日本語版 v1.3.3 · fc-doc
#平安原型と江戸怪談型
目次
平安は妖魔が名を得た時代であり、江戸は妖魔が物語として売られた時代である。
fc08では両者を戦国妖魔を映す補助の鏡として使う。
#導入断片 — 同じ狐の二つの絵
古い巻物には狐が宮殿の軒下に座っていた。尾は一本で、目は人よりも静かだった。絵の傍らには赤い字で「言葉を慎め」と記されていた。
新しい木版本には狐が遊郭の窓の内側で笑っていた。尾は見えず、目は客より先に値を数えた。絵の下には「あの女はどこにも住んでいない」と記されていた。
二つの絵を共に見た書生は問うた。
「どちらが本物ですか。」
老画工は筆を洗いながら言った。
「どちらも本物だ。ただ人々が恐れたものが変わっただけだ。」
#香 — 時代は妖魔の顔を変える
同じ妖魔でも時代が違えば異なる顔を得る。平安の妖魔は宮廷、陰陽、禁忌、夜の方位と深く結びつく。江戸の妖魔は都市、木版、劇場、百物語、噂市場を通じて広がる。
戦国はその中間にある。名は古く、戦争は新たな餌を与える。したがって平安と江戸の資料は戦国妖魔を補強する方式で使うのがよい。
#法 — 時代変形表
| 時代 | 妖魔変形 | 適用 |
|---|---|---|
| 平安原型 | 格式、禁忌、宮廷言語、陰陽方位 | 判定目標値 +1の代わりに、禁忌を知れば大きな迂回が可能 |
| 戦国基本型 | 戦争、飢饉、廃墟、山道、城 | 戦闘・調査・交渉が均衡を成す |
| 江戸怪談型 | 都市の名、木版、劇場、噂 | 戦闘前の噂段階が長く、名を消すか移す結末が可能 |
#平安型補正
- 禁忌や方位を知らなければ最初の交渉判定 -1。
- 正確な名、方位、祭礼を知れば最初の対応判定 +2。
- 妖魔は人間より体面と呼称に敏感である。
#江戸型補正
- 目撃談が三つ以上あれば妖魔の初登場判定 +1。
- 噂を断つか別の物語に変えれば妖魔の制圧力 -1。
- 劇場・遊郭・木版本と繋がれば次の場面に目撃者が増える。
#霊界の門
平安の門は解釈される。星、方位、禁忌、夢、宮廷儀礼が門を指す。江戸の門は管理される。幕府と都市社会が門を隠し、妖魔は怪談と遊興の隙間で迂回する。
| 時代 | 門の解釈 |
|---|---|
| 平安 | 「なぜこの夜、この方位、この名か」を問う。 |
| 戦国 | 「なぜこの戦場、この村、この山道で漏れるのか」を問う。 |
| 江戸 | 「誰がこの物語を広め、誰が消そうとするのか」を問う。 |
#派閥対応
| 勢力 | 平安型 | 江戸型 |
|---|---|---|
| カグラ藩 | 旧い権威として認めつつ実戦解決を優先する。 | 都市治安と検閲の問題と見る。 |
| 比叡連 | 古典儀礼と封印を重視する。 | 怪談を業の伝播と見て解脱を探す。 |
| エンリョ館 | 平安記録を貴重な資料とする。 | 目撃談と印刷物を比較する。 |
| 尾羽山 | 宮廷妖狐の系譜を誇る。 | 遊郭・商人・劇場の噂網を活用する。 |
| 百物会参考 | 該当なし。 | 戦国基準の正本勢力ではないが、江戸型妖魔を扱うときに良い比較対象である。 |
#運用 — 同じ妖魔の三つの顔
| 妖魔 | 平安 | 戦国 | 江戸 |
|---|---|---|---|
| 妖狐 | 宮廷の禁忌と予言 | 戦場情報屋と魅惑者 | 遊郭・商家・劇場怪談 |
| 怨霊 | 名と官位の怨み | 墓なき戦死者 | 劇場と噂で増殖 |
| 天狗 | 山の超越者 | 峠と戦場の審判者 | 奇異な修行談と山門怪談 |
| 付喪神 | 貴族の道具の変質 | 捨てられた戦争物品 | 百年経った生活道具の行列 |
#締めの言葉
妖魔が変わったのではない。人々が妖魔を恐れる方式が、時代ごとに異なる顔を与えた。