日本語版 v1.3.3 · ex-doc

#商団と渡し場物流網

目次

Canon. 金と品が妖魔事件をどのように動かすかを扱う。


#導入断篇 — 空の箱の重さ

渡し場の倉庫に空の箱が一つあった。問題はその箱を運んだ人足三人が全員腰を痛めたことだ。箱は空で、封印は剥がされていなかった。しかし内側の木目には爪で削った文字が残っていた。

取り出すな。

商団の代理人・浜屋惣右衛門は汗を拭いた。「私どもは中身を知りません。運送状には香料とあります。」

PCが運送状を持ち上げると、紙の下から別の文字が透けて見えた。エンリョ館標本、湿気厳禁、名を呼ぶな。

倉庫の外では黒札組の者が待っており、幕府の検問組はまだ到着していなかった。品は空だったが、その品を売り買いした道はまだ生きていた。


#法 — 物流網の使い方

  • 商団は善役、灰色の協力者、闇市場の通路のいずれにもなりえる。
  • 事件の核心を「誰が殺したか」ではなく「何がどこからどこへ行ったか」として設定する。
  • PCに補給と移動を与えながら、商業的損失と取引先の圧迫を共に与える。

#組織カード

項目内容
表面商団、倉庫、渡し場、街道運送、為替と補給
裏面妖魔物品隠匿、密輸、禁書運送、事件隠蔽
首脳商団主、代理人、倉庫責任者、渡し場組合長
現場人足、護衛、帳面担当、船頭
強み金、物流、情報、隠れ家、素早い移動
弱み帳面、借金、黒札組の浸透、幕府検問

#陣営基盤

[素養] 補給帳簿

商団と渡し場組織は刀より先に荷と道を動かす。必要なものが時に届けば、戦闘も交渉も長く持ちこたえる。

効果: 小康段階に金貨1または補給物資1個を消費すれば、味方分隊1個の結束力 +1(最大5)または荷物・負傷者・封印物品移動判定 +2 のどちらかを選ぶ。帳面が差し押さえられたか補給路が断たれたならこの効果を使えない。

PC習得時: セッション1回、装備・宿所・運送・倉庫隠匿・取引先調査判定に +3。使用後、帳面にPCの移動または取引の痕跡が残る。

適用: 商団と渡し場物流網所属の卒〜将ユニットと随伴分隊は固有特性として内蔵する。主級商団主は一般特技1スロットに配置する。


#随伴分隊

以下の分隊はすべて陣営基盤 [素養] 補給帳簿 を適用する。

#商団人足組 — 卒

: 封印箱と負傷者を背負って渡し場と倉庫を行き来する人足たち。何を運ぶのか問わぬのが仕事なので、中で何が引っ掻こうと荷の山陰に身を隠し肩だけで持ちこたえる。

戦力 1、防備 11。制圧力 +2(分隊6名)。

技法:

  • 荷物運搬 [型] — 指揮時。重い物品、負傷者、封印箱を一つ移動させる。
  • 荷山掩蔽 [構え] — 維持。同じ区域の味方が受ける遠距離攻撃の被撃判定に +1 防御補正。

#街道護衛隊 — 練

: 街道と道筋に沿って商団の荷と人を守る老練な護衛たち。道を断ち陣形を組んで荷を間に置くことに長け、華やかな武勇より到着が目的の者たちだ。

戦力 2、防備 13。制圧力 +3(分隊4名)。

技法:

  • 護衛隊形 [構え] — 維持。護衛対象1体が受ける最初の攻撃判定 -1。
  • 道の封鎖 [型] — 指揮時。同じ区域の敵の次の移動コスト +1活力。

#首脳部NPC: 浜屋惣右衛門 — 将

: 運送状の向こうの本当の荷を知りながら汗を拭うばかりで知らぬと言う商団の代理人。為替と倉庫の鍵で人を動かす商人なので、刀より信用を武器とし、その信用が崩れる瞬間を最も恐れる。

浜屋惣右衛門 — 将
戦力 3、防備 12、活力 11
勇+0、技+1、体+1、智+3、美+3、運+3
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限界
為替揺らし[型]22d10+美 vs 対象 2d10+運失敗した人間対象はこの場面で取引や圧迫を断りにくくなる呼吸1回
倉庫の鍵[整備]0小康段階に隠匿物品または代替装備を一つ取り出すセッション1回
護衛の後ろへ[技法]予約2/即興32d10+運 >= 敵攻撃被撃無効。成功時、同じ区域の護衛分隊の結束力 -1

特殊:

  • 信用の重み: 惣右衛門が嘘を見抜かれると、商団全体の陣営基盤はそのシナリオの間使用できない。
  • 陣営基盤: 惣右衛門は [素養] 補給帳簿を固有特性として保有する。

#明と暗

人と物資を救う現実的な力だ危険な品も金になれば運送する
PCに移動と補給を与える帳面がそのまま弱点になる
幕府外の情報を素早く集める黒札組との境界が曖昧になりうる

#主人公所属として使う場合

商団所属のPCは事件を物流と損益で読む。補給、移動、情報が強みなので、戦闘より追跡と取引の多いキャンペーンに向いている。

#主要敵手として使う場合

商団を敵手として使うときは、欲だけでなく「知らなければ罪にならないのか」を問う。代理人は中身を知らなかったと言うが、知らないまま運送して利益を得たなら責任は残る。


「江戸の道は人だけを運ばない。名前、怨念、禁書、売ってはならないものも一緒に運ぶ。」