日本語版 v1.3.3

#自分の英雄を作る

ハナは刃を持つ武士を夢見て、メイは妖魔を制する術師を夢見る。


#香 — 名をつける

また土曜日。雨は上がっていた。窓の外では濡れた道路が光っている。

クロが印刷した紙を二枚、テーブルの上に置いた。空欄の多い紙。名前、職業、能力、特技 — キャラクターシート。

「今日は君たちのキャラクターを作る」

ハナがシートを手に取った。目が名前欄に固定された。

「名前から?」

「名前は後だ。まず職業」


「職業は全部で三十三もある」クロが一覧を取り出した。「でも最初からそれを全部見る必要はない。基本六つだけ見ろ。侍、浪人、忍び、陰陽師、密教僧、浄土僧。この六つが戦場で必要な役割を全部分け合っているからな — 前で止め、素早く斬り、後ろを狙い、呪術をかけ、ど真ん中で戦い、味方を救う」

「役割で先に選ぶんですか?」メイが訊いた。

「そうだ。『武士になりたい』じゃなく『何がしたいか』で選べ。前で止めたいなら侍、後ろで術法を使いたいなら陰陽師。残り二十七職業はこの六つの変形か、GMが許可して開く特殊職業だ。慣れてからでいい」

ハナの視線が一番上で止まった。。その横には「前列・防御」と書かれていた。

「これ」ハナがきっぱり言った。「侍で」

クロが笑った。「予想してた」

メイは一覧をゆっくり見ていった。陰陽師、密教僧、浄土僧 — 霊的職業たち。彼女の指が四つ目で止まった。

陰陽師」メイが言った。「式神を使うんですよね? 紙人形に呪術をかけて?」

「そう。妖魔を扱う術師だ。式神を召喚して戦場に配置し、君の活……行動資源で操る」

メイがうなずいた。「召喚士 + 操縦者コンセプトですね。いいです」


クロがダイスの横に鉛筆二本を置いた。「次は能力値。六つある」

ハナがシートをのぞいた。六つの空欄。

は勇気と近接戦闘。は敏捷さと瞬発力。は体力と耐久。は知識と指揮。は魅力と存在感。は幸運」

「数字はどう決めるんですか?」

クロがカード六枚を置いた。+2, +1, +1, 0, 0, -1。

「この六つの数字を六つの能力に自由に配分する。強いところに高いものを入れ、弱いところに低いものを入れればいい」

ハナは考えた。侍。刃をよく使い、前に立って敵を止める役割。刃さばきには勇が必要で、前で耐えるには體が必要だ。

鉛筆を取った。勇に+2。體に+1。技に+1。残りに0, 0, -1。

「-1はどこに入れればいいですか?」

「弱いところだ。侍は何が苦手?」

ハナは少し考えた。「……運?」

クロがうなずいた。「運の悪い侍。でも刃さばきと意志で運命に立ち向かう武士。いいキャラクターだ」


メイの番。

「陰陽師は智が核心だと言いましたよね?」

「そう。呪術と式神操作に智を使う」

メイが書いた。智に+2。美に+1。運に+1。勇に0。技に0。體に-1。

「體が-1だと、当たったら危なくないですか?」

「危ない。陰陽師は後ろで式神を操る職業だ。前に出てはいけない。侍が前を止め、陰陽師は後ろで呪術をかける」

メイがうなずいた。「CoCの学者みたいな位置ですね。戦ったら死ぬ人」


「背景」クロが言った。「君たちのキャラクターが戦場に立つ前、どこから来たのか。背景は全部で13種類あるが、最初は代表6つだけ先に見せる」

ハナが一覧を見た。没落貴族、農夫、商人の子、寺院出身、放浪者、霊界の子。

「没落貴族」ハナが言った。「かつて城を持っていたけど、家が滅びた侍。だから刃一本を持って戦場に出てきたんです」

「いい。没落貴族なら交渉と風格にボーナスが来る。古い家の名が残っているから」

メイが選んだのは寺院出身。「陰陽師が寺院で育ちました。経典と呪術書を読みながら育ったんです」


技能。特技。装備。ハナとメイは空欄を埋めていった。

ハナの武器は打刀 — 平凡な刃。「父から受け継いだ刀です。鞘は擦り減っているけど、刃は生きています」

メイの武器は — なかった。「陰陽師は式神が戦うんじゃないんですか?」

「そう。代わりに符を持っている。そして式神一体」


最後。名前。

ハナが鉛筆を取った。一字、一字、丁寧に。

藤原刹那 (藤原刹那)。」

クロが読んだ。「藤原……歴史ある家だね」

「いい家でした。今は違いますけど」ハナが言った。声に熱があった。すでに刹那になりつつあった。

メイが書いた。整った字。

ミナ (ミナ)。」

「姓は?」

メイは首を振った。「寺院で育った子には姓がありません。名前だけです」

クロがシート二枚を並べた。藤原刹那、侍。ミナ、陰陽師。二人の英雄が紙の上に生まれた。

「よし」クロが言った。「次の週、この二人が初めて出会う」


空欄が埋まった。数字と名前の間に、まだ生きたことのない人生が待っている。


#法 — セッション実録

クロ: 「キャラクター作成7段階を踏んでみよう」

#1段階 — 職業選択

クロ: 「ハナは侍。核心能力値は勇/體。前列で守る役割。メイは陰陽師。核心は智。式神を召喚して後列で操る」

#2段階 — 能力値配分

クロ: 「配分法は+2, +1, +1, 0, 0, -1。合計+3だ」

ハナ:

+2+1+100-1

メイ:

00-1+2+1+1

クロ: 「派生値。活力 = 10 + 技。戦力 = 3 + 體」

派生刹那ミナ
活力11 (10+技1)10 (10+技0)
戦力4 (3+體1)2 (3+體-1)
防備14 (重甲)10 (無甲)

メイ: 「戦力2……二度致命傷を受けたら倒れるんですね」

クロ: 「そう。陰陽師は前に出てはいけない。刹那が止めなければならない」

#3段階 — 背景

クロ: 「ハナ = 没落貴族。技能特典3つ中2つ選択: 軍学、交渉、風格」

ハナ: 「軍学と風格で。指揮官だから」

クロ: 「メイ = 寺院出身。技能特典: 退魔、医術、闘志」

メイ: 「退魔と医術で」

#4段階 — 技能配分

クロ: 「クラス自動5点(入門3個 = 3点、習得1個 = 2点) + 背景特典2点 + 自由2点 = 9点」

刹那技能: 剣術●●(習得), 闘志●(入門), 軍学●(入門), 威圧●(入門) + 交渉●(背景), 風格●(背景) + 馬術●(自由), 生存●(自由)

ミナ技能: 呪術●●(習得), 退魔●(入門), 結界●(入門), 予言●(入門) + 退魔●→●●(背景、重複時は習得へ), 医術●(背景) + 交渉●(自由), 感知●(自由)

#5段階 — 特技

クロ: 「1段特技3つ。クラス自動1 + 背景自動1 + 一般選択1」

刹那:

  • 不動の陣 [構え] (侍自動) — 宣言時、制圧力 +4(前列)、敵突破 +2、移動不可。
  • 家名 [素養] (没落貴族自動) — 交渉/威圧 +2、分隊初期結束 +1。
  • 強靭 [素養] (一般選択) — 戦力 +1。→ 戦力 4→5。

ミナ:

  • 式神使役 [型] (陰陽師自動) — 式神1体召喚。戦力1、防備12。制圧力 +1。
  • 経典の力 [素養] (寺院出身自動) — 妖魔対象攻撃判定 +1(常時)。恐怖抵抗判定 +2(常時)。
  • 妖魔知識 [素養] (一般選択) — 妖魔攻撃 +1、弱点自動公開。

#6段階 — 装備

刹那: 打刀(刀類標準), 重甲(防備14、活力 -1 → 體+1で相殺)。 ミナ: 符(消耗品、呪い解除用1回), 式神人形1体。

#7段階 — 三道六心

クロ: 「心の方向。三つの道の中から一つ、その中で明るい心と暗い心」

ハナ: 「刹那は……礼道(禮)。忠で。家を再興するという忠誠」

メイ: 「ミナは玄道(玄)。真(眞)。真実を探求する陰陽師」

クロ: 「いい。刹那 — 礼道 忠。ミナ — 玄道 眞。キャラクター完成」


クロ: 「整理。作成7段階:

  1. 職業 — 役割で先に選ぶ。新規は基本6職から1つ選択 (全33職 = 基本6 + 拡張12 + アウトサイダー3 + 魔人12)
  2. 能力値 — +2/+1/+1/0/0/-1を配分
  3. 背景 — 全13種中1つ選択 (入門は代表6種から開始可能)
  4. 技能 — クラス5 + 背景2 + 自由2 = 9点
  5. 特技 — クラス1 + 背景1 + 一般1 = 3つ
  6. 装備 — 武器 + 甲冑
  7. 三道六心 — 道 + 心を選択

これでキャラクターは完成する。10分で終わる」

ハナ: 「10分? 本当ですか?」

クロ: 「D&Dより速い。ダイスを振らないから」


二枚のシート。藤原刹那、侍、礼道 忠。ミナ、陰陽師、玄道 眞。まだ互いを知らない二人。次の週 — 戦場で出会う。