#鎌倉・室町の名刀
目次
Canon (fc05内部) + Fiction-Only。 本文書は鎌倉(1185~1333)・室町(1336~1573)時代の名刀を扱う。登載された項目はリンクで、未登載の項目は本巻限定の新規データとして作成する。
正宗の表記規約: 「正宗」は刀工名・刀派名・剣名のすべてに使われる。本文書は次のように分離する — 五郎正宗 = 刀工名。正宗派 = その刀工の一派。本庄正宗・不動正宗 = 彼が鍛造した剣の個別の名。雑文で「正宗」と記された箇所が三つのうち何を指すのかを常に明記する。
#導入断片 — 波紋
刀工は完成した刀を日の光にかざした。弟子は刃の光を見て、師はその下の波を見た。同じ刀を見ても二人はまったく異なる物を見ていた。
「よく斬れますか?」 弟子が問うた。
師は笑わなかった。「その問いは武士のする問いだ。刀工はまず別のことを問う。この波が誰の名に耐えられるか。」
弟子は棟に沿って流れる紋様を見た。それは水のようでもあり、雲のようでもあり、古い傷のようでもあった。「紋様がそれほど重要なのですか?」
「斬るのは刃だ。しかし長く残るのは波だ。戦争は過ぎ去り、主は死に、記録は誤る。それでも誰かがこの紋様を見て刀工の時代を思い浮かべるなら、刀はまだ語っているのだ。」
その日、弟子は刀が武器になる前にすでに文章になるということを学んだ。鎌倉と室町の刀はそうして時代の手書きを宿す。
#§ 香 — 刀工の時代
鎌倉幕府が武家政権を初めて立てたとき、日本刀剣は一度の飛躍をする。武士が政権の中心になったので — 武士の刀がそれだけ重く鍛造された。五郎正宗、粟田口吉光、青江恒次。刀工一人の名が一時代のすべての刀を代表する時代。
室町に入ると刀派が固まる。相州、山城、大和、備前、美濃。五つの刀派(五箇伝)が刀工を分類する基準になる。一人の刀工が一つの刀派に属するという事実が、その刀工の刀の性格を半分以上決定する。
本巻の fc05-05-03-smithing-schools.md 刀工流派の項目はこの刀派をルール化したものだ。この章の名刀はすべて、どの刀派に属するかを併記する。
#§ 法 — 正宗の系譜
#五郎正宗 (五郎正宗) — 刀工の頂点
鎌倉後期、相州刀派の頂点。鍛造法は日本刀剣の基準になった。彼が鍛造した刀は後代に上古三作の一軸として称えられる(三日月宗近・粟田口吉光とともに)。
本巻の正宗作の名刀:
| 剣 | 登載 | 本巻の処理 |
|---|---|---|
| 正宗の絶刀 (絕刀) | ex2-40-03-02 | リンク。正派行動の祝福。 |
| 本庄正宗 (本庄正宗) | 新規 (本巻) | 下の項目。 |
| 不動正宗 (不動正宗) | 新規 (本巻) | 下の項目。 |
#本庄正宗 (本庄正宗) [新規]
#香 — 刀工の正統
正宗の作の中で最も正統的な一振り。本庄繁長の手にあったという伝承。後に徳川家に献上されて徳川家の宝として保管。幕府後期まで伝えられた。
この刀は華やかではない。刃の紋様が端正だ。しかし正宗刀派のすべての核心 — 鍛造の均衡、刃の直線、柄の軽さ — がすべてこの一振りに入っている。正宗刀派を修めようとする刀工が生涯に一度この刀を見に徳川家に請願する。
#法 — 打刀基盤 + 名品技法
基本技法: 打刀と同一。
| 技法 | 類型 | 活力 | 判定 | 効果 | 限界 |
|---|---|---|---|---|---|
| [名品] 正作 (正作) | 形 | 3 | 2d10+勇+剣術+2 >= 防備 | 2戦力。この呼吸の間、この武器で行うすべての判定の会心範囲+1(他の武器は適用されない)。 | 間合1回 |
祝福 [素養]: 正宗刀派を師事した刀工が同じ区域にいれば、同じ区域の味方の刀剣の名品技法の活力-1。
呪い [素養]: なし(純粋な名品)。
所有条件: 徳川家の認証。または幕府の宝物庫への接近権限。刀工PCの場合は正宗刀派の師事証書。
入手シナリオ: 徳川家の宝物庫回収シナリオ — 奉納ではなく保管なので、盗難・派遣の政治シナリオ。
#不動正宗 (不動正宗) [新規]
#香 — 不動心の刀
正宗の作の中で柄に不動明王の小さな立像が刻まれた一振り。前田家に入って家門の宝になる。同じ家門の 大典太光世 とともに前田家の両宝剣。
不動明王の立像が刻まれたからといって神器ではない。神器の不動の剣(co-07-03 §14)とは別個の名品。不動正宗は明王本人の作ではなく — 正宗が明王の姿を刻んで鍛造した作だ。刀が信仰の道具であって、神格自体の道具ではない。
#法 — 打刀基盤 + 名品技法
基本技法: 打刀と同一。
| 技法 | 類型 | 活力 | 判定 | 効果 | 限界 |
|---|---|---|---|---|---|
| [名品] 不動心一撃 (不動心一擊) | 形 | 3 | 2d10+勇+剣術+2 >= 防備 | 2戦力。所持者が恐怖・魅惑状態の場合その状態を即時解除 + 追加1戦力。 | 間合1回 |
祝福 [素養]: 装備中、恐怖免疫。魅惑判定+3。
呪い [素養]: なし。ただし神器の不動の剣と一堂にあれば — 名品技法使用後、次の呼吸に不動の剣の所持者へ丁重に譲るRPの負担(GM裁量)。
所有条件: 前田家直系・認証。不動心の意志(恐怖・憤怒に振り回されない者)のRP。
#§ 法 — 粟田口刀派
#粟田口吉光 (粟田口吉光) — 短刀の頂点
上古三作の一軸。短刀の制作で日本刀剣史上最も完璧と評価される刀工。本巻の吉光作の名刀:
| 剣 | 登載 | 本巻の処理 |
|---|---|---|
| 吉光 (吉光) | co-07-02 | リンク。忍者刀の名品。 |
| 薬研藤四郎 (藥研藤四郎) | 新規 (本巻) | 下の項目。 |
| 鯰尾藤四郎 (鯰尾藤四郎) | 新規 (本巻) | 下の項目。 |
#薬研藤四郎 (藥研藤四郎) [新規]
#香 — 薬研を斬った短剣
松永久秀の手にあった短剣。ある自決の場で、一人の武士が自決を決意して刀を自分の腹に当てた。しかし刀が入らなかった — 刃が彼の意志に応えなかった。彼が腹を立てて薬研(藥研、漢方を磨る器)に刀を投げると、刀が薬研を真っ二つにした。それを見た彼は自決をやめたという。
刀が自らの意志で自決を止めたのではない — 刀が似合わぬ事には応えないだけだ。薬研藤四郎は最初の一撃の決断に応える。ためらう手には入らない。
#法 — 短刀(忍者刀)基盤 + 名品技法
基本技法: 忍者刀と同一。
| 技法 | 類型 | 活力 | 判定 | 効果 | 限界 |
|---|---|---|---|---|---|
| [名品] 決断 (決斷) | 形 | 2 | 2d10+技+忍術+3 >= 防備 | 2戦力。所持者の最初の呼吸または潜入状態での最初の一撃のときのみ使用可能。会心時+1戦力。 | 間合1回 |
祝福 [素養]: 最初の呼吸(戦闘開始後の最初の行動)の活力-1。
呪い [素養]: ためらいに応えない。同じ呼吸に他の攻撃技法を先に使用したなら決断の使用不可。
所有条件: 決断力のある者。松永久秀の後裔または短剣の免許。
入手シナリオ: 松永家滅門シナリオの残骸。または短剣運用PCの最初の名品報酬。
#鯰尾藤四郎 (鯰尾藤四郎) [新規]
#香 — 鯰のように滑る脇差
豊臣家の家宝になった脇差。柄の形態が鯰の尾のようだとして名が付いた。相手の刀を受け止めて滑り後方へ抜け、その次の呼吸に入る剣術に似合う。
鯰尾は刀の補助として輝く。単独の武器では平凡な脇差。しかし刀と一対のとき、刀の一撃の後に鯰尾の後続打が正確に入る。
#法 — 小太刀基盤 + 名品技法
基本技法: 小太刀と同一。
| 技法 | 類型 | 活力 | 判定 | 効果 | 限界 |
|---|---|---|---|---|---|
| [名品] 鯰の尾 (鯰尾) | 形 | 2 | 2d10+技+剣術+2 >= 防備 | 1戦力。同じ呼吸内で同じPCの他の武器で命中した敵を対象に限定。命中時、敵の次の間合の防御技法を無効。 | 間合1回 |
祝福 [素養]: 二刀流保有時、次の呼吸の活力+1。
呪い [素養]: なし。ただし単独の武器では名品技法の発動条件が厳しい。
所有条件: 豊臣家の認証または二刀流PC。
#§ 法 — 備前刀派
#備前 — 日本刀剣の柱
鎌倉から室町まで、日本刀剣の量的中心は備前刀派だった。一振りの頂点よりは着実な品質の多数。備前の刀は戦場に最も多く出る刀であり、それゆえ最も多く折れる刀だった。
備前刀派の名刀は名声よりも信頼の刀だ。本巻は備前の名刀を別個の新規項目として置かない — 備前は名品の刀派というより業物の刀派。名品の備前の位置には fc05-06-02-sample-weapons.md の「備前の雨降る弓」のような事例一振りを置く。
GMボックス — 備前の業物のシナリオ使用: PCが備前刀派の業物の刀(名品ではない一般の業物)を持ち歩くとき、一シナリオ内で刀が折れる事件をGMが作ることができる。折れた備前の業物を再び鍛造するシナリオは — 刀工PCビルドの登場の場。
fc05-05-01-swordsmith-artisan-guide.mdと連結。
#§ 法 — 鎌倉・室町のその他
#斬馬刀 慶雲 (斬馬刀 慶雲)
co-07-02 のデータに従う。本巻の追加解説: 鎌倉時代の騎馬突撃の時代相の中で作られた武器。無名の武士が手にしたという点が重要だ — 名刀だからといって必ず家門の宝である必要はない。一振りの刀が一人の武士の一生を通じて名を得た事例。
#武田の赤槍
ex2-40-03-10 — 室町後期・戦国初期。武田家の赤備えが携帯した赤色の槍。本巻では fc05-02-04-sengoku-edo-blades.md 戦国の名刀のほうに分類して扱う — 武田家の核心の活動期は戦国だからだ。
#§ 法 — 剣豪時代への架け橋
#室町後期と剣豪の到来
室町後期に剣術流派が確立される。陰流が初めて分かれ出て、その分派が剣豪の時代を作る。本巻の鎌倉・室町の名刀は剣豪の到来の直前までの刀だ。
剣豪本人の使用武器は fc03-99-01-kenshi-roster.md 剣豪名簿で扱う。本巻は武器自体を扱うので、剣豪シートとは異なる場。二つを連結する表:
#室町後期の整合の注意
- 「正宗」という名が室町後期には刀派名・刀工名・剣名がすべて正宗という一つの言葉で呼ばれ始める。本巻はこの時点で表記を最も厳格に分離する。
- 室町後期の刀は打刀が主流になる。鎌倉時代の太刀が刀へ鍛造変形される事例が多い — この変形が名品の逸話にどう影響するか(名の維持、効果の維持)をGMが決定する。
- 一つの刀が変形しながら名を失う事例もある。本巻の
fc05-04-01-owner-bond.md § 変形と名ボックスで扱う。
#参考リンク
刀工の火は消えても、波紋は時代を越える。
