日本語版 v1.3.3 · fc-guide

#GM場面道具

目次

GM scene tools for hearts and teachings, hand placing six blank stones around a small mirror, all surfaces unmarked, symbolic but practical.

思想は、説明するときよりも、選ばせるときによりよく現れる。


#導入断片 — 問い一つ

GMは妖魔の名を決められなかった。図鑑にはふさわしい候補が多かったが、どれを選んでも場面が平板だった。そこで彼は名の代わりに問いを一つ書いた。

「この村は、何を正当化するために死者を埋めたのか。」

プレイヤーたちが到着したとき、村は静かだった。村長は礼法を守り、僧は葬礼の記録を見せず、子どもたちは井戸端へ行かなかった。まだ妖魔は出ていない。だが問いは、すでにすべてのNPCの言葉づかいを変えていた。

侍のPCが村長に問うた。「誰の命令でしたか。」

浄土僧のPCは別の問いをした。「なぜ名を消したのですか。」

浪人は井戸端に座り、何も言わなかった。山から来た野人は水音を聞いた。そのときGMは知った。妖魔の名は最後に決めてもよい。良い問い一つが、すでに場面全体を掴んでいた。

#場面を作る基本形

三道心鏡の場面は、たいてい次の問いのいずれか一つで始まる。

  1. 儒教の問い: 誰の命令が正当か。
  2. 仏教の問い: 誰の苦しみを先に見るか。
  3. 禅宗の問い: 何を手放せば動けるか。

この問いを妖魔、戦争、家門、寺、村の問題と結びつければよい。


#葛藤の種

儒教仏教禅宗
妖魔になった主君忠を守るか、主君を斬るか主君も苦しむ存在か名を手放して斬れるか
反乱を起こした村秩序への挑戦飢えが作った業怒りを掴んだ者たちの沈黙
廃寺の怨霊寺の責任者は誰か葬礼が失敗した残った僧が語らない
大名の強制改宗秩序のための統一信仰の暴力信もまた執着か
剣客の決闘要請名誉と手続き殺生の業勝敗を手放せるか

#場所道具

#藩校

儒教の場面に良い。若い武士たちが文を読み、老いた学者が名分を論じる。妖魔の事件が入ってくると、「退治」より「報告と責任」が先に問題になる。

使用する問い: 「正答を知る者が現場にいないとき、文書の原則は誰を救うのか。」

#山寺

仏教と修験道の場面に良い。修行、護摩、僧兵、怨霊、避難民が共に入りうる。

使用する問い: 「この寺は衆生を救うのか、自らの勢力を守るのか。」

#茶室

禅宗と儒教が共に現れる。手続きは厳格だが言葉は少ない。暗殺、和解、降伏交渉、心転の場面に良い。

使用する問い: 「刀を下ろした場所で、誰がより危険か。」

#家門墓

儒教的な孝と仏教的な葬礼が重なる。死者の名、家門の罪、怨霊、継承の問題が共に出てくる。

使用する問い: 「祖先の名を守るために、生きた者を犠牲にできるか。」

#井戸

村、怨霊、浄化、風水、仏教の葬礼が、すべて入る。深く狭い場所は言葉が反響する。

使用する問い: 「村は何を埋め、何が再び上がってきたのか。」


#NPC早作り

下の三行を埋めれば、三道心鏡のNPCがすぐに生まれる。

  1. このNPCが守ろうとする名:
  2. このNPCが見た苦しみ:
  3. このNPCが手放せないもの:

例:

NPC苦しみ執着
藩校学者死んだ主君の命令戦争孤児手続き
山寺僧師の法脈飢え死んだ村救済の失敗
隠遁剣客捨てた家門の名弟子の死完璧な一刀
風水師城の設計図霊脈汚染自分の計算の正当さ

#場面進行のヒント

#説明より選択

「この時代には儒教が重要です」と言わずに、家臣に選択を与える。

  • 主君の命令書が来た。
  • その命令どおりにすれば、村一つが死ぬ。
  • 拒めば家門が終わる。

この場面で儒教はすでに作動している。

#信仰より代償

「仏教は慈悲の宗教です」と言わずに、僧に代償を与える。

  • 妖魔になった子を救えるかもしれない。
  • そのあいだに他の三人が死ぬかもしれない。
  • 殺せばすぐ終わる。

この場面で仏教はすでに作動している。

#沈黙にも圧力

禅宗の場面は、放っておくと間延びする。沈黙にも圧力を入れねばならない。

  • 雨が止めば決闘が始まる。
  • 茶が冷める前に答えねばならない。
  • 鐘が三度鳴れば門が開く。

こうすれば沈黙が行動になる。


#妖魔と三道心鏡

妖魔一体を三つの思想で異なって読める。

妖魔の類型儒教的な読み仏教的な読み禅宗的な読み
怨霊名分が崩れた死往生できなかった苦しみ生者の執着が聞く声
秩序の外の暴力怒りと飢えの業恐れという心の形象
天狗人間の秩序を嘲る山の法修行者を試す存在傲慢を断つ師
妖狐礼法を揺るがす欺瞞執着と欲望の鏡見えるものに掴まれるなという公案
餓鬼貪欲の結果飢えと業の直接の形象満たしても空ろな心

#セッション後の問い

三道心鏡のテーマを使ったセッションのあとには、次の問いが良い。

  • 今日、誰が命令と義のあいだで揺れたか。
  • 今日、誰が敵の苦しみを見たか。
  • 今日、誰が何を手放せなかったか。
  • 今日の選択は、どの心を明るく、あるいは暗くしたか。

この問いは報酬や処罰ではない。次の場面の種だ。


良い問い一つは、妖魔一体より長く場面を掴む。