日本語版 v1.3.3

#ダイスと判定 (骰子と判定)

ハナが初めてダイスを振る。そして運命が動き始める。


#香 — 最初のロール

Two ten-sided dice resting beside a blank character note, only dice facets and a brush stroke shadow, no numbers visible.

また土曜日。カフェは雨で人が少なかった。窓に雨粒が張りつき、流れ落ちていく。

クロがテーブルの上にダイス二つを置いた。茶色と白色。先週見たあれだ。

「今日はこれを振ってみる」

ハナはダイスを手に取った。手のひらの上で転がしてみた。角が十個。0から9まで。小さいが重みがあった。

「何をすればいいんですか?」

「刃を抜くところを想像して」クロが言った。「目の前に敵がいる。君が刃を振れば — 当たるかもしれないし、外れるかもしれない。それをダイスが決める」

ハナは息を吸った。想像する。霧深い橋。向こうから近づく赤い目。刃に手を置く。抜く。

ダイスを振った。

茶色: 7。白色: 8。

「合計15」クロが言った。「高い。刃が敵の肩を深く斬る」

ハナは拳を握った。「当たった!」

メイが静かに笑った。「リアルですね。本当に緊張しました」


「もう一つ」クロが言った。「今度は崖を登る。雨で岩が滑る」

ハナがもう一度振った。3と2。合計5。

「……落ちた?」ハナが尋ねた。

「落ちた」クロが言った。「岩から手が滑って下へ転がる。でも死なない — 枝に引っかかったから」

ハナは頬を膨らませた。「また登れますか?」

「次の手番で」


メイの番。メイはダイスを丁寧に持ち上げた。CoCを数百回振ってきた手。だがこれはd10二つ — 彼女が慣れたd100ではなかった。

「何をすればいいですか?」

「怨霊を見た」クロが言った。「透明な影が目の前に現れた。恐ろしい姿だ。君のキャラクターが怖がらずにいられるか。ダイスで決める」

メイが振った。4と4。

クロの顔が変わった。「同じ数字」

「4と4……合計8」メイが言った。「低いですね?」

「合計は低い。普通なら失敗だ。でも — 同じ数字が出た

ハナが身を乗り出した。「あ、先週言ってたやつ! ゾロ目!」

クロがうなずいた。「ゾロ目だ。合計8なら普通は失敗だけど — 失敗したゾロ目は『失着』だ。最悪の結果」

メイが目を細めた。「クリティカルファンブル」

「似ている。君のキャラクターは怨霊を見て恐怖に呑まれ — 後ずさりした拍子に床で滑って転んだ。完全に隙を見せたんだ」

メイはため息をついた。だが口元は上がっていた。「……面白いですね」


「最後に一つ」クロが言った。「ハナ、もう一度振って」

ハナが振った。ダイスがテーブルの上でくるくる回った。

茶色: 10。白色: 10。

三人が同時にダイスを見下ろした。

「……10と10」ハナがささやいた。

クロがゆっくり言った。「天命。天の意思が下ったんだ。これは — このゲームで最も特別な瞬間だ。刃が敵の急所を正確に貫いた。周囲の時間が止まったように感じられ — 敵が膝をつく」

ハナはダイスを持ち上げ、光に透かした。10と10。二つの0が並んで光っていた。

「これ……本当に出る確率は?」

「百回に一回」


ダイスがテーブルの上で止まった。二つの0。ハナはまだ、それが何を意味するのか知らない。だが手の中に残った震えを — 長く覚えているだろう。


#法 — セッション実録

クロ: 「ルールを整理しよう。2d10 + ボーナス >= 目標値。これが基本だ」

ハナ: 「ボーナスって何ですか?」

クロ: 「キャラクターの能力値と技能から来る。たとえば刃を振るなら『勇 + 剣術』がボーナスになる。勇が+2で剣術が+1ならボーナス+3。2d10を振って、そこに+3を足し、目標値以上なら成功」

メイ: 「目標値って何ですか?」

クロ: 「状況ごとに違う。基本目標値は11だ。普通の難易度。これは2d10の平均でもあるから、ボーナスが0なら五分五分」

難易度目標値
とても簡単5
簡単7
普通11
難しい13
とても難しい15
極難17
不可能19

クロ: 「攻撃するときは少し違う。敵の『防備』の値が目標値になる。甲冑を着ていない敵は10、重甲は14」


クロ: 「ゾロ目。さっきメイが4+4を振っただろう? 両方のダイスが同じ目ならゾロ目だ。確率10%

状況結果
成功 + ゾロ目会心 (会心) — 大成功。基本1戦力減少が2戦力減少へ増加。
失敗 + ゾロ目失着 — 大惨事。隙をさらす。
10+10 + 成功天命 — 奇跡。特殊結果表参照。
1+1 + 失敗業報 — 災厄。特殊結果表参照。

ハナ: 「10+10って、さっき私が振ったやつじゃないですか! 百回に一回!」

クロ: 「そう。1%だ。このゲームで天命が出たら、卓全体が止まる。みんなが『あ』と息を呑む。敵が将級でも主級でも、天命の前では膝をつく」

メイ: 「1+1はその逆ですね」

クロ: 「業報。最悪だ。刃が折れるとか、足を踏み外すとか。d100結果表を振って結果を見る」


クロ: 「最後。運命介入

メイ: 「運命介入?」

クロ: 「2d10を振った後で、ダイス一つを+-1できる。戦闘ごとの使用回数は制限されている — キャラクターの『運』修正値の回数だけ。運+2なら戦闘ごとに2回。最低1回」

ハナ: 「じゃあ、さっきのメイの4+4 = 8が……運命介入で片方を5に変えると9になるんですか?」

クロ: 「そう。ただし、そうするとゾロ目が崩れる。4+5になるから。失着は避けられるが — 合計9のままだから、目標値によっては失敗のままだ」

メイ: 「面白いですね。ゾロ目の劇的な結果を維持するのか、安全に数字を上げるのか。選択ですね」

クロ: 「その通り。運命介入の核心は選択だ。いつ使うか、どこに使うか。戦闘が終わる前に使い切れば、最後の瞬間に何もできない」


クロ: 「整理。

  1. 2d10 + ボーナス >= 目標値(基本11): 成功/失敗。
  2. ゾロ目(10%): 成功なら会心(大成功)、失敗なら失着(大惨事)。
  3. 天命(10+10)/業報(1+1): 奇跡と災厄。1%の極限。
  4. 運命介入: ダイス一つを+-1。戦闘ごとに運修正値の回数、最低1回。選択と節約。

これでダイス規則は終わり。他のダイスはない。d100は天命/業報結果表でだけ使い、それもGMが振る」

ハナ: 「シンプルですね。ダイスの種類が一つだけだから迷うことがありません」

メイ: 「CoCはd100一つですが、ダメージロールにはいろいろなダイスを使うでしょう。これは本当に2d10だけですね」

クロ: 「そう。混世霊妖譚の設計哲学だ。複雑さはダイスではなく、選択にある


二つのダイス。十の面。無限の物語。次の週、英雄が生まれる。