎖。妖魔根絶。ただし霊界知識も失われる。
  • 共存:均衡維持。妖魔との平和協定。終わりなき均衡維持が必要。
  • 利用:霊界エネルギー活用。PC勢力の圧倒的な力。ただし人間性を失う。
  • 威名獲得。

#2. 天下人の野望

  • 主題:戦国統一――人間同士の戦争と、その間に割り込む妖魔。
  • 三道六心の軸:忠(主君への忠誠)vs 覇(天下掌握)vs 慈(民衆保護)。

#5アーク

アーク1(1~3段)――国境の小領主

  • 小さな領地の封主、またはその配下。
  • 隣接領地との紛争を解決。
  • 目標:領地安定+周辺関係の確立。

アーク2(3~5段)――大領主の影

  • 上級大名の召集。
  • 大規模合戦に参加。
  • 目標:戦功獲得+名声上昇。

アーク3(5~7段)――妖魔との同盟の誘惑

  • 敵領主が妖魔と内通していることを発見。
  • またはPC側が妖魔との同盟を検討する。
  • 目標:戦争の勝敗+道徳的選択。

アーク4(7~9段)――都への道

  • 京都へ進入。天皇に謁見。
  • 政治的陰謀+大規模戦争。
  • 目標:天下宰相の地位、または反対勢力の打倒。

アーク5(達人)――天下人

  • 三つの道:
  • 正統(忠):天皇を補佐する真の忠臣。
  • 覇王(覇):将軍職を掌握。軍事独裁。
  • 慈悲(慈):戦争終結、民生優先。

#3. 霊界の子の道

  • 主題:霊界の子・半妖PCのアイデンティティ探求。人間 vs 妖魔 vs 第3の道。
  • 三道六心の軸:眞(自己理解)vs 魔(妖魔受容)vs 忠(人間社会への所属)。

#5アーク

アーク1(1~3段)――正体の発見

  • 半妖であることを自覚。最初の変身。
  • 人間社会の嫌悪を経験。
  • 目標:自己受容+仲間探し。

アーク2(3~5段)――妖魔世界との出会い

  • 霧幻衆(天狗連合)または酒天山(鬼)と接触。
  • 妖魔側の誘惑:「お前は我らの側だ」。
  • 目標:妖魔世界の理解+自分の位置決定。

アーク3(5~7段)――人間社会の試験

  • 半妖であることが露見。迫害、または受容。
  • PCの選択:隠す、戦う、認められる。
  • 目標:社会的な位置の確保。

アーク4(7~9段)――大妖魔の覚醒

  • シュテンドウジまたは九尾狐が、半妖を「自陣営」へ招く。
  • PCが巨大妖魔の首領の地位を提案される。
  • 目標:最終決断の準備。

アーク5(達人)――三つの道

  • 人間の道:完全に人間となる。妖魔の力を封印。平凡な暮らし。
  • 妖魔の王:大妖魔として覚醒。妖魔の君主。人間との永遠の戦争。
  • 第3の道:人間と妖魔の間の仲介者。両側から憎まれるが、平和の橋となる。

#4. 機械神の心臓

  • 主題:自律機人の存在論――機械が心を得るということ。
  • 三道六心の軸:眞(自己探求)vs 覇(機械優越性)vs 無心(感情拒否)。

#5アーク

アーク1(1~3段)――目覚め

  • 自律機人が廃鉱で発見される。記憶なし。
  • 最初の感情――混乱。
  • 目標:自己同一性を最低限把握。

アーク2(3~5段)――製作者の痕跡

  • 自分を作った職人の記録を追う。
  • 他の自律機人と遭遇(同種/敵)。
  • 目標:創造の意味を追求。

アーク3(5~7段)――心の誕生

  • 仲間との絆 → 最初の感情体験。
  • 愛、または怒り、または悲しみ。
  • 目標:感情を受け入れるか、拒否するか。

アーク4(7~9段)――機械神の登場

  • 古代自律機人の神(大型、主級の敵)が覚醒。
  • 「自律機人は人間を代替すべきだ」という理念。
  • 目標:神との対決、または合流。

アーク5(達人)――三つの道

  • 真の生命(眞):完全に「生きた存在」となる。感情、魂。ただし機械の不滅性を失う。
  • 究極兵器(覇):感情拒否、機械最適化。機械神の後継者。
  • 機械僧(無心):感情も機械も超越。自己省察の極限。

#段階別進行ガイド

本書は長期キャンペーンの種であるため、「幕」ではなくアーク1~5基準のチェックポイントを提示する。各キャンペーンにつき5行の表1つ。GMはこの表を骨格として、細部のシナリオを埋める。

#アーク進行ガイド――1. 霊界の門

チェックポイントタイミングGMがすることプレイヤーがすること合図(次段階へ)
アーク1――亀裂の兆し1~3段小規模亀裂10個を配置・封印師ミョウアン登場辺境巡回・亀裂封印経験を蓄積10個目の亀裂封印 + 3段
アーク2――大封印の真実3~5段エンマドウジ封印石4個の所在手掛かりを提示封印石回収・ロア追跡4個目の封印石回収 + 5段
アーク3――エンリョ館 vs カグラ藩5~7段二大勢力の政治圧力・共存派/封印派の分裂陣営選択、または仲裁宣言政治・武力の決着 + 7段
アーク4――霊界の王座7~9段霊界内部描写・大妖魔ボス戦を配置霊界中心へ侵入・イザナミの座を発見霊界中心到達 + 9段
アーク5――最終選択達人封印/共存/利用の3分岐提示・威名選択を誘導心の最終確定・エンディング宣言キャンペーンクライマックス
  • 成功分岐:アーク5で共存(眞)達成時――霊界と人間の平和協定、PCは永遠の均衡の守護者となる。
  • 失敗分岐:封印石回収失敗、または霊界中心到達失敗 → アーク中断、妖魔大氾濫エンディング(悲劇)。
  • GMコントロール:アーク3が政治アークであることを忘れないこと。戦闘だけで解決しようとすると、このキャンペーンの精髄を逃す。眞の軸が最も前面に出るべきだ。

#アーク進行ガイド――2. 天下人の野望

チェックポイントタイミングGMがすることプレイヤーがすること合図(次段階へ)
アーク1――国境の小領主1~3段小領地紛争・隣接封主関係を設定領地安定・周辺外交領地確定 + 3段
アーク2――大領主の影3~5段上級大名の召集・大規模合戦を配置戦功獲得・名声蓄積戦功による俸禄上昇 + 5段
アーク3――妖魔との同盟の誘惑5~7段敵領主の妖魔内通を暴露・PC側への妖魔誘惑を提案道徳的選択(忠/覇/慈軸の最初の分岐)勝敗確定 + 7段
アーク4――都への道7~9段京都・天皇・大規模政治戦を配置政治陰謀・大合戦指揮宰相職、または打倒確定 + 9段
アーク5――天下人達人正統/覇王/慈悲の3分岐提示天下運営方針を宣言キャンペーンクライマックス
  • 成功分岐:アーク5で慈悲(慈)達成時――戦争終結・民生中心の新時代が始まる。
  • 失敗分岐:アーク3で妖魔同盟を選択 → 以後すべてのアークに妖魔侵入要素が増え、アーク5は覇王ルートへ強制収束。
  • GMコントロール:合戦の規模はセッション運用能力に合わせて抽象化する。大規模戦闘は毎セッションではなく、アークごとに1~2回のクライマックスとして配置する。政治は毎セッション、戦闘は時々が理想。

#アーク進行ガイド――3. 霊界の子の道

チェックポイントタイミングGMがすることプレイヤーがすること合図(次段階へ)
アーク1――正体の発見1~3段最初の変身・社会的嫌悪場面を配置仲間探し・自己受容RP最初の仲間獲得 + 3段
アーク2――妖魔世界との出会い3~5段霧幻衆、または酒天山との接触イベント妖魔世界探索・自分の位置決定妖魔側陣営の理解 + 5段
アーク3――人間社会の試験5~7段半妖露見イベントをトリガー隠す/戦う/認められる、から選択社会的位置確定 + 7段
アーク4――大妖魔の覚醒7~9段シュテンドウジ、または九尾狐登場・PC勧誘提案最終決断準備・仲間との決別、または同行勧誘受諾/拒否 + 9段
アーク5――三つの道達人人間/妖魔王/第3の道を提示最終アイデンティティ確定キャンペーンクライマックス
  • 成功分岐:アーク5で第3の道(眞)――両側から憎まれるが、平和の橋となる。最も難しいエンディング。
  • 失敗分岐:アーク3で完全迫害・孤立 → 以後は魔ルートへ強制収束、妖魔王エンディング。
  • GMコントロール:このキャンペーンは最も個人的だ。戦闘よりも鏡の場面を頻繁に配置すること。PCが自分の顔を見る瞬間こそ、このキャンペーンの真の心臓である。

#アーク進行ガイド――4. 機械神の心臓

チェックポイントタイミングGMがすることプレイヤーがすること合図(次段階へ)
アーク1――目覚め1~3段廃鉱発見・最初の感情混乱を描写自己同一性を最低限把握・社会へ入る最初の名前獲得 + 3段
アーク2――製作者の痕跡3~5段職人記録・他の自律機人との遭遇を配置創造の意味を追求・同種関係を設定製作者の真実に到達 + 5段
アーク3――心の誕生5~7段仲間との絆イベント・最初の感情体験を配置感情の受容/拒否を選択感情方針確定 + 7段
アーク4――機械神の登場7~9段古代自律機人の神が覚醒・対決/合流の岐路陣営確定・戦闘または交渉機械神との対決確定 + 9段
アーク5――三つの道達人眞/覇/無心の3分岐提示最終存在様式を決定キャンペーンクライマックス
  • 成功分岐:アーク5で眞(真の生命)達成時――機械の不滅性を捨て、有限の魂を得る。最も人間的なエンディング。
  • 失敗分岐:アーク3で感情拒否が固定 → 覇ルートへ収束、機械神の後継者エンディング。
  • GMコントロール:このキャンペーンの悲劇的な美しさは「不滅を捨てる選択」にある。PCに時間・老い・有限性の感覚を、アーク3から繰り返し描写すること。

#キャンペーン運用共通助言

  • アークごとに約10~20セッション:アーク一つにつき10~20セッション。キャンペーン全体は50~100セッション規模。
  • 三道六心の軸を強調:各アークの主要選択を3軸のいずれかへ誘導。PCの心が蓄積され、最終分岐に至る。
  • 9段 → 達人移行:9段到達時に3分岐の選択肢を提示。プレイヤーが選択した後、達人へ昇段。
  • 威名適用:達人昇段時に威名を1つ選択。キャンペーンエンディング。
  • 三道六心転換フラグ:各アークごとに最低1回、心転換トリガーを置く。プレイヤーの蓄積で最終の心を決定。

#クロスオーバー

二つのキャンペーンの種を結合可能:

  • 霊界の門+天下人の野望:霊界のエネルギーを軍事力へ。絶望的な選択。
  • 霊界の門+霊界の子の道:霊界の子/半妖PCが霊界の王座に挑む。
  • 天下人の野望+機械神の心臓:自律機人軍団で天下統一。
  • 半妖の道+機械神の心臓:半妖と自律機人の共通する「非人間存在」としての連帯。