日本語版 v1.3.3

#妖魔図鑑 (妖魔圖鑑, Monster Templates)

目次

妖魔にも技法がある。鬼の金棒には「強打」と「横掃」があり、天狗の采には「魅惑」と「旋風」がある。

関連項目: 技法と型体系 · OSR変換 · 勢力図


#スタットブロック形式 (マヌーバ基準)

名前 (漢字) — 等級
戦力 X, 防備 Y, 活力 Z
勇+a, 技+b, 體+c
技法: [技法名](活力, 効果) / [技法名](活力, 効果) / [防御技法](予約/即興)
特殊: [名前] — [効果]
制圧力 +N

活力注意: 妖魔の活力はPC公式(10+技)に従わず、難易度と物語に合わせてGMが設定する。

#妖魔技法と活力 — 等級別処理

等級活力技法発動方式
なし技法なし。存在そのものが制圧力に寄与。
卒/練 (分隊)なし上位指揮官(将/主)の分隊命令で発動。技法の活力費用は指揮官が支払う。
あり (8~11)自前の活力で独立行動。カウントに参加。
あり (12~15)将と同じ + 分隊指揮可能。

放浪妖魔 (指揮官のいない卒/練):

指揮官なしで単独/小集団として徘徊する卒/練妖魔は、活力10として扱う。

  • カウントに独立参加。
  • 自前の技法を活力消費で使用。
  • 一呼吸の基本上限5、過負荷規則も同じく適用。
  • GMは難易度に応じて活力を調整できる (弱い放浪妖魔: 活力8、強いもの: 活力12)。

設計意図: 将/主の指揮下にある卒/練は「軍の兵」であり、分隊命令で一斉に動く。指揮官のいない放浪妖魔は「野生動物」のように本能で単独行動するため、自前の活力を持つ。

指揮官死亡時: 戦闘中に指揮官(将/主)が戦闘不能になった場合、配下の卒/練分隊は06-06の無指揮分隊表に従う。放浪活力は獲得しない (無指揮行動パターンへ即座に移行)。

#新規妖魔の制圧力換算式

新規妖魔を設計するとき、制圧力の数値は下記の基本表に従う。特殊妖魔だけ例外設定。

等級基本制圧力分隊編成時
+0.5 (個体)分隊(3~5体) +1 (装飾)
卒 個別+1分隊(4~5体) +2
練 個別+1 (単独)分隊(3~4体) +3
+4 (独立ユニット)
+1.5 + 美オーラ

補正要因 (累積不可、最高値のみ):

  • 神聖・結界領域 (例: 現人神の神域): 追加 +1
  • 恐怖オーラ (例: 大鬼、タタリガミ): 敵区域の制圧力 -1 (相殺)

O-oni warlord: mountain-sized shoulder and adult-height horns cresting a pavilion roof, a fist on a giant kanabo, frozen tiny figures below

設計原則: 制圧力はユニットの「戦場での存在感」である。戦力・防備と違い、単なる体格ではなく「敵を萎縮させる威圧」を表現する。同じ戦力3の妖魔でも、「雷を呼ぶ天狗」は「森から飛び出す鵺」より制圧力が高い (神話的格 + 美オーラ反映)。


#非実体統一規則

非実体タグを持つすべての妖魔には下記規則を適用する (個別スタットブロックでの反復記載は省略):

[非実体]
- 物理攻撃命中時: d10を1回。1~5は無効 (50%)。
- 退魔技能入門(1点)以上の保有者の攻撃: 非実体チェック免除 (100%有効)。
- [霊体]攻撃(呪術、結界を含む): 非実体チェック不要 (100%有効)。
- 攻撃ごとにチェック (連撃疲労とは独立)。

[霊体]攻撃を受ける側の退魔段階別処理: §退魔段階別免除表参照 — 未保有は防備そのものを迂回(自動命中級、目標値10固定)、入門(1点)通常防備 -2、習得(2点)通常防備 -1、免許(3点)+ 完全に通常防備。


#下級妖魔

#雑鬼 (雜鬼) — 雑

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名の通りの取るに足らぬ雑鬼。人の膝ほどの高さでちらつく、ぼんやりと軽い形をしており、群れをなして集団の縁を埋める。細い口笛のような音を漏らすが、刀が一度かすめればそのまま散って消えるので、一匹一匹は斬るほどのものでもない。

戦力0。攻撃宣言で即死。制圧力0.5。 技法: なし (自前の行動なし)。存在そのものが制圧力に寄与。

#餓鬼 — 卒

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腹だけが太鼓のように膨れ、手足は枯れ枝のように細い灰色の群れ。喉が針ほどに狭く、いくら食らっても満たされないので、目は常に飢えでぎらつき、口は何にでも向かって開く。近づくたびに乾いた皮が擦れ合う音と、唾を呑む音が先に聞こえる。飢えが分別を消したせいで敵味方を選ばず、最も近い肉へと突進する。一匹二匹なら笑止だが、五匹が一口を狙って集まれば人を生きたまま食いちぎる。

戦力1、防備10。制圧力 +2 (分隊5体)。 技法:

  • 爪裂き [技法] — (指揮時) | 2d10 + 勇(+0) >= 防備 | 1戦力。敵味方を問わず攻撃。
  • 狂乱噛み [技法] — (指揮時) | 2d10 + 體(+0) >= 防備 | 被害なし。対象の次の攻撃 -1 (恐怖)。

#妖狐 — 卒

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低く野犬のような姿勢で草むらを滑る野狐。だが次の瞬間に振り返れば、いつの間にか道連れの顔をして傍らに立っている。逆立った背の毛と細く裂けた目、口元に浮かぶ嘲りのような表情がその正体を漏らすが、その偽装が剥がれる頃にはすでに爪が肉を裂いた後だ。疑いを抱く前には仲間に見え、疑いを抱いた後にはどこへ消えたのか見えない。

戦力1、防備11。制圧力 +2 (分隊3体)。 技法:

防御: 幻術回避 [技法] 予約1/即興2 | 幻影で置き換える。成功時、被撃無効+潜入状態。

  • [技法] — (指揮時) | 2d10 + 技(+1) >= 防備 | 1戦力。
  • 変装 (變裝) [構え] — (指揮時) | 維持 | 味方に偽装。感知 >= 13に失敗すると発見不可。

#中級妖魔

#鬼 — 将

鬼の気配。全身像ではなく、一本の角、金棒を握る巨大な片手、白い余白から浮かび上がる暗い肩のかたちのみ。流血も全身像もなし。

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人の背丈をはるかに上回る赤、あるいは黒ずんだ巨躯。額には角が生え、口元には猪のような牙が突き出し、分厚い皮膚そのものが並の刀なら受け流す鎧である。片手に握った鉄棒は大人二人がかりでも持て余す重さだが、鬼はそれを片腕で振るって一撃で人を押し潰す。近づくたびに地が鳴り、鼻息混じりの低い唸りが先に聞こえてくる。

戦いを好みながらも卑怯を知らぬ武士の矜持を持つ存在ゆえ、正面から立ち向かう敵をむしろ歓迎する。一度咆哮を放てば、傍らに並ぶ手下たちの結束が揺らぐほどその威勢は圧倒的だ。人はこの巨体を見た瞬間、刀の柄を握る手が先に固まるので、鬼が振るう前にすでに半ばは気勢に押されている。

鬼武者 — 将
戦力4, 防備14, 活力10
勇+3, 技+0, 體+2
制圧力 +4

技法:

技法類型活力判定効果限界
強打 (强打)攻撃A (勇)32d10 + 勇(3) >= 防備1戦力 + 敵制圧力 -1
横掃 (橫掃)攻撃B (體)32d10 + 體(2) >= 防備同じ区域の敵2体をそれぞれ判定。各1戦力。呼吸1回
金棒受け防御予約2/即興32d10 + 體(2) >= 敵攻撃被撃無効。成功時、敵武器に耐久 -1。
[免許] 大回転 (大回轉)攻撃42d10 + 勇(3) >= 防備同じ区域の敵全員を判定。各1戦力。間合1回

特殊:

  • 咆哮 [整備]: 小康時、隣接区域の分隊結束力 -1。
  • 鬼の皮: 防備14のうち4は自然甲冑 (皮膚そのもの)。[貫通]は自然甲冑を対象にすると明記された攻撃にだけ適用する。[破壊]は装備損傷補助効果なので鬼の皮には適用しない。[霊体]攻撃は通常通り作用する。

#天狗 — 将

天狗の気配。横顔に長い鼻の面のような顔、羽団扇と山風の筆致、白へ溶けていく身体、誇り高く油断なく見据える。

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赤い顔に高く突き出た長い鼻、背には大きな翼を畳んだ山の主。山伏装束に高歯の下駄を履き、羽団扇を一つ手に握ったまま、崖際の松の上に君臨するように立っている。その団扇を一度煽れば谷に突風が起こって人を木の葉のように飛ばし、その気になれば雲を踏んで峰から峰へと跳び渡る。山をみだりに穢した者へ下る天罰のように、その登場は常に風の異変とともに訪れる。

武芸と道術に通じた矜持が天を突き、人を一介の小物として見下す。だが礼と武を知る者には意外にも話が通じる面もあり、傲慢さと威厳が一身に宿る厄介な存在だ。魅惑の歌の一節で敵の心を揺さぶり、跳ね上がっては突き降りるその速さの前に、人は刀を振るう間さえ得られない。

大天狗 — 将
戦力4, 防備15, 活力11
勇+1, 技+3, 美+2
制圧力 +4

技法:

技法類型活力判定効果限界
天狗采打攻撃A (技)22d10 + 技(3) >= 防備1戦力。
旋風攻撃B (美)3— (自動)対象区域全員を強制移動(隣接区域、GM決定)。被害なし。間合1回
羽団扇受け (羽團扇受け)防御予約1/即興22d10 + 技(3) >= 敵攻撃被撃無効 + 敵を強制移動(1区域)。
[免許] 魅惑の歌2美対立(2d10 + 美(2) vs 敵 2d10+勇)失敗時、1間合行動不可。間合1回

特殊:

  • 飛行: 外部↔任意地点 1活力。
  • 審判 [型] 3活力、間合1回: 対立判定。敗者2戦力。

構え:

  • 風の支配 [構え] 2活力: 維持中、同じ区域の敵遠距離技法 -3。

#怨霊 (怨靈) — 将

甲冑怨霊の空の兜、非実体の槍、長く伸びた怨念の影。

#

戦場で恨みを抱いて倒れた武士の鎧が、それを着ていた体は消えたまま独りで立ち上がった姿。兜の中は空ろで闇ばかり、鎧の隙間からはかすかな青い光だけが漏れ出る。槍を構えても、それが肉を斬り込む手応えがなく、手は虚空を斬り、かえってこちらの槍だけがその体をそのまま通り抜ける。近づく時に足音はなく、ただ鎧の小札がひとりでに擦れるざわめきと冷気だけが先に訪れる。

思念はただ一つ——己が死んだ場所で解けぬまま残った恨みである。その槍に一度触れた者には冷たい恨みが取り憑き、休もうとするたびに見えぬ手が気力を蝕む。刀が効かぬと悟った者が冷気の中で感じるのは、恐怖というより、解かれぬまま彷徨う誰かの深い悲しみである。

甲冑怨霊 (甲冑怨靈) — 将
戦力3, 防備15, 活力8
勇+2, 技+1
制圧力 +3 (非実体なので将級基本+4から下方修正)

技法:

技法類型活力判定効果限界
怨みの槍 (怨の槍)攻撃A (勇)22d10 + 勇(2) >= 防備[霊体]。1戦力。§退魔免除表適用。
冷気 (冷氣)攻撃B (智)2— (自動)対象区域全員が精神耐性 (勇>=11)。被害なし。間合1回
非実体回避防御自動物理攻撃を受けた時、d100 01~50無効。退魔入門(1点)+は免除。

特殊:

  • 非実体: 物理50%無効 (上の防御参照)。退魔入門(1点)+は免除。
  • 怨み感染: 命中した対象に「怨み」 — 小康ごとに1戦力追加 (退魔>=13で解除)。

#蜘蛛 — 練

白い余白に張られた数本の蜘蛛の糸と、一本の毒牙の影。

#

車輪ほどの体が軒下や洞窟の天井に逆さまにぶら下がっている。人が気づくのは常に蜘蛛の糸が先だ——顔に張りつく粘ついた糸、その糸を辿って視線を上げれば、闇の中で八つの目が同時に光る。動きは緩慢だが、一度跳躍すれば人の背丈を一息に超え、毒牙が刺さった箇所はやがて黒く腫れ上がる。もがくほど糸は固く絡みつくので、捕らえられた者は生きたまま蜘蛛の糸に包まれてその日の糧となる。

大蜘蛛 — 練
戦力3, 防備13
制圧力 +3

技法:

技法類型活力判定効果限界
毒牙攻撃A— (指揮時)2d10 >= 防備1戦力 + 毒(小康ごとに1戦力、體>=13で解除)。
蜘蛛糸攻撃B— (指揮時)2d10 + 技(+1) vs 敵 2d10+體被害なし。捕縛(移動不可1間合)。呼吸1回

#鵺 — 将

片目、尾、爪だけが見える合成獣のシルエット。

#

一頭の獣の形にはどうにも収まらぬ入り混じった体。猿の顔に狸の丸い胴、虎の脚、そして尾は生きて動く一匹の蛇である。どの部位を防いでも別の部位が隙を狙うので、爪を払いのければ背後から蛇の尾が毒牙を立てて入り込む。夜空の雲間を黒い影として漂い、舞い降りる姿は、何一つとして名づけようのない不吉さそのものだ。

Tanuki trickster: round-bellied silhouette, a leaf on its head, half-becoming a teahouse pot, a small sake flask; playful

何よりその鳴き声が先に人の肝を冷やす。細い鳥の口笛のようでありながらどこか人の呻きに似たその声が夜気に乗って広がれば、聞く者の心はわけもなき不安に縮こまり、傍らの手下たちさえざわめく。鵺は姿を現す前に、まずその声で訪れる。

鵺 — 将
戦力4, 防備14, 活力10
勇+2, 技+1, 體+3
制圧力 +4

技法:

技法類型活力判定効果限界
毒尾攻撃A (勇)12d10 + 勇(2) >= 防備1戦力 + 毒。低活力で連打可能。
複合爪攻撃B (體)32d10 + 體(3) >= 防備2戦力。会心時3戦力。呼吸1回
合成獣防御 (合成獸防)防御予約2/即興32d10 + 體(3) >= 敵攻撃被撃無効。蛇の尾が反撃(自動毒判定)。

特殊:

  • 咆哮: 小康時、全区域の分隊結束力 -1。
  • 複合体: 3種類の動物特性。毒尾(蛇)+爪(猿)+頑丈な體(狸)。

#上級妖魔 (主級)

#大鬼 — 主級

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並の鬼が人を見下ろすなら、大鬼は小さな楼閣を見下ろす。一群の鬼を率いる頭目だけあって、その図体は山裾の岩を思わせ、頭に生えた二本の角は大人の背丈ほどもあり、両腕に握りしめた大金棒は一度振り下ろせば地を割って人々を遠くへ転がし飛ばす。皮膚は鋼より頑強で並の刀は刺さる前に弾かれ、その上を走る無数の傷跡が数えきれぬ殺戮の歳月を物語る。

最も恐ろしいのは、なかなか倒れぬという点だ。息絶えたように膝をついても、しばらくすれば再び二本の足で立ち上がるので、「終わった」という安堵こそが最も危うい瞬間となる。怒りが極に達すれば己の防備さえ忘れ、ただ砕くためだけに突進してくるが、その狂気に駆られた一撃は鎧ごと人を押し潰す。

その巨躯が足を踏み入れるだけで一帯に恐怖の領域が敷かれる。同じ場に立つ者は脚が固まって刀を構える気さえ起こせず、出くわした手下たちは戦う前から戦意を失う。人の群れで立ち向かってこそようやく勝算が見える、一匹で戦場一つを押し潰す災いである。

大鬼 — 主級
戦力6, 防備16, 活力12
勇+4, 技+1, 體+3, 美-3
制圧力 +6

技法:

技法類型活力判定効果限界
大金棒強打 (大金棒强打)攻撃A (勇)32d10 + 勇(4) >= 防備2戦力。会心時3戦力 + 区域全員に適用。
大地叩き攻撃B (體)4— (自動)同じ区域全員(敵味方)を強制移動(隣接)。制圧力リセット。間合1回
金棒ガード (金棒受け)防御予約2/即興32d10 + 體(3) >= 敵攻撃被撃無効。敵武器破損 (耐久 -2)。
[免許] 鬼の一撃攻撃52d10 + 勇(4)+1 >= 防備3戦力[貫通 3] + [破壊] (対象甲冑損傷)。戦闘1回

特殊:

  • 不死の肉体: 戦力0時、體判定(>=13)成功 → 戦力2で復活 (1回)。
  • 恐怖の領域 [構え]: その区域に進入した時、勇>=13に失敗すると無防備。
  • 咆哮: 小康時、隣接2区域の分隊結束力 -2。

構え:

  • 怒り [構え] 2活力: 維持中、すべての攻撃技法 +2。自分の防備 -2 (デバフ)。「攻撃に狂った状態」。

#九尾狐 — 主級

九尾狐の気配。色のない宮廷装束の袖の奥に、面のような蒼白い狐の顔と数本の黒い尾の曲線のみ。妖艶で危うく、獣の全身像はなし。

#

初めて対するのは獣ではなく、この上なく美しい人だ。絹衣を纏った気品ある貴人の姿で、声は聞く者の警戒を溶かし、眼差しは一度触れるだけで心を奪う。その背後に九つの尾が絹の影のようにちらつくのに気づいた時には、すでにその魅惑に深く溺れた後である。

刀を抜いてもなかなかその本体には届かぬ。斬ったと思えばそれは幻影であり、当の本人は嘲るように別の場に立っている。傍らには己の影から分かれ出た分身が共にちらつき、どちらが本物か見分けがたい。指先からは青い狐火が立ち、一言の妖術の言葉が人の精神を内側から崩す。

だが真の脅威は爪ではなく、心を翻させる力だ。大魅惑の歌の一節があれば、傍らで刀を構えていた仲間が突如こちらへ切っ先を向ける。最後の二尾に宿る千年の妖力は並の武器では傷一つつけられぬので、退魔と結界の力なくして九尾狐を最後まで追い詰めることは人の手に余る業である。

九尾狐 (玉藻前) — 主級

![Tamamo-no-Mae as noblewoman, faint multiple tail curves behind a court sleeve, a folded blank fan, cold poise; beast hidden](../../../assets/interior/20260624/batch-5-additional/YM5-03.webp)

戦力7, 防備17, 活力13
勇+1, 技+2, 美+5, 智+3, 運+2
制圧力 +5

技法:

技法類型活力判定効果限界
狐火攻撃A (智)22d10 + 智(3) >= 防備1戦力。遠距離(隣接区域)。
妖術攻撃B (美)22d10 + 美(5) >= 防備[霊体]。1戦力。精神攻撃。対象の次の判定 -3。呼吸1回
幻影回避防御予約1/即興22d10 + 技(2) >= 敵攻撃被撃無効。幻影で置き換える。敵混乱(次の攻撃 -2)。
[免許] 大魅惑3美対立(2d10+5 vs 敵 2d10+勇)区域全員。失敗者は2間合味方に転向戦闘1回

特殊:

  • 9本の尾: 戦力7のうち最後の2は「尾の封印」 — 退魔/結界でのみ減少。
  • 分身: 戦闘ごとに3回。卒級分身1体を生成。
  • 変装: 人間に完璧変装。感知>=17でなければ看破不可。

構え:

  • 魅惑の領域 [構え] 3活力: 維持中、同じ区域の敵全員が毎呼吸に美対立。失敗時、行動不可。

#酒呑童子 — 主級 (勢力首領)

Shuten-doji oni-king: one horned shoulder reclining on a throne, a hand lifting a sake cup, a man-height kanabo leaning, drunken haze; face blank

#

鬼と呼ばれるすべてのものの頂点に立つ巨躯。赤い顔は酒気でいっそう濃く火照り、口元には常に微笑とも嘲りともつかぬ表情が浮かんでいる。片手には盃、もう片手には人の背丈を超える金棒を持ったまま、玉座に斜めに寄りかかって山河を見下ろす。その巨躯が身を起こすだけで洞窟全体がざわめき、足を運ぶたびに岩が鳴る。

飲むほどに強くなる奇異な存在ゆえ、酒が回れば体から濃い酒気が霧のように広がり、同じ場に立つ者たちの精神を惑わす。己の身を顧みず振るう金棒の一撃は人を鎧ごと吹き飛ばし、息絶えたように見えても酒の力で再び立ち上がる。山河のすべての鬼が彼の威厳の下に結束するので、彼が健在な限り酒呑山の軍勢は決して崩れぬ。

ただしこの王には、単なる猛々しさを超えた何かがある。人間の弱さを深く蔑みながらも人間が醸した酒だけは心から愛し、己に立ち向かえるほど強い人間の前では嘲りを収めて敬意を表す。酒を捧げ、大胆に向かい合って座る者には、刀の代わりに盃を勧める余地がある、傲慢ながら器の大きな敵だ。

酒呑童子 — 主級 (酒呑山首領)
戦力8, 防備17, 活力14
勇+5, 體+4, 美+2, 運-2
制圧力 +7

技法:

技法類型活力判定効果限界
大金棒強打 (大金棒强打)攻撃A (勇)32d10 + 勇(5) >= 防備2戦力。会心時3戦力 + 強制移動。
酒気 (酒氣)攻撃B (體)3— (自動)同じ区域全員(敵味方)。體>=13でなければ判定 -3 + 恐怖。酒の気。間合1回
鬼王防御 (鬼王防)防御予約2/即興3自動被害 -2戦力(最低1)。自然防備。
[免許] 山を呑む (山呑み)52d10 + 勇(5)+2 >= 防備4戦力。区域地形ギミック1個を破壊戦闘1回

特殊:

  • 不死の肉体: 戦力0時、體(>=13)成功 → 戦力3で復活 (1回)。
  • 酒の力: 戦闘開始時「酒ボーナス」 — すべての攻撃 +2、自分の防備 -2 (デバフ)。酒がなければボーナスなし。
  • 鬼の王: 酒呑山所属のすべての鬼分隊は結束力 +2。酒呑童子が戦闘不能になると全分隊結束 -3。
  • 交渉可能: 酒を献上すれば交渉(>=17)可能。人間への蔑みは強いが、強者を尊重する。

構え:

  • 酒毒の領域 [構え] 3活力: 維持中、同じ区域の敵全員が毎呼吸に體>=13。失敗時、判定 -2。

伊吹山の王。鬼の中の鬼。人間の酒を愛し、人間の弱さを蔑む。だが強い人間には — 敬意を払う。


#閻魔童子 — 主級 (封印された大悪鬼)

#

万年の封印の中に眠る古代の大悪鬼。初めて対するのは存在そのものではなく封印だ——注連縄と護符が幾重にも巡らされた巨大な岩や祠の奥から、人を押し潰す重い気配だけが漏れ出る。封印が一枚ずつ解かれてその姿が現れ始めると、地獄の裁判官だったという昔語りそのままに、威厳と恐怖が一つに宿る巨大な形が立ち上がる。その眼差しが一度触れるだけで、人は己の罪を裁かれるような冷たさに包まれる。

この存在の恐ろしさは肉を斬ることにあらず、心を裁くことにある。審判の手が指せば人の心は一段と暗い方へ引き寄せられ、地獄の火炎が一区域を丸ごと焼き尽くす。死すらこの悪鬼には束の間にすぎず、再び封印しなければ散った力は数日のうちに完全に戻ってくる。刀では終わらせられず、ただ定められた儀式と封印の鍵によってのみ再び眠らせることができるので、立ち向かう者に課された務めは勝利ではなく封印である。

封印が完全に解ける、その瞬間を昔の人々は最も恐れた。死んだ者が墓から戻り、生きた者が裁きの台に上る、世の秩序が覆る日だからである。閻魔童子を扱うときに卓に敷かれるべきは、一匹の怪物との戦いではなく、決して目覚めてはならぬ何かをかろうじて押さえているという終末の緊張である。

閻魔童子 — 主級 (古代悪鬼、封印状態)
戦力10, 防備19, 活力15
勇+5, 體+5, 智+3, 美+4
制圧力 +8

技法:

技法類型活力判定効果限界
審判の手攻撃A (美)3美対立(2d10 + 美(4) vs 敵 2d10+勇)2戦力 + 三道六心強制判定: 失敗時、心が一段階暗い方向へ移動。
地獄火攻撃B (智)4— (自動)同じ区域全員3戦力。結界内ユニットは免除。戦闘1回
鉄壁 (鐵壁)防御自動防備19のうち4は封印の残滓。退魔技法命中時、封印残滓防備 -1(永続)。
[免許] 輪廻62d10 + 美(4)+3 >= 防備対象1体即死(戦力無関係)。體>=18でなければ防御不可。主級は免除。戦闘1回

特殊:

  • 封印状態: 最初は封印の中にいる。封印解除 = 4段階 (シナリオ依存)。各段階解除ごとに戦力 +2、技法1個解禁。
  • 地獄の裁判官: 三道六心へ直接干渉。審判の手でキャラクターの心を変える。
  • 不滅: 戦力0になっても再封印しなければd10日後に戦力全量回復。
  • 弱点 — 封印の鍵: シナリオで提示された特定アイテム/儀式でのみ再封印可能。物理的には殺せない。

万年前に封印された悪鬼。地獄の裁判官だったと伝えられる。封印が解ければ — 死者が戻り、生者が裁かれる。


#玉藻前 — 主級 (尾羽山首領)

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九尾狐がただ獣の本能で人を惑わすなら、玉藻前は千年を生き、人の世を読む術を身につけた真名の存在だ。見た目はこの上なく優雅な貴婦人——乱れなき絹衣と端正な微笑、相手の内心を見抜く落ち着いた眼差しが先に近づいてくる。その姿に獣の痕跡は微塵も映らぬので、向かい合って座る者は自分が妖狐と対面しているという事実さえ知らぬまま会話に引き込まれる。

この存在はめったに自ら刀を執らぬ。彼女の戦場は人の心と権力の座であり、密約と裏切りと離間で敵を内側から崩す。やむなく争うことになっても千年の妖術の一言があれば傍らに立つ仲間が切っ先を向け、最後に繰り出す絶対魅惑の前では戦場全体が彼女の側へ寝返る。九つの尾に宿る妖力は並の武器をことごとく逸らすので、正面の力では決してその真身に届かぬ。

最も恐ろしい点は、どこまでが彼女の手によるものか、ついぞ知り得ぬところにある。一座の密取引の裏にも、一勢力の内紛の裏にも、彼女の尾が垂れているかもしれぬ。交渉に応じるようでいて約束を守るかは未知数ゆえ、玉藻前と対した者が抱えていかねばならぬのは、一度の敗北ではなく、ついぞ消えぬ疑念である。

玉藻前 — 主級 (九尾狐の真名、尾羽山首領)
戦力7, 防備17, 活力13
勇+1, 技+2, 美+5, 智+3, 運+3
制圧力 +6

九尾狐テンプレートを基にしたネームド主級妖魔。九尾狐より交渉/政治能力を強化。

技法:

技法類型活力判定効果限界
狐火攻撃A (智)22d10 + 智(3) >= 防備1戦力。遠距離(隣接区域)。
千年妖術攻撃B (美)3美対立(2d10 + 美(5) vs 敵 2d10+勇)失敗時、2間合味方に転向 + 三道六心の魔方向へ1段階移動。間合1回
第九尾防御自動尾で防御。被撃時d100: 01~30無効。尾1本につき3%追加
[免許] 絶対魅惑 (絶對魅惑)5美対立(2d10+5+3 vs 敵全員 2d10+勇)戦場全員。失敗時、戦闘終了まで味方に転向。三道六心 覇/魔のみ抵抗 +3。戦闘1回

特殊:

  • 9本の尾: 九尾狐と同じ。最後の2戦力は退魔/結界でのみ減少。
  • 完璧な変装: 人間に完璧変装。感知>=18(事実上不可)。正体を見るには特殊アイテムが必要。
  • 政治的存在: 戦闘より交渉/政治が本業。戦闘を避け、密約/裏切り/離間で目的を達成。
  • 交渉可能: 交渉(>=17)。成功しても約束を守るかは未知数。

尾羽山の真の主人。千年を生きた。人間の歴史を操ってきたと主張するが — 真実は誰も知らない。堺座の密貿易の裏にも、比叡練の異端弾圧の裏にも — 彼女の尾があるかもしれない。


#混流 — 将級 (霊界存在)

霊脈の亀裂と、波のように捻れた黒い流れ。

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人の姿でも獣の姿でもなく、霊界の気そのものが意志を得て流れる形。地に裂けた霊脈の隙間から波のようにねじれた黒い光が湧き上がり、一定の輪郭なく絶えず揺らめいて形を変える。近づけば髪が逆立ち、肌に静電気のような痺れが広がるので、形を見る前にその気が先に肌に触れる。刀はその流れを斬れず、触れる手さえ霊流に呑まれて無為に帰す。

この存在は敵でも味方でもない。ただ霊界の均衡だけを望み、己が宿る霊脈の状態に応じて姿と勢いが刻々と変わる。霊脈が生きている場では力が満ち、それが枯れたり汚れたりすれば怒りで黒く煮え立つ。霊脈を穢した者には流れを逆しまに巡らせて緩やかに蝕んでゆき、それを蘇らせた者には偽りなき感謝で応える。

それゆえ混流は斬り伏せる敵というより、推し量るべき存在だ。汚れた霊脈を浄化すれば二つとなき同盟となって霊界の門を開閉する鍵となってくれるが、その均衡に逆らう者には現世の何をもっても防げぬ流れとなる。卓に着く者が向き合うのは怒れる怪物ではなく、人の事情など斟酌せぬ自然の意志である。

混流 — 将級 (霊界の化身)
戦力5, 防備15, 活力12
智+4, 美+3
制圧力 +5

技法:

技法類型活力判定効果限界
霊流放出 (靈流放出)攻撃A (智)32d10 + 智(4) >= 防備[霊体]。2戦力。遠距離(2区域)。§退魔免除表適用。
霊脈操作 (靈脈操作)攻撃B (智)3— (自動)区域1つの霊脈を活性化または汚染。活性化: 小康時に全員戦力1回復。汚染: 小康時に全員戦力1減少。間合1回
霊体障壁 (靈體障壁)防御予約1/即興2自動非実体防御。物理攻撃d100 01~50無効。退魔入門(1点)+は免除。

特殊:

  • 霊界存在: 現世では5間合ごとに戦力 -1。霊脈区域では減少なし。
  • 霊脈依存: 霊脈区域で戦力 +2、活力 +3。霊脈のない区域では弱化。
  • 交渉可能: 霊界の均衡を守る存在。霊脈汚染を解決すれば同盟。交渉(>=15)。
  • 封印媒介: 混流を通じて霊界の門を開閉できる。キャンペーン核心NPC。

霊界のエネルギーが意志を持った存在。敵でも味方でもない — 霊界の均衡だけを望む。霊脈が汚染されれば怒り、浄化されれば感謝する。


#兵団 (兵團) — 戦術基準再編

すべての勢力の分隊は戦術で統一する。→ 部隊運用 §分隊戦術

#勢力別 卒分隊戦術

卒分隊は指揮官の分隊命令で戦術を発動する。各卒分隊は[戦術:型]1個 + 陣営基盤[戦術:素養]1個を持つ。

一斉射撃処理: すべての分隊一斉射撃は部隊運用 §一斉射撃命中強度比例表を使う。別の補助ロールはない。命中ロール(2d10)1回ですべて決定。

勢力分隊名陣営基盤 [戦術:素養]攻撃戦術 [戦術:型]追加費用判定特殊効果
カグラ藩カグラ精鋭槍兵正規軍律 (結束減少 -1)槍一斉突き基本2d10>=防備標準一斉射撃適用
比叡練比叡僧兵法力加護 (妖魔精神抵抗+2)薙刀一斉掃基本2d10>=防備妖魔対象の命中強度1段階上昇
堺座堺傭兵金の潤滑 (金貨→結束+1)カタナ一斉斬り基本2d10>=防備標準
風魔衆風魔下忍残影 (外郭移動-1活力)手裏剣連投基本2d10>=防備隣接区域射撃可能
一向一揆一揆槍兵不退信仰 (結束0→小康復帰)竹槍突撃基本2d10-2>=防備判定に -2 (低効率)
国友座国友職人技術革新 (建設-1活力)槌打撃基本2d10>=防備命中時、敵武器/防御耐久 -1
酒呑山小鬼分隊狂戦士の血 (戦力↓→攻撃+)棍棒乱打基本2d10>=防備標準
尾羽山妖狐工作員幻術の霧 (偽装配置)爪裂き基本2d10>=防備標準
般若祭壇浮遊怨霊怨み残留 (死亡時怨み)冷気基本自動 ([霊体])人員除去なし。結束力 -1 + 恐怖付与
無玄衆烏天狗風の加護 (遠距離50%回避)爪急降下基本2d10>=防備標準
伊吹院小蜘蛛分隊毒の領域 (区域進入毒)毒牙基本2d10>=防備命中時、追加で毒付与
霊界王座混流片世界侵食 (霊界侵食度)侵食基本2d10>=防備命中時、霊的汚染追加

#勢力別 練分隊戦術

練分隊は卒より戦術が1個多い: [戦術:型]1個 + [戦術:構え]または追加[戦術:型]1個 + 陣営基盤[戦術:素養]

勢力分隊名攻撃戦術追加戦術陣営基盤
カグラ藩騎馬武者[戦術:型] カタナ突撃 — 移動+攻撃同時、2d10+1>=防備、1戦力+制圧力-1[戦術:型] 騎馬疾走 — 移動1活力 (通常2)正規軍律
比叡練僧兵精鋭[戦術:型] 薙刀乱舞 — 区域2体判定、各1戦力[戦術:構え] 退魔陣 — 維持中、妖魔に防備 -2 (デバフ)法力加護
酒呑山鬼戦士[戦術:型] 金棒強打 — 2d10+1>=防備、2戦力、会心3戦力[戦術:素養] 怒り — 戦力半分↓時攻撃+1狂戦士の血
般若祭壇甲冑怨霊[戦術:型] 怨みの槍 — [霊体]、1戦力[戦術:素養] 怨み感染 — 命中対象が毎小康1戦力怨み残留
伊吹院大蜘蛛[戦術:型] 毒牙 — 1戦力+毒[戦術:型] 蜘蛛糸 — 捕縛(移動不可1間合)毒の領域
尾羽山白狐[戦術:型] 狐火 — 遠距離、1戦力[戦術:型] 魅惑 — 美対立、失敗時1間合転向幻術の霧
無玄衆小天狗[戦術:型] 天狗采打 — 1戦力[戦術:型] 風 — 区域遠距離無効1間合風の加護

#海上妖魔

#海坊主 — 将

波の上にそびえ立つ巨大な丸い頭と、小さな舟の影。

#

穏やかだった夜の海がわけもなく膨れ上がったかと思うと、黒く滑らかな巨大な頭が水面を割って湧き上がる。目も鼻も定かでない墨色の坊主頭だけが帆柱より高くそびえ立ち、小さな船一隻を影で丸ごと覆う。その周りに起こったうねりが舷を打ち、巨大な手が水の上に上がって甲板を探れば、船は玩具のように傾く。あまりに大きいので、小さな刀さばきなどはその体に届きもしない。

水の中こそこの存在の領域ゆえ、ひとたび人を引き込めば抜け出す術はない。海水をかき集めて防壁とするので、松明も矢も水に呑まれて無為に帰す。船乗りたちは、嵐でもないのに海が膨れたなら櫓を止めて息を殺せと言い伝えるが、海坊主は騒ぎを餌と心得るからである。

海坊主 — 将
戦力4, 防備14, 活力10
勇+2, 體+3
制圧力 +4 (水中では +6)

技法:

技法類型活力効果限界
波打ち攻撃A (體)3同じ区域全員を判定。1戦力 + 強制移動(水中)。呼吸1回
水中引き攻撃B (勇)22d10+勇 vs 敵 2d10+體。成功時、捕縛+水中へ引き込む。
海水壁防御予約2/即興3海水で防備。火器攻撃自動無効。

特殊:

  • 水中支配: 水中区域で戦力 +2、活力 +3。陸上では活力 -2。
  • 巨大: 卒以下の技法は自動無効 (大きさの差)。

#船幽霊 (舟幽靈) — 卒

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海で死んで陸に辿り着けなかった者たち。霧が濃くなればどこからか空の船一隻が音もなく近づき、水に浸かった青白い手が舷を探りながら「柄杓を貸してくれ」と請う。その請いを聞き入れて柄杓を渡せば、それで果てしなく水を汲み入れて船を沈めるので、生者の船路に己の死を分け与えようとする亡霊である。形は霧に溶けて刀が空を切り、呻き混じりの水音だけが四方を取り巻く。

戦力1、防備12、非実体。制圧力 +2 (分隊5体)。 技法:

  • 柄杓: 活力2 | 自動 | 対象船舶に浸水。毎間合、船舶耐久 -1。
  • 霧呼び: 活力1 | 自動 | 区域に霧(遠距離 -3)。1間合。

#河童 — 練

川辺の石の上の小さな河童。濡れた手と頭の皿だけを強調。

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子供ほどの背丈に、背には亀の甲羅、指の間には水かきがつき、肌は滑らかな青緑色だ。頭頂には常に水を湛えた浅い皿があり、その水が揺れている間は大人二人を川へ引き込む力を出す。泳ぎと相撲を好み、人を水辺へ誘い出すが、日差しで皿が乾き始めると嘘のように力を失い、礼をするように頭を垂れる。胡瓜を投げてやれば駆け引きに応じるほど抜け目ないが、一度水中へ引き込んだ者からは何か大切なもの——昔の人はそれを魂と呼んだ——を抜き取るという、水辺では決して油断してはならぬ狩人だ。

河童 — 練
戦力2, 防備12
制圧力 +3 (水中では +4)

技法:

技法類型活力効果限界
腕伸ばし攻撃— (指揮)射程隣接。捕縛(つかみ)。
尻子玉攻撃— (指揮)捕縛状態の敵にだけ。2戦力。「魂を抜く」。間合1回

特殊:

  • 頭の皿: 頭上の水が乾くと戦力0。火攻/乾燥環境で毎小康、戦力 -1。
  • 交渉可能: 胡瓜を好む。胡瓜提供時、交渉 +3。

#竜宮使者 (龍宮使者) — 将

宝玉を捧げ持つ水中の使者の上半身、竜鱗の袖と波の線。

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海底竜宮から上がってきた使節。鱗が螺鈿のように輝く長い裾を纏い、手には青い水光を含んだ宝玉を捧げ持ち、波を従えて現れる。挙措には獣の猛々しさではなく宮中の威儀があり、みだりに刀を抜く者を冷たく見下ろす。その鱗の鎧は並の一撃を滑らせ、宝玉から伸びた光は相手をその場に縛りつける。

本来は人を敵としない中立の存在で、海底の秩序を守る忠実な使いである。礼を尽くして言葉をかければ通行を許し、竜宮の宝を差し出すこともあるが、無礼を犯せば海そのものを武器として懲らしめる。その前に立つ者は、怪物に対した恐怖よりも、格の違う存在の前に立ったような萎縮を先に感じる。

竜宮使者 — 将
戦力3, 防備16, 活力11
智+3, 美+3
制圧力 +3

技法:

技法類型活力判定効果限界
宝玉 (寶玉)攻撃A (智)32d10 + 智(3) >= 防備2戦力 + 対象捕縛(1間合)。水中では +2。呼吸1回
海流操作攻撃B (智)2自動対象区域の移動 +3活力(1間合)。水中限定。間合1回
竜鱗防 (龍鱗防)防御予約1/即興2自動防備 +3。

特殊:

  • 交渉可能: 竜宮の使節。非常に知的。交渉(>=15)成功時、通行許可または宝物提供。
  • 妖魔だが中立: 三道六心 忠(海底秩序の守護)。

#妖 — 雑 (海上雑)

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波頭に映る青白い人魂。一つ二つなら舷をかすめる鬼火にすぎぬが、穏やかだった水面がわけもなく沸き立ち、その光が数十点に広がれば、船乗りは櫓を収めて口をつぐむ。形なき海の悪意が、頭数だけで姿を成す。

戦力0。制圧力0.5。海の雑鬼。船を転覆させようとするが、単独では無力。数十体が集まると危険。 技法: なし。水中で100体以上集まると区域「津波」環境ギミックを自動発動 (毎間合、全員1戦力)。


#古代妖魔 — 奥羽地域専用

#アラハバキ (荒脛巾) — 主級

大地の亀裂、古代の仮面のような顔、崩れた石柱の一片。

#

妖魔というより神である。蝦夷が代々畏敬してきた大地のカムイが、崩れた石柱と裂けた地の間から古代の仮面のような顔を起こす。人の物差しでは測れぬ大きさと歳月がその体に宿り、向かい立つ者は敵に出会ったのではなく、神の前に召し出されたような圧倒に包まれる。その周りでは現人神の信仰さえ色褪せるので、人が祀ってきた神々が、このより古き神の前で頭を垂れる。

ひとたび怒れば戦場そのものが崩れる。拳を振り下ろせば地が裂けて人々を四方へ投げ出し、体を揺らせば地震が起こって築いた防壁がことごとく崩れ落ちる。落ちる石と起き上がる土がおのずとその体を包み、並の一撃は届く前に散る。死すら束の間にすぎず、封印しなければ裂けた大地から再び湧き上がるので、人の武力でこの神を終わらせる術はない。

だがアラハバキはわけもなく人を害する存在ではない。大地を敬う野人には試練を下し、それを耐え抜いた者を同盟として受け入れる。この神が敵となれば踏みしめた地が崩れるが、同盟となれば他の妖魔がその威勢に押されて逃げ出す。卓に着く者が推し量るべきは、いかに倒すかではなく、いかにその試練の前に膝を屈せず敬意を表すかである。

アラハバキ — 主級 (古代神)
戦力8, 防備18, 活力14
勇+4, 體+4, 智+2, 美+3
制圧力 +7

技法:

技法類型活力判定効果限界
大地の拳攻撃A (體)4自動区域全員(敵味方)2戦力 + 強制移動。地面破壊。呼吸1回
神罰攻撃B (美)32d10 + 美(3) >= 防備[霊体]。2戦力。精神攻撃。対象は恐怖。
大地障壁防御自動被撃ごとに自動発動被害 -1戦力 (最低1)。常時。
[免許] 地震5自動戦場全体の移動 +2活力(2間合)。バリケードはすべて崩壊。全分隊結束 -1。戦闘1回

特殊:

  • 古代神格: 現人神の信仰がこの存在の前では毎間合 -1。
  • 交渉可能: 野人(蝦夷)にだけ交渉(>=17)。成功時「試練」を与える — 通過すれば同盟。
  • 封印必要: 戦力0になっても封印しなければ3間合後に戦力4で復活。

カムイ中のカムイ。蝦夷が畏敬する大地の神。敵になれば戦場が崩れ、同盟になれば妖魔が逃げる。


#山林妖魔 — 紀伊/奥羽地域

#山姥 — 練

山道の果てに立つ老婆の影。爪と杖だけが鮮明。

#

日暮れの山道の果てで出会う、腰の曲がった老婆。初めは一夜泊めてやろうと勧める人情深い老人に見えるが、微笑む口元の間から黄ばんだ牙がのぞき、杖をつく指先には獣の爪が長く伸びている。食らった分だけ己の肉が満ちるので、一口かじるたびに曲がった背が少しずつ伸び、霞んでいた目に血の気が戻る。道に迷った者の安堵を餌とする山の飢えゆえ、老婆の親切であるほど深い森の奥である。

戦力3、防備13。山中の老婆妖魔。道に迷った旅人を捕らえて食べる。 技法:

  • 捕食: 2d10 + 勇(+1) >= 防備。命中時1戦力 + 山姥の戦力1回復(吸収)。
  • 森隠し (森隱し): 森/藪区域で常時潜入状態。感知>=15。

#木霊 (木靈) — 雑

#

古い木の節の間から聞こえる谺(こだま)。人が呼んだ覚えもないのに山が人の声を返してくるなら、その場に木霊がいる。常は害をなさぬが、炎が幹を舐めた瞬間、谺は悲鳴に変わり、根が地を裂く。

戦力0。木の精霊。敵対的ではないが — 火攻めを受けると怒って練級(戦力3)に変身。 技法: なし(平時)。変身後:

  • 根激流: 区域全員(敵味方)を捕縛(1間合)。

#鎌鼬 — 卒

Invisible windblade: a tight whirlwind of curved strokes at a bend, one faint sickle-claw glint, a clean slash-line across air

#

つむじ風に乗ってくる鼬の形をした刃風。目には何も見えず、ただ肌を裂く冷たい一筋の後になって、斬られた箇所から血が噴き出す。痛みを感じる前にすでに肉が裂けていて防ぐ間さえ与えぬので、人は己が何に斬られたのかわからぬまま倒れる。山角の突風がとりわけ激しく吹き荒れたなら、その中に爪が潜んでいると思うべきだ。

戦力1、防備13(高い!)。風の鼬。見えない鎌風。 技法:

  • 見えぬ斬り: 2d10 + 技(+3) >= 防備。1戦力 + 出血。回避技法不可(見えないため)。

分隊5体。制圧力 +2。高い防備だが戦力1 = 当たれば即死。

#狸 — 卒 (交渉可能)

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腹が丸く目の悪戯っぽい狸妖魔。木の葉一枚を頭に載せれば真っ当な武士にも、道端の茶釜にも化けるが、浮かれた心を隠しきれず、どこからか必ず丸い腹をぽんぽんと叩く音が漏れ出る。殺意より悪戯心が先に立つ存在ゆえ、道を惑わせ幻を見せてからかうことに楽しみを見出す。酒一瓶あれば化けを解いて軽口を叩き、知っていることを漏らしてくれるので、斬るより駆け引きの似合う相手だ。

戦力1、防備10。狸妖魔。変身と悪戯を好む。 技法:

  • 変化 (化け): 任意の物体/人物に変装。感知>=13。
  • 木の葉幻術: 区域1つに幻覚(敵移動 +1活力、感知>=11で解除)。

交渉可能: 酒を好む。酒提供時、交渉 +5。情報提供/非戦闘支援。

#天狗使い — 将 (無玄衆離脱者)

Fallen tengu on a crag above a path, ragged feathers, a feather fan and a single wind-blade arc thrown down; face blank

#

山の道に背いて追放された天狗。かつては修行者の風格を備えていたが、今や羽毛は荒く乱れ、目には慈悲のかけらもない傲慢だけがぎらつく。大天狗の威厳までは及ばずとも、風を操る腕前だけは健在で、手振り一つで突風を起こして人を突き飛ばし、風の刃で遠くから肉を裂く。

追放された憂さ晴らしか、弱い人間を選んでいたぶることに歪んだ楽しみを見出す。風に乗って高く舞い上がり、射程の外から焦らすように刃風だけを投げてくるので、追いつくのは難しく、やられるのは易い。山道でとりわけ意地悪な風に悩まされるなら、その上のどこかで誰かがこちらを嘲りながら見下ろしているのだ。

天狗使い — 将 (堕ちた天狗)
戦力3, 防備14, 活力10
技+3, 美+1
制圧力 +3

技法:

  • 風の刃: 活力2。2d10 + 技(3) >= 防備。1戦力。隣接区域可。
  • 突風: 活力3。自動。対象区域全員を強制移動(隣接)。バリケード耐久 -1。
  • 飛行回避: 予約1/即興2。2d10 + 技(3) >= 敵攻撃。成功時、被撃無効+外部へ移動。

特殊: 無玄衆から追放された天狗。三道六心 魔。傲慢が極まり、人間を虐げる。



#都市妖魔 — 人家/城下町

都市と城下町に出没する妖魔。人間の間に混じって暮らすか、人間の執着から生まれた存在たち。

#ろくろ首 (轆轤首) — 練

障子の向こうへ長く伸び曲がった首の黒い線。

#

昼は並の女と変わらず、端然と座って茶を注ぐ人。だが灯火が消え、眠ったと思った夜が更ければ、首が蛇のように音もなく伸びて、障子の向こうの隣室まで頭を差し入れる。天井の梁の間を漂う青白い顔を先に見た者は、悲鳴さえ上げられぬ。伸びた首は手に掴めぬ虚像ゆえ、斬るべきは闇の中に残された本来の胴である。

ろくろ首 — 練
戦力2, 防備12
制圧力 +2

技法:

技法類型活力効果限界
首伸ばし攻撃A— (指揮)射程隣接区域。2d10 + 技(+1) >= 防備。1戦力 + 恐怖。「首が隣接区域まで伸びる」。
悲鳴攻撃B— (指揮)同じ区域全員が精神耐性(勇>=13)。被害なし。間合1回

特殊:

  • 人間偽装: 昼は普通の人間。感知>=13でなければ発見不可。夜だけ妖魔化。
  • 非実体(首): 伸びた首部分は非実体。本体を攻撃しなければ有効にならない。

#化猫 — 卒~練

二股に分かれた尾と小さな鬼火、低く構えた猫の目。

#

長く飼われた猫が人の言葉を解し、人の翳った心まで読むようになった果ての姿。並の飼い猫として軒下をうろつくが、その瞳が闇の中で火種のように燃える時、尾が二股に分かれた老いた化け物であることが露わになる。股に分かれた尾の先から青い鬼火を吐き、その炎で埋めたばかりの亡骸を起こして己の手足のように使う。枕元に蹲って喉を鳴らしていた獣が、ある夜、主の顔を借りて立ち上がる——それが化猫の恐怖だ。

化猫 — 卒 (一般) / 練 (猫又)
一般: 戦力1, 防備12。分隊3体。制圧力 +2。
猫又: 戦力3, 防備14。制圧力 +3。

技法 (卒):

  • : 2d10 + 技(+2) >= 防備。1戦力。技基準で正確。

技法 (練 — 猫又):

技法類型活力効果限界
怪火攻撃A (智)— (指揮)2d10 + 智(+2) >= 防備。1戦力。遠距離(隣接)。尾から噴く鬼火。
屍操り— (指揮)隣接区域の死体1具を卒級アンデッドとして操る。戦力1、1間合持続。間合1回

特殊:

  • 猫又: 尾が二股に分かれた古い猫。練級。
  • 人間偽装: 感知>=13。

#付喪神 — 卒

古びた灯籠と傘がうっすらと目を開けたような小さなカット。

#

百年を超えた家財道具が、ある日目を覚ましたもの。閉じた納屋の中で壊れた傘が片足でぴょんぴょん跳ね、捨てられた灯火が舌を出してけらけら笑い、履き古された草履がぺたぺたと床を渡る。凶暴というより拗ねた方に近く、長く使われた末に無情に捨てられた口惜しさを、騒々しい騒動として吐き出す。だが元来道具であるがゆえ、その体を一度壊してしまえば未練も共に散るので、「もう一度使ってくれ」という愚痴を聞いてやる方が、かえって穏やかに送り出す。

古い道具に宿った精霊。傘おばけ(傘)、唐傘(草履)、提灯おばけ(灯籠)など。

戦力1、防備10。分隊5体。制圧力 +2。 技法:

  • 物攻撃: 2d10 + 體(+0) >= 防備。1戦力。自分自身(道具)で殴る。
  • ポルターガイスト (騒霊): 自動。区域内の固定されていない物体が飛び回る。区域移動 +1活力、遠距離 -1。

特殊:

  • 弱点 — 道具破壊: 元の道具を破壊すると即死。武器攻撃1回で可能 (戦力無視)。
  • 交渉可能: 長く使われた物への未練。「私をもう一度使ってほしい」。美>=11交渉で退去。

#塗壁 — 練

白い道を塞ぐ黒い壁のシルエットと、足元の弱点を示す線。

#

夜道を歩いていると、確かに開けていた前方がある瞬間、果てしない土壁で塞がれる。左右に回り込もうとしても壁はそのぶん長くなり、上を見上げても果てがない。形といえば土塀そのものなので、押してもびくともせず、呼ばわっても答えがないので、旅人は自ずと疲れ果ててその前に座り込む。ただし昔語りのように足元を棒で払ってみればそこに隙間があり、下を打ってこそようやく壁が道を空ける。

塗壁 — 練
戦力4, 防備16(非常に高い)
制圧力 +2

技法:

技法類型活力効果限界
構え— (自動)通行妨害。このユニットがいる区域と隣接区域の間の移動不可 (迂回必要)。常時
圧殺攻撃A— (指揮)2d10 + 體(+2) >= 防備。1戦力。壁が倒れて押し潰す攻撃。間合1回

特殊:

  • 不動: 強制移動免疫。突破判定を自動失敗させる壁。
  • 弱点 — 下段: 防備16だが、下段(足元)を攻撃すれば防備11。「下を打て」。
  • 実体壁: 非実体ではない。物理有効。ただし防備が非常に高く、貫通が難しい。

#地下妖魔 — 墓地/洞窟/地下

墓地と古代遺跡に出没。大悪鬼の墓地シナリオと連動。

#がしゃどくろ (餓者髑髏) — 将

巨大な髑髏の手と顎だけが見える地下墓地のカット。

#

飢えて死に、戦って死んで葬られなかった無数の骨が一つに集まって立ち上がった、家屋ほどの巨大な髑髏。空ろな眼窩には青い鬼火が揺らめき、足を運ぶたびに乾いた骨が互いにぶつかって雷鳴のような音を立てる。巨大な手が人を丸ごと掴んでめりめりと押し潰すので、小さな手下の刀さばきなどはその巨躯に届きもしない。

斬って骨を幾節か落としても無駄である。散った骨が自ら転がってきて再び元の位置にくっつき、崩れた体を埋め直すので、刀では切りがない。ただしその無数の死を慰める経文と鎮魂の力の前では鬼火が消え始める——この巨体を止める道は、斬り伏せることではなく、宿った怨霊を鎮めることにある。

がしゃどくろ — 将 (巨大骸骨)
戦力5, 防備13(骨の隙間), 活力10
勇+3, 體+4
制圧力 +5

技法:

技法類型活力判定効果限界
髑髏掴み攻撃A (勇)32d10 + 勇(3) >= 防備捕縛 + 1戦力。捕縛維持中、毎呼吸1戦力 (押し潰し)。
歯噛み攻撃B (體)22d10 + 體(4) >= 防備捕縛対象にだけ使用。2戦力。呼吸1回
骨障壁防御予約2/即興3自動被害 -1戦力(最低1)。骨が落ちる。
[免許] 死念爆発 (死念爆發)5— (自動)同じ区域全員(敵味方)2戦力 + 恐怖。自分の戦力 -1。骨が爆発的に散る。戦闘1回

特殊:

  • 巨大: 卒以下の技法は自動無効。
  • 再生: 毎小康、戦力1回復 (骨を集めてつなぐ)。退魔/封印技法で防止可能。
  • 弱点 — 経文: 退魔技法命中時、追加1戦力。仏教的鎮魂で弱化。

#食人鬼 — 卒

Jikininki stooping over a fresh grave-mound among stones at night, one clawed hand parting earth; abstract smoke, no gore

#

昼は真っ当な人として村に紛れて暮らし、夜になると死臭に引かれて墓場へ這い出してくる鬼。生きた者を襲うより、死にたての亡骸を掘り起こして食らうことを好み、戦場の死者の傍らに真っ先に群がる。亡骸を一体呑むたびに曲がった背が伸び、痩せた腕に肉がつくので、死者の多い場であるほど次第に荒々しくなる。近づけば鼻を突く死臭が先に知らせる、人と獣の境に立つ食らいである。

戦力1、防備10。死体を食う鬼。分隊5体。制圧力 +2。 技法:

  • 捕食: 2d10 + 勇(+1) >= 防備。1戦力 + 食人鬼の戦力1回復(戦闘不能対象限定)。
  • 屍臭: 自動。同じ区域の敵全員は、毎呼吸開始時に體>=11に失敗すると、区域内で判定 -1。

特殊:

  • 死体吸収: 区域内の戦闘不能ユニット1体ごとに戦力 +1回復。最大戦力3まで上昇(卒→練化)。

#泥田坊 — 卒

Dorotabo rising from a flooded paddy: black mud torso, one hollow eye, a three-fingered hand reaching for an ankle, ripples

#

手ずから拓いた田を奪われたまま死に、泥から再び起き上がった老いた農夫の怨霊。片目に指が三本だけの黒い泥の塊が田んぼの真ん中から上半身だけ突き出し、「俺の田を返せ」と声を限りに泣き叫ぶ。その粘ついた手が足首を掴めば足が泥濘に嵌まって離れぬので、逃げようとする者ほど深く沈み込む。斬り散らしても水の溜まった田が残っている限り、翌日には同じ場で同じ叫びとともに湧き上がる。

戦力1、防備9。田畑の怨霊。分隊3体。制圧力 +1。 技法:

  • 泥掴み: 2d10 + 體(+0) >= 防備。被害なし。対象の移動 +2活力(1間合)。泥に足を取られる。
  • 怨みの咆哮: 自動。同じ区域への精神攻撃。勇>=11に失敗すると恐怖。

特殊:

  • 田/湿地専用: 田畑/湿地区域でのみ出現。乾いた地面では戦力0。
  • 尽きない怨み: 倒しても次の小康に同じ区域へ再出現 (3回まで)。封印/退魔でのみ永続退去。

#怨霊 (怨靈 — 特定人物) — 将

名を持つ怨霊の白い顔、垂れた髪、無表情な剣の影。

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名を持つ怨霊。彷徨う甲冑怨霊と違い、生前の顔と声をそのまま留めて、解き乱した黒髪の間から血の気のない顔がはっきりと現れる。その表情には怒りすら枯れた深い悲しみが宿り、手に握った剣は生きた武器のように青い冷気を吐く。物理の刀はその体をそのまま通り抜けるが、その剣だけは生者の肉を違わず斬る。

恨みこそがこの存在のすべてゆえ、解けぬ限り斬り散らしても数日で同じ場へ戻ってくる。だが生前に結ばれた事情を汲み取ってその結び目を解いてやれば、悲しみに歪んでいた顔が一瞬和らぎ、自ら光を収めて消える。怨霊と対した者がついに悟るのは、この戦いが何かを殺すことではなく、何かを聞き届けることだという点である。

怨霊 (特定怨霊) — 将
戦力4, 防備15(非実体), 活力9
勇+3, 美+2
制圧力 +4

一般的な怨霊(甲冑怨霊)より強力な個別怨霊。名前を持ち、生前の記憶と怨みに基づく固有技法を持つ。

技法:

技法類型活力判定効果限界
怨みの剣 (怨の劍)攻撃A (勇)22d10 + 勇(3) >= 防備[霊体]。1戦力。§退魔免除表適用。
呪い攻撃B (美)3美対立(2d10 + 美(2) vs 敵 2d10+勇)被害なし。失敗時「怨みの印」 — 毎小康1戦力、解除: 退魔>=15または怨み解消。間合1回
非実体回避防御自動物理攻撃 d100 01~50 無効。退魔入門(1点)+は免除。

特殊:

  • 怨み解消: 生前の怨みを解決すれば(シナリオ依存)、自発的に消滅。戦闘不要。
  • 怨み復活: 戦力0になっても、怨み未解消ならd10日後に復活。鎮魂(退魔>=15)または怨み解消だけが永続対策。
  • 怨みのオーラ: 同じ区域の味方全員は、毎呼吸、美>=13に失敗すると恐怖。

#霊界妖魔 (靈界妖魔) — 霊界辺境/亀裂

霊界と現世の境界に出現。霊界辺境の門(ボーダーキープ)シナリオと連動。

#混流の破片 — 卒

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霊界の流れから剥がれ落ちた、意志なき黒い水滴たち。一定の形を成さぬまま虚空を漂い、触れるものごとに墨が滲むように霊的に蝕んでゆく。刀はその朧げな体をそのまま通り抜け、一つを散らしても同じ場でまた一点が凝結して湧くので、頭数で減ることはない。結界や退魔の力でその根源を断たぬ限り、侵食は水が染み込むように、緩やかに、しかし止まることなく広がる。

戦力1、防備9、非実体。分隊5体。制圧力 +2。 技法:

  • 侵蝕: 2d10 >= 防備。1戦力 + 霊的汚染(毎小康追加1戦力、退魔>=13で解除)。
  • 増殖 (增殖): 処置時、同じ場所に1体再生成。区域封印/結界でのみ防止。

特殊:

  • 霊界の破片: 霊界のエネルギーが凝縮した形なき存在。退魔/結界で永続消滅。

#醜女 — 練

黄泉の追跡者の手と長い髪、逃げる者の足跡。

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黄泉から逃げた魂を捕らえに、生者の地まで追い下ってきた追跡者たち。蓬髪を垂らした巨躯の老婆の姿で、口は耳元まで裂け、飢えた獣のように一息に野を駆け抜ける。一度標的を定めれば隠れても気配を消しても無駄ゆえ、魂の匂いをじかに辿って追ってきて、生者の武器ではなかなか捕らえられぬ霊(靈)の爪でその背を狙う。常に二体以上が群れをなして来て、一体を倒しても残りが止まらぬので、生者の地に留まるほど己の体が朧げになろうとも、追跡だけは決して止めぬ。

醜女 — 練 (霊界の追跡者)
戦力3, 防備14
制圧力 +3

技法:

技法類型活力効果限界
霊界の爪 (靈爪)攻撃A— (指揮)2d10 + 勇(+2) >= 防備。[霊体]。1戦力。
追跡素養このユニットは潜入状態の敵の位置を自動感知。潜入状態を無効化。常時

特殊:

  • 霊界追跡者: 霊界から逃げた魂を捕らえに現世へ来た存在。現世では毎間合、戦力 -0.5 (2間合ごとに1戦力減少)。霊界区域では減少なし。
  • 複数追跡: 醜女は必ず2体以上登場。一体を倒しても残りが追跡を続ける。

#イザナミの種子 (黃泉の種子) — 将

黄泉の手が空の敷居を越えてくる場面。

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死の国・黄泉から生者の世界へ手を伸ばしてきた使者の従僕。肉が爛れ土色に腐った形が見えぬ敷居を越えてよろよろと歩いてきて、通り過ぎた跡ごとに墓の中のような腐った土の匂いが沈む。その冷たい手に捕らえられれば、人は地面ごと黄泉の方へ引き込まれるような冷気に包まれ、吐き出す死の息吹は生きた体を内側から腐らせてゆく。

生者の地は元来己の居場所ではなく、留まる間その体は緩やかに崩れてゆく。それでも黄泉の亀裂が開いている限り種子は止まらず、倒れた同族を起こして追跡者として使い、果てしなく頭数を増やす。この存在を永久に送り返す道は斬り伏せることにあらず、生者と死者をつなぐその裂けた隙間を再び封じることにある。

イザナミの種子 — 将
戦力4, 防備16, 活力11
勇+2, 體+3, 智+2
制圧力 +5

技法:

技法類型活力判定効果限界
黄泉の手 (黃泉の手)攻撃A (體)32d10 + 體(3) >= 防備1戦力 + 捕縛。捕縛対象を霊界へ引き込む (外部区域へ強制移動)。
死の息吹攻撃B (智)3— (自動)同じ区域全員。體>=13に失敗すると1戦力 + 毒(霊的腐敗)。間合1回
黄泉殻 (黃泉殻)防御予約2/即興3自動被害 -1戦力(最低1)。攻撃者に「霊的汚染」を付与する。

特殊:

  • 霊界居住者: 現世では3間合ごとに戦力 -1 (最低1)。霊界区域では戦力回復 +1/間合。
  • 死者召喚: 戦闘1回。醜女2体を召喚。
  • 退去条件: 戦力0、または霊界亀裂を封印すれば自動帰還。

#夢喰い — 練

眠る人物は見えず、枕元で夢を喰う獣のシルエットだけ。

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象の鼻に熊の体、虎の足をした奇妙な獣。眠った者の枕元に音もなく蹲り、その者が見る夢を長く吸い込むが、元来人を害そうとするのではなく、荒々しい悪夢だけを選んで食らう。心の澄んだ者の甘い夢には手をつけぬが、貪欲と恨みで煮え立つ夢はこの上なき美味ゆえ、最後まで吸い尽くす。その夢の中へ引き込まれた者は眠りから覚めぬまま己の悪夢の中で息絶えるので、枕元の闇がとりわけ重く感じられる夜を用心することだ。

夢喰い (獏) — 練
戦力2, 防備13
制圧力 +2

技法:

技法類型活力効果限界
夢喰い攻撃A (智)— (指揮)美対立(2d10 + 智(2) vs 敵 2d10+勇)。失敗時睡眠(行動不可、被撃時解除)。
悪夢投射 (惡夢投射)攻撃B (美)— (指揮)睡眠状態の対象専用。2戦力。「夢の中で殺せば、現実でも死ぬ。」呼吸1回

特殊:

  • 交渉可能: 本来は悪い存在ではない。悪夢だけを食う。交渉(>=13) — 「よい夢は食べない。」
  • 保護対象: 心の澄んだ者(三道六心 慈/眞)には攻撃しない。覇/魔を優先攻撃。


#練級妖魔拡充 (練級擴充)

#小天狗斥候 — 練

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嘴のついた小さな烏の顔に黒い翼を畳んだ幼い天狗。大天狗の威厳はまだないが、目だけは鷹のように鋭く、稜線と谷を一目で見下ろし、敵の頭数と陣形を違わず読む。高い枝や岩の先に止まって足元を窺い、何かを見つければカアと一声鳴いて山全体に知らせる。傲慢で人を見くだすが言葉は通じるので、偵察の目を撒けなかった者は、山に足を踏み入れる前から行方が露見する。

小天狗斥候 — 練
戦力2, 防備13
制圧力 +3

技法:

技法類型活力効果限界
天狗団扇打撃攻撃A— (指揮)2d10 + 技(+2) >= 防備。1戦力。
風遮断攻撃B— (指揮)自動。対象区域の遠距離攻撃 -2 (1間合)。間合1回

特殊: 飛行。偵察(配置区域情報を自動公開)。交渉可能(高慢だが会話はする)。

#小鬼戦士 (小鬼戰士) — 練

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背丈は人ほどだが肩のがっしり張った赤い肌の手下鬼。額には短い一本角が生え、手には己の図体に不釣り合いな大きな棍棒を引きずるように持つ。酒呑山の酒甕から汲んで飲んだ強酒で顔が真っ赤に火照り、怖じ気というものを忘れたままよろめいて、ひたすら正面へ突進する。酔いで足取りが乱れ一撃一撃は外れやすいが、当たれば骨が折れ、倒れても酒気で再び立ち上がるので、頭数で押し込んでくる先鋒だ。

小鬼戦士 — 練
戦力3, 防備13
制圧力 +3

技法:

技法類型活力効果限界
棍棒強打攻撃A— (指揮)2d10 + 勇(+1) >= 防備。1戦力。会心時2戦力。
突進攻撃B— (指揮)移動+攻撃同時。2d10 + 體(+1) >= 防備。1戦力 + 強制移動。間合1回

特殊: 酒呑山陣営基盤(狂戦士の血)。酒に酔って恐怖免疫だが命中 -1。

#妖狐密偵 — 練

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野狐の本能に人の知恵を加えた尾羽山の間者。並の野狐と違って人の姿を長く保てるほど老練で、侍女としても行商としても寸分違わず振る舞い、奥座敷の深くまで忍び込む。指先から青い狐火を灯して闇の中の相手の目を眩ませ、低い声で心を惑わせて刀を握る手から力を抜く。正体を見破られる気配があれば霧のような幻術を一つ撒き散らして跡形なく消えるので、斬るべき敵というより、まず見分けねばならぬ影だ。

妖狐密偵 — 練
戦力2, 防備13
制圧力 +2

技法:

技法類型活力効果限界
狐火攻撃A— (指揮)2d10 + 智(+2) >= 防備。1戦力。遠距離(隣接)。
魅惑攻撃B— (指揮)美対立(2d10 + 美(2) vs 敵 2d10+勇)。失敗時1間合行動不可。間合1回

特殊: 変装(人間偽装、感知>=13)。尾羽山陣営基盤(幻術の霧)。

#毒蜘蛛猟手 (毒蜘蛛獵手) — 練

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伊吹院の毒窟で育てられた、人ほどの大きさの狩り蜘蛛。甲羅のような硬い外皮が刀を弾き、関節ごとに棘の生えた脚が音もなく床を突く。闇の中でまず蜘蛛の糸を放って獲物の足を縛り、足をばたつかせる餌へ緩やかに近づいて毒牙を刺す。咬まれた箇所はやがて黒ずんで腫れ上がり、全身に麻痺が広がるので、ひとたびその糸にかかれば刀を振るう間さえ得がたい。

毒蜘蛛猟手 — 練
戦力3, 防備14
制圧力 +3

技法:

技法類型活力効果限界
毒牙攻撃A— (指揮)2d10 + 技(+2) >= 防備。1戦力 + 毒(毎小康1戦力、體>=13で解除)。
蜘蛛糸射出攻撃B— (指揮)2d10 + 技(+2) vs 敵 2d10+體。成功時捕縛(移動不可1間合)。呼吸1回

特殊: 伊吹院陣営基盤(毒の領域)。外皮防御: 物理被害 -1戦力(最低1)。

#甲冑餓鬼 — 練

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戦場で飢え死にした武士が餓鬼に堕ちた姿。生前に纏っていた鎧が痩せた体にだぶつき、錆とともに張りついて、その残骸がかえって硬い殻となり並の刀を受け流す。並の餓鬼のように飢えで狂っているが武士の身ごなしだけは残り、噛みついて肉片を呑むたびに痩せた腕へ束の間、昔の力が戻る。がちゃがちゃと鉄の音とともに近づいてくる、名誉も分別も飢えにすっかり蝕まれた、哀れにして危うい残骸だ。

甲冑餓鬼 — 練
戦力2, 防備14
制圧力 +2

技法:

技法類型活力効果限界
甲冑噛み攻撃A— (指揮)2d10 + 勇(+1) >= 防備。1戦力 + 甲冑餓鬼の戦力1回復(吸収)。
鎖縛り攻撃B— (指揮)2d10 + 體(+1) vs 敵 2d10+技。成功時捕縛。間合1回

特殊: 生前は武士だった餓鬼。甲冑の残滓で防備が高い。退魔命中時、追加1戦力(怨霊弱点)。

#山賊頭目 — 練 (人間)

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険しい山道を手の平のように知り尽くした、顔に刀傷の深い男。奪った鎧の切れ端をかき集めて羽織り、良い刀を一振り腰に差し、背後には飢えた手下の一団が頭目の顔色だけを窺う。言葉は荒く算盤は速く、旅人を取り囲んでは命と荷のどちらかを選べと、ゆったり駆け引きを持ちかける。妖魔のような怪力はないが人を殺すことに躊躇がなく引き際も心得ていて、金貨数枚で道を開けてやることもある、勘定に明るい脅威だ。

山賊頭目 — 練 (人間)
戦力3, 防備13
制圧力 +3

技法:

技法類型活力効果限界
刀斬り攻撃A— (指揮)2d10 + 勇(+1) >= 防備。1戦力。
威嚇攻撃B— (指揮)2d10 + 美(+1) vs 敵 2d10+勇。成功時、敵分隊の結束 -1。間合1回

特殊: 陣営基盤なし(無所属)。部下の山賊(卒4~5人)を指揮。交渉可能(金貨または命で)。


妖魔にも技法がある。敵の技法を知ることが、勝利への第一歩である。