日本語版 v1.3.3 · fc-doc

#現代妖魔データ

目次

現代妖魔は特定の有名な創作物の複製ではなく、都市伝説とメディア怪談の作動の仕方を、混世霊妖譚式の妖魔に置き換えたものだ。


#導入掌編 - 25時の駅

最終列車はもう絶えていた。

ところがプラットフォームには到着案内が出ていた。次の列車、25時61分。行先は空白だった。線路の向こうには黒い山が見え、山の上には古い城があった。都市にそんな山はなかった。

スピーカーが入った。

「降りた方は名前を置いていってください。」

乗客はポケットから切符を取り出した。切符には出発駅も到着駅もなかった。代わりに自分の名前が書かれていた。

彼は切符を破れなかった。破れば家に帰る道も破れてしまう気がしたからだ。


#香 - 現代妖魔は保存される

古い怪談は忘れられれば弱くなった。現代妖魔は忘れられる前に保存される。キャプチャ、映像、コメント、検索語、位置情報が怪談の新しい墓碑となる。


#法 - 現代妖魔共通タグ

[メディア怪談]
効果: 同じ怪談を見た目撃者が二人以上いれば、初登場時に制圧力 +1。
弱点: 最初の目撃談または原本メディアを見つけ、削除ではなく「正体公開」すれば制圧力 -1。
禁忌: 怪談ごとの禁忌を破れば、次の場面で当該人物が優先的な標的となる。

#戦術コスト基準

現代妖魔の分隊戦術は co の分隊戦術と同じコスト規則を使う。戦術発動コストは 分隊命令コスト + 戦術追加コスト だ。追加コスト 基本 は、分隊命令コスト以外に追加活力がないという意味だ。[戦術:構え] は指揮官が解除するか分隊が移動すれば解除され、各戦術に別途の解除条件があればその条件も適用される。


#運用 - 現代妖魔の配置順序

現代妖魔はスタットより伝播経路が先だ。以下の順序で配置する。

  1. 最初の目撃談を定める。
  2. 伝播メディアを定める。
  3. 禁忌を定める。
  4. 原本の場所を定める。
  5. 削除では解決されない理由を定める。

この順序を守れば、現代妖魔が単なる新しいモンスターではなく、噂が動く事件となる。


#名前のない駅 (無名驛) - 将

駅名板は完全に空白で、プラットフォームの端の黒いホームの影だけ。

#

終電がもう絶えた刻、プラットフォームにはまだ到着案内が出ている。次の列車は二十五時六十一分、行先の欄は空白だ。駅名板は文字がすべて消えて白い面だけになり、線路の向こうにはこの都市にない黒い山と、その上の古い城が見える。蛍光灯は瞬かず一様に冷たく、その均一さがかえって人を不安にさせる。

音はスピーカーから来る。はきはきとした案内放送が人を呼び、降りる者は名を置いていけと言う。手に握った切符には出発駅も到着駅もなく、自分の名だけが書かれていて、どうしても破れない。破れば帰り道まで破れてしまう気がするからだ。時が一度ずつずれるたびにプラットフォームの端の闇が一歩ずつ内へ押し寄せ、元の駅と霊界の境が次第に霞んでいく。

名前のない駅 (無名驛) - 将
戦力 4, 防備 14, 活力 10
勇+0, 技+2, 体+1, 知+3, 美+3
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限界
行先削除[型]32d10+知 vs 対象 2d10+知失敗した対象は1呼吸の間、離脱コスト +2活力間合1回
プラットフォーム呼び出し[攻撃]22d10+美 >= 防備[霊体]。1戦力。命中時、対象の名札を残す-
次の列車[型]3-対象1体を隣接区域へ強制移動呼吸1回
案内放送[技法]予約 2/即興 32d10+技 >= 敵の攻撃被弾無効。成功時、潜入状態-

特殊: 25時61分 - 小康段階ごとに時間がずれる。三度目の小康以降、まだ原本の怪談を見つけていなければ、戦場の外郭が霊界接面に変わる。


#笑う仮面 (笑面) - 練

The "웃는 마스크" squad: three white slit-mouth masks approaching, all heads tilted to the same angle, scissors held low; blank faces, no gore

メディア怪談の練分隊。笑う顔、仮面、誤った返答の形で複数現れる。

#

複数が同じ笑みで近づいてくる。口の端が耳まで裂けた白い仮面、あるいは仮面をかぶったように固まった素顔。彼らは綺麗かと問い、答えを待つあいだ、手に握った鋏が闇の中で小さく鳴る。即座に答えた者をまず狙い、沈黙する者や問い返す者の前では笑みが一瞬崩れる。一群が一斉に首を同じ角度へ傾ける瞬間が、この怪談の合図だ。

項目
等級練 3体
戦力2
防備13
武器鋏・爪(1活力)
結束力4
制圧力+3
陣営基盤なし
妖魔固有特性返答の禁忌

戦術:

戦術種別追加コスト判定効果限界
鋏の音[戦術:型]基本2d10 >= 防備標準分隊攻撃。同じ対象への二度目の命中時、次の防御判定 -1。
顔を埋める[戦術:型]基本2d10 >= 対象の防備命中時、被害の代わりに対象1体の攻撃対象指定 -1。間合1回

特殊: 返答の禁忌 - 「綺麗か」という問いに即座に答えた対象に、初撃 +1。沈黙するか問い返せば効果なし。


#画面の中の廊下 (畵面廊) - 将

The "화면 속 복도": an endless screen-corridor of identical doors receding into pixel-mush, one pale hand from the frame-edge, blank monitor glow; no UI

#

画面の向こうにあるべき廊下が、画面の外へと続いている。どこかで見たような映像の中の通路——同じ戸が一定の間隔で繰り返され、果ては見えず、画質が粗く潰れる箇所ごとに一区画ずつ深さがわからない。足を踏み入れれば今しがた通り過ぎた戸が消え、振り返れば別の戸がその位置を埋めている。

音はずれる。足音が一拍遅れて追いつき、ときに巻き戻されるように逆さまに聞こえる。フレームの外、見えるはずのない縁から白い手が一つ不意に入り込み、人を引き寄せる。その手がどこに付いているのかは、ついぞ画面に収まらない。途切れた最初の場面を見つけて繋ぎ合わせるまでは、この廊下の戸はいくら閉じても再び開く。

画面の中の廊下 (畵面廊) - 将
戦力 5, 防備 13, 活力 9
勇+0, 技+1, 体+2, 知+3, 美+2
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限界
巻き戻し[技法]予約 2/即興 32d10+知 >= 敵の攻撃被弾無効。成功時、攻撃者は前の区域へ移動-
戸一つ削除[型]3-戦場内の通路一つを1間合の間封鎖間合1回
黒い画面[型]22d10+美 vs 対象 2d10+勇失敗した対象は無防備間合1回
フレーム外の手[攻撃]22d10+技 >= 防備[霊体]。1戦力-

特殊: 原本映像 - 原本映像を見つけ、途切れた最初の場面を復元すれば、戸一つ削除 を失う。


#曲がった野原 (曲野) - 練

場所怪談の練分隊。野原全体が敵に見えるが、規則上は一つの分隊として運用する。

#

見た目はただ広い野原だが、視線を据えた途端、その肌理がずれ始める。草が風もないのに一方向だけへ伏し、遠く横切る白い線が一本、視界の端でゆっくりと揺れる。その線を正面から見据えた者は足元が撓むような眩暈を覚え、次の一歩が重くなる。何を見たのかをはっきり言葉にしようとするほど野原は再び人を呼ぶので、見た者はいっそ絵や喩えた言葉でしかそれを残さない。

項目
等級練 現象
戦力3
防備12
武器揺れる線(遠距離なし)
結束力4
制圧力+3
陣営基盤なし
妖魔固有特性説明の禁忌

戦術:

戦術種別追加コスト判定効果限界
見てはならない動き[戦術:型]基本自動同じ区域の敵全員は勇目標値 13。失敗した対象は次の行動コスト +1活力。間合1回
揺れる白い線[戦術:構え]基本維持中、同じ区域の敵の遠距離攻撃 -1。分隊が移動すれば解除。構え維持

特殊: 説明の禁忌 - この妖魔を見た者が正確に描写しようとすると、次の場面で再び出現する。絵や比喩で記録すれば弱まる。


#空のエレベーター (空箱) - 練

The "빈 엘리베이터": an empty car with doors parting, a mirror reflection lagging one beat behind, a floor-indicator lit on a button no one pressed; all numerals blank

空間怪談の練分隊。一台のエレベーターのように見えるが、ボタン・扉・鏡・階数表示が共に動く。

#

扉が開けば、誰もいない空の箱が人を待っている。鏡に映った自分の姿が一拍遅れて追いつき、階数表示の数字は押した覚えのない箱で点く。中に入れば扉は柔らかく閉じるが、着く先はいつもあるべき階ではない。口で禁じられた階を言った者は、いつのまにか一度も見たことのない廊下に独り降り立ち、背後で扉の閉まる音だけが遠ざかる。

項目
等級練 現象
戦力2
防備13
武器扉・鏡・階数表示
結束力4
制圧力+3
陣営基盤なし
妖魔固有特性階数の禁忌

戦術:

戦術種別追加コスト判定効果限界
ない階[戦術:型]基本2d10 >= 対象の防備命中時、被害の代わりに対象1体を、隣接区域ではなく任意の外郭区域へ移動させる。将以上は知目標値 13 成功時に無効。間合1回
扉閉まる[戦術:構え]基本維持中、同じ区域の通路一つが封鎖される。強制移動を受ければ解除。構え維持

特殊: 階数の禁忌 - 禁じられた階数を口にした対象は次の移動判定 -1。階数の由来を見つければ、この効果は消える。


#三度目の返書 (三返書) - 卒分隊

メディア怪談の卒分隊。文、コメント、写本、伝達文が一束で動く。

#

初めはどこかで見たような短い一文だ。それが書き写され、移されるたびに一文字ずつずれ、同じ文章が四方から同じ声で返ってくる。読んだ者の頭の中にその文章が貼りついて離れず、他人へそのまま伝えた者は次の一歩がどこか乱れる。最初の文と三度目に変わった文を並べて見れば、何が足され、何が消されたのかがようやく露わになる。

項目
等級卒 5つの文章
戦力1
防備11
武器文字・声(遠距離なし)
結束力4
制圧力+2
陣営基盤なし
妖魔固有特性原文比較

戦術:

戦術種別追加コスト判定効果限界
同じ文章[戦術:型]基本2d10 >= 対象の防備命中時、被害の代わりに対象1体の次の交渉または感知判定 -1。
伝達の禁忌[戦術:素養]基本この怪談を他人にそのまま伝えた対象は、次の場面の最初の判定 -1。場面1回

特殊: 原文比較 - 最初の投稿、最初の写本、三度目の変形本を並べて置けば、結束力 -2。


#白く長い影 (白長影) - 将

The "하얀 장신 그림자": an abnormally elongated white figure at constant distance, blurred outline, one long pale streak behind a lone person's back; blank face

#

遠くから見れば、背丈が異常に伸びた白い人だ。距離は常に一定で、近づけばその分だけ退き、逃げてもその分だけ追いついてくる。輪郭は鮮明でなく、焦点のずれた写真のように朧げだが、その朧げさがかえって目を離せなくさせる。独り残された者の背後で白い線が一本長く伸びれば、それはすでに間近まで来ているという意味だ。

音はほとんどない。ただ群れから離れた一人の足音だけが鮮明に響き、連れの声は奇妙に遠く聞こえる。その姿を紙に正確に写し取ろうとした者には、翌夜さらに鮮明な姿で戻ってくるので、見た者は位置を示した略図や喩えた言葉でしかそれを記録しない。正確に見ようとする試みそのものが、この存在を呼び寄せる。

白く長い影 (白長影) - 将
戦力 4, 防備 14, 活力 9
勇+1, 技+2, 体+2, 知+2, 美+3
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限界
伸びた距離[型]32d10+美 vs 対象 2d10+知失敗した対象は同じ区域の味方に近づけない間合1回
背後の白い線[攻撃]22d10+技 >= 防備1戦力。対象が一人なら追加で次の感知 -1-
焦点の外[技法]予約 2/即興 32d10+運 >= 敵の攻撃被弾無効。成功後、潜入状態呼吸1回

特殊: 正確に描いてはならない - この妖魔の姿を具体的に絵で残せば、次の場面で制圧力 +1。比喩、象徴、位置図のように迂回して記録すれば弱まる。


#切れない通話 (不切聲) - 練

音声怪談の練分隊。着信音、無音、遅れた声が同じ通話の中で動く。

#

ベルが鳴るのに、受けるべき電話機が見えない。切れたと思った通話が一拍遅れて甦り、受話器の向こうではしばらく沈黙したのち、自分の名を呼ぶ声が流れ出る。その声はどこか自分の声に似ている。以前かかってきた電話を無視した者にベルが最も執拗に追いすがり、通話記録をいくら消しても切れない。最初にかけた者が誰であったかを明らかにするまでは、このベルは止まらない。

項目
等級練 現象
戦力2
防備12
武器着信音([霊体])
結束力4
制圧力+3
陣営基盤なし
妖魔固有特性受けなかった電話

戦術:

戦術種別追加コスト判定効果限界
遅れた呼び鈴[戦術:型]基本2d10 >= 防備[霊体] 標準分隊攻撃。命中強度表を適用。
無音の返答[戦術:型]基本2d10 >= 対象の防備命中時、被害の代わりに対象1体が1呼吸の間、自分の名前を言えない。間合1回

特殊: 受けなかった電話 - 戦闘前の警告場面で電話を無視した人物に、初撃 +1。通話記録を消しても解決されず、誰が最初にかけたのかを明らかにせねばならない。


#霊界の門とファクション

現代妖魔の門は大半がメディア通路だ。しかし根は今なお古い門に触れ得る。名前のない駅は戻らぬ峠の現代型であり、画面の中の廊下は開かない城門と同じ構造だ。

系統現代妖魔の対応
カグラ系統現場封鎖と記録削除を試みる。正体公開が遅い。
比叡系統怨みと禁忌を探す。メディア操作には弱い。
エンリョ館系統原本と変形を追う。閲覧しすぎて危険になる。
尾羽山系統匿名の噂網を最も巧みに使う。

#締めの言葉

現代妖魔は夜道を歩かなくても訪れる。誰かがその名前を保存しておいたからだ。