日本語版 v1.3.3 · ex-doc

#江戸時代のカグラ藩

目次

Canon. カグラ藩の江戸時代における位置を定義する。


#香 — 縛られた軍旗

カグラ藩の旗はいまだ妖魔の血を記憶している。しかし江戸ではその旗を自由にはためかせることはできない。幕府はその力を必要としながらも恐れ、カグラ藩は刀を抜くたびに自分がなぜまだ必要かを証明しなければならない。

#法 — カグラ藩の使い方

  • カグラ藩は戦闘職PCを江戸の事件に投入する最も直接的な所属だ。
  • 軍事力は強いが、移動・報告・名声・公式記録において幕府の制約を受ける。
  • カグラ藩が事件を解決しても手柄は消えることがある。これをキャンペーンの葛藤として使う。

#場面解説 — 強いが自由でない刀

カグラ藩は戦闘職を投入しやすい勢力だ。問題は簡単な答えになりやすいという点だ。カグラ藩がいつでも正面から入ってすべての妖魔を斬れるなら江戸キャンペーンの緊張が消える。だからこの時代のカグラ藩は強くても縛られていなければならない。

その制約はカグラ藩を弱くするのではなく、よりドラマ豊かにする。出動命令は遅れて届き、手柄の記録は消され、幕府監察が作戦の傍についてくる。PCがカグラ藩所属なら戦闘能力は信頼できるが、勝利の後に手柄を認められない屈辱をたびたび味わうことになる。

カグラ藩の場面の葛藤:

  • 力を使えば解決できるが、力を使った事実が問題になる。
  • 幕府は助けを求めながら監視者をつける。
  • 古い退魔の誓いと江戸の秩序が食い違う。

#セッション適用 — 力を遅れて届かせる

  • 最初の場面:カグラ藩派遣隊はすでに現場に到着しているが、公式出動許可がまだ来ていない。
  • 捻り:妖魔は今動いており、幕府監察は待てと命令している。
  • 最後の問い:PCは許可なく刀を抜いて人を救うか、許可を待って秩序を守るか。

#導入短篇 — 鞘の許可

神楽実矩は倉庫の扉の前で刀を抜かなかった。倉庫の中からは子供の泣き声がし、壁の隙間からは獣の爪が木を引っ掻いていた。しかし監察の密書はまだ届いていなかった。

「実矩様」若い藩士が囁いた。「今入らなければなりません」

「分かっている」

「では何故」

実矩は刀の柄に置いた手を離せなかった。江戸ではカグラ藩の刀は鞘ごと監視される。許可なき退魔は武勇談ではなく藩の越権になり、越権は幕府の会議で別の名で呼ばれる。謀反の兆し。

倉庫の奥から子供が泣き止んだ。代わりに低い声が聞こえた。

「扉を開くな。開けばお前の主君も責任を取る」

その瞬間PCたちが到着した。一人は幕府の封印のない密書を持ち、一人はすでに屋根の上で内側の気配を数えていた。実矩は短く笑った。

「良い。今夜カグラ藩はまだ何もしていない」

彼が刀を抜いた。藩士たちが続いて動き、倉庫の扉が内側から自ら開いた。後の報告書にはこう記された。倉庫崩壊、死傷なし、カグラ藩介入なし。しかし子供はその夜刀の光を見て、PCはカグラ藩がなぜまだ必要かを知った。


#組織カード

項目内容
表面徳川の秩序の下で制約を受ける特殊藩
裏面対妖魔戦闘と封印現場確保を担う武力組織
首脳藩主、江戸留守居、派遣隊長、封印軍学者
現場精鋭藩士、槍兵隊、封印補助、街道護衛
強点戦闘力、軍律、退魔前例、結束維持
弱点幕府監視、移動制限、名声統制、都市情報不足

カグラ藩は「力が足りない組織」ではない。強すぎて疑われる組織だ。この点を維持してこそカグラ藩PCは自分の能力を思う存分使えない苦しさと、最後に刀を抜く爽快感を両方得られる。


#幹部と下部構造

層位代表人物役割扱い方
藩主神楽信顕古い退魔の誓いの保有者直接登場よりも命令と体面で圧力をかける
江戸留守居神楽実矩江戸派遣隊の顔PCと共に動く厳格な上官として使う
封印軍学者朝比奈玄清戦場配置と結界の解釈戦闘前に危険を読むが政治には疎いままにする
派遣藩士精鋭武士と槍兵現場戦闘強いが命令なしには動かないようにする
補給・医務藩邸の下級武士、薬草僧負傷者回収と物資戦闘後の被害と責任を見せる

実矩は英雄になるより藩を生かす人間だ。彼はPCの勇気を尊重するが、「その勇気が明日藩全体を斬ることになるかもしれない」という事実を忘れない。


#陣営基盤

[素養] 正規軍律

カグラ藩の兵は戦国時代から続く軍律で動く。命令なしに崩れず、旗なしでも隊列を覚えている。

効果: 同区画の味方分隊が結束力減少効果を受けるとき、減少量-1軽減(最小0減少)。咆哮・恐怖・結束低下など、すべての結束減少に適用する。

追加効果(旗手隊内蔵): カグラ藩の分隊は旗手隊の効果を自体的に保有する。同軍分隊の結束力が均一に維持され、別途旗手隊なしに軍が機能する。

PC習得時: 自分が指揮する分隊全体に適用。「軍律が身に染みている」

適用: カグラ藩所属の卒〜将ユニットと随伴分隊は固有特性として内蔵する。神楽実矩のような主級NPCは一般特技1スロットに配置する。

Kagura Sanenori, war-commander: armored, a restrained hand resting (not drawing) on the hilt, awaiting orders; held-action tension


#随伴分隊

以下の分隊はすべて陣営基盤[素養] 正規軍律を適用する。

#カグラ藩士組 — 卒

戦力 1、防備 13。制圧力 +2 (分隊5名)。

技法:

  • 整列槍撃 [攻撃] — 指揮時。2d10+勇(+1)≧防備。1戦力。
  • 軍律維持 [構え] — 持続。同区画の味方分隊の最初の結束力喪失を1軽減する。

#カグラ封印槍隊 — 練

戦力 2、防備 14。制圧力 +3 (分隊4名)。

技法:

  • 封印槍突き [攻撃] — 指揮時。2d10+勇(+2)≧防備。1戦力。霊体・怨霊を対象とする場合、判定+1。
  • 陣形固定 [構え] — 持続。同区画の敵の強制移動効果を1呼吸の間無視する。

#幹部NPC: 神楽実矩 — 主

神楽実矩 — 主
戦力 6、防備 16、活力 12
勇+4、技+2、体+3、智+2、美+1、運+1
制圧力 +5
技法種別活力判定効果制限
鬼門斬り[攻撃]42d10+勇≧防備2戦力。霊体・妖魔を対象とする場合、防備-1で判定呼吸1回
軍旗再整列[整備]0小康段階にカグラ分隊1つの結束力+1小康1回
許可なき突入[型]2即座に隣接区画へ移動し次の攻撃+1使用後幕府との関係悪化
甲冑受け[技法]予約2/即興32d10+体≧敵攻撃被撃無効。成功時、同区画の味方1体も同攻撃のダメージを受けない

特殊:

  • 縛られた軍旗: 幕府の公式許可がある戦闘では、神楽実矩とカグラ分隊の制圧力+1。許可なく動けば戦闘ボーナスはないが、最初の間合の先攻補正+2。
  • 陣営基盤: 実矩は[素養]正規軍律を一般特技1スロットとして保有する。

実矩はPCを叱っても現場を捨てない。彼を扱うときは「規則を愛する人間」ではなく「規則なしには自分の藩が死ぬと知っている人間」として置く。


#光と影

強い妖魔を実際に止められる武力解決に頼って事件の原因を見逃しやすい
PCに名誉と所属感を与える幕府と藩の体面のために真実を隠せる
軍律で民間被害を減らす命令体系が遅れると人を失う
古い退魔の誓いを守るすべての妖魔を討伐対象と見る傾向が残っている

#主人公の所属として使うとき

カグラ藩所属のキャンペーンは「刀を抜くべき瞬間まで耐える物語」として運用する。PCに明確な戦闘能力と僚友分隊を与えるが、出動許可・幕府監察・藩邸の体面・被害報告書を一緒につける。力があるからこそ悩みが生まれる構造が核心だ。


#主要な敵対勢力として使うとき

カグラ藩を敵対勢力として使うときは暴走した軍閥ではなく、善意と誓いが時代と食い違った組織として描く。彼らは危険な妖魔を隠した百物会を攻撃したり、幕府の及び腰な隠蔽に憤って独自作戦を展開したりする。PCはカグラ藩を倒すよりも、彼らが刀を抜く前により良い解決策を証明しなければならない。


#核心的変化

戦国江戸
公開的な妖魔討伐軍閥密かな対応を担う監視対象の特殊藩
戦場中心事件現場・街道・藩境中心
領土拡大体面と生存、幕府との緊張

#カグラ藩のジレンマ

カグラ藩は妖魔を最もよく知る人間勢力の一つだ。問題はその力が江戸幕府にとっても危険という点だ。戦国時代には大妖魔と戦場を相手に軍律と武力の正当性を証明できた。江戸時代には同じ軍事力が平和秩序の不安要素になる。

幕府はカグラ藩の力を必要とするが、カグラ藩が独自に名声を得ることは望まない。だからカグラ藩の任務はしばしば非公式であり、成功しても記録に残らない。


#カグラ藩PC

役割説明
派遣武士幕府の命令を受けて現場に出るが、公式記録には残らない
分隊指揮官少数精鋭を率いて封印現場を確保する
藩の監視者幕府がカグラ藩内部に配した目である可能性もある
古い誓いの継承者徳川の秩序より古い退魔の誓いに従う

#カグラ藩と他勢力

相手関係
幕府必要だが監視される関係
百物会概ね敵対。ただし一部の都市妖魔と臨時交渉は可能
黒札房カグラ藩の記録を消したり歪めたりする
裏般若妖魔を利用する方式のために最も直接的な敵
黒札組妖魔物品と名刀の流通をめぐって衝突

#キャンペーンの使い方

カグラ藩は戦闘職を自然に事件に投入する最も簡単な所属だ。侍・浪人・忍び・陰陽師・密教僧・浄土僧・修験者・学者・職人まで幅広く受け入れられる。ただし彼らがすべての事件の答えになってはならない。カグラ藩は刀と封印の力は強いが、都市の噂と文書操作には弱い。


「カグラ藩の刀はいまだ鋭いが、江戸では鞘の許しも必要だ。」