日本語版 v1.3.3 · ex-doc

#人間型敵手

目次

Canon. 江戸キャンペーンの主たる敵手は人間だ。


#香 — 人間が最も深い夜を作る

江戸で妖魔より先に扉を開けるのは人間だ。復讐をそそのかす師匠、名刀を売り渡すオヤブン、憑依を隠す家臣、記録を覆い隠す監察が事件を大きくする。人間敵手は弱い妖魔ではなく、妖魔が入り込む隙を作った社会的な力だ。

#法 — 人間敵手の使用

  • 人間敵手はcoユニット等級と数値公式に従う。
  • 主級の人間は戦力、活力、制圧力を能力値から計算し、妖魔の憑依や仕掛けがあっても人間権力の後の嵐を残す。
  • 卒・練は分隊として、将・主は個人ユニットとして使うが、事件での権限と目撃者も合わせて定める。

#場面解説 — 人間敵手の権限

人間型敵手は妖魔より弱く見えても、江戸ではより厄介なことがある。彼らは身分、組織、名誉、金、報告体系を持つ。剣豪道場の門弟は数で圧迫し、食客浪人は報酬と面目で動き、憑依された大名は倒した後にも藩の後継と記録の問題が残る。

戦闘前に人間敵手の権限を定めておくとよい。逮捕する権限があるか、目撃者を静かにさせられるか、敗北しても代わりに責任を取る部下がいるか。この権限があってこそ、人間敵手は単なる数値ブロックではなく江戸社会の一部として見える。

人間敵手の後の嵐:

  • 殺せば法と面目の問題が生じる。
  • 生かせば復讐と証言の問題が生じる。
  • 公開すれば勢力関係が動く。

#セッション適用 — 身分ある敵を作る

  • 最初の場面:敵手はまず肩書、所属、保証人で紹介される。
  • 捻れ:戦闘に勝っても、その敵手の身分のために事件の処理がより困難になる。
  • 最後の問い:PCは人間敵手を罪人にできるか、それとも刃で倒すことしかできないか。

#収録一覧

敵手等級用途
剣豪道場の門弟卒/練 分隊道場戦、集団圧迫
免許皆伝師範代道場中間大敵
殺鬼となった剣豪決闘キャンペーン大敵
極道行動隊卒/練 分隊賭場・渡し場・遊廓戦
極道食客浪人ヤクザ雇用の剣客
妖魔に憑依された大名藩全体を脅かす政治型大敵
腐敗同心練/将治安組織敵手
幕府密命監察競争者または灰色敵手

#剣豪道場の門弟 — 卒

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襟を正した道着に道場の紋を帯びた若者たち。一人一人はまだ刀がぎこちないが、同じ師の下、同じ号令に合わせて動くことには慣れている。道場の名誉こそ己の名誉と信じて退くことを知らず、外の者が師範の名を辱めたと思えば、眼差しが一斉に変わる。数人で取り囲めば狭い路地や庭の一つくらいはたちまち彼らの領域となり、刀を抜くより先に数だけで相手を壁際へ追い詰める。

戦力 1, 防備 12。制圧力 +2 (分隊5名)。

技法:

  • 木剣乱打 [攻撃] — 指揮時。2d10 + 勇(+0) >= 防備。1戦力。
  • 道場包囲 [構え] — 維持。同一区域の敵の離脱コスト +1活力。

#免許皆伝師範代 (師範代) — 将

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道場で師に次ぐ席に立つ者。免許皆伝の証書を受けた手には無駄がなく、道着の上からも鍛えられた肩と胼胝の張った手が見て取れる。口数が少なく姿勢が崩れず、門弟たちが彼の一言で整列するのを見れば、この庭の秩序が誰から出ているか一目で分かる。踏み入った者は刀を見るより先に、すでに値踏みされているという感覚をまず受ける。

彼は師の名誉と道場の看板を背負っており、私事の諍いではめったに刀を抜かない。しかしひとたび正式な立ち合いや決闘の格式が整えば、一分の手加減もない。彼を破るということは一人に勝つことではなく道場全体の面目を崩すことであり、勝った後には必ずその後始末がついてくる。

免許皆伝師範代 (師範代) — 将
戦力 4, 防備 14, 活力 11
勇+2, 技+2, 体+1, 美+1
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限度
正面斬り[攻撃]22d10+勇 >= 防備1戦力
足元崩し[型]22d10+技 vs 対象 2d10+体失敗した対象は無防備呼吸1回
道場防御[技法]予約2/即興32d10+技 >= 敵の攻撃被撃無効。成功時、自分の区域の門弟分隊の結束力 +1

特殊:

  • 門弟指揮:同一戦場の門弟分隊1個に分隊命令が可能。

#極道行動隊 (極道行動隊) — 練

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肩をはだけた刺青と斜めに結んだ帯、懐に忍ばせた短刀。賭場と渡し場、遊廓の裏路地を己の座敷のように練り歩く者たちだ。剣の腕より気勢と荒っぽい物言いでまず相手を抑え、通行人を脅して散らしてから事を片づける。背後にオヤブンと組織がいることを誰もが知っているため、胸ぐらを掴まれてもどこか余裕がある——この場で斬られてもその代償は誰かが代わりに払ってくれると知る者の余裕だ。

戦力 2, 防備 13。制圧力 +3 (分隊4名)。

技法:

  • 脅迫乱入 [型] — 指揮時。対象区域の民間人目撃者を散らす。戦闘効果よりも隠蔽用。
  • 短刀突き [攻撃] — 指揮時。2d10 + 技(+1) >= 防備。1戦力。

#極道食客浪人 (食客浪人) — 将

#

仕える主君を失い、ヤクザの軒下に居候する刀使い。かつて武士であったことを物語る一振りの刀だけは手入れが行き届いているが、着物の裾は酒と博打に染みて擦り切れている。座を見渡す目は気だるげに見えても、算盤が合えば瞬く間に鋭くなる。道場の師範代のように名誉で戦わず、受けた報酬の分だけ、しかし受けた分は確かに斬る。

彼を動かすのは忠義ではなく金と面目だ。だから依頼者が倒れるか報酬が途切れれば未練なく背を向け、より高い値を呼ぶ側へ切っ先を移す。向かい合う者にとって彼は最も危険でありながら最も交渉の通じる敵だ——大義を突きつける相手ではなく、値を品定めする相手なのだ。

極道食客浪人 (食客浪人) — 将
戦力 4, 防備 13, 活力 12
勇+2, 技+3, 体+1, 運+1
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限度
奇襲斬り[攻撃]32d10+技 >= 防備1戦力。潜入状態なら攻撃判定 +2
汚い蹴り[型]22d10+技 vs 対象 2d10+体失敗した対象は次の攻撃 -1呼吸1回
刀背受け[技法]予約2/即興32d10+技 >= 敵の攻撃被撃無効

特殊:

  • 金で動く刀:依頼者が戦闘不能になるか報酬がなくなると、小康段階に離脱を試みる。

#殺鬼となった剣豪 (殺鬼剣豪) — 主

The killing-demon swordmaster: a lone figure in worn hakama, a flawless level draw, utter stillness, surrounded by white void

#

一時代を風靡したであろう剣客だが、いまや彼の目には人が映らず、斬れるものと斬れぬものだけが見える。姿勢は依然として非の打ちどころなくまっすぐで、刀は重く沈んでいるのに、肝心の表情には怒りも喜びもない。斬りすぎてきた者だけが持ちうる、空っぽで静かな顔だ。その前に立てば、殺気よりも先にその無心さが背筋を押さえつける。

血の匂いを嗅げば彼は変わる。倒れた者、傷ついた者がいる方へ磁石のように引き寄せられ、終いを見ずにはおかない。止めてくれという言葉も、降伏の手振りも彼には届かない——すでに何かが折れた人であり、その折れた跡で剣術だけが独り生き残って彼を動かす。対話で解く余地はほとんどなく、彼が狙った一人は二人のうちどちらかが倒れるまで追撃から逃れられない。

彼を斬って倒しても心が軽くならないのは、かつては彼にも守るべき何かがあった人であったことを、その切っ先の乱れなき正確さがかえって証言するからだ。PCが向き合うのは怪物ではなく、人が斬り続けた末に辿り着いた行き止まりの席だ。

殺鬼となった剣豪 (殺鬼剣豪) — 主
戦力 6, 防備 15, 活力 14
勇+3, 技+4, 体+3, 美+1, 運+1
制圧力 +2.5
技法種別活力判定効果限度
一刀両断[攻撃]42d10+勇 >= 防備2戦力。会心時は3戦力呼吸1回
血臭追撃[型]2戦闘不能ユニットがいる区域へ即座に移動間合1回
無念防御[技法]予約2/即興32d10+技 >= 敵の攻撃被撃無効。成功時、次の攻撃 +1
殺鬼の目[構え]2維持中、決闘相手1体への攻撃 +1、他の対象への攻撃 -1構え維持

特殊:

  • 斬らねば止まらない:小康段階に戦闘不能ユニットがなければ、次の間合の最初の行動コスト +1活力。戦闘不能ユニットがあれば次の攻撃 +1。

#妖魔に憑依された大名 (憑依大名) — 主

Possessed daimyo on a dais in kamishimo, one half lit clean and the other dissolving into ink shadow (the second voice); attendants below frame

#

藩一つを治める大名だ。装いは非の打ちどころなく威厳を備え、立ち居振る舞いは生まれながら人を使ってきた者のものだ。部屋に入れば家臣たちは息を殺して膝を揃え、彼の視線が留まる先に皆の注意が集まる。身分と権力そのものが鎧であり、刀を取るより先に座の空気が彼の側へと傾く。

しかし内に宿るものは、もはやその一人ではない。語尾が時おり二重に響き、好意を施す微笑みの端に似つかわしくない冷たさがよぎる。傍らの家臣たちはうっすらと主君が変わったことを感じながらも、その身分の前で口を開けぬまま命令に従う。憑依の正体が露わになる瞬間でさえ、それを口にする者の方がかえって不忠と咎められる。

だからこの敵は斬り伏せることで終わりはしない。一人を倒せば藩の後継が揺らぎ、彼の罪を公開すれば家門と幕府の面目が共に崩れる。PCは憑依の元凶と、それが宿った権力の座とを切り分けて扱わねばならず、その重みは刀ではなく事件の終わった後の記録と後の嵐となって返ってくる。

妖魔に憑依された大名 (憑依大名) — 主
戦力 5, 防備 14, 活力 12
勇+1, 技+2, 体+2, 智+3, 美+3, 運+2
制圧力 +4.5
技法種別活力判定効果限度
命令の声[型]32d10+美 vs 対象 2d10+勇失敗した人間の卒・練分隊は1呼吸の間、行動を止める間合1回
憑依の手[攻撃]32d10+智 >= 防備[霊体]。1戦力。命中時、対象の次の判定 -1
家門の護衛[整備]0小康段階に同一戦場の人間分隊1個の結束力 +1小康1回
外皮保全[技法]予約2/即興32d10+運 >= 敵の攻撃被撃無効。失敗しても人間の体が傷を代わりに受け、事件の後の嵐が増加

特殊:

  • 殺しても終わらない:戦闘不能処理だけでは事件は終わらない。憑依の原因、封印、後継構図、藩の記録を処理する必要がある。

#幕府密命監察 (密命監察) — 将

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平凡な旅人か下級役人のように装って人々の間に紛れ込むが、視線だけは違う。部屋に入れば誰がどこに座ったか、誰が何を隠しているかを一度さらりと見渡し、静かに記憶しておく。懐には刀より先に幕府の密命を記した文書が入っており、その紙一枚が刀より重いことを本人が最もよく知っている。物腰は丁重だが、その丁重さこそが尋問だ。

彼は敵か味方か最後まで曖昧だ。PCが事件を覆い隠そうとする権力者を追うなら彼は道を開く協力者となり、PCが幕府の埋めておきたい真実を暴こうとすれば、その瞬間最も執拗な追跡者へと転じる。彼を相手にするとき肝心なのは切っ先ではなく、彼がいま誰の命を奉じており、この出会いがどちらの報告書に載るのかだ。

幕府密命監察 (密命監察) — 将
戦力 4, 防備 14, 活力 11
勇+1, 技+2, 智+3, 美+1, 運+1
制圧力 +4
技法種別活力判定効果限度
逮捕命令[型]22d10+智 vs 対象 2d10+勇失敗した人間の敵1体は次の攻撃 -1呼吸1回
監察剣[攻撃]22d10+勇 >= 防備1戦力
文書の盾[技法]予約2/即興32d10+智 >= 敵の攻撃被撃無効。成功時、以降の交渉場面で優位

特殊:

  • 味方かもしれない:幕府密命監察は敵手であると同時に競争者だ。PCが事件を公開しようとすれば敵になり、暗躍勢力を捕らえようとすれば協力者になる。

"江戸で最も恐ろしい敵は、妖魔を呼ぶ呪文より、妖魔を隠せる肩書を持つ人間だ。"