日本語版 v1.3.3 · fc-doc

#工人 刀工ビルドガイド

目次

Swordsmith guide, hammer, tongs, water trough, and a half-finished blade on a nearly empty workbench, forge smoke minimal and black.

RP Guide — 刀工ビルド。 本書は co-04-07-11-artisan.md の工人職業を 刀工 に設定するビルドガイドである。新職業ではない — 工人の専門分野の一つにすぎない。

工人の核となる役割はそのまま。 バリケード・罠・からくりは工人の本文役割である。刀工ビルドはその上に、刀・甲冑・道具の製作・鑑定・修理・再研磨を加える。


#導入断片 — 最初の槌

弟子は鉄を熱する前に、刀の名から尋ねた。師は鋏を置き、しばらく火を見つめた。

「名は最後に来る。」師が言った。「まず、お前が何を作れないかを知らねばならない。」

「良い刀を作れない時のことですか?」

「いや。良い刀を作ってはならない時のことだ。」師は熱した鉄を取り出さなかった。「怒れる主に軽すぎる刀を渡せば、人殺しが容易になる。臆病者に強すぎる刀を渡せば、言い訳が生まれる。刀工は鉄だけを見る者ではない。手を見る。」

弟子は門外で待つ依頼人を思い浮かべた。復讐を語っていた男だった。「では今日は作らないのですか?」

師はそこでようやく最初の槌を取った。「作る。だが彼の望む刀ではなく、彼が耐えられる刀を作る。工人刀工の道はそこから始まる。」

#§ 香 — カクジ(刀工)の道

工人本文には次の一行が記されている — 「ある工人は生涯ただ一振りの刀しか作らない。その一振りが、自分が責任を負える最大値だと信じているからだ。それがカクジ(刀工)の道である — 作る者が自分の作品に自分の魂を結ぶ。」

本書の刀工ビルドは、そのカクジの道をルール化したものである。からくり職人の道が「自分の作ったものが誰かを生かすことも、誰かを殺すこともある」の倫理であるなら、刀工の道は「自分の作った一振りの刀が、一人の生を共に生きていく」の倫理。

刀工 PC は一つのシナリオの中で刀を作らない。一つのシナリオは短すぎる。一つのキャンペーンを通して — 生涯ただ一振りの名刀を作ることが、刀工 PC の頂点である。


#§ 法 — ビルドガイド

#能力値

本ルールブックの 6 能力値(co-03-02-attributes.md)をそのまま踏襲する。刀工ビルドの優先順位:

能力値優先順位理由
1工人本文の核。槌打ち・バリケード建設。戦力 = 3+体。
2霊的気配・真名彫り・結界封印。呪術・結界判定の主軸。
3精密鍛造・解除判定。活力 = 10+技。
補助刀工 NPC との交渉・買収。風格 RP。
補助鍛造儀式の危機 — 運命介入 1 回で一シーズン挽回。
自分の作品を直接試す時。刀工本職では弱い。

核となる能力値の変更禁止。 工人本体は体・知。刀工ビルドも体・知。他の能力値を優先するビルドは他の職業へ行くべきである。

#技能

工人の基本名人可能技能: 解除・地理・強健・感知・生存・薬草 (co-04-07-11-artisan.md)。

刀工ビルドは上記 6 つの名人可能技能をそのまま残し、その中で刀工の活用を次のように対応づける。

名人可能技能カテゴリ刀工の活用
感知探索武器の霊的気配。刀声鑑定の核となる判定。
解除探索封印分析・真名封合の解除。名品の封じられた効果の読み解き。
地理探索鉱山・霊脈 — カジノイシ(霊脈の鉄床)の地点探し。
薬草探索焼き入れ液・刃の処理。刀工 PC の応急処置。
強健専用(体)槌打ち・熱・苦痛の忍耐。鍛造儀式の体力。
生存探索野営鍛造・食料確保。刀工キャンペーンの日常。

一般技能点の追加推奨(名人可能技能以外、入門〜免許段階で推奨):

技能カテゴリ刀工の活用
呪術神秘符と印、言語と計算。真名彫りの学問の軸。
結界神秘封印強化。血淬封印・刀工儀式の結界処理。
退魔神秘呪い解除・浄化。呪われた名品の緩和。
威圧指揮依頼者への圧迫。NPC 名工 RP。
虚言指揮偽造銘の看破。偽名刀の識別。

注意: 呪術・結界・退魔は工人の名人可能技能ではない。刀工 PC が名人まで上げることはできない。免許(3 点)までが限界 — それ以上は co-04-09-00 § 熟練度 5 段階 「職業ごとに 6 つのみ可能」の名人スロット規則に従う。工人の 6 名人スロットは上記 6 名人可能技能の中で決定。

#開始自動技能

co-04-07-11-artisan.md の開始自動技能 — 解除習得、地理・感知・薬草入門 — をそのまま。刀工ビルドは追加技能の自動付与なし — 新職業ではないため。

#背景

co-04-01-backgrounds.md から刀工ビルドに似合う背景:

  • 職人の家系 — 刀工家系の出身。刀派免許で開始。
  • カクジ見習い — 刀工本家で見習いの後に独立。
  • 鉱夫 — 鉱山で霊脈と鉱石を扱った。
  • 僧兵上がりの刀工 — 戦場経験を鍛造に移した者。

#§ 法 — 場面役割

刀工 PC は戦闘でからくり・バリケードの本業をそのまま遂行しつつ、非戦闘・小康段階で次の役割を追加する。

#戦闘前の準備

  • 武器鑑定: シナリオ開始時に分隊員の持つ武器を鑑定。名品・神器・霊界鬼物を識別。位置・状態を GM が公開。
  • 応急点検: 分隊員の武器の耐久・異常の有無を確認。
  • 材料点検: 刀工 PC が自分の道具・材料が定位置にあるか — 野戦鍛冶の設置可否。

#戦闘中

刀工 PC の戦闘本分は 工人 である。刀を直接振るうより、バリケードを築き、からくりを配置する。ただし次の追加役割:

  • 武器応急処置: 分隊員の武器が折れたり呪いが暴走した時、fc05-05-02 § 応急再研磨 のような刀工追加特技で一呼吸を貸してやる。
  • 戦闘中の名品製作禁止 — 「今ここで天下五剣を鍛えてください」は不可。

#戦闘後 (小康・シナリオ後)

  • 修理: 折れた武器を再鍛造。一シナリオの間。
  • 再研磨: 名品の形態を微調整。呪い緩和の道 (§04-02) の一手順。
  • 真名探索: 一つの名品の封じられた名を解いていくシナリオの合鍵。
  • 主の仲裁: 刀が主を拒む時、刀工がその間に入り、拒絶の理由を解く。

#キャンペーン単位

  • 名品製作: 一つのキャンペーンの後半に刀工 PC が一振りの名品を鍛造。手順は fc05-06-01-gm-creation-guide.md の 7 段階。
  • 刀派継承: 自分の刀派の次の後継者を認める。

#§ 法 — PC 刀工と NPC 名工の違い

#PC 刀工

  • 活動段: 1 〜 9 段 (工人段数そのまま)。
  • 名品製作: キャンペーン後半に一度。一キャンペーン一振り。
  • 場面比重: 戦闘 30%、非戦闘・小康 70%。
  • 倫理: 工人本文の作る者の倫理を刀工の道で読み解く。

#NPC 名工

  • 活動段: 9 段または 10 段達人(工人威名 co-04-05-prestige.md § 職業の極意 を保有可能 — 工人威名は区域 2 つを難攻不落に要塞化)。シナリオの依頼者・師・先祖。

注意: 工人 9 段クラス特技 マスター工人 (名工) と工人 10 段威名は別個のスロットである。マスター工人は 9 段で一度選択、威名は 10 段達人が受ける単一の称号。

  • 名品製作: シナリオの中で PC の依頼を受けて進行。
  • 場面比重: 戦闘 0%、シナリオの動機・報酬を付与。
  • 倫理: 自分の魂を最後の作品に結ぶ。死と近い。

#二人が出会う時

PC 刀工が NPC 名工の道場で師事。師事シナリオの報酬は:

報酬効果
刀派免許fc05-05-03 の一刀派の免許。
刀工追加特技 1fc05-05-02 の一追加特技。
名品の真名一つの名品の真名・逸話の解読。
名工の道具刀工の最後の槌 (§03-02) のような拠点資産。

#§ 法 — 刀工 PC の呼吸パターン (5 段)

刀工 PC 5 段の典型的な呼吸パターン。工人 5 段の co-04-07-11-artisan.md § 典型的な呼吸パターン (5단) の上に刀工ビルドの変形。

刀工 PC: 活力 10(10+技0)、槌(鉄棒)または素槍
3 段で [応急再研磨] を本編 [急造修理/罠設置/強化工事] 三つのうち一つの代わりに選択したと仮定。

  小康段階 (戦闘開始前):
    [整備] 刀声鑑定(0 活力、小康) — 分隊員の名品の隠れた条件を GM が公開
  カウント 10 — 第一呼吸:
    からくり陣地(3) + 応急再研磨(2) = 5
    → バリケード設置 + 分隊員の武器 1 の呪いを次の呼吸まで封合
  カウント 5 — 第二呼吸:
    素槍の牽制予約(2) + 移動(2) = 4
    → 前列の牽制 + 位置調整
  残り: 10 - 5 - 4 = 1 (緊急回避など)

刀工ビルドの追加特技は fc05-05-02 を参照。刀声鑑定は [整備] スロットなので 小康段階 に 0 活力で発動 — 戦闘中の活力消費なし。第三呼吸以上の武器の振るいは本職(工人)ではない。


#§ 法 — 推奨武器

刀工 PC が持つ武器は 自分が作ったもの が正統だが、キャンペーン初期には次を推奨。

武器理由
鉄棒 (鐵棒)槌の延長。体重視の刀工 PC の正統。工人推奨武器。
六尺棒制圧。殺傷が少ない — 作る者の倫理。工人推奨武器。
素槍前列の牽制。工人本文推奨。
槌 (即席武器)道具が武器に変わる正統。即席武器ルール。
剣術免許を保有時。戦国・江戸シナリオで自分の作品を試す。

刀工 PC が名品を持つ資格: 刀工も名品を持てる。ただし名品技法の発動条件が剣術名人なら剣術 4 点が必要。刀工は本業では剣士ではないため、名品技法は一般的に非戦闘用名品(茶道の名物茶碗・刀工の最後の槌)中心。


#§ 法 — 推奨流派

fc05-05-03-smithing-schools.md の刀工流派に従う。剣術流派ではなく 製作流派。刀工が剣術流派を同時に持つこともできるが、スロット衝突・コスト処理に注意(次の § ルール衝突の注意を参照)。


#§ 法 — ルール衝突の注意

#新たな刀工職業を作らない

刀工は工人のビルド。新職業に分離しない。段数・技能スロット・心府進入(強行突破)すべて工人本文に従う。

#野戦鍛冶と名品製作の違い

工人 5 段 野戦鍛冶 は武器を「一時強化」する — 次の戦闘まで名品技法 +2。刀工ビルドの名品製作は 永久名品化。両者は異なる — 野戦鍛冶で名品を作ることはできず、名品製作の手順で一時強化を終えることはできない。

#名品製作は即座に可能ではない

刀工 PC がキャンペーンの中で名品を作れても — シナリオ一度の中で鍛造は終わらない。fc05-06-01 の 7 段階手順は 材料 + 時間(シーズン単位) + 依頼 + 刀工の欠落 + 主の資格 すべてを要求する。名品入手の正常経済(シナリオ報酬・遺産・戦利品)を無力化しない。

#刀工ビルドと剣術流派の同時保有

一人の PC が工人刀工ビルド + 剣術流派の両方を持てるか — 可能だがコスト負担:

項目負担
流派スロット剣術流派と刀工流派は 別個のスロットに置く — fc05-05-03 § スロット整合 を参照。
技能点剣術 + 鑑定 + 修理 + 伝承解釈 — 一人の PC が生涯ですべての名人を取るのは難しい。
叙事条件剣士であり刀工でもある PC のキャンペーンは段がゆっくり上がる。段数ボーナスの時期差。

推奨: キャンペーン中盤までは一つの道に集中。後半に別の道の免許を追加する。


#§ 法 — シナリオ運用法

#刀工 PC の登場

キャンペーン最初のシナリオで刀工 PC が分隊に合流する時、彼は 自分の道場を持っていない。それが最初のシナリオの動機 — 自分の鍛冶場を構える地を探す。

#道場資産シナリオ

キャンペーン中盤に PC が自分の鍛冶場を構える。カジノイシ(霊脈の鉄床)の地点探し。最初の道具の調達。その道場がシナリオの拠点となる。

#名品依頼

分隊の他の PC が刀工 PC に名品製作を依頼。または NPC の依頼。fc05-06-01 の 7 段階を進行。

#刀工の死シナリオ

NPC 名工が死にながら刀工 PC に自分の刀派を譲る。刀工 PC の刀派変更または本家認定。


#参考リンク


刀工の槌は、鉄を打つ前に人の覚悟を打つ。