日本語版 v1.3.3 · ex-doc

#キャンペーン・フレーム総論

目次

Campaign Module. 江戸キャンペーン開始時に選べるフレームを整理する。


#香 ─ 同じ江戸、違う夜

江戸キャンペーンはひとつのジャンルに固定されない。あるテーブルは道の上の監察劇を求め、あるテーブルは路地の怪談を求め、あるテーブルは道場の床板に残った血を追う。フレームはその夜の匂いを先に定めることだ。

#法 ─ フレームの選択

  • キャンペーン開始前に、権限・中心の場所・反復する敵・隠蔽の強度を定める。
  • フレームは職業選択を制限せず、各職業が事件に入る門を定める。
  • 長期キャンペーンは同じフレームを維持しつつ、勢力と妖魔の関係を段階的に変える。

#場面解説 ─ フレームは約束だ

キャンペーン・フレームはジャンル名ではなく、テーブルとの約束だ。巡行型を選べば場所が変わっても一行の権限と反復構造が維持される。都市型を選べばひとつの場所を深く掘り下げ、道場型を選べば人物関係と名誉が戦闘と同じくらい重要になる。

フレームを決めずに江戸キャンペーンを始めれば毎回異なる楽しさを与えられるが、長期リズムが弱くなる。反対にフレームを固定しておけば、プレイヤーは次の事件を予測し、その予測が外れる瞬間を楽しめる。良いキャンペーンは馴染みの構造の中に少しずつ異なる脅威を入れる。

フレーム選択の質問:

  • PCはどんな権限で動くか。
  • 事件はひとつの都市を深く掘るか、複数の場所を巡回するか。
  • 繰り返し現れる手がかりは文書・物・人物・噂のどれか。

#セッション適用 ─ フレームを宣言する

  • 最初の場面:セッション0でこのキャンペーンが巡行型か、都市型か、道場型かを先に言う。
  • ひねり:フレームを馴染ませた後、三番目の事件あたりでフレーム外の勢力が手を伸ばしてくる。
  • 最後の問い:このキャンペーンは同じ問題を違う場所で繰り返すか、同じ場所の違う層を掘り下げるか。

#フレーム一覧

  • 巡行型。
  • 都市型。
  • 道場型。
  • 監察型。
  • 藩秘密型。
  • 長崎異聞型。

#時代劇文法と歴史知識

日本史をよく知らないテーブルでは、キャンペーン・フレームを先に固める方が良い。フレームはプレイヤーが覚えなければならない歴史情報を減らしてくれる。巡行型なら「権威を隠した一行が地域の問題を解決する」、都市型なら「ひとつの都市の噂と裏路地を掘り下げる」、道場型なら「剣術と名誉と復讐が繰り返される」という期待値が生まれる。

江戸時代劇の核心は実際の年号暗記ではなく反復構造だ。同じ関所、同じ湯屋、同じ道場の挨拶、同じ帳簿確認が繰り返されるほど、プレイヤーは時代の圧力を感じる。その反復の中に妖魔の痕跡が少しずつずれてくれば、歴史知識が足りなくても江戸らしい場面を理解できる。

フレームごとにGMが先に説明する歴史情報は少なく抑える。

フレームセッション前に説明すること
巡行型大名と幕府の権威、街道と関所
都市型長屋、湯屋、遊廓・芝居小屋、噂
道場型道場の名誉、門弟、他流試合と復讐
監察型幕府文書、治安組織、事件名の操作
藩秘密型大名の面子、封印失敗、藩内部の隠蔽
長崎異聞型制限された外部接触、蘭学、通訳と記録

この程度を共有するだけで最初のセッションは十分だ。細部の考証は事件が必要とするたびに場面の中で見せればよい。


#フレーム選択表

フレーム中心PC主な敵強いテーマ
巡行型侍、僧侶、商人、野人腐敗役人、地域妖魔、暗躍勢力の幹部権威と現場
都市型芸人、商人、半妖、傀儡師百物会、黒札組、都市妖魔噂と生存
道場型侍、浪人、学者、職人門弟、師範代、殺鬼剣豪名誉と執着
監察型学者、忍び、陰陽師、侍黒札房、腐敗同心、憑依大名記録と隠蔽
藩秘密型カグラ藩、僧侶、職人、風水師裏般若、憑依家門、封印失敗面子と封印
長崎異聞型外人、商人、学者、職人密輸商、蘭学者、異国の目撃者外の目

#キャンペーンの軸を取る

各フレームは三つの問いから始まる。

  1. PCはどんな権限で事件に入るか。
  2. 事件を隠したい者は誰か。
  3. 妖魔の名を消すべきか、守るべきか。

この三つに答えれば最初のシナリオの形が見えてくる。


「キャンペーン・フレームは地図ではなく灯火だ。どこを照らすかを先に定める。」