日本語版 v1.3.3 · ex-doc

#裏般若

目次

Canon. 人間暗躍勢力3派のうち、禁断実験と逆封印を担う勢力。


#導入断篇 — 共存の解剖

古い医院の奥座敷は香の匂いより薬の匂いが濃かった。患者は大名の幼い後継者で、手首には封印の護符が巻かれていた。護符の文字は外を遮るのではなく、内側へ食い込む方向で書かれていた。

「この子は妖魔に食われたのではありません。」医師の秋山異膳が言った。「共に生きる法を学んでいるのです。」

PCが床の脇の帳面を開くと、見覚えのある印章が見えた。エンリョ館の古い蔵書印だった。その下に新しい文字が書き添えられていた。共存は失敗した。制御が必要だ。

子どもは目を開けた。片方の目は人のもので、もう片方はまだ生まれていない鬼のように赤かった。

「先生。」子どもが囁いた。「お腹が空きました。」

異膳は静かに笑った。「もう少しだけお待ちください。今夜はよい素材が来ました。」

彼がPCを見た。医者の目だった。殺し屋の目ではなく、どこで切ればよいかすでに計算した人間の目。

「エンリョ館は理解しようとした。だから失敗したのです。我々は理解した後、作り直します。」


#法 — 裏般若の使い方

  • 裏般若は妖魔崇拝者ではなく人間の研究者だ。だからこそより危険だ。
  • 事件には実験体、後援者、研究記録、失敗した治療対象が共に存在しなければならない。
  • 裏般若を倒しても実験体と被害者の処理問題が残る。

#組織カード

項目内容
表面医院、薬房、封印研究所、職人工房、藩の秘密治療室
裏面鬼化、憑依、魔人化、逆封印、からくり結合実験
首脳逆封印の医師、破戒僧、エンリョ館後裔、職人後援者
現場弟子、施術台、実験体護衛、標本運搬組
強み禁断知識、身体改造、封印解除、後援者隠蔽
弱み実験暴走、倫理崩壊、証拠が肉体に残る

裏般若は「妖魔になりたい人々」ではない。彼らは妖魔を分解し、人間に移植し、封印を逆に読んで人間の限界を超えようとする。エンリョ館の共存思想が彼らのもとに入ると、理解ではなく制御の言語になる。


#首脳と下部構造

層位代表人物役割扱い方
首領秋山異膳逆封印と妖魔核移植穏やかで親切な医師のように話させる
エンリョ館後裔足利篠古い交渉記録の解釈良心が残る内部協力者または裏切り者として使う
破戒僧覚蓮怨念・憑依実験宗教言語で暴力を正当化する
職人後援者国友系工房主からくりと霊界残滓の結合金と技術が研究を育てる顔だ
現場弟子般若弟子標本回収、患者監視まだ戻れる若い悪として置く

秋山異膳は狂笑しない。彼は心から自分を医師だと信じている。患者が死んでも「失敗事例」と言い、実験体が人を引き裂いても「拒絶反応」と言う。この冷たさが裏般若の恐怖だ。


#陣営基盤

[素養] 逆封知識

裏般若の研究者は封印を閉じる法より逆に開く法に長けている。結界と神域、妖魔核と憑依は彼らにとって患者ではなく実験式だ。

効果: 結界、神域、妖魔核、憑依、鬼化、魔人化、逆封印に関わる 判定に +1。結界や神域の効果を弱化・解除しようとする判定なら +2 に増加する。

PC習得時: 戦闘1回、霊体・怨霊・憑依効果に対する防御または解釈判定に +2。使用後、小康段階に 目標値13の判定。失敗すると次の判定 -1。身体に逆封印の痕跡が残る。

適用: 裏般若所属の卒〜将ユニットと随伴分隊は固有特性として内蔵する。秋山異膳のような主級NPCは一般特技1スロットに配置する。


#随伴分隊

以下の分隊はすべて陣営基盤 [素養] 逆封知識 を適用する。

#般若弟子 — 卒

: 医院の奥座敷で標本を回収し患者を監視する若い見習いたち。師の穏やかな口調を真似るが指先はまだ震える、まだ戻る道の残った幼い悪だ。

戦力 1、防備 12。制圧力 +2(分隊4名)。

技法:

  • 麻酔針 [攻撃] — 指揮時。2d10 + 技(+1) >= 防備。1戦力の代わりに対象の次の判定 -1。
  • 標本回収 [型] — 指揮時。戦闘不能ユニットまたは妖魔物品を一つ運搬状態にする。

#逆封施術台 — 練

: 護符を逆さに読み、封印を裏返して結界を崩す施術専従組。患者を治療するという名目で人と妖魔を一つの身に縫い合わせ、彼らが手を入れた跡には後遺症が残る。

戦力 2、防備 13。制圧力 +3(分隊3名)。

技法:

  • 封印逆読み [型] — 指揮時。2d10 + 智(+2) >= 13。同じ区域の結界・神域効果を一つ1呼吸の間弱化する。
  • 不完全鬼化 [整備] — 小康段階に味方の人間分隊1個の次の攻撃 +1。その分隊は戦闘後に後遺症を残す。

#首脳部NPC: 秋山異膳、逆封印の医師 — 主

: 裏般若の禁断実験を制御の言語で指揮する逆封印の医師。狂気ではなく医者の冷たい親切で、弟子と施術台が人を素材として扱うよう導く者だ。

秋山異膳 — 主
戦力 6、防備 14、活力 13
勇+1、技+3、体+3、智+4、美+1、運+1
制圧力 +2.5
技法種別活力判定効果限界
妖魔核移植[型]4同じ戦場の人間の卒・練分隊1個を鬼化実験体に変える。攻撃 +1、防備 +1戦闘1回
逆封印針[攻撃]32d10+智 >= 防備[霊体]。1戦力。結界や神域の効果を受ける対象なら追加で次の判定 -1
実験体回収[技法]予約2/即興32d10+技 >= 敵攻撃被撃無効。成功時、隣接する実験体1体を代わりに倒せる

特殊:

  • 人間研究者: 異膳は妖魔ではない。退魔だけでは終わらず、研究記録と実験体の処理が必要だ。
  • エンリョ館の汚染: 戦場にエンリョ館の残資料があれば最初の 逆封印針 判定 +1。資料を先に確保するとこのボーナスは消える。
  • 陣営基盤: 異膳は [素養] 逆封知識を一般特技1スロットとして保有する。

#明と暗

封印失敗と憑依被害者を治療できる可能性を持つ治療と実験の境界が崩れる
エンリョ館の知識を保存した後裔がいるその知識を制御と改造の道具に使う
幕府が見捨てた患者を救える生き残った患者がもはや以前の人間ではないかもしれない
妖魔の構造を理解している理解したものを止める倫理がない

#主人公所属として使う場合

裏般若所属のPCは本質的に危険だ。悪役キャンペーンでなければ、PCは裏般若内部の離反者、監視者、強制的に協力させられる医師、エンリョ館後裔として置くのが望ましい。この所属の醍醐味は強い禁断知識ではなく、「今回一度だけ使えば人を救える」という誘惑だ。


#主要敵手として使う場合

裏般若はボスより被害者を先に見せなければならない。実験体が怪物になる前の名前、後援者が治療を依頼した理由、エンリョ館の記録がどのように歪められたかを見せれば、この組織は単なる狂科学者ではなく江戸社会の絶望から育った悪になる。


「裏般若は妖魔を信じない。信じるのは刃と針で直せるという自分の手だけだ。」