#黒札組
目次
Canon. 人間暗躍勢力3派のうち、恐怖と妖魔物品に値を付ける勢力。
#導入断篇 — 黒い札の競売
博打場の中央には刀が一振り置かれていた。鞘は古く、柄糸には干からびた爪が挟まっていた。競売人はその刀を名刀とは呼ばなかった。呪われているとも言わなかった。ただ笑いながら黒い札を一枚置いた。
「この品は主人を長くは生かしません。だから主人がよく変わります。」
商人たちが笑った。浪人の二人は笑わなかった。彼らはすでに刀が自分の名を呼ぶ声を聞いていた。
PCが博打場に入ると、親分の稲川黒兵衛は顔を上げた。彼は客のように座っていたが、部屋中の出口はすべて彼の手振りを待っていた。
「退魔師の皆さんも入札に来られましたか?」
「その刀は人を殺す。」
黒兵衛は黒い札を指で弾いた。「人も人を殺します。しかし人は売り買いできないと言うでしょう。おかしくないですか? 刀の方が正直な商品なのに。」
その瞬間、刀が自ら少し抜けた。部屋の行燈が一方向に傾き、浪人の一人が唇を舐めた。
「さあ。」黒兵衛が言った。「値を言ってください。金がなければ命でも受け取りましょう。」
#法 — 黒札組の使い方
- 黒札組は妖魔を崇拝せず、商品化する。
- 事件には金、借金、遊興街、密輸路、競売品、食客浪人が共に存在しなければならない。
- この組織はボスを倒しても帳面と流通網が残れば再び生き返る。
#組織カード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 表面 | 博打場、遊廓後援者、渡し場倉庫、商団下請、食客浪人 |
| 裏面 | 妖魔物品闇市場、怪談興行操作、密輸と競売 |
| 首脳 | 黒い札の親分、帳面担当、鑑定商、遊廓仲介者 |
| 現場 | 極道行動隊、食客浪人、渡し場運搬人、競売護衛 |
| 強み | 金、物流、暴力、隠れ家、買収 |
| 弱み | 帳面、裏切り、商品暴走、幕府取り締まり、百物会の報復 |
黒札組は江戸で最も世俗的な悪だ。彼らは妖魔が怖いという事実を否定しない。むしろその恐怖が売れるという点を誰よりもよく知っている。呪われた品、怨霊が取り憑いた簪、妖狐の毛、エンリョ館の挿絵、百物会が隠した名前まで、すべてに値札が付く。
#首脳と下部構造
| 層位 | 代表人物 | 役割 | 扱い方 |
|---|---|---|---|
| 親分 | 稲川黒兵衛 | 市場と暴力の最終決定権 | 人の好い商人のように笑いながら、計算は冷たくさせる |
| 帳面担当 | お鈴 | 借金と流通網記録 | 組織の本当の心臓として使う |
| 鑑定商 | 錆付き源蔵 | 妖魔物品の鑑別 | 品の危険性を知りながら値を上げる |
| 食客浪人 | 村雨丈 | 競売護衛と暗殺請負 | 名誉のない刀の顔として使う |
| 行動隊 | 黒い札の一味 | 現場恐喝と回収 | 素早く荒々しく登場させる |
黒兵衛は暴君より商人に近い。彼は誰でも値が合えば生かし、値が合わなければ殺す。PCが彼と話すとき、善悪論争より「これを売れば誰が破滅するか」を中心に置く。
#陣営基盤
[素養] 黒い札の値 (黒札の値)
黒札組は恐怖も沈黙も刀も値に変える。金が動けば部下はより長く持ちこたえ、品はより早く消える。
効果: 小康段階に金貨1を支払えば、黒札組所属の卒・練分隊1個の結束力 +1(最大5)または次の攻撃判定 +1 のどちらかを選ぶ。支払えないか帳面が差し押さえられた状態なら、その分隊の結束力 -1。
PC習得時: セッション1回、装備・情報・賄賂・闇市場鑑定判定に +3。使用後、同じ価値の借金が生まれ、GMは次の場面または次のシナリオで回収要求を入れることができる。
適用: 黒札組所属の卒〜将ユニットと随伴分隊は固有特性として内蔵する。稲川黒兵衛のような主級NPCは一般特技1スロットに配置する。
#随伴分隊
以下の分隊はすべて陣営基盤 [素養] 黒い札の値 を適用する。
#博打場の一味 — 卒
香: 札と賽の回る奥座敷を守り、目撃者を散らし借金取りを棍棒で捌く荒い手合いたち。義理より算盤が早く、金が動く間だけ荒っぽく持ちこたえる。
戦力 1、防備 12。制圧力 +2(分隊5名)。
技法:
- 乱闘恐喝 [型] — 指揮時。同じ区域の民間人目撃者を散り散りにする。
- 棒打ち [攻撃] — 指揮時。2d10 + 勇(+1) >= 防備。1戦力。
#密輸護衛隊 — 練
香: 渡し場と競売場の間で呪われた品を運び、荷を刀より先に守る熟練の護衛たち。危険な商品と知りながら値が漏れぬよう口を閉ざし、露見すれば品から先に散らす。
戦力 2、防備 13。制圧力 +3(分隊4名)。
技法:
- 隠し短刀 [攻撃] — 指揮時。2d10 + 技(+2) >= 防備。1戦力。
- 荷物盾 [技法] — 予約1/即興2。被撃時、ダメージを無効化する代わりに現場の物品が一つ破損または散乱する。
#首脳部NPC: 稲川黒兵衛、黒い札の親分 — 主
香: 恐怖にも命にも値を付ける黒札組の親分。暴君ではなく商人の顔で笑い、一味と護衛隊がどこで誰を斬り何を運ぶかを手振り一つで定める。
稲川黒兵衛 — 主
戦力 6、防備 14、活力 12
勇+2、技+2、体+3、智+2、美+3、運+2
制圧力 +4.5
| 技法 | 種別 | 活力 | 判定 | 効果 | 限界 |
|---|---|---|---|---|---|
| 賭け金つり上げ | [型] | 3 | — | 同じ戦場の極道行動隊または食客浪人1体の次の攻撃 +1 | 呼吸1回 |
| 隠し短刀 | [攻撃] | 2 | 2d10+技 >= 防備 | 1戦力。対象が交渉中だったなら攻撃 +1 | — |
| 金で防ぐ | [技法] | 予約2/即興3 | 2d10+運 >= 敵攻撃 | 被撃無効。成功時、卒・練の部下1体が代わりに戦闘不能 | — |
特殊:
- 闇市場帳面: 戦闘前に帳面を確保できなければ、黒兵衛が倒れても妖魔物品流通網は残る。
- 黒い札の値: 戦場に妖魔物品があれば黒兵衛の交渉・威圧判定 +1。
- 陣営基盤: 黒兵衛は [素養] 黒い札の値を一般特技1スロットとして保有する。
#明と暗
| 明 | 暗 |
|---|---|
| 幕府が届かない物流と隠れ家を知っている | 人と妖魔と怨念まで商品にする |
| 危険な物品の行方を追跡できる | 追跡した物品を再び売ることができる |
| PCに金と食客を提供する | 借金でPCを縛る |
| 百物会と幕府の間のグレーな取引を開く | 両方を裏切る準備ができている |
#主人公所属として使う場合
黒札組所属のキャンペーンは犯罪劇と怪談が混ざり合う。PCは金と暴力と情報の利便を得るが、その利便が誰かの恐怖を売ることで生まれたと絶えず見せられる。善役のPCなら内部潜入者、借金で縛られた協力者、帳面を盗もうとする裏切り者として置くのが望ましい。
#主要敵手として使う場合
黒札組は最終ボスより流通網が重要だ。妖魔物品がどこから来てどこに売られ、どんな民間被害を生んだかを追跡させよ。最終戦では黒兵衛と戦いながら、競売品の暴走、帳面焼却、人質回収も同時に課してこそ、この組織の醍醐味が生きる。
「黒札組は恐怖を信じない。ただ恐怖が高く売れるという事実は信じる。」