日本語版 v1.3.3

#第2幕 — 以前の漂流者の痕跡

目次

1セッション分量。 第4章第2セッション。記録の章。キタミヤマのすべてが明らかになり始める。そしてPCは自分たちの未来を見る。

本編参照

- 必須: 第4章概要 · 第1幕

- 参考: 前提 · キタミヤマプロフィール · 閻魔童子の封印

- この補充内: NPC 忠臣・灰火 · 怪物 灰の兵


#香 — 記録の幕

#GM朗読ボックス (セッション開始)

「昨夜、君たちは燃える屋敷の畳の上で眠った。火は君たちを焼かなかった。朝 — 朝という言葉がここに合うのかはわからないが、空気の色が少し変わった。灰色から銀灰色へ。」

「日記の最初の一枚は、まだ君たちの手元にある。1407年3月14日。君たちの領地が落ちた日は1607年3月14日。ちょうど200年前の今日。」

「開いて読む。」

#GMハンドアウト — 日記の最初の一枚 (プレイヤーへ実際に渡す)

「慶長十二年 三月十四日」…違う、これは違う。これは応永の年号。
「応永十四年 三月十四日」— 応永14年3月14日。

今日未明、山の向こうから奇妙な光が立ちのぼった。レイカ様は天文台に
上がっておられる。戻って言われるには、これはこれまで見たことのない
光だという。
主君は家臣たちを呼び集められた。私は筆を取るのみである。
我らの領地の名はキタミヤマ。私はキタミ家の筆録官ゴイチ。
これは今日から書く日記である。最後まで書けることを願う。

演出: このハンドアウトは実際の紙で用意し、プレイヤーへ渡す。セッション中、PCがこの紙を持ち続けるようにする — セッション末にこの紙が灰になって崩れる演出のための仕込み。


#法 — 2幕の構造

段階場面所要核心
2.1日記解読 — ゴイチの記録45分漂流直後3年の記録公開
2.2神社探索 — アトベ・レイカの灰60分忠臣・灰火NPC登場。陰陽師の遺言
2.3家紋 — 鏡ヶ池との接続30分閻魔童子の封印の手がかりを初めて暗示
2.4派閥記録 — 変容派と帰還派の対立45分200年前の分裂の全貌
2.5収穫 — PCはどの記録を持って去るのか30分還元ルール初発動

#2.1 日記解読 — ゴイチの記録

西の屋敷の書斎。筆録官ゴイチ(小一)の日記全体が残っている。総数327枚。最初の一枚から最後まで、およそ3年6か月の記録。

#日記の構造

期間内容PCが解読可能な場面
1~15日目漂流直後の混乱、結界構築親しみがある。カガミヤマの最初の週に似ている
16日~6か月目霊界地理の把握、妖魔遭遇基本的な初期生存記録
6か月~1年目結界維持危機、核経済の発見自分たちの状況と一致
1年~2年目最初の派閥分裂。「巨大な存在」の初接触変容提案がどう始まったか
2年~3年目領主マサノブの変容決意。内戦分裂の激化
3年~3年6か月変容の実行。記録終了ゴイチは変容直前に日記を止める

#判定 — 日記解読

  • 基本読解: 智 目標値 11。200年前の書体だが同じ日本語。失敗しても遅く読める。
  • 詳細解読: 歴史知識に関する智判定 目標値 13。行間読み、暗号的な記述の把握。成功時、ゴイチが「誰かを守るために隠した名前」が明らかになる。
  • 深層解読: 直観 目標値 15。ゴイチ自身の心理状態を把握する。彼は帰還派だった。しかし日記上では公式に中立。理由: 領主の検閲を恐れた。

#記録から明らかになる核心

  1. キタミヤマ陰陽師の名前: アトベ・レイカ(安戸部 霊華)。女性、50代。10段達人。
  2. 領主の名前: キタミ・マサノブ(北見 正信)。29歳。国人3代目。
  3. 領地名: キタミヤマ。越後南部 (現在のカガミヤマの南300里)。
  4. 漂流原因: 「山の向こうの奇妙な光」。正体不明。
  5. 結界構築方式: アトベ・レイカが自分の生命を燃料にした — カガミヤマのホシノ・ゲンショウと完全に同じパターン。
  6. 変容接触者: 「大いなる者」。名前は明かされない。領主の前に単独で現れた存在。
  7. 分裂の開始: 漂流1年3か月目。変容提案が領主に届いた瞬間。
  8. 結界危機: 漂流2年目末。キタミヤマ結界HP 15以下。主級妖魔が3連続突破。

重要: この記録はPCにとって自分たちの現在状況の未来予測になる。PCパーティの漂流1年目は、カガミヤマループの「第1~5章」とほぼ対応する。この同期こそが本幕の恐怖の核心である。

#2.2 神社探索 — アトベ・レイカの灰 ★ 忠臣・灰火登場

屋敷の裏手、西の武家町の端に小さな神社がある。鳥居は燃えているが、柱は立っている。本殿の中へ入ると —

場面: 中央に一人分の灰の輪郭。ひざまずいた姿勢。手は符を掲げた最後の瞬間。これがアトベ・レイカだ。彼女は自分の生命を結界へ捧げ、灰になった。

演出: PCが本殿に入ると、灰の輪郭がかすかに動く。風を受けたように。しかし風はない。

#忠臣・灰火の初登場

本殿の隅、影の中で灰火一つが立つ。他の話す灰火と違い、この灰火は輪郭がはっきりしている — 人のシルエット。甲冑の輪郭が灰で描かれている。

彼の名前: 灰火(はいか) — これが自分の名だという。生前の名前は忘れた

彼の正体: キタミ・マサノブの近衛武士。変容当時、領主のそばにいた。変容に賛成した。しかし変容後200年間、この神社の前で自分の灰を払いのけなかった — それが彼の罪悪感の形である。

最初の台詞:

「君たちが来た。私は200年間待っていた。誰を待っていたのかは思い出せない — 待つこと自体が私なのだ。」

#灰火との会話 — 1幕反応連動

1幕で率直な答えをしたPCがいれば、灰火はそのPCに先に話しかける。友好的である。

1幕で攻撃的な答え · 拒否をしたPCがいれば、灰火はそのPCに沈黙する。会話を避ける。

1幕で猶予印を受けたPCがいれば、灰火はそのPCに質問する: 「君はまだ答えを見つけられないのか?」 この再質問が機会を与える — 今回答えれば猶予解除。

#灰火が教えること

PCが十分に近づくと (信頼判定または会話3回以上)、灰火は次を語る:

  1. 変容の結果: キタミヤマ住民は永遠に燃える存在になった。彼らはそれぞれの怒り・悔恨を燃料にする。火が消えれば存在が消えるため、彼らは永遠に怒り続けることを選択しなければならない。
  2. 領主の現在状態: 天守閣の頂上。彼は「守っている」と信じている。しかし何を守っているのか、彼自身も忘れている。
  3. アトベ・レイカの灰: 彼女は話せる。灰の口で話す。しかし彼女は領主に抵抗したため、領主には聞こえない周波数で話す。灰火が彼女の言葉を聞く方法を教えてくれる。
  4. 「巨大な存在」: 灰火はこの存在を直接見ていない。領主だけが会った。領主はその後「封印石はすでに解けている」と言った。これがPCへの閻魔童子の初暗示である (明示ではない。灰火は封印石の意味を知らない)。

#アトベ・レイカの灰と話す

灰火の導きのもと、PCは神社本殿中央の灰の輪郭の前に立つ。PCが自分の1本を焚き、霊的感知 目標値 15に成功すると、灰が話す。

レイカの声: 低く、遅い。灰が散りながら同時に話す。

「200年を待った。私に語る者が来ることを。私の言葉を聞ける者が。」

「私は反対した。主君が変容を選んだ夜、私は結界の前に立って言った。『これは救いではありません。これは永遠です。』彼は聞かなかった。」

「私は結界を守ることにした。住民のうち一人でも帰れることを願った。しかし私が灰になった後、住民は皆変容を選んだ。私の犠牲は何も残せなかった。」

「だが君たち — 君たちが来た。それが私の犠牲がついに何になり得るのかの答えなのか、私にはわからない。君たちが答えだ。」

レイカがPCへ伝えること (一つだけ選択):

  1. 「私の灰の一部を持っていきなさい。」 — これを持てば、PCは焦熱の還元残滓抵抗 +3。ただしレイカの記憶片がPCへ侵入する。夢でレイカの最後の夜を繰り返し体験する。
  2. 「主君を止めなさい。君たちの主君を — そして我らの主君も。」 — これはPCの使命烙印。天守閣対面時、領主を説得で解決する選択肢が開く。
  3. 「何も持っていかないで。ただ君たち自身の結界を守りなさい。」 — 選択時、PCはレイカへ敬意を示したことになり、2幕終了時に領地結界HP +5 (奇跡的回復)。

PCは一つだけ受け取れる。この選択は本章後半に影響する。

#2.3 家紋 — 鏡ヶ池との接続

神社本殿の天井にはキタミ家の紋が残っている。

キタミ家の紋: 二重の円。内円は実線、外円は破線。

PCのうち歴史関連の智判定 目標値 15成功 (またはアキヒサが同行し、彼が家紋に詳しい場合):

「この紋は — 鏡ヶ池の古代紋と同じだ。カガミヤマ北端、鏡ヶ池の底に刻まれた石板の形。」

これが閻魔童子の封印の初露出である。しかしまだPCは「封印」という言葉を聞いていない。ただ「紋が同じ」という不吉な一致だけがある。

GM暗示: PCがこの紋に気づくと、周囲の灰火たちが一斉に息を殺す。空気が薄くなる。次の文をGMが静かに朗読する:

「この紋は、家の紋である以前に — もっと古い何かの紋だ。」

#2.4 派閥記録 — 変容派と帰還派の対立

屋敷の書斎へ戻り、日記の後半部を読む。漂流1年3か月以後の記録。

#記録から明らかになる分裂

変容派核心:

  • キタミ・マサノブ (領主)
  • 灰火 (近衛武士、名前を忘れた)
  • 大多数の住民

帰還派核心:

  • アトベ・レイカ (陰陽師)
  • イザナギ(伊邪那岐) — 若い兵士。最後まで変容を拒んだ。現在、都市東側の奥深くに孤立したまま戦い続けている (噂)。
  • 筆録官ゴイチ (日記の筆者。ただし沈黙によって帰還派)
  • 少数の住民

定住派核心 (第3の道):

  • ミクラ(三倉) — 家臣。もとは帰還派だったが「帰れない」と判断し、しかし変容も拒んだ。「人間としてこの地に残ろう」という第3の道を主張。リーダー。
  • 小商人・技術職住民約30名。彼らは「領地でも変容でもない中間」を信じた。

分裂の理由:

  • 変容派論理: 「領地を守る。住民を守る。我らは最後まで共にいる。」
  • 帰還派論理: 「本編世界へ戻れるなら戻るべきだ。永遠に燃えることは救いではない。」
  • 定住派論理: 「帰還も変容も極端だ。人間としてこの地に残ろう。領地を捨てるとしても、我ら自身は我らだ。」

決定的瞬間: 漂流3年目初め。領主が内戦を宣言。帰還派の多くが脱出を試みた。ほとんどは失敗。イザナギだけが孤立して生存。

定住派の悲劇的最期: 内戦中、定住派は変容派に包囲された。しかし定住派は変容を拒んだため、結界なしで霊界に露出した状態だった — 彼らは半分だけ変容したまま固着した。言葉も発せず、死ぬこともできない「半灰」の状態。今も都市北区画の地下で円形に座り、手を取り合っている。第3幕でPCが対面する。

#派閥再現の予告

この記録を読んだ後、PCが通りへ出ると、現在のキタミヤマの街路で200年前の分裂が今も再現され続けているのを見る。

風景: 路上で灰火兵たちが互いを斬っている。一つの集団は「領主のために」、別の集団は「帰るために」。彼らは死なない。斬られても再び灰へ戻り、また戦う。

これが第3幕の場面である。2幕では遠景としてだけ見せる。

#2.5 収穫 — 還元の初発動

2幕終了頃、PCが屋敷へ戻り、日記を最後に整理しようとする。その時 —

場面: セッション中プレイヤーへ渡していた日記の最初の一枚ハンドアウトが、端から崩れ始める。GMは実際に紙を破って見せてもよい (演出強度調整)。

還元残滓ルール初発動:

PC所持品還元進行
紙類 (日記写し、地図、符)端が灰。内容はまだ残る。
繊維類 (衣服、スカーフ)触れた部分に灰が付く
木製品まだ影響なし

ルール告知: GMはプレイヤーに、還元残滓ルールが本格作動開始したことを告知する。3幕から還元速度加速。

対処:

  • 香を焚けば1間合ごとに還元を遅延 (香1本で1間合)。
  • 領地へ帰還すれば進行は一時停止 (ただし既に還元されたものは復旧しない)。
  • 重要記録は暗記。プレイヤーは日記の核心3~5個を覚えておくことを推奨。

演出意図: PCに「この記録を領地へ持ち帰らねばならない」という切迫感を持たせる。しかしその記録は灰へ戻りつつある。この矛盾こそが焦熱の本質。


#法 — 判定とルール

#主要判定表

場面判定目標値効果
日記基本解読11失敗時、内容把握が遅延
日記行間解読智または地理14隠された名前を発見
日記心理解読感知16ゴイチが帰還派だったことを把握
家紋認識地理または感知16鏡ヶ池との一致
レイカの灰との接触感知16レイカの声
灰火の信頼獲得交渉または感知13~151幕回答傾向と連動
還元抵抗強健または感知12失敗時、記録追加損失

#還元残滓詳細ルール [2幕から適用]

#時間軸

この章の間合蓄積は現実時間ではなく場面数で数える。

  • 各主要場面 (2.1, 2.2など) 参加 = 1「滞在間合」
  • 戦闘参加時、追加 +1
  • 拠点休息 = +0 (回復)

この幕で各PCはおよそ5~7滞在間合を積む。

#還元対象ルール

滞在間合還元対象
1~3紙類 (端だけ) — 本幕で既に到達
4~6繊維類 (表面に灰付着) — 3幕で
7~10木製品 (柄の弱化) — 4幕で
11~15金属腐食 — 4幕深層で
16+記憶・誓約侵食 — 主に4幕クライマックス

抵抗手段:

  • 香1本 = 1間合遅延 (領地の香在庫と連動)
  • レイカの灰所持 (2.2で選択時) = +3抵抗
  • 1幕率直回答ボーナス (1名ごと) = +1抵抗

#信頼判定 — 灰火との関係

忠臣・灰火はNPC信頼度システムで管理する。

信頼度行動変化
-2以下沈黙。近づくと退く。
-1答えるだけ。自発情報なし。
0 (基本)基本台詞。
+1隠された情報一つ公開。
+2レイカとの会話を仲介。
+33幕で同行 (戦闘可能)

信頼度影響:

  • 1幕率直回答PC数 × +0.5
  • 1幕攻撃回答PC数 × -1
  • 灰火へ直接質問 + 判定 目標値 13成功 × +0.5
  • レイカの灰への敬意 (2.2-3選択) × +1

2幕終了時、各PCごとに記録する。


#演出 — セッション管理

#セッション開始 — 5分

  • 日記の最初の一枚ハンドアウトを実物の紙で渡す。
  • 「1407年3月14日」と「1607年3月14日」の200年間隔をプレイヤーに計算させる。GMは直接計算してやらない。
  • 還元残滓ルールがこの幕から本格作動することを告知。

#中盤1時間 — 日記解読と神社

  • 日記解読はゆっくり行う。15~20分所要。プレイヤーの解読感覚を誘導する。
  • 神社場面は沈黙の演出。本殿進入時、20秒沈黙してから灰の輪郭を描写。
  • 灰火登場は予期しない瞬間に。プレイヤーが別のものを見ている時、隅で立ち上がる。

#中盤以後 — レイカとの会話

  • この場面は本幕の感情的頂点である。GMはゆっくり朗読。
  • レイカの言葉の途中で「君たちの主君を — そして我らの主君も」の意味が暗示される。PCパーティの領主アキヒサとキタミ・マサノブの対応関係。これをプレイヤーに感知させる。
  • 選択肢は強制しない。PCが選択肢一つを受け入れるまで待つ。

#セッション終了 — 10分

  • 還元の初発動演出。日記ハンドアウトを実際に破る (端だけ)。
  • フック文: 「街のどこかで誰かが — あるいは何かが — 互いを斬る音が聞こえる。その音は一度ではない。繰り返される。同じ音が。無限に。」
  • この文が3幕の派閥再現場面へつながる。

#GM用分岐表

#2幕終了時点チェックリスト

各PCごとに次を記録:

  • [ ] 日記の核心情報をいくつ把握したか (1~8中)
  • [ ] 灰火の信頼度 (現在値)
  • [ ] レイカの灰から選んだもの (1, 2, 3中、またはなし)
  • [ ] 家紋の閻魔童子暗示に気づいたか
  • [ ] 還元抵抗値
  • [ ] 2幕終了時点の記録損失程度

#本章累積更新 (1幕 → 2幕)

  • 変容派傾向PC: 1幕攻撃回答 + 2幕中に領主の論理へ共感表現 → 確定
  • 帰還派傾向PC: 1幕憐憫回答 + 2幕中にレイカへ敬意 → 確定
  • 中立・混乱PC: 1幕猶予 + 2幕で選択回避 → 3幕ミクラ接近対象
  • 懐疑的PC: 1幕拒否 + 2幕中に灰火と対立 → 3幕イザナギ接近対象

#記録獲得チェック

記録項目獲得可否備考
領主の名前 (マサノブ)[ ]ほぼ確実に獲得
陰陽師の名前 (レイカ)[ ]灰火または日記
領地名 (キタミヤマ)[ ]1幕でも可能
「大いなる者」の存在[ ]日記深層解読
変容の結果情報[ ]灰火またはレイカ
イザナギの生存[ ]日記または灰火
ミクラの裏切り[ ]日記
家紋の不一致[ ]歴史関連の智判定
閻魔童子の初暗示[ ]2.3成功時

#ハンドアウト (プレイヤー配布用)

#ハンドアウト 1 — 日記の最初の一枚

(上の2幕開始ボックス参照、実物配布)

#ハンドアウト 2 — 日記1年3か月目 (要約抜粋)

応永15年6月7日。昨夜、主君マサノブ公はひとり天守閣へ上がられ、
戻ってこられなかった。夜明けに降りてこられた時、その目つきは
変わっていた。誰と話されたのかは問わなかった。問えなかった。
しかしその日以後、主君は「永遠」という言葉を何度も使い始められた。

レイカ様はその夜、神社で祈っておられた。祈りをやめられなかった。
何への祈りであったかも問えなかった。

—ゴイチ

#ハンドアウト 3 — 日記3年目 (要約抜粋)

応永17年正月。主君は家臣たちを集めて宣言された。「領地を守るため、
我らは新たな存在となる。大いなる者の恩寵により、我らは永遠を得る。」

レイカ様が立ち上がられた。「主君、これは救いではありません。これは
永遠の火の牢獄です。」

主君は刀を抜かれた。しかし斬りはしなかった。代わりにこう言われた。
「そなたはもはや私の陰陽師ではない。」

レイカ様はひとり神社へ戻られた。一週間後、神社に火が見えた。
しかし神社は燃えなかった。レイカ様だけが燃えた。

私はこの記録を残すことを禁じられている。しかし残す。誰かが読む
ことを願って。

—ゴイチ (最後の日記)

#ハンドアウト 4 — アトベ・レイカの最後の言葉 (レイカの灰から直接)

「私は待った。来ないはずの者を待った。君たちは来ないはずの者だったが、来た。
君たちの結界はまだ守られているか。ならば守りなさい。最後まで。
最後まで守った後に — 君たちが選ぶものが残る。
その時が来たら、私の言葉を覚えていてほしい:
永遠は救いではない。永遠は牢獄だ。
しかし短い命は — 短い命は尊い。」

—アトベ・レイカ、キタミヤマ陰陽師

#演出Tipsボックス

#Tips 1 — 実物ハンドアウトの力

紙ハンドアウトを実際に用意すると、セッション没入度が大きく上がる。更紙(乾いたもの)に縦書きで印刷。端を少し焦がすか破っておくと演出強化。2幕終了で「破る演出」をするため、一部をあらかじめ弱くしておいてもよい。

#Tips 2 — レイカの灰演出

レイカの声はGMが別の声で出す。静かに、ゆっくり。声を変えるのがぎこちなければ、文字で書いてプレイヤーに見せるのもよい — ハンドアウト4。レイカの台詞は読む行為自体が演出である。

#Tips 3 — 閻魔童子暗示の抑制

2.3の「家紋と鏡ヶ池の一致」は明示しない。プレイヤーが「鏡ヶ池」という言葉を口にするよう誘導する。GMはただ「紋が妙に見覚えがある」までにとどめる。プレイヤーの推測が閻魔童子の最初の門を開く。

#Tips 4 — 200年間隔の演出

「1407年と1607年」という数字は一回だけ明示し、その後はプレイヤーが自分で意味を見つけるようにする。200年後のキタミヤマの位置に立つPCパーティという構図を、GMが直接言わない。プレイヤーがそれを悟る瞬間こそが、この幕の感情的核心である。

#Tips 5 — 灰火の親和力演出

灰火は人間ではない。しかし人間だった痕跡がある。GMは彼の口調を「記憶をたどりながら話す老人」のように演出する。一文の後に少し止まり、まるで言葉を忘れたようにまた続ける。この演出が彼の200年の重みを伝える。


#2幕完了チェックリスト

  • [ ] 日記解読を通じてキタミヤマの基本情報を把握した
  • [ ] 神社でアトベ・レイカの灰を発見した
  • [ ] 忠臣・灰火NPCが登場し、PCと接触した
  • [ ] 家紋の閻魔童子暗示が提示された
  • [ ] 変容派 vs 帰還派の分裂構図が明らかになった
  • [ ] レイカとの直接会話が行われた
  • [ ] PCがレイカの灰から一つの贈り物を選んだ
  • [ ] 還元残滓ルールの初発動が起こった
  • [ ] 各PCの派閥傾向が明確になった
  • [ ] 3幕予告 — 街の繰り返される剣音が聞こえた

#接続


「永遠は救いではない。永遠は牢獄だ。」 — アトベ・レイカ、キタミヤマ陰陽師、応永17年2月。