#第16話: 時代を渡った者たち
霊界の門は、妖魔だけを呼び出すわけではない。時には時間も、神も落としてくる。
この話は、拡張職業のうち三つ — 現代人、英霊、天人 — が同じ戦場に落ちた物語である。
- セッション参加者: クロ(GM)、ハナ(PC — 侍7段、観察者兼ガイド)、メイ(PC — 陰陽師5段、観察者兼ガイド)
- 新規NPC (今回の主役):
- 高木さやか — 現代人5段。医学生。救急救命専門。
- カルナ — 英霊5段。天竺の戦場から呼ばれてきた。神物: ヴィジャヤ(天竺の弓)。
- 卯月 — 天人7段。空から妖魔を斬るため降りてきた神格。権能残り3回。
#香 -- 三つの亀裂
陰陽師セイカの偵察符が戻ってこなかった。カグラ藩北の谷、本来なら妖魔が棲む場所ではないのに、昨夜から霊界の気が流れている。マサムネ(侍)がまず偵察隊を率いて出た。その後をハナとメイが追った。谷に着いた時、空が三つに裂けていた。
一つ目の裂け目は青い光。その光の内側に — ハナが一度も見たことのないものが見えた。四角い箱のような家々、人より大きな鉄の筒(自動車?)、夜なのに昼のように明るい道。その光の中から一人の女が落ちてきた。白い小袖 — いや、白いガウン — をまとっていたが、丈が妙に短く、首には銀色の紐(聴診器)が下がっている。彼女の手には、鋏のような小さな道具がいくつもあった。土の上に転がったまま、彼女は周囲を見回し、日本語のようで違うような言葉で叫んだ。「ここどこ? さっきまで救急外来にいたのに……」
二つ目の裂け目は赤い光。光が消えて現れたものは — 人間ではあった。だが鎧が奇妙だった。日本の様式ではない。天竺式の金箔鎧。耳に挿した耳飾りが太陽のように輝く。その前には弓が一本突き立っていた。ハナも、メイも、その弓を見た瞬間に息を止めた。その弓は — この世のものではない。弓に刻まれた文様が自ら光を放っている。弓の主が目を開け、ゆっくりと立ち上がった。戦闘姿勢。それから周囲を見回し、メイへ視線を突き刺した。古代ヒンディー語で何かを言ったが — 驚くことにこちらには意味が分かる。霊体が、聞く者の言葉に合わせるのだ。「……ここはどこだ。私はクルクシェートラでアルジュナと撃ち合い、死んだはずだが。」
三つ目の裂け目は白い光。今度はゆっくりと、柔らかく、誰かが降りてきた。足は地面に触れず、空中に浮いている。若い女。白い衣、長い髪、背にはかすかな光背。息を吐くたび、口元から淡い光が流れる。彼女の右手の掌の上には、光る珠が三つ浮いていた。彼女が口を開くと — 言葉がメイの頭の中へ直接入ってきた。「下界。人間。妖魔。理解した。私は妖魔討伐の任を受けた。私はまだ三度、奇跡を使える。」
三人は互いを見る。一人は未来から、一人は遠い過去から、一人は空の上から。そして同じ谷に落ちた。
「この状況を知っているか、下界の巫女よ。」卯月(天人)がメイに尋ねた。
メイは震える声で答えた。「霊界の門が開いています。けれど — 妖魔が出てくる門ではなく、人が入ってくる門みたいです。」
「その人は、私ではなさそうですけど?」高木さやか(現代人)が土を払いながら立ち上がった。「ああ、もう、手術ガウンが何なのこれ。ここ、病院あります?」
カルナ(英霊)は静かだった。弓をゆっくりと握り、遠い山の向こうを見た。その山の向こうで、赤い雲が集まりつつあった。妖魔の霊格がそちらで煮え立っている。カルナが言った。「召喚には代価がある。私はこの地で戦ってこそ存在する。」彼がヴィジャヤの弓を撫でると、弓がその手の中で実体化した。それまでは半透明だったものが、今は本物の木と弦になる。この弓は師パラシュラーマが彼に託したものだ — クルクシェートラでアルジュナのガーンディーヴァと向かい合った弓。
腰の短槍は違う。触れなかった。それはヴァサーヴィ・シャクティだ — インドラがカルナの耳飾りと鎧と引き換えに渡した、一度きりの神槍。一度抜けば一度殺す。カルナはそれをマハーバーラタで既に一度使っていた(ガトートカチャへ向けて)。この時代の下界へ再び召喚されたことで、その一度の権限が彼に戻ったのかは — 彼にも分からない。だから触れない。まだ。
英霊は神物がなければ存在できない。 それが英霊の法則である。
卯月が神々の口調で言った。「下界の規則は複雑だな。私は権能が三度残っている。各奇跡は一呼吸を広げるか、一つの命を戻すか、この地を浄化するか、次の一撃に天の重みを載せる。」彼女の珠三つが少し淡くなった。権能は自然には戻らないが、降下そのものは偶数段への昇段の軌跡をたどる。
さやかが最初に実務的だった。「じゃあ、まず近くの村はどこですか? 私にできるのは医術です。この時代の医術ともつなげられるはずです。人体の構造はどうせ同じなので。」
カルナ: 「敵はあの山の向こうにいる。私は戦える。」
卯月: 「私は祈る。そして斬る。」
そしてその三人の背後から、マサムネの偵察隊がこちらへ逃げてきていた。 白い霧の中から、妖魔の群れが谷の上へなだれ込んでいた。
#法 -- セッション実況
クロ: 16話。今回は拡張職業3種を一度に落とす。
ハナ: 一度に?
クロ: 霊界の門が大きく開いた。タイミングが重なって、現代人・英霊・天人が同時に降下。君たちは観察者 + ガイド役。ハナは侍7段、メイは陰陽師5段のまま。ただし — 今回の主役は私が持つ三人のNPCだ。
メイ: NPC三人をクロが全部やるんですか? 大変じゃないですか?
クロ: セッション一つだけ見るし、その後は君たちの誰かが引き継いでもいい。シートを公開する。
[高木さやか — 現代人5段]
能力値: 智+3、美+3、技+1、體+0、勇-1、運+0
活力: 11。戦力: 3。防備: 10 (鎧なし)。
三道六心: 慈。価値観転換トリガーは2回基準。
1段 [素養] 先見の明 — 歴史質問、医術 +3、2活力→対象2活力、妖魔交渉 +2。
3段 [素養] 活力注入 — 2活力→対象3活力。医術13成功時、さらに1活力。
5段 [型] 野戦医療 — 3活力、小康1回。味方1体の戦力3回復、医術13成功時5回復。
適応記録: 現代医学の知識を、この時代の医術名人運用へ翻訳する。他職業の特技を自動借用しない。
武器: なし。救急処置キット(物語上の装備、独自の数値なし)。
ハナ: 公式サンプルのさやかですね。適応で式神や学者の特技を取ってはいませんよね?
クロ: そう。現代人は自分のクラスの先見の明と活力注入だけで活力を支援できる。適応は現代医学をこの時代の医術運用へ翻訳した成長記録であって、他職業の1段特技を無料で得る規則ではない。
メイ: では、即席のからくりはないんですね。
クロ: ない。さやかの場面上の役割は診断、活力支援、野戦医療だ。式神は陰陽師が実際に召喚し、使役する。
[カルナ — 英霊5段]
能力値: 勇+3、體+2、技+1、智+0、美+1、運+2
活力: 12。戦力: 5。防備: 13 (天竺式金箔甲冑)。
三道六心: 活開始。戦士英雄の霊体。
1段 [素養] 前生の記憶 — 神物「ヴィジャヤ」共鳴。未所持時、霊体不安定 (毎セッション維持判定: 2d10+運 ≥ 11)。
3段 [素養] 前生技法再現 — クルクシェートラ戦場技法3種。「太陽の矢」(ヴィジャヤ専用、3活力、貫通+2戦力)。
5段 [型] 神物覚醒 (2活力、戦闘1回) — ヴィジャヤ使用時、攻撃 +3、妖魔対象に追加1戦力。
武器: ヴィジャヤ (神物、天竺文化)。献身技法 [理解 D]: 英霊自動共鳴。
腰の予備: ヴァサーヴィ・シャクティ (一度きりの神槍、セッション/戦闘1回確定即死、使用後永久消失)。本話では未使用。
メイ: 英霊は元の持ち主だから、自分の神物を使っても献身技法がそのまま適用されるんですね。
クロ: そう。[理解] 経路D(英霊自動共鳴)。原則3参照。カルナはヴィジャヤの弓一つが彼の錨だ。失えば霊体が不安定になる。
ハナ: ヴァサーヴィ・シャクティの話はなぜするんですか? 使わないのに。
クロ: カルナというキャラクターの物語がそれだからだ。一度きりの必殺技を、既に一度使っている。 この時代に戻って、その権限が復元されたのか、彼自身にも分からない。触れない。ただ読者は「いつか使えるかもしれない」と感じる。チェーホフの銃だ。
メイ: セッションを越えて積む仕掛けですね。
クロ: そういう意味だ。
[卯月 — 天人7段]
能力値: 全能力値 +1 (天人開始ボーナス、均等に高い)。
活力: 12。戦力: 6。防備: 15 (神格障壁)。
権能残り: 3回 (初期5回、2回は別の下界で消費)。
三道六心: 神開始。偶数昇段ごとに -1能力値 (7段現在2回降下)。
1段 [素養] 天上の光 — 全能力値の降下曲線、神格属性、権能の開始・最大5と四つの奇跡、現世適応の欠如、妖魔への共鳴。
3段 [型] 浄化の手 — 2活力。`2d10+智+退魔>=防備`、妖魔へ2戦力+弱点露出1呼吸。
5段 [素養] 戦闘適応 — 人間を対象とする攻撃の戦力-1を解除し、武器熟練度+1。
7段 [素養] 半神 — 権能最大+2、戦闘開始時に権能1回復、権能0でも神格属性を1呼吸維持。
特殊: 権能は基本開始5・基本最大5(半神を持つ場合は最大7)で、自然回復しない。自分の呼吸に権能1+活力1で四つの奇跡から一つを使う。能力値の降下は権能使用ではなく、偶数段への昇段時に適用される。
武器: 直刀 (天界製作)。一般武器扱い。
ハナ: 卯月、強いですね。でも使うと弱くなるんですね。
クロ: 天人の物語はそれだ。初期最強 → 段階的弱体化 → 人間を学ぶ過程。権能は3回残っていて、自然には戻らない。0になれば神格属性を失うが、ただちに人間になるわけではない。今回のセッションでどこに使うかがドラマだ。
メイ: 3種の違う職業群が一度に出会うんですね。現代人は未来、英霊は過去、天人は上から。時空間クロス。
クロ: そう。ハナとメイはこの出会いを見守る証人だ。君たちが現在だ。
ハナ: 緊張するな。
#戦場配置
[谷入口(ハナ・メイ合流)]
↓
[谷中ほど(三人のアウトサイダー落下地点)]
↔
[谷前方(マサムネ偵察隊撤退中)]
↔
[谷奥(妖魔軍勢進軍)]
クロ: 妖魔構成。
[敵構成]
- 小鬼分隊A: 雑5体。谷奥右側。
- 小鬼分隊B: 雑5体。谷奥左側。
- 足軽鬼分隊: 卒4体。谷奥中央。
- 大鬼(将): 戦力4、防備13、活力9。中央先鋒。
メイ: 卒から将くらいなら、私たちだけでも何とかなりますけど、この三人は初めての経験ですよね。
クロ: そう。そして訓練環境ではない。マサムネ偵察隊が敗走中だから、即時戦闘。落下直後に戦わなければならない。
ハナ: 卯月が強そうだから中央防御?
クロ: 決定はNPCたちの性格に従う。それぞれ自分の判断で動く。
#間合1 — 出会いの混乱
クロ: カウント。卯月12、カルナ12、大鬼9、さやか11、メイ10、ハナ(侍)11。
クロ: 卯月が先。空中から地面を見据えて — 周囲の味方を一度に把握する。
卯月: 「この三人と共に立つのか。よい。」 神威顕現(2活力、姿勢)。同じ区域の味方は恐怖免疫。
クロ: さやかとカルナが同じ区域だから、三人とも恐怖免疫。卯月の周囲に白い区域(神域)が敷かれる。
卯月: 続けて浄化の手(2活力) — 大鬼へ。2d10+智(3)+退魔(0)。[10, 6]=16+3=19 ≥ 防備13。命中。神格属性を加えて3戦力、弱点露出1呼吸。
クロ: 大鬼の戦力4→1。空から白い光条が降り、大鬼の肩を貫く。呼吸合計: 2+2 = 4。予約なし。
メイ: (息を呑む) ……本物の天人です。
ハナ: よく観察しておけ。こういうものは、これから何度も見られるわけじゃない。
カルナ カウント12: 最初から全力でいく。神物覚醒(2活力、戦闘1回) + 「太陽の矢」(3活力)。合計5活力。
クロ: ターゲットは?
カルナ: 「あの分隊から。」 足軽鬼分隊。
クロ: 英霊が弓を肩まで引く姿勢。光が弦に集まって — 矢ではなく光の形になる。カルナの背から霊体が一度揺らぐ。これは彼にとって力を使う行為だ。
カルナ: 2d10 + 勇(3)+弓術(0、英霊なので下界技能スロットなし)+神物覚醒(+3)=+6。[8, 5]=13+6=19 ≥ 防備12。合計13以上 → 2名除去 + 太陽の矢貫通 +2戦力 → 分隊全体に影響。卒4体中2名除去 + 残り2名それぞれ1戦力確定 → 分隊全員除去。
クロ: 足軽鬼分隊全滅。結束0。光が消えて残ったものは — 死体だけ。
クロ: カルナの霊体がヴィジャヤの弓を通じて安定化する。弓が主をつなぎ止めているわけだ。
メイ: え。あの弓を奪えば、あの人は消えるんですか?
クロ: そう。英霊の法則。敵がカルナを無力化するなら、刀で斬るのではなく、弓を奪えばいい。
ハナ: メイ、今日は勉強になるな。
カルナ: 「神物覚醒は戦闘1回なので、これで消費。」 以後は通常のヴィジャヤ射撃のみ。
大鬼9: 突進。谷中ほどへ移動2活力。最も弱い標的を探索 → さやか(防備10、戦力3)。金棒強打3活力。
クロ: 2d10 + 勇(3)+体術(2)=+5。[6, 9]=15+5=20 ≥ 防備10。命中。2戦力。
クロ: 大鬼がさやかをそのまま殴り飛ばす。さやかの戦力3→1。重傷。
さやか: 「きゃあっ!」
クロ: (現代人の声で) さやかは地面に倒れながらも、本能的に自分のガウンの中から止血パッドを取り出す。
ハナ: ……ガウンの中に何を持ち歩いているんですか?
クロ: 救急救命セット。救急外来から落ちる前、手に持っていたから。
さやか カウント11: 自己治療。野戦医療(3活力)を自分へ。医術判定 — 2d10 + 智(3)+医術(3)=+6。[7, 4]=11+6=17 >= 13。強化回復は5だが、最大戦力までしか回復しないため、戦力1→3。
さやか: 「私が死んだら、他の人を助けられません!」
クロ: 活力11→8。この呼吸は上限5のうち2が残っている。
さやか: その2活力で味方側まで下がります。移動2活力、8→6。
クロ: 呼吸合計3+2=5。ハナがまもなく前線を築く位置の後ろへ下がった。さやかには式神やからくりの召喚技法がないので、次の支援も活力注入か野戦医療のどちらかだ。
さやか: 「わかりました。私にできることから始めます。」
メイ カウント10: 式神使役(2活力) — 谷奥に式神1体。小鬼分隊Aを牽制。続けて呪殺(3活力) — 大鬼を遠距離狙撃。
クロ: 2d10 + 智(3)=+3。[9, 7]=16+3=19 ≥ 防備13。命中。2戦力。
クロ: 大鬼2→0。戦闘不能。
メイ: 呼吸合計: 2+3=5。限界。
ハナ カウント11: 侍。不動の陣(2活力、姿勢) — 谷前方の前列。敵の進軍を止める。制圧力 +4。予約受け流し(1活力)。呼吸合計3。
クロ: ハナが前列を敷いて立った。これで小鬼分隊が来ても前列を抜けられない。
#間合2 — 三者のリズム
クロ: 大鬼は倒れた。小鬼分隊A・Bはまだ進軍中。足軽鬼分隊は全滅。
メイ: 式神を小鬼分隊Aに付けていましたよね。今回の間合で式神に攻撃させます。
クロ: 式神操縦(0活力 [型]、原則2の間合2回上限のうち1回使用)。式神が分隊攻撃。2d10 + 智(3)=+3。[5, 6]=11+3=14。小鬼雑分隊の防備10。合計13以上 → 2名除去。分隊A 5→3。残り3名は結束崩壊で離脱。
メイ: 呪殺(3活力)で小鬼分隊Bを狙撃。
クロ: [4, 8]=12+3=15。合計13以上 → 2名除去。
カルナ: 活力7残り。神物覚醒は消費済みなので、通常ヴィジャヤ攻撃だけ。2活力。
クロ: ターゲットは?
カルナ: 小鬼分隊B残り。2d10 + 勇(3)+弓術(0、下界技能なし)=+3。[9, 3]=12+3=15。防備10命中。合計13以上ではない。1体除去。
クロ: 英霊でも通常攻撃は通常攻撃だな。
卯月: 「権能は温存する。」 通常移動。谷奥へ前進2活力。小鬼分隊Bに接近。
クロ: 卯月が空中で少しずつ移動する。足が地に触れず、霧を裂きながら進む。
さやか カウント11: マサムネNPC侍を発見。撤退中に腰へ槍を受けた状態。戦力2/5。
さやか: 野戦医療(3活力) — マサムネへ。
クロ: マサムネが「……見慣れぬ女が俺に何を……?」
さやか: 「動かないでください。出血点を押さえます。」
クロ: 2d10 + 智(3)+医術(3)=+6。[6, 8]=14+6=20 >= 13。成功。野戦医療の回復5は最大値を超えないため、マサムネ戦力2→5。
クロ: マサムネが奇妙な顔でさやかを見る。「……あなたは……何者だ? その道具は何だ?」
さやか: 「医者です!」
マサムネ: 「その……唐土風の医者か?」
さやか: 「……それで合っています。だいたいそう思ってください。」
ハナ: (笑い) さやかが説明を諦めましたね。
クロ: 現代人の賢さだ。「この時代にCT撮影を説明するのはやめよう」という。
メイ: 私、さやか好きです。
ハナ カウント11: 不動の陣維持。小鬼分隊Aの残り3名が侵入を試みる → 制圧力寄与で結束判定 -1。自動崩壊。
クロ: 残りの小鬼分隊Aがハナの前列の前で崩れる。彼らは逃げる。分隊結束0。戦場離脱。
ハナ: あとは分隊Bの掃除だ。
#間合3 — 天人の決断
クロ: 残る敵 — 小鬼分隊B (2体)、足軽鬼分隊残党2体……片付けられる程度。だが。
メイ: だが?
クロ: 谷の向こう、まだ見えていなかった場所から — 本当の脅威が上がってくる。大鬼本隊の頭目。主級大鬼(戦力7、防備14)。
メイ: ……主級?
クロ: 5〜7段パーティには厳しい。
ハナ: 卯月の権能がある理由か。
クロ: そう。
卯月: 「……あれがこの谷の主か。」
クロ: 卯月の三つの珠のうち一つが少し熱くなる。これを使えという合図。
卯月: 「使う。一つの権能が永遠に消えるとしても — 今あれを残せば、お前たちは皆死ぬ。」
メイ: (緊張) ……この場面、記録しておきます。
カルナ: 「神の一歩は、人間の一生である。」 (天竺のことわざ) 「卯月殿。あなたが一歩を歩まれよ。」
卯月: 権能1と活力1で神格の一撃を選び、浄化の手に活力2を使う。2d10+智(3)+退魔(0)。[10, 6]=19 ≥ 防備14。基本2+神格1+神格の一撃3、合計6戦力。主級大鬼の戦力7→1、弱点露出1呼吸。
クロ: 空から白い光が柱となって降り、主級大鬼を包む。鬼の甲殻が割れ、輝く弱点が露出する。カルナがその隙を射抜き、残った1戦力を断つ。灰は黒くも白くもない。光と槍が共に残した痕跡だ。
クロ: そして卯月の背後の光背が一段薄くなる。能力値は減らないが、自然には戻らない権能が3 → 2になる。
卯月: 「……」 (彼女はしばらく何も言わない。)
卯月: 「……次はもっと慎重に。」
ハナ: (静かに) あの光背がどれほど薄くなるまで、彼女は残るのでしょう。
クロ: 分からない。それがこのキャラクターの時限装置だ。
さやか: 「……私も手術台で一人を救うたび、こういう気持ちでした。」
クロ: (さやかの声、低く) さやかが自分の白いガウンを見下ろす。土と血で汚れている。
さやか: 「もちろん、私は帰れましたけど。家に帰ったら温かいシャワーを浴びて、少し眠って、翌日また手術台に立つ。それが私の日常でした。でも — 私はここでは帰れない。分かっています。だから — ここで役に立ちたいんです。」
メイ: ……
ハナ: ……
クロ: (長い沈黙を破って) この三人は、それぞれのやり方でこの時代に受け入れられる道を探しているんだ。
#間合4 — 片付けと迎え入れ
クロ: 小鬼残党と足軽鬼分隊残党を処理。ハナの不動の陣 + メイの式神操縦 + カルナのヴィジャヤ連射で締め。戦闘終了。
ハナ: 谷の中は片付きましたね。
クロ: これからこの三人を連れて帰らないといけない。
メイ: カルナはヴィジャヤがあるので霊体安定。でも、さやかには食料が必要で……卯月は神域を維持するたび信仰を消費して、降下が加速するはずです。
クロ: そう。三人とも違う形で脆い。カグラ藩へ戻ったら、三人の処遇を決めなければならない。拡張職業3種PC候補として編入可能。プレイヤーの一人がNPC一人を引き継いでもいい。
ハナ: 次のセッションで決めましょうか?
メイ: 私、さやかを引き継ぎたいです。
クロ: よく考えて。現代人は価値観の揺らぎ2回上限だから、すぐ崩れるかもしれない。
メイ: そこが好きです。揺れる人が耐える物語。
ハナ: じゃあ私はカルナ? それとも卯月?
クロ: 卯月は権能を使い切れば神格属性を失うが、人間化はその後の選択と昇段の物語として進む。カルナはずっと霊体維持判定を続けなければならない。
ハナ: ……卯月。降下の終わりまで行ってみたいですね。
クロ: 分かった。覚えておく。
クロ: 今日はここまで。戦闘達成1回 + 叙事マイルストーン1回計数。
[第16話 確認された規則]
1. 現代人: 1段`先見の明` — 医術 +3、2活力で2活力を譲渡。3段`活力注入`は譲渡量を3(医術13成功時4)に強化。5段`野戦医療`は3活力・小康1回、戦力3回復(医術13成功時5)。
2. 英霊: 1段 [前生の記憶] — 神物指定。未所持時、毎セッション維持判定。霊体依存度最大。
3. 天人: 1段 [天上の光] — 全能力値+1、妖魔への攻撃+1戦力、権能開始/最大5。権能1+活力1で、活力の一時補充・自分の戦力回復・区域浄化・次の妖魔への攻撃+3から一つを選ぶ。
4. 適応: さやかは現代医学を、この時代の医術運用へ翻訳する。この記録だけでは、学者の`神算鬼謀`や陰陽師の`式神使役`のような他職業の特技を自動取得しない。
5. 英霊の神物 [理解経路D]: 自分の前生文化1個自動共鳴。多文化はGM設定限定。
6. 天人の降下: 能力値減少は偶数段への昇段時にのみ適用。権能は自然回復せず、0になれば神格属性が消滅する。ただちに人間化したり、別途二重構成の権利を得たりはしない。
7. 三道六心変動: 現代人は価値観衝突2回上限(一般3回)でより揺らぎやすい。英霊は神物有無で揺らぐ。天人は偶数昇段ごとに -1。
8. 原則3: ヴィジャヤ献身技法 = 英霊自動共鳴。外人・天人は自動理解不可。
9. 支援 vs 使役アクション区分: さやかの`活力注入`は現代人本人の活力支援。メイの式神使役は陰陽師専用の0活力`[型]`で、式神ごとに間合1回・術者合計で間合2回。
10. アウトサイダー3種は二重構成と択一。代わりに適応スロットを使用。
カグラ藩へ戻る道で、ハナが先頭に立ち、さやかが尋ねた。「この世界には、私みたいな人が他にもいますか?」メイが答えた。「あなたが初めてではないと思います。霊界の門が開いて以来、こういうことが時々あるそうです。ただ — 戻った人はいません。」
カルナはヴィジャヤを肩に担いで歩いた。腰に結ばれたヴァサーヴィ・シャクティはまだ眠っていた — 一度抜かれれば一度殺し、消える神槍。彼の背後で弓が時折かすかに光った。神物が主に従って存在する。卯月は最後尾を歩き、彼女の光背はもうほとんど見えないほど薄くなっていた。