#源氏の怨霊
目次
3~5段PC。2~3セッション分量。退魔シナリオだと思ったら、実は英霊との出会い。戦いの結末に応じて、神器獲得+義経消滅、または義経が将級の味方として加入。
- 推奨構成:PC 3~4人(3~5段)。剣術名人1人以上を含むことを推奨(一騎討ち対応)。
- 難易度:中程度(英霊への対応判断が核心――正面戦闘ではパーティが不利)
- 扱う規則:調査段階/一騎討ち宣言/流派秘技/英霊との出会い/神器譲渡/将級NPC加入/三道六心の揺らぎ

#背景
歴史的文脈:源義経(1159–1189)。平安末期の名将。壇ノ浦で平家を滅ぼしたあの日の決戦と、奥州平泉の衣川で兄頼朝に裏切られて自害した悲劇の英雄。その生涯を通じて、戦いこそが彼の喜びであり、すべてだった。
戦国の状況:それから約400年後。奥州北方の小さな領地――月山の麓の小村風緒(カザオ)。この村の近くの森に、義経の墓だと伝わる廃れた祠がある。平泉の本墓は歴史上の位置にあるが、この祠には義経の片割れの鎧を埋めたという伝承だけが残る。400年間、忘れられていた。
最近3か月:風緒村の近くで、「白い鎧武者の霊」の目撃談が増えた。夜ごと森から兜と刀がぶつかる音が聞こえる。武者修行中だった他藩の侍七人が森へ入り、戻らなかった。藩主脇坂義勝は、PC一行に退魔を依頼する。
真実:怨霊ではない。義経の英霊である。衣川の裏切りの後、その魂は昇天できなかったが、怒りに囚われた怨霊にもならなかった。代わりに、戦いそのものを果てなく求める英霊として残った。祠で眠っていた彼が400年ぶりに目覚めた理由は――薄緑、彼の旧い愛刀が、最近の森の土壌攪乱によって再び地表へ現れたため。刀が目覚めると、主もそれに続いた。
義経に敵意はない。 森に入った侍たちは死んでいない――一対一の決闘に敗れ、極度に疲れ果てて帰れずにいるだけである。義経は彼らを森で伏せて管理し、体力が戻るとまた決闘を挑んでいる。400年ぶりの楽しい遊び。
#香
#最初の場面の感覚
森に入った瞬間――苔に覆われた木の鳥居の、腐った木質の匂い。その下へ、春ではないのに舞い散る桜の花びらが足の甲に落ちる。花びらは腐らない。踏んでも潰れない。
古びた祠の石段の上に、杉脂の苦く青い香が降りている。その間から薄く――刃が空気を切る音。音の主は見えない。風が止むと、音も止む。
足下の土に、かすかな温かさが巡っている。400年が過ぎても、ここは墓ではない。誰かがまだ起きている。
#主要NPCの声
村長シゲロク(初回――低く嗄れた声、警戒):
「外から来られた方ですな。この土地は……口にするのも恥ずかしい話が多くてな。若い方々は、無理に森へ入られずともよいのです。」
村長シゲロク(信頼獲得後――低いが、ほどけた声):
「風緒という名は『風の端』という意味です。400年前、ある方がこの地の端に魂を置いていったという伝承がありましてな。衣川で兄に捨てられたその方……話している私も、まだ半分は信じておりません。」
源義経(初出現――若く穏やか、しかし果てしなく冷たい):
「長く待った。400年の間、我が前に立つ者は多かったが、我が剣を受けるに足る者は一人もいなかった。お前たちの中の一人……いや、一人だけだ。多勢は我が興を削ぐ。」
阿弥陀祐三(発見直後――ほとんど割れた笑い混じりの囁き):
「彼は笑っていました。怨霊ではなく――遊び相手を見つけた子供のような顔で。30合を耐えても、彼は私を斬りませんでした。水を飲めと言ったのです。」
#雰囲気の転換点
- 1幕序盤:霧+失踪者+死体なし=恐怖・ミステリー調。村人が森を見る視線が重い。
- 手掛かり #2(笑う生存者)以後:奇妙な違和感。「これは怨霊の話ではないかもしれない。」
- 阿弥陀祐三発見:恐怖が伝説の響きへ変わる。笹竜胆の紋の名が口に上る。
- 祠で義経出現:森全体の音が途切れる。鳥も風も止む。英霊劇の開幕。
- 一騎討ち中:時間が遅くなる。鉄の響き、花びら、呼吸――それ以外のすべてが色あせる。
- 結末直前:義経の最後の微笑。400年の待機が解かれる悲劇的な安らぎ。
#衣川の影
義経の物語のどこにも「怨み」はないが、その存在そのものが裏切りの傷痕である。兄頼朝の名は、彼の口には上らない――だがPCがその名を口にすれば、空気が一呼吸ほど固まる。それがすべてであり、それだけで十分だ。GMはこの名をただ一回だけこぼしてもよい。
#NPC
#協力者
藩主 脇坂義勝(将、戦力4)
- 40代の重厚な武士。戦闘経験豊富。義経伝承には懐疑的。
- 依頼態度:「怨霊であれ何であれ、村に害を及ぼすなら討て。ただし、正体を先に見極めて報告してほしい。」
- 報酬:金貨30(前金10、後金20)。さらに捕らわれた侍1人につき+2。
風緒村村長シゲロク(雑兵)
- 60代。この地域伝承の唯一の生きた伝承者。
- 義経の祠の存在と、近くの洞窟の古い儀式を知っている。
- 最初は隠そうとする(外地人への信頼不足)。交渉判定 2d10+美+交渉 ≥ 14 成功時に情報を開く。
失踪侍の生存者3人(各雑兵、戦力0、無防備状態で森各所に発見)
- 阿弥陀祐三(侍3段)、高瀬栄太郎(浪人2段)、酒井金次郎(侍4段)。
- 全員生きている。発見時は脱水・衰弱状態。「あの者は……怨霊ではない。笑っていた……」
- 救助時、それぞれ手掛かりを提供(調査段階参照)。
#中立――主敵
源義経(将級英霊、一騎討ち状態)
戦力: 4(霊体安定状態――薄緑とともに)
防備: 14(黒糸縅小札鎧 + 霊体防護)
活力: 13(技+3 + 英霊ボーナス)
能力値: 技+3, 勇+3, 運+2, 美+1, 體+0, 智+1
制圧力寄与: +4
剣術熟練: 名人(+3)
流派: 鞍馬流――幼少期に天狗から学んだ伝説の剣術
技法:
| 技法 | 種別 | 活力 | 制限 | 効果 |
|---|---|---|---|---|
| 薄緑連撃 | 攻撃A(技) | 2 | — | 2d10 + 技(3)+剣術(3) ≥ 防備。命中時1戦力。会心時2戦力 + 追加技法1回0活力。 |
| 八艘跳び | 移動特殊 | 2 | 間合2回 | 隣接区域、または地物2マスを飛び越える。突破・強行判定不要。壇ノ浦伝承。 |
| 受け返し | 防御予約 | 1予約/2即興 | — | 攻撃無効 + 2d10 + 技(3) ≥ 攻撃者防備。成功時、即時反撃1戦力。 |
| 鞍馬流秘技――松風剣 | 攻撃A(技) | 4 | 一騎討ち1回 | 自動会心。貫通 全体。命中時2戦力 + 対象無防備 1間合。鞍馬山の天狗が伝授した秘技。 |
原則3適用:
- 義経は原本主の英霊であるため、生前装備をすべて携帯可能(原則3例外4)。
- 装備:薄緑(神器・太刀)+脇差+小札鎧(甲冑)。両手=武器2つだが双剣ではないため、一度に使うのは一つだけ。
特殊行動様式:
- 一騎討ち好み:義経は「多勢 vs 1」を軽蔑する。パーティが乱戦に入ると、1間合で仕留めず離脱(八艘跳びで消える)。やむを得ない一対一の状況を再び待つ。
- 恐怖付与なし:怨霊ではないため、恐怖・呪い・状態異常を与えない。純粋な剣術対決だけ。
- 殺さない:対象が戦力0になると攻撃を止める。「よく戦った。回復して戻ってこい。」その後、次の決闘を期待する。
- 逃げる者には手を出さない:PCが森を出れば追跡しない。
三道六心状態:喜び(喜)――純粋な戦闘の喜び。怨み・怒り・悔恨は一切ない。これを感知判定(2d10+智 ≥ 15)で把握可能。
#シナリオ構造――3幕
[1幕: 依頼と捜索]
↓
[2幕: 調査と真実]
↓
[3幕: 対決と分岐]
↓
[結末A: 勝利 + 神器獲得]
[結末B: 勝利 + 慈悲で加入]
[結末C: 敗北 + 生かして帰される]
#1幕――依頼と捜索(1/2~1/3セッション)
#開始
脇坂藩の城で、PCが藩主から依頼を受ける。藩主の提示:
「森に白衣の怨霊が現れ、侍たちを呑んでいる。三か月前までは噂に過ぎなかったが、今や失踪者は七人だ。死体は一つも見つかっていない。怨霊であれ妖魔であれ退治し、全容を報告せよ。失踪者のうち誰かを生かして連れ帰れば、報酬は倍だ。」
#捜索初日――村へ入る
風緒村到着(藩城から馬で半日)。村の入口で村長シゲロクがPCを迎える。最初は丁寧だが口が重い。
手掛かり #1――村人たちの証言(誰に聞いても出る、自動入手):
「森へ入った人は、みな戻れませんでした。ただ……死んだ人は誰も見ておらんのです。それが妙でしてな。怨霊なら、死体くらいはあるべきではありませんか?」
手掛かり #2――村の巫女ウミ(若い神職、雑兵)の証言(積極的に会話した場合):
「先月、森から出てきた侍が村の井戸で水を飲んで去りました。彼は何も言わず、顔は青ざめていましたが――笑っていました。狂って笑っているのではなく、うれしい人のように。」
手掛かり #3――村長シゲロク(2d10+美+交渉 ≥ 14成功時):
「この村の名がなぜ風緒(カザオ)なのか、ご存じですか。400年前、ある英雄がこの地に葬られたという伝承があるからです。その魂が風のようにこの地の端に残った、と。誰かですと?――源義経公です。確かなことではありません。ですが森の奥に古い祠があるのは事実です。」
3手掛かり達成時、PCは疑い始める。怨霊にしては死体がない、笑っている、有名人物の祠がある。何かが違う。
#捜索二日目――森進入遭遇
PCが森の奥へ入ると、初遭遇。
遭遇判定:2d10+技+感知 ≥ 13。
- 成功:木の後ろで疲れ倒れている阿弥陀祐三(失踪侍1人)を先に発見。話せる状態。
- 失敗:森の霧の中で、白い影が先にPCを見つける。義経は遠距離から観察だけする。まだ一騎討ちは宣言しない。
#阿弥陀祐三の証言(手掛かり #4――核心転換点)
阿弥陀が衰弱状態で語る:
「彼は……人でした。怨霊ではありませんでした。私が先に刀を抜きました。彼は笑って『来い』と言いました。剣術が――私より二十倍速かった。私は30合を耐えましたが、疲れ果てて倒れました。彼は私を斬りませんでした。『よく戦った。水を飲んで帰れ』と言って、私をここへ寝かせたのです。
彼は――源氏の家紋を鎧につけていました。笹竜胆。それが私の覚えているすべてです。」
源氏の家紋確認:2d10+美+風格 ≥ 11で、PCの誰かが家紋の歴史を思い出す。
「笹竜胆は清和源氏の紋。その中でも最も有名な末裔は――源義経。」
この時点でPCは、怨霊シナリオから英霊シナリオへ認識を転換する。
#2幕――調査と真実(1セッション)
#古い祠の発見
村長が教えるか、阿弥陀の方向指示によって、古い祠(廃墟)へ到達する。祠は深い森の中、杉木に囲まれた小さな開け地にある。
祠の状態:
- 苔に覆われた古い木の鳥居。
- 本殿は半ば崩れているが、祭壇は残っている。
- 祭壇前の地面が、最近掘り返されたように土を露出させている。
- 掘り返された場所に、太刀一振りが半ば抜けている――鞘は腐食しているが、刀身は錆一つなく澄んでいる。淡い緑色を帯びる。薄緑。
#神物感知
陰陽師・密教僧・修験者・芸人など、霊的感知が可能な者がいれば:
「この刀には霊が宿っている。ただし、怨みも呪いもない。ただ――戦いを望む喜びだけだ。」
感知判定(2d10+智+感知 ≥ 13)成功。
#義経出現
PCが薄緑に手を触れた瞬間、森全体の空気が止まる。杉木の間から、一つの存在が歩み出る。
霊体描写:
- 背の低い、痩せた若い武士。20代前半に見える(義経は31歳で死んだが、霊体は全盛期の姿)。
- 黒糸縅の小札鎧。旗に笹竜胆の紋。
- 頭に烏帽子。左手には薄緑(ああ、祭壇のものは複製品――本物は義経の手に)。
- 顔にかすかな微笑。目はきわめて澄んでいる。
彼が口を開く。低く穏やかな、若い声。
「長く待った。400年の間、一度もまともに戦うに足る者は来なかった。初めて我が前に立ったお前たちは、皆違っている。お前たちの中の誰かは、我が夢の相手かもしれぬ。
我は源九郎義経。平家を滅ぼした者。兄に捨てられた者。そして今は――永遠に戦いたい者。
一対一だ。一人。誰が出る。多勢で来るなら、我は消える。 明日また来い。また明日だ。決定はお前たちに任せる。」
PCの選択:
- 受諾:一人が前へ出て一騎討ち宣言。3幕へ入る。
- 拒否/時間稼ぎ:義経が八艘跳びで消える。翌日、再び祠に来る必要がある。
- 乱戦を試みる:義経は笑って八艘跳びで消える。一日後、祠へ戻ってまた待つ。
#3幕――一騎討ち(決定的対決)
一騎討ち規則(co-04-07-01 侍 3段一騎討ち宣言参照):
- 双方1対1の対決。他の味方/敵の乱入不可。
- 双方 +2技法補正。
- 一騎討ち中は外部攻撃・支援マヌーバ禁止(名誉原則)。
#戦場
[祠前の開け地――狭い円形空間]
双方20歩の距離。開け地の外は進入不可区域(名誉原則)。
義経: 中央。薄緑抜刀姿勢。
PC: 反対側。自由姿勢。
#義経の行動様式
- 最初の間合:薄緑連撃(2活力)+受け返し予約(1活力)。呼吸3、無難な始まり。「まず体を温めるのが礼だ。」
- 第二間合:PCの攻撃様式を把握。防御に集中しつつ、攻撃を受ければ受け返しで即反撃。
- 第三間合:八艘跳び(2活力)で距離調整+薄緑連撃。本格戦闘。
- PCが優位を取った時:義経の戦力が2以下になると、鞍馬流秘技 松風剣(4活力、一騎討ち1回)発動。自動会心 + [貫通 全体] + 無防備。
- 義経が戦力0到達:即時戦闘中断。膝をつく。
#一騎討ちバランス参考
PC 5段侍、剣術名人(+3)+名品打刀基準:
- PC平均攻撃判定:2d10 + 勇(2)+剣術(3)+名品(+1) = +6 + 一騎討ち +2 = +8
- 義経防備14 → 目標値14、判定合計14+。d10出目期待値11 → +8 = 19。命中率85%程度。
- 義経の受け返しで逸らす確率30~40%。
実戦戦闘時間:平均3~4間合。せいぜい10~15分のゲーム時間。一騎討ちは集中力の戦いである。
#結末分岐点
分岐A――PC勝利、義経消滅を選択: PCが義経を戦力0以下にし、「最後の一撃を加える(確認して討つ)」と宣言する。
義経の反応:
「ついに……我が夢の相手に会えた。うれしい。我が剣を受けよ。 400年待った者に、我が身と名を託す。」
彼が薄緑をPCへ譲渡する。霊体は徐々に透明になり、満足した微笑で消滅する。森の上に、季節外れの花びら(桜)が舞う。神器入手。
→ PCは薄緑(神器)を獲得。義経は永遠に戻らない。
分岐B――PC勝利、慈悲で加入: PCが義経を戦力0以下にしたが、「生かしておく。私と共に戦わないか」と提案する。
義経の反応(感知判定 2d10+美+交渉 ≥ 13成功時に選択肢が開く):
「……お前は我を殺せるのに、生かした。刀を持つ者として、お前が我に勝ってなお殺さぬのは――我より強い慈悲だ。私は400年間、戦いだけを待っていた。だが、お前と戦って悟った。我が待っていたものは剣術だけではなかった。伴侶だった。
我をお前の分隊に置け。我はお前の刀となろう。ただし、一騎討ちの機会を奪うな。我が剣は今もなお、戦うことを望む。」
→ 義経が将級NPCとしてパーティに加入。 薄緑は依然として彼の所有。シナリオ・セッションに応じて、PC指揮分隊の将級戦闘支援者として動作する。
分岐C――PC敗北: パーティPCのうち一騎討ち参加者が戦力0。義経は刀を収め、相手を抱えて寝かせる。
「まだ早い。お前はお前の分の戦いを、もっと経て来ねばならぬ。行け。回復した後、また来い。今回も我はここにいる。」
八艘跳びで消える。PCは次セッション、またはキャンペーンで再挑戦可能。失踪した他の侍たちも一緒に連れて帰れる(義経が解放する)。
→ 繰り返し可能な再挑戦。次の試みはPC段数 +1、または名品1つ獲得後を推奨。
分岐D――乱戦選択(非推奨): パーティが名誉を無視して多勢で襲う。
「……お前たちは剣客ではない。」
義経は即座に八艘跳びで退去する。3日間、祠前に現れない。PCの三道六心確認発動――誤った選択に対する価値観の揺らぎ1回(各PC)。藩主にもこの知らせが届けば名声-2。
3日後、PCは再挑戦可能(義経が再び現れる)。ただし名誉回復判定(2d10+美 ≥ 14)に成功しなければ一騎討ちを受けない。失敗時、義経は永遠に退去(分岐Cに似るが、再挑戦は非常に困難になる)。
#段階別進行ガイド
#1幕進行ガイド――依頼と捜索
| チェックポイント | タイミング | GMがすること | プレイヤーがすること | 合図(次段階へ) |
|---|---|---|---|---|
| 依頼受諾 | セッション開始後10分 | 藩主脇坂の圧力 + 報酬提示。怨霊フレームを強調。 | 質問・条件交渉。パーティ役割分担。 | 依頼文書受領 |
| 村到着 | 30~45分 | 風緒の陰鬱な歓迎。シゲロクの警戒。 | 最初の挨拶・観察。 | 住民会話機会が開く |
| 3手掛かり収集 | 1時間前後 | 手掛かり #1(死体なし)・#2(笑う生存者)・#3(交渉判定時、笹竜胆)を順次提示。 | 感知・交渉判定。疑いの蓄積。 | 「怨霊ではないかも」合意形成 |
| 森初進入 | セッション後半 | 遭遇判定13。義経は観察のみ、まだ宣言なし。 | 2d10+技+感知。警戒配置。 | 阿弥陀祐三発見 |
| 阿弥陀証言 | 1幕終了直前 | 笹竜胆の紋に言及。義経名の可能性。 | 2d10+美+風格 ≥ 11。 | 認識転換:怨霊 → 英霊 |
- 成功分岐:3手掛かりすべて収集 + 阿弥陀発見 = 2幕へ自然に進入。PCの決意が明瞭。
- 失敗分岐:手掛かり不足(2以下)の場合、森の霧の中で義経の影だけを見て帰還。翌日再捜索が必要――時間遅延だけで、進行自体はロックされない。
- GMコントロール:恐怖調を維持しつつ、「何かが違う」というニュアンスを手掛かり #2以後に本格化させる。義経は絶対に1幕では話さない――オーラだけ。
#2幕進行ガイド――調査と真実
| チェックポイント | タイミング | GMがすること | プレイヤーがすること | 合図(次段階へ) |
|---|---|---|---|---|
| 祠到達 | 2幕開始 | 苔・崩れた鳥居・季節外れの桜。廃墟の静けさ。 | 祠調査・霊的感知判定。 | 薄緑発見 |
| 神物感知 | 10~15分以内 | 「怨みも呪いもない。ただ戦いの喜び。」 | 2d10+智+感知 ≥ 13。 | 義経の存在確証 |
| 義経出現 | 祠探索後すぐ | 杉木の間から歩み出る。空気停止。 | 反応RP。武器・姿勢選択。 | 一騎討ち宣言対面 |
| 一騎討ち宣言受諾判断 | 出現直後 | 3選択肢提示:受諾 / 拒否 / 乱戦。 | パーティ合意・代表者選定。 | 受諾時3幕、乱戦時分岐D |
| 代表者確定 | 2幕終了 | 他PCは名誉原則により観戦確定。支援不可を案内。 | 代表者装備・秘技最終点検。 | 3幕一騎討ち開始 |
- 成功分岐:受諾 + 代表者確定 = 3幕一騎討ちに正式進入。
- 失敗分岐:拒否・時間稼ぎは義経を一日延ばすだけ。3日以上延ばすと藩主が催促(名声 -1危険)。乱戦試行は分岐Dへ強制移動。
- GMコントロール:義経出現場面は絶対に急がないこと。杉木の間から一歩ずつ出てくるテンポ、微笑、自己紹介の端正さ――伝説の開幕演出である。
#3幕進行ガイド――一騎討ち
| チェックポイント | タイミング | GMがすること | プレイヤーがすること | 合図(次段階へ) |
|---|---|---|---|---|
| 開け地布陣 | 3幕開始 | 20歩距離。円形開け地描写。観戦PCに名誉線を案内。 | 抜刀姿勢、または予想攻撃を宣言。 | 最初の間合 |
| 間合1(探索) | 最初の呼吸 | 薄緑連撃 + 受け返し予約。「まず体を温めよう。」 | 攻撃様式宣言。技法配置。 | 双方探索終了 |
| 間合2~3(本格) | 中盤 | 八艘跳び + 距離調整。PCのパターン把握。 | 主力秘技のタイミング判断。 | PC優位、または義経優位分岐 |
| 鞍馬流松風剣発動 | 義経戦力2以下 | 自動会心 + [貫通 全体] + 無防備。戦闘の絶頂。 | 回避予約 / 反撃 / 耐える、から選択。 | 決定的間合へ進入 |
| 結末宣言 | どちらかの戦力0 | 義経が膝をつく(勝利)、またはPCを抱えて寝かせる(敗北)。 | 核心宣言:「討つ」 / 「生かす、共に行こう」 / 敗北受容。 | 分岐A/B/C確定 |
- 成功分岐(A):PC勝利 + 討つ宣言 → 薄緑譲渡 + 義経消滅。桜の花びら。
- 成功分岐(B):PC勝利 + 慈悲提案 → 2d10+美+交渉 ≥ 13成功時、義経将級NPC加入。
- 失敗分岐(C):PC戦力0 → 生かして帰す + 失踪者帰還。再挑戦権。
- GMコントロール:一騎討ちは30~45分の独白劇。他のPCが退屈しないよう、判定ごとに描写を厚くすること。観戦PCの三道六心反応(恐れ・尊敬・嫉妬)も短くチェックインする。
#分岐別後続ガイド
| チェックポイント | タイミング | GMがすること | プレイヤーがすること | 合図(次段階へ) |
|---|---|---|---|---|
| 分岐A消滅演出 | 勝利 + 討つ宣言直後 | 霊体透明化 + 季節外れの桜 + 最後の微笑。 | 薄緑受領RP。 | 神器所有権登録 |
| 分岐B加入受諾 | 勝利 + 慈悲宣言 + 交渉成功 | 義経の誓約台詞。主PC確定。 | 同行誓約。二刀流特技確認(必要時)。 | 将級NPCシート配布 |
| 分岐C再挑戦誓約 | 敗北 + 生かして帰す | 八艘跳び消滅。失踪者帰還演出。 | 次段昇段計画。 | 帰還報告 |
| 分岐D名誉回復 | 乱戦後3日 | 義経再出現。2d10+美 ≥ 14要求。 | 三道六心確認。謝罪RP。 | 成功時一騎討ち再進行 / 失敗時永遠退去 |
| 藩主最終報告 | 全分岐共通 | 分岐別報酬表適用。名声調整。 | 分岐結果要約報告。 | シナリオ終了 |
- 成功分岐:どの分岐でも、「結末が確定した」という宣言が重要。PCがこの結果を背負って出ていく感覚を残すこと。
- 失敗分岐:分岐D失敗(名誉回復判定失敗)時、キャンペーンから義経は永遠に消える。これは最終失敗であり、PCの価値観の揺らぎ長期効果(三道六心確認1回)。
- GMコントロール:分岐A・Bは異なる美徳(名刀 / 慈悲)の選択である。どちらかがより正しいという判定は禁止。どちらも伝説のエンディング。
#神器詳細――薄緑
分類:神器。日本文化。献身技法[理解]経路:
- A:剣術名人(4点)。
- D:源氏後裔英霊(自動)。
- E:GMシナリオ付与(本シナリオ完了)。
基本仕様:
- 太刀(片手保持可能)。
- 活力2(標準太刀)。
- 献身技法条件未充足時、一般太刀として扱う。
技法:
| 技法 | 種別 | 活力 | 制限 | 効果 |
|---|---|---|---|---|
| 斬りA | 攻撃A(技) | 2 | — | 1戦力 |
| 抜刀連撃 | 攻撃B(技) | 3 | 間合1回 | 1戦力 + 会心時2戦力 + 次間合先攻優先 |
| 鞍馬流松風剣 | 献身技法 | 4 | 戦闘1回 | 自動会心 + [貫通 全体] + 無防備。[理解]条件充足必須。 |
| 受け返し | 防御予約 | 1予約/2即興 | — | 攻撃無効 + 即時反撃判定 |
神器特殊――「主を選ぶ」:
- 薄緑は剣術名人(4点)未満の使用者には一般太刀としてのみ動作する。剣術名人(4点)+[理解]条件を満たして初めて、献身技法「松風剣」を使用可能。
- 使用者が源氏後裔でなければ、毎セッション開始時に薄緑忠誠判定(2d10+美 ≥ 13)。失敗時、そのセッション中は松風剣封印。
- 分岐Aで譲り受けた場合:義経の祝福により忠誠判定免除(彼が直接承認した使用者)。
譲渡規則:
- 薄緑は一度主を定めると、その主が死ぬまで他者へ譲渡されない。
- 主が死ねば、再び潜在主を探して祠へ戻る(シナリオ再発生可能)。
#義経加入時ステータス(分岐B)
義経(将級味方、戦力4、活力13、防備14)
分隊所属:パーティの主級PC 1名に配属。分隊ではなく個人ユニット(原則2)。分隊命令対象ではない。
行動様式:
- 各戦闘開始時、一騎討ちを優先して好む。将級/主級敵がいればそちらへ直行。
- 味方支援は受けないが、自分も味方を助けない(一騎討ち原則)。
- 戦場が乱戦になれば、八艘跳びで独立行動。
- 戦闘後、味方回復に参加しない(霊体)。
活力費用:義経は独自活力プールを使うため、PCの活力譲渡対象ではない(原則2――霊体は自前の活力を持つが、「霊体維持費用」が別にある)。
離脱条件:
- 主PC死亡:義経は祠へ戻り、次の主を待つ(分岐Aに似た結末)。
- 主が卑怯な行動(逃亡・捕虜の武器奪取・乱戦中の一騎討ち破り)を3回以上反復:義経離脱。
- 主が明示的に「去ってほしい」と要請:薄緑を主に残して去る(分岐Aへ転換)。
セッションごとの叙事効果:
- 義経が同行するセッションで将級以上の敵を討てば、叙事的マイルストーン1回として計数可能(GM裁量、昇段条件参照:
co-04-02-progression.mdの§昇段条件)。 - ただし義経が完全な味方になる分、パーティ難易度上昇を推奨(GM調整:敵1体 +1戦力、または追加将級1名)。
#報酬
#共通
- 藩主最終報告:金貨30(基本)。
- 失踪者救助1名ごと:金貨+2追加(最大+6)。
- 3手掛かりすべて収集 + 正確な真実把握:GM裁量で叙事的マイルストーン1回計数(昇段条件に寄与)。規則根拠:
co-04-02-progression.md§昇段条件の「叙事的マイルストーン達成」条項。
#分岐別
| 分岐 | 主な戦利品 | 昇段寄与(GM裁量) | 金貨 |
|---|---|---|---|
| A(勝利 + 神器獲得) | 薄緑神器 | 戦闘完遂2~3回中1回 + 叙事的マイルストーン1回 | +20 |
| B(慈悲加入) | 義経将級NPC加入 | 戦闘完遂1回 + 叙事的マイルストーン1回 | +10 |
| C(敗北、生かして帰される) | 失踪者救助(義経が共に解放)、再挑戦権 | 戦闘完遂1回(敗北も完遂として計数可能、GM裁量) | +5 |
| D(乱戦失敗) | なし。名声 -2。藩主失望。 | — | 前金10のみ維持 |
昇段計数注意:混世霊妖譚にはXP数値累積システムがない。昇段は「戦闘完遂2~3回」または「叙事的マイルストーン達成」のような条件の一つをGMと合意して判断する。本表の「昇段寄与」は、その条件へ当該シナリオ成果をどう対応させるかの例に過ぎない。
#GMヒント
- 怨霊シナリオとして始まり、英霊との出会いへ転換することがこのシナリオの核心的衝撃。序盤の雰囲気は恐怖・ミステリー。村へ入った後の手掛かり #2(笑う生存者)からニュアンスを変える。
- 一騎討ちは真剣に:一人のPCが30分以上、単独で義経と相対する場面。他のPCは見物人だが、三道六心・判定ログを共に感じる必要がある。台詞・ダイスロール・選択をゆっくり進める。
- 分岐Bは非定型RP判定:「慈悲で加入」は単純な選択肢ではない。PCの戦闘スタイル・過去の選択・台詞の調子をGMが総合判断する。PCが普段「殺すべき敵は殺す」スタイルだったなら慈悲は不自然。普段から慈悲を示してきたなら自然。
- 義経加入は強いバフ。将級一騎討ち専門の同行者。以後のキャンペーンの主級敵も、将級1体追加で調整が必要。
- 薄緑獲得はPC剣客の夢。7段以上キャンペーンの後半にこのシナリオを置けば、威名獲得直前の象徴的報酬となる。3~5段で得れば、次段成長の強い動機となる。
- 失踪者全員救助推奨:義経は殺していない。セッション中、PCが祠周辺を探索する時に1人ずつ発見されるよう配置する。これは「怨霊ではない」の間接証拠でもある。
- 失敗・帰還も有効な結末:分岐C(敗北)は「失敗」ではなく、シーズン中に戻ってくる有機的NPCを作る機会。義経はキャンペーン中ずっとPCを待つ。
#関連項目
- 名品総覧――髭切参照。薄緑と髭切は対の伝承ではない(同一主セットでもない)――同時に持つには二刀流特技が必要(原則3例外1)。
- 異国神物――[理解]経路参照。日本神器は国内文化なので異国適応は不要だが、献身技法の[理解]条件と剣術名人(4点)前提は同じ。
- 英霊クラス――義経は英霊規則のNPC実装例。ただしアウトサイダークラスと違い、「この世界内部の歴史人物」なので固有英霊タイプに分類。
- シナリオテンプレート――香/法の二重構造。
- 核心解釈原則――原則2(ユニット自律)・原則3(装備スロット)を直接適用。
「森に彼を置いてくるか、お前の剣客として連れてくるか、彼の刀を持ち帰るか。三つの結末のどれが『勝利』なのか――それはお前のキャンペーンが決める。」