#奥羽見聞 (奧羽見聞)
目次
権威。 本文はFiction-Only — ある外人の記録であり、事実と噂と誤解が入り混じる。話者が何者かは話者 — 南蛮の筆に、この書全体の約束はこの書についてにある。§卓にてのみScene Tool。本巻に法はない — 数値が必要なら正典
coへ行く。
扱う旧国 — 陸奧・出羽 — 二つで本土の三つに一つ。二つの国がすなわち一つの世界だ。

#旅路 — 狭まる道
ピントの日記より — 広い野を後にして北へ十五日目。
道が狭まる。広い野の大道は馬に乗った武者が二人並んで行けた。野の尽きる所の道は荷馬一頭に人一人だった。今歩く道は — 道と記せば道に過分というものだ。道の真ん中で草が生えているのを私は初めて見る。通る足が草より少ないという意味だ。
野の尽きる最後の市で荷担ぎたちが皆荷を下ろした。値を倍に呼んでも肩を貸さなかった。「北の荷は北の肩が担ぐのです。」頭の荷担ぎはそう言って、自分の代わりに荷を担ぐ谷の人の名を紙に書いてくれた。人を買うのではなく人を紹介してもらう — ここからはそれが値引きの法だという。
宿駅が消えた。南では大道ごとに馬を乗り換える駅があり、駅ごとに値が付いていた。ここでは村で馬を頼む。「借りるのではなく頼むのです。」舌が言った。「値を先に問うてはなりません。ここでは値より事情が先です。」商人が値を問えない地に入ったのだ。
三日前、山中の村の炉端で、私は舌が初めて詰まるのを見た。主の老婆が長くゆっくりと話し、舌が二度聞き返し、三度目には黙って火だけを見つめた。「同じ国の言葉ではあります。」しばらくして舌が言った。「ただ — 私の知る国がここまでのようです。」
可笑しなことを記す。二年歩いて私はこの国の言葉をかなり拾い聞いた。値引きと挨拶と道尋ねは今では自分の口でする。ところがその言葉がここでは半分しか通じない。二年で初めて、舌と私が同じ外人になった。
刀は口数がさらに減った。代わりに眼が忙しくなった。峠を越えるたびに彼は折れた枯れ枝と獣の足跡を長く見る。昨日は珍しく先に口を開いた。「南の山は人が怖い、ここの山は — 」彼は終いを結ばずに刀の柄の緒を結び直した。
初雪が降った。南であればまだ秋の取り入れの終わる月だ。雪は半日で足首を埋め、村の人々は空を見て今年は遅いと言った。遅くてこれほどだ。
雪の降る夜は炭焼きの小屋で過ごした。主は我らを見ても驚かなかった — 驚くにはあまりに深い所に住む人だ。彼は黙って炉の灰を掻き起こして火種を育て、我ら三人の濡れた草鞋を火の傍らに並べて立てた。朝に値を払おうとすると手を振った。「雪の日に泊めた値は雪が受け取って行きます。」舌は移し終えてからも長くその言葉を見つめた。
南で私はいつも次の村の名を知って歩いた。ここでは次の村があるかどうかから問う。あるという答えを聞いても、そこまで一日か三日かは雪が定めるという。
どこまで行くのかと誰かが問えば、私は今では道の尽きる所までと答える。初めは戯れの答えだった。今ではその答えしか残っていない。
紙を数える。六番目の束が指二本の厚さほど残った。ちょうどよい。国の果てと帳面の果てが一緒に来る — 商人の旅とは本来そう終わるのが正しいのだ。
今日学んだことを記す。ここからは道が人を連れて行かない。人が道を連れて行く。
#事実の地 — 二つの国がすなわち一つの世界
この北方全体が古い名ではわずか二国だ。東の陸奧、西の出羽。南では半日に国境を二度越えた日もあったのに、陸奧に入ってから私は十五日歩いてもなお陸奧にいた。二つ合わせて本土の三つに一つと聞いた — 今度はその数を膨らましだと疑わない。歩いた脚が証人だ。我らならばこれほどの土地を王国と呼んだであろう。
この世界の法は冬が定める。我らと違い、南の人々が一年を田植えで始めるなら、北方の人々は一年を雪の数で始める — この冬雪が何尺降るか、その数が春のすべての値を定める。夏は短く、短い夏すら当てにできるものではないという。東の大海から冷たく白い霧が居座る年には稲が実らず、その年の秋に蔵が空になるというのだ。聞いた話だ — しかしその話をする農夫の顔は、噂を語る顔ではなく借金を語る顔だった。
山は南の山より低いというが、より深い。南の深い山にはそれでも炭窯の煙が見えた。ここの深い山には何も見えない。山を覆うのは南のようにまっすぐ立った杉ではなく、枝を広く張ったブナの森だ。秋にはその実が雨のように降って熊と猪を肥やし、葉が落ちれば山全体が灰色の海になる。その海の中へ猟師たちが入って行く — 彼らの話は後に記す。
海は二つで、性質が異なる。西の海は冬を載せて来る — その海から来た雲が山に掛かって出羽の側に雪を人の背丈の上に積むという。東の大海は冷たく荒く、船乗りたちは季節を選んで出る。南の瀬戸内海のように船が列を成す海ではない。我らと違い、この国の北方で海は道というより壁に近い。
黄金の話を記さねばなるまい。幼い頃の地図はこの国をジパング(我らの古い地図が日本を呼んだ名)と記し、黄金の屋根を描き入れた。二年の間、私はその屋根をどこでも見られず、今では老いた地図師の夢だと片付けていた — 北方の古い里で、ついに見るまでは。遠い昔この北方に黄金の都があったという。北方の金がこの里に集まって都一つを丸ごと輝かせ、その栄華は戦で終わったというのだ。今残るのは寺いくつかと、その寺が守る堂一つだ。
僧が戸を開けてくれた。小さな堂だった — 我らの田舎の礼拝堂より小さい。そして内も外も金だった。柱も、壁も、仏像も。冬の光の中で金は燃え立たず沈んでいた。堂の内に祀られているのは仏だけではないという — その黄金の都を治めた者たちが、死してその中に横たわっているという。私が見たものだ。黄金の屋根はあった。ただその屋根が覆ったのは生者の都市ではなく死者の眠りだった。ジパングの黄金を求めて海を渡って来た男がその黄金の前で記す言葉は一つきりだ — 帳面に記す数ではないので、日記に記す。
北方の市は小さいが品が深い。毛皮 — 熊、貂、狐。南の薬屋が高く求める山の薬草。そして黒曜石 — 黒く光る石だが、割れば剃刀より鋭い刃が立つ。北へ行くほど鉄の代わりにこの石の刃を使う者が多かった。商人たちは四つ目の品を口にする — カムイの恵みだという。値を問うと、売るものではなく受け取るものだと言った。帳面に記せない品のある市は初めてだ。南の数に明るい者たちはこの地を指して、野をすべて耕せば国いくつかをさらに養うだろうと言う。聞いた話だ — ただその数には冬が抜けている。
#人と風俗 — 山と共に生きる法
山で熊と鹿を獲る狩りの群れをマタギ(又鬼)と呼ぶ。村では農夫の顔をして暮らし、山に入れば別の法を生きる者たちだ。山に入る日から彼らは村の言葉を捨てて山の言葉を使う — 米を米と呼ばず、熊を熊と呼ばない。山の神が聞いているからだという。我らの猟師は獣を撃って得る。彼らは山の神から獣を受け取る — だから獲る数を予め定めて越えず、獲った熊の枕元で儀礼を上げて受けたものに礼をする。狩りから戻ったマタギたちが熊を村の入口に横たえて拝むのを見た。私が見たものだ。獣に拝む猟師を私は初めて見て、見てしまうと — 拝まない側の方がかえって説明の要ることに思われた。
そしてこの地のより古い主たちがいる。大和の人々が来る前からここに住んでいた者たち — 南の人々は彼らの祖を蝦夷と呼び、その後裔たちが今も谷ごとに部族を成して住む。侍たちは彼らを野人と呼ぶ — 野の字を使う、敬いではなく蔑みを載せた名だ。しかし私が見た彼らは野の獣ではなかった。鉄の鎧なしに冬の山を歩き、マキリという小さな刀一振りと素手で熊を獲り、自分の谷のすべての岩と瀬の名を諳んじる人々だった。我らと違い、彼らは土地を持つとは言わない — 土地と共に生きると言う。舌がその言葉を移しながら長く選んだのを覚えている。
ここで選り分けて記すことがある。南の人々は北方の人をひと括りに蝦夷と呼んで済ます。しかし私が見聞きした限り、その名の下には幾人もがいる。この地に古く住む蝦夷の後裔たちがいて — より北、海を渡った先にはアイヌという別の人々が住む。言葉も暮らしも同じではないという。北の果ての港で私は海を渡って来た船と、その船が下ろした毛皮と干した鮭と鷹を見た — 船は私が見たもので、海を渡った彼らの土地は聞いた話だ。一人の港の老人が言った。「南の旦那衆は我らもあちらも皆ひと括りに呼ぶ。海を渡ったことのない者の数えようさ。」
蝦夷の後裔も、海を渡ったアイヌも、それぞれの仕方でカムイと呼ぶものを祀る。舌は初めその言葉を神と移したが、三日後に自ら直した。「神と移せば半分だけ移したことになります。」大和の神は神社に住む。カムイは — 熊に、火に、風に、使う器一つにまで住むという。世のすべてのものがあちらの世界から来た客で、もてなしが終われば自分の世界へ帰るというのだ。南の神々とカムイが同じものなのかは僧に問うても、部族の老人に問うても、答えが違った。違うという答えだけが同じだった。
南半分と北半分は同じ里の中でも別の法で生きる。領主の文書で生きる家と古い法度で生きる家が一つの井戸を使い、一つの炉端で二つの神が別々に飯を受ける家も見た。二年の間、私はこの国が一つの国か六十いくつの国か度々混同したが、北方に来て答えを一つ重ねる — どちらであれ、大和だけの国ではない。
#混世の地 — 旗の届かぬ所
南では峠を越えるたびに領主の旗が変わった。ここでは旗が稀になり、ある日から見えなくなった。陸奥の南には城と小さな領主たちがおり関所もある — 街道と旅に記した道の法がそこまでは届く。その北からは領主の法より村の法が、村の法より山の法が重い。我らと違い、この国の秩序は端が刀で切ったように終わらない — 布のように端がほつれている。ほつれた糸の間から別の世界が透けて見える。
その別の世界の一方が野人の部族たちだ。部族ごとに谷一つ、川一つ。大きな頭はいないという — 大事が起これば谷々が集まって相談し、終われば散る。領主に仕えず、領主も彼らを治めるとは言えない。税の代わりに交易があり、法の代わりに古い約定がある。
もう一方は — 鬼だ。六十年前、南の山に鬼たちの王が山城を建てたという。その後鬼の群れが年ごとに育ちながら北へも手を伸ばすというのだ。聞いた話だ — しかし山道で私は木柵ごと焼けた村一つを見た。私が見たものだ。誰の仕業かと問えば南の出の荷担ぎたちは答えを選び、野人の猟師たちは選ばなかった。鬼だ — 彼らはそう答え、さらに問うことを訝った。彼らにとってそれは怪談ではなく国境の事だった。
だからこの北方には南にない戦線が一つあるわけだ。北へ押す鬼と、谷を守る部族たち。大名の軍はそこにいない。狼煙を上げるのも、峠に石塚を積んで夜を明かすのも、野人たちだ。南の領主たちが互いの旗を相手に戦う間、旗の届かぬ地では人が人ならぬものと戦っている — 二年の間に聞いた戦の話のうち、これが最も古い戦だという。
もう一つ記す。広い野からこの地へ入る山脈に砦が一つあると聞いた。領主の城ではなく僧と封印師が守る砦 — 防ぐのが人ではないという。私はその砦を遠くからも見られなかった。ただ峠の荷担ぎたちがその山脈の方へは日が沈んだ後に目もくれないのは見た。値を倍に呼んでもそちらの間道は行かなかった — 荷担ぎが拒む金を私はこの国で二度見たが、二度とも山が理由だった。
編者注:鬼の山が立ったのは正典年表の「60年前」であり、その勢力が北へ押す戦線がすなわちこの章の舞台だ。奥羽の勢力と妖魔の結は戦国の地が、山脈の砦は霊界辺境の関門が握る。
#霊異の地 — 境界が最も薄い地
この国どこでも私は霊異の話を聞いた。南の話は概ね薄暗い所にあった — 道の絶えた所、夜、霧。北方の話は真昼にある。南で昔話として聞いた名々が、ここでは隣人の事のように語られる。この国の僧たちの言うところでは、世と霊界の間の境界がこの地で最も薄いという。私は境界を測る尺を知らない。ただこれは知る — 南の人々はそんな話をする時に声を低めるのに、北方の人々は天気の話をする声でする。
雪に縛られた夕べごとに炉端で話を集めた。ある家の奥座敷には子の姿をしたものが住む — それが留まる間は家が栄え、それが去った家は傾くという。我らならば家に憑いたものを追い出してくれと司祭を呼ぶだろう。この家の主はそれが去るのを恐れて夜ごとに上座に膳を据える。川には水の底から人と馬を引くものが住み、子らは夏でも深い沼の傍に行かない。そして山には — 山人としか移せない背の高いものたちがいて、山菜採りに入った者が戻らなければ山が連れて行ったと言ってそれ以上探さない谷があるという。皆北方の村に伝わる話だ。私はどれも見なかった — ただ膳を据える手と、沼の傍を避けて歩く足と、探すのをやめる沈黙は見た。
西の出羽の三つの霊山には行けなかった。私はその道を行けなかった — 雪が先に閉ざした。ただその山を巡って来た巡礼者を二人会い、二人の言が同じだったので記す。三つの山を順に越えるのは一度死んでから生まれ直す儀礼だという。白衣は経帷子であり、山を下りるのは生まれ変わりだというのだ。そしてその山々のどこかには生きながら穀を断ち痩せ枯れて仏となった行者たちが、死んだ後も朽ちぬ身で座っているという。我らも聖人の遺骸を祀る。しかし我らの聖人は生きて死んで聖人になり、この山の行者は聖人になるために生きながら死ぬ。この話を伝えた巡礼者はそれを恐ろしい事ではなく尊い事として語った — 私は二つの心の間でまだ決算を下せていない。
古い名々がある。谷の人々がみだりに口にしない、大和の神も仏もない名々。そのうち一つを私は互いに遠く離れた三つの谷で同じように聞いた — アラハバキ。蝦夷の後裔たちはその名に頭を垂れ、大和の僧はその名に手を振った。同じ名が一方には古い神であり、一方には古い妖魔だ。商人の癖で両方とも記しておく — ただ三つの谷が口を揃えたことが一つある。それは伝説ではないということ。南の昔話の中の存在たちがここではまだ目覚めているということだ。
道はついに北の海の見える山で終わった。死者たちの山 — 恐山という。硫黄の匂いが鼻を突く灰色の荒野に湯気の上がる窪みが煮え立ち、その真ん中に白く沈んだ湖があった。草一本ない斜面ごとに小さな石塔が数えきれず積まれていた — 先に死んだ子らが積む塔だという。崩れた塔の傍に誰かが置いて行った草鞋一足があった。子の足の大きさだった。私が見たものだ。
その山裾に盲の巫女たちがいる。イタコと呼ぶ。遺族が訪ねて来て請えば、巫女は鈴を振り数珠を擦りながら長い声で死者を呼ぶ。私は一人の母が南の戦に連れて行かれて死んだ息子を請う場にいた。巫女の唱える声がしばらく続いて — 声が変わった。若い男の言葉遣いだった。母は泣きながらその声と収穫と縁談と幼い妹の事を話した。私が見たものだ — そして何を見たのかは、ついに記せそうにない。我らの教会は死者と言葉を交わす事を禁じる。その禁が何を防ごうとするものなのか私はこの山で初めて理解し — その禁が何を奪うものなのかも初めて理解した。私はその場にもっといたく、同時にすぐに去りたかった。二つの心がちょうど半々だったことを恥じることなく記す。
山を下りる道で老いた巫女一人が舌を通して私に言った。「死者の力を借りるのは、死者に借りを負うことだ。」そして聞いた話を一つ添える — 言葉だけを借りるに留まらない巫女たちがいるという。死んだ武者の刀の腕を、死んだ僧の経文を借りて自分の身に着るというのだ。その話をした者はそこまで言って声を低め、それ以上言わなかった。私もそれ以上問わなかった。二年の間に問うのをやめたことが幾度もないのに、これがその一つだ。
編者注:言葉を伝えるイタコは北方の古い暮らしだ。その先へ行った者 — 死者の技を着る者 — は正典の魔人職業が握る。卓に上げるならGMの許可が先だ。
最後に、この書で最も重い採録を移す。
ピントの日記より — 死者たちの山へ行く道、雪に縛られた谷の村の三日目の夜。
この谷は蝦夷の後裔たちの村だ。私はここでこの国で出会った最も老いた人と向かい合って座った。部族の長老だ。年を問うと笑うばかりだった。南の市を回る若い猟師が長老の言葉を舌の知る言葉に移し、舌が私に移した。言葉が三つの口を経て私に来た。来る間に三度削られたであろう。削られて残ったものがこれほど重かった。
八十年前 — 長老が子であった頃 — 山が変わったという。鳥が道を変え、熊が冬眠の床を捨て、山の言葉で呼んでも答えぬものたちが夜の稜線を歩いた。谷の長老たちが集まって三日を相談し、結論は短かった。カムイが怒る。 生きていないものたちが門を探していると。生けるものの世界が薄くなっていると。
部族たちは南へ人を送った。長老の父がそのうちの一人だった。黒曜石の刃と毛皮を礼物に背負い、谷ごとの言葉を伝える資格を受けて。大和の城と寺に達してこう伝えよと言った — カムイが怒る。門が開いている。刀を止めて聞け。
長老の父は翌年の春に戻って来た。礼物の包みを背負ったまま — 解かれぬまま。「贈り物が戻れば、言葉も戻ったのだ。」長老はそう言って長く火を見た。南の領主たちにとってそれは夷狄の迷信であり、南の寺にとってそれは自分の山門の外の事だったという。使者として行った者たちのうちにはついに戻らなかった者もいる。
私は問うた — 今でも南が聞くと思うか。答えが通辞二人を経て来た。「八十年前には警告の値が安かった。毛皮一駄で買えたであろう。今は — 」長老は手を開いて炉の火明かりを遮った。「今は国をすべて与えても足りぬであろう。」
長老は私が記すのを長く見てから問うた。なぜ記すのか。私は答えた — 商人ゆえ、数の合わぬことを見過ごせないと。八十年前にこの国は警告一つをただで受けながら値を払わなかった。その借りがどう膨れたかを私は二年の間この国のすべての道で見た。
この日記は見たものと聞いたものを選り分けて記すと約束した帳面だ。この章は聞いた話だ — 三つの口を経て聞いた。しかし二年の間に私が見たすべてのものがこの話の証拠だった。だから初めにして最後に、二つの表記を共に記す。聞いた話だ。そして — 私が見たものだ。
編者注:ピントが採録した警告は正典年表が「霊界侵蝕の始まり」と記したその頃の事だ。警告が無視されたことまで、年表は一行で記して終わる。その一行の重さを卓に上げたいなら — 二度目の警告が南に到着する場面でキャンペーンを始めればよい。
#卓にて
Scene Tool. この節のみGM用の場面道具だ。
奥羽キャンペーンの結は正典が四つの言葉でくれた — 野生、生存、古代、霊界の境界。南の章々の事件が人と人の間で起こったなら、この地の事件は人と人ならぬものの間で起こる。そしてその前に冬がある — 閉じる峠、絶える村、減る兵糧。妖魔が出る前に雪が先に一行を試させよ。地域の勢力と遭遇傾向は戦国の地が、炉端の伝承の中の存在たちのデータは村・道・山の妖魔が、道の上の事件は旅路の事件が握る。
この章から取り出して使えそうな場面:
- 二度目の警告 — 野人の長老が八十年ぶりに再び南へ使者を送ることにする。今度礼物を背負うのが一行だ。南の誰が聞き、誰が嘲り、誰が使者の達する前に止めようとするか。
- 鬼の戦線 — 一つの谷の部族が北へ押す鬼の群れに抗して冬の峠を守る。大和の刀を借りるかを巡って部族が分かれた — 一行は歓迎と不信を一つの炉端で同時に受ける。
- 死者の依頼 — 恐山のイタコが一行の中の一人をはっきり指して言う。「あなたに言葉を残した魂がいる。」伝えられた言葉は頼みか、警告か — 呼ぶ声を借りた別の何かか。
- 黄金の都 — 南の大名の密偵たちが古い黄金の都の伝説を探りに北上し、一行が道案内として雇われる。廃墟で彼らを迎えるのは金ではなく、金と共に眠るものを守る古い何かだ。
- 凍りついた巡礼 — 出羽の三つの山を冬に越えねばならぬ事情を背負った行者の護衛。山は閉じ、閉じた山で死と再生の儀礼は文字どおりの事になる。
そしてピントの日記はこの章で終わらない。死者たちの山から下りて来た日、彼はこう記した — 「ここで道が終わった。終わったのは私の脚であって、この国ではない。」南へ頭を向けた男が最後の束の最後の頁に何を記したかは閉じる文にある。
南はこの地を果てと呼び、この地は南を遅れたと呼ぶ。