#オリジナル妖魔組織の設計
目次
妖魔組織は会議と役職で回らなくてもよい。同じ夜の規則に従うだけでも組織となる。
#導入掌編 - 行列の約束
百鬼夜行には帳簿がなかった。名を記す者も、順を呼ぶ者もいなかった。
それでも行列は毎年同じ夜に同じ道を通った。先頭には灯のない灯籠が行き、その後ろには顔のない子供たちが続いた。中ほどには折れた槍を持つ甲冑が歩き、最後尾には狐の面をつけた女が歩いた。
ある年、一匹の鬼が酒に酔って行列の外へ飛び出し、村を襲った。翌日その鬼の角は行列の道筋に掛けられていた。
人々はそのとき知った。彼らに頭がいないからといって、規則がないわけではなかった。
#香 - 組織は共同の欲望から始まる
妖魔組織は人間の組織と異なる。命令系統がなくても、同じ欲望を共有すれば共に動く。同じ名を広め、同じ山を守り、同じ戦場に縛られ、同じ禁忌を罰すれば組織だ。
したがって妖魔組織を作るときは、役職よりも共同の欲望を先に定める。
#法 - 組織9項目
| 項目 | 質問 |
|---|---|
| 名 | 人間が付けた名か、妖魔が自ら呼ぶ名か。 |
| 餌 | 組織全体が何で維持されるか。 |
| 領域 | 山、城、市場、道、夢、メディアのうちどこに根を下ろしたか。 |
| 規則 | 組織員たちが破れない禁忌は何か。 |
| 人間接点 | 供物、取引商、崇拝者、被害者、研究者のうち誰がつながるか。 |
| 末端 | 雑兵・卒妖魔はどんな反復行動をするか。 |
| 行動部隊 | 練級分隊はどんな任務を担うか。 |
| 幹部 | 将級妖魔たちはどんな怪談を代表するか。 |
| 崩壊条件 | 首領を殺す以外に解体する法は何か。 |
#運用 - 組織規模
| 規模 | 構成 | 用途 |
|---|---|---|
| 小さな怪談 | 将級首領1 + 卒・練分隊1-2 | 単幕の事件 |
| 地域組織 | 将級幹部2-3 + 練級行動部隊2-4 | 地域キャンペーン |
| 百鬼勢力 | 主級首領1 + 将級幹部3+ + 門ネットワーク | 長期キャンペーン |
#組織基盤
オリジナル妖魔組織に co の陣営基盤のような共通の性格を付与するには、[素養] 1個で処理する。卒・練・将の妖魔には固有特性として内蔵し、妖魔PCや人間協力者が得るときは、一般特技または背景特技スロット1個を使う。
| 組織基盤の例 | 効果 |
|---|---|
| 夜道の行列 | 最初の間合の間、移動コスト -1活力。日の昇る場面では効果なし。 |
| 名分け | 同じ組織の妖魔が戦闘不能になるとき、残った一体が次の判定 +1。 |
| 門番たち | 組織が掌握した門の周辺で感知 +1、離脱妨害 +1。 |
| 噂の餌 | 目撃者が多い場面で制圧力 +1。ただし、正体公開時に即座に喪失。 |
#組織例
#黒い山門
- 共同の欲望: 山の道を人間から取り戻す。
- 領域: 峠三つと廃神社一つ。
- 末端: 道を逸らす木霊。
- 行動部隊: 鎌鼬の練級分隊。
- 幹部: 山門天狗、山姥。
- 崩壊条件: 三つの村が山の祭礼を再び共に行う。
#城門なき軍勢
- 共同の欲望: 最後の軍令を終わらせない。
- 領域: 廃城、戦場の墓、折れた旗。
- 末端: 甲冑餓鬼。
- 行動部隊: 甲冑怨霊分隊。
- 幹部: 碑文なき将、赤い城門の鬼。
- 崩壊条件: 軍令の文言を公開し、旗を埋葬する。
#忘れられた三番目の口
- 共同の欲望: 怪談が三度目に伝わるたびに名を得る。
- 領域: 市場、遊郭、掲示板、木版本。
- 末端: のっぺら坊の目撃者。
- 行動部隊: 妖狐の密偵、笑う仮面の群れ。
- 幹部: 尾羽山の妖狐、画面の中の廊下。
- 崩壊条件: 最初の目撃談と偽の変形を分離して公表する。
#すぐ使える組織カード
以下のカードは手順を実際の事件に移した例だ。数値は定本妖魔と分隊規則を使い、組織基盤だけを共通特性として付ける。
#黒い山門カード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 組織基盤 | 門番たち - 山門周辺の感知 +1、離脱妨害 +1。 |
| 末端 | 木霊の雑、鎌鼬の卒。 |
| 行動部隊 | 小天狗斥候の練、鎌鼬の練分隊。 |
| 幹部 | 山門天狗、天狗使い、山姥。 |
| 首領 | 名を失った将級天狗。主級へ上げるときは山全体が門となる。 |
| 霊界の門 | 廃神社の裏手の風の道。 |
| 人間接点 | 山道を独占した商団、祭礼を中断した村、山を軍事に使おうとする藩。 |
| 崩壊条件 | 三つの村が共同祭礼を回復し、山門の名を再び掲げる。 |
運用: 主人公の所属として使えば、山の禁忌を教えてくれる厄介な後援者だ。敵として使えば、待ち伏せ、道迷い、偵察遮断が中心となる。
#城門なき軍勢カード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 組織基盤 | 名分け - 同じ軍勢の妖魔が戦闘不能になれば、残った一体の次の判定 +1。 |
| 末端 | 雑鬼、餓鬼、食人鬼。 |
| 行動部隊 | 甲冑餓鬼の練、小鬼戦士の練。 |
| 幹部 | 碑文なき将、赤い城門の鬼。 |
| 首領 | 大鬼または酒呑童子の軍令を受けた将級の代理人。 |
| 霊界の門 | 開かない廃城の正門と折れた旗。 |
| 人間接点 | 敗戦の記録を隠した家門、屍を収めなかった軍。 |
| 崩壊条件 | 最後の軍令を公開し、旗と名のない戦士たちを共に埋葬する。 |
運用: 所属として使うのは難しい。ただし、戦争犯罪を明らかにするために一時的に同行する甲冑怨霊分隊は可能だ。敵として使えば、戦闘力よりも「終わらない命令」を押し進める。
#忘れられた三番目の口カード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 組織基盤 | 噂の餌 - 目撃者が多い場面で制圧力 +1。正体公開時に喪失。 |
| 末端 | 雑鬼、のっぺら坊の目撃者、三度目の返書の卒分隊。 |
| 行動部隊 | 妖狐の密偵の練、笑う仮面の練。 |
| 幹部 | 尾羽山の妖狐、画面の中の廊下、ろくろ首の情報屋。 |
| 首領 | 玉藻の影を受けた九尾狐、または名のない現代妖魔。 |
| 霊界の門 | 市の噂、木版本、投稿、繰り返し転送された手紙。 |
| 人間接点 | 語り手、出版商、興行主、匿名の噂屋。 |
| 崩壊条件 | 最初の目撃談、二番目の脚色、三番目の嘘を分離して公表する。 |
運用: 主人公の所属として使えば情報網だが、常に代償を要求する。敵として使えば、本物の敵より先に「何が事実か」を濁す。
#霊界の門
妖魔組織は門を点としてではなく線として使う。本拠地の門一つと末端の門いくつもがつながれば、組織は一度の戦闘で終わらない。
| 門の役割 | 組織内の機能 |
|---|---|
| 本拠地の門 | 首領と組織基盤の根源。 |
| 末端の門 | 卒・練行動部隊の出入路。 |
| 噂の門 | 怪談型組織の拡散経路。 |
| 封印の門 | 組織が守る牢獄または王座。 |
#ファクション対応
| 勢力 | 組織対応 |
|---|---|
| カグラ藩 | 組織の本拠地を見つけ、行動部隊を各個撃破する。 |
| 比叡連 | 門ネットワークを一つずつ閉じる。遅いが完全解体に強い。 |
| エンリョ館 | 組織基盤と禁忌を記録し協定の可能性を探す。 |
| 尾羽山 | 組織内部の名と噂を操作して離間する。 |
| 堺座 | 噂網型の組織と取引するか、知らぬ間に餌を供給する。 |
| 国友座 | 末端の門を装置で封鎖しようとする。失敗すれば新たな通路が生じる。 |
#締めの言葉
妖魔組織は命令を待たない。同じ禁忌を破った人に同じ夜が訪れれば、それで十分だ。

