#この本について — 平安夜話
目次
Fiction-Only. 本文書は本巻の性格・範囲・読み方を案内する。シートとメカニックは別の文書で扱う。
#導入断片 — 香の匂いが濃い部屋
香の匂いがあまりに濃いと、血の匂いは遅れて来る。貴族は笑い、侍女は頭を垂れ、陰陽師は星の方角をもう一度確かめた。
「この部屋は穏やかです。」主が言った。「歌があり、香があり、月明かりも良い。」
陰陽師は答えなかった。彼は敷居の下に滲んだ黒い染みを見ていた。染みは血ではなかった。今はまだ。「穏やかな部屋ほど、入って来たものが何であるかを遅く知ることになります。」
侍女が小さく問うた。「では何をすべきですか?」
「笑いを止めないでください。」陰陽師が言った。「平安では恐怖をあまりに早く露わにすると、恐怖が礼法より先に部屋を占めます。ですが私が符を貼るときには、誰も屏風のほうを見ないでください。」
本巻はそのような部屋を扱う。優雅さが恐怖を消すのではなく、恐怖が入る門をいっそう美しく作る時代を。
#本巻の性格
平安夜話は平安時代四百年を舞台とした読み + データ混合資料である。先行二巻の中間トーンに位置する。
| fc02「戦国風土記」 | fc04 本巻 | fc03「日本剣豪列伝」 | |
|---|---|---|---|
| 重心 | 香(叙事) | 香 + 法 併行 | 法(シート)+ 香(叙事) |
| データ比重 | ほぼなし | 中(人物シート・陰陽道追加呪文・侍変形) | 強(剣豪12人シート) |
| トーン | 風土散文 | 物語の情緒 + 正確なルール | 剣豪列伝 |
本巻は fc02 のように散文が優位にありつつ、メカニックが必要な箇所では fc03 のように正確にシート化する。
#本巻が収めるもの
- 794~1185 四百年(重心は10~12世紀)
- 人物5人 — 晴明・頼光+四天王・道真・紫式部・清盛
- 妖魔事件三件 — 酒吞童子・土蜘蛛/羅生門・玉藻前
- メカニックモジュール六つ — 流鏑馬侍・公家PC・晴明派・道満派・33職 平安ガイド・霊界モデル
- シナリオシード二束 — 貴族(宮中)・山岳(妖魔)
#本巻が扱わないもの
| 項目 | 扱わない理由 | 代替 |
|---|---|---|
| 義経・弁慶の本格シート | 本巻は平安人物五人に集中 | fc03-99-01-kenshi-roster.md 剣豪名簿 / co-09-09-minamoto-specter.md 英霊シナリオ |
| 神話級妖魔の本格シート | fc01 原則: シナリオと一セット(データ化禁止) | fc01-99-02-not-in-scope.md |
| 後代の剣術流派(平安以降) | 本巻は弓馬中心の流鏑馬侍変形 | fc03 本編 |
| 鎌倉幕府以降 | 本巻の終点は1185 壇ノ浦 | 後続巻: fc02(戦国)または fc05(江戸) |
#本巻の二つの顔
#一つの顔 — 読み
平安の情緒・詩・生活・妖魔譚。一呼吸で読める散文。人物五人の短いフィクション導入と妖魔三つの叙事解き。
#もう一つの顔 — メカニック
流鏑馬侍変形ルール、公家PCガイド、陰陽道二派の追加呪文 1段~10段、33職 平安適用ガイド、平安霊界モデル。メカニックは正確に — 活力・戦力・目標値・距離すべて明示。
二つの顔は一巻の中で分かれるが、互いを否定しない。読みから始めてメカニックへ入っても良く、メカニックから出発して読みへ戻っても良い。
#トーンガイド
- 物語の情緒: 優雅さと悲しみが共存する平安文学の語調
- 貴族と妖魔が同じ部屋にいる時代: 恐れよりも共存、共存の中の緊張
- 四百年の平和の上に垂れる終末の予感: 1185 壇ノ浦で終わる時間感覚
#時間基準
- 794 — 平安京(京都)遷都
- 1185 — 壇ノ浦の平家滅亡 → 鎌倉幕府開始 → 平安終了
以前の時代(奈良時代など)と以後の時代(鎌倉幕府)は本巻の範囲外である。本巻の後続は鎌倉ではなく fc02(戦国時代) または fc05(江戸) へジャンプする — 平安の霊的残響がいかに後世へ続くかは、本巻99-00の結びの言葉と後続巻で。
#単独プレイ — co のみで
本巻は co のみで単独プレイ可能である。ex2 未使用の卓では陰陽道追加呪文(05-03・05-04)を開かず、co 陰陽師職業の本体のみを使用する。晴明派・道満派の呪文は ex2 スペル構造を用いるキャンペーン専用の補強である。
fc01(神性記)・fc02(戦国風土記)・fc03(日本剣豪列伝)との連結は互換であって依存ではない。本巻のみを携えて来ても、読みとプレイの双方が成立する。
#推奨読書順序
| 順位 | 文書群 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 時代概要(01) | 平安四百年の基準 |
| 2 | 陰陽道二派の呪文(05-03・05-04) | 陰陽師と呪術運用の核心 |
| 3 | 流鏑馬侍(05-01) | 03-02 頼光5人シートの前提 |
| 4 | 公家PCガイド(05-02) | 03-03・03-04 人物シートの前提 |
| 5 | 人物五人(03) | 本巻の中心人物 |
| 6 | 妖魔大事件三つ(04) | 人物たちが対する大事件 |
| 7 | 33職ガイド(05-05) | 時代適合性 |
| 8 | 霊界モデル(05-06) | シナリオ背景 |
| 9 | シナリオシード(06) | PCが本巻の事件に出会う場 |
| 10 | メタ・結びの言葉(00・99) | 範囲と終結の整理 |
#参照
#co
co-99-meta/co-99-03-fc-spec.md— fc シリーズ仕様co-99-meta/co-99-04-fc-register.md— fc 補充巻登録部
#fc 先行巻(about スタイル参考)
fc01-00-01-about.md— 神性記fc02-00-01-about.md— 戦国風土記fc03-00-01-about.md— 日本剣豪列伝
優雅さは装飾ではなく、恐怖を隠すもっとも薄い帳である。