日本語版 v1.3.3 · fc-design-notes

#設計ノート

目次

Canon — fc01設計原則。 規則解釈の際、本文書の原則を最優先の判断根拠とする。個別規則が沈黙したグレーゾーンは、ここの原則で埋める。


#原則1 — 職業 × 神性の直交(Orthogonality)

神性は職業と段の構造の上に乗せられる別個の軸である。 互いを代替しない。

  • 職業・段 = 「その人物が何をできるか」(人格・能力・社会的役割)。
  • 神性 = 「その人物が神としてどの領域を握るか」(権限・ドメイン・祭儀的地位)。

したがって:

  • 1段の民衆にも神性1(微神)の付与が可能。
  • 10段の現人神に神性5(皇神)の付与が可能。
  • 神性等級が職業の段を上限として押さえつけない — 逆も同様。

#なぜこう設計したのか

神は「強い人間の延長」ではない。台所神は戦いができなくても台所神であり、アマテラスは剣術を学べなくても太陽である。能力値と神格を同じ軸で混ぜると「神性が高ければ戦闘も強い」といった誤った直感が生じる。だから二つの軸を分離する


#原則2 — 別個の必要性(Separation of Need)

ゲームで神が活躍する主たる窓口は co の現人神・祟り神の職業である。 神性はその窓口が過剰または不足するときのみ使用する。

状況表現
PCが神を演じる現人神・祟り神(職業)
メインNPCの神が動く主体現人神・祟り神 +(必要なら)神性
脇役・象徴的な神任意の職業 + 神性
民衆の老婆が実は氏神民衆 + 微・小神
侍に宿った神の欠片侍 + 中神(ドメイン制限)
地形・風景として機能する神職業省略 + 神性のみ記録

#なぜこう設計したのか

この補足を作った理由は「本編でカバーされない片隅」を埋めるためである。本編がよく扱う領域(主役の神の演技・PCの神格上昇)を作り直さない。同じ事柄に二つの体系があれば、必ずどこかで衝突する。


#原則3 — 全能禁止(No Omnipotence)

神性が高くなっても神は全能にならない。 ただドメインの中でより確実になるだけである。

  • 神性1(微神): ドメイン0〜1個。極めて狭い権限。
  • 神性5(皇神): ドメイン4〜5個。それでも5個まで
  • ドメインの外では平凡なキャラクターシートそのまま。神性ボーナスなし。

#なぜこう設計したのか

日本神話の神は「得意なこと」と「不得意なこと」が明確である。イザナギは妻を黄泉から連れ戻そうとして失敗する。スサノオは乱暴さで高天原から追放される。オオクニヌシは数多の兄弟に幾度も殺される。彼らの物語は限界ゆえに感動的である。全能の神は叙事を生まない。

D&Dのディヴァインランクやパスファインダーのミシックランクは、数値が高くなるほど「次第に何でも可能になる」方向へと流れる。本規則はその道を意図的に避ける。高い神性が与えるのは「できることの完全な成功」であって、「できることの拡張」ではない。

#参考レファレンスとの距離

レファレンス参考にした点離れた点
D&Dディヴァインランク神格の等級化・ドメイン概念21段階の複雑化・戦闘力スケールの大幅増加 — 採用せず
パスファインダーミシックランク短い段数(10)構成ミシックパス・代替判定システム — 採用せず
神道・記紀神話ドメインの明確化・限界の叙事文学的演出のみ — メカニクスは独自設計

#原則4 — ドメインは「名詞句一つ」(Domain as Phrase)

各ドメインは具体的な名詞句一つで記す。

  • 良い: 「太陽」「嵐」「穀物」「海洋」「戦争・弓術」
  • 悪い: 「自然」「生」「善」「勝つ力」

#なぜこう設計したのか

抽象的なドメイン(「愛」)は、どんな判定にも差し込みやすい。具体的なドメイン(「恋人の書簡の伝達」)は使える場面が明確になり、それゆえGMもプレイヤーもいつ乗せるかを即座に判断できる。狭いほど強く、狭いほど公正である。


#原則5 — 神社と祭礼が再臨の軸(Shrine as Reset)

神性の権能は消耗すると神社での祭礼で回復する。 戦闘の真っ只中で無限に発動する権限ではない。

  • 微・小神: 日単位の回復(毎日の小さな奉納)。
  • 中神: 週・月単位。
  • 大神: 季節単位の大祭。
  • 皇神: 年単位の本祭。

#なぜこう設計したのか

神道の神は祀られている間だけ力を発揮する。神社が崩れ人々が忘れれば神性は下がる。逆に祭礼が盛大なら同じ神も瞬間的により強くなる。このリズムをゲーム時間に合わせて単純化したものが消耗・再臨のメカニクスである。

またこのリズムがキャンペーンフックとなる。敵対勢力が神社を破壊すれば神は弱まる。廃墟と化した神社を復元すれば忘れられた神が戻る。神社 = 政治が自然に敷かれる。


#原則6 — データとシナリオの分離

単一のスタットブロックで回せない存在はこの補足に入れない。 この原則の結果:

  • 日本神話の主要な神々 — 入れる。一つのデータカードに要約される。
  • 外部の神(ゼウス・オーディン・クトゥルフ等) — 入れる。ただし、狭いエントリで。
  • 神話級の妖魔(ヨルムンガンド・ヤマタノオロチ等)入れない。これらは「スタットブロック + シナリオ設計 + 環境規則」が一塊でなければ扱えない存在である。将来、別個の fcNN シナリオフォーカスで扱う。

#この補足が作動する領域の外

  • メカニクスで本編を直す必要があるときco の修正提案として上げる。
  • 大規模なキャンペーンアークを組むとき → 新たな exN を開く。
  • 代替職業・代替流派が必要なときex2 に乗せる。
  • 神話級の妖魔のレイドセッションを組むとき → 別個の fcNN シナリオパック企画。

#ひと文の整理

「神は自らの領域の中でのみ神である」 — この原則一つが本補足のすべての規則を圧縮する。