日本語版 v1.3.3

#第5章 1幕 — 門の前に到達

目次

1セッション分。 無間荒野への進入。以前の漂流者の魂との遭遇。名前のない門との初対面。3分岐の選択肢を明示する。

本編参照

- 必須: 三道六心

- 参考: 退魔

- この補充内: 仏教8大地獄ガイド · 章概要


#1幕要約

無間地獄への進入。等活→黒縄→叫喚→焦熱を越えてきたPCたちは、いよいよ最後の地獄、無間へ入る。この章は探索ではなく巡礼の章である。戦う相手はいない。答えを得る相手もいない。ただ歩き、聞き、見るだけである。

1幕の終わりに、PCたちは名前のない門と向き合う。この対面は戦闘ではない。門は開かず、開くこともできない。この章の残る3幕は、この門をどう通るのか、あるいは通らないのかを決める過程である。

1幕最終質問 (門の前でPCに投げかけられる): 「君たちは何を送り返し、何を残すのか?」


#シーン構成 — 1幕タイムライン

シーンタイトル分量主目的
1.1領地出発30分最後の領地場面、ゲンショウ・アキヒサの見送り
1.2焦熱境界通過20分第4章→第5章への転換、風景描写
1.3無間荒野進入40分沈黙判定、無間の作動原理を体感
1.4荒野遭遇A40分無間の兵士 (名前を失った者)
1.5以前の漂流者の魂50分鏡の街の漂流者に残った意識との会話
1.6名前のない門との対面40分門の描写、三つの道の幻
1.7帰還後の領地会合40分3分岐選択肢の明示 + 2幕準備の宣言

合計: 約4時間の純プレイ (標準セッション基準で4~5時間を想定)。


#シーン 1.1 — 領地出発

#場所

鏡山領の中央広場。夜明け前。霧が地面に低くたまり、結界は今日に限ってかすかに光っている (結界HP 15~20の状態)。

#参加NPC

  • ホシノ・ゲンショウ (衰弱度 7~9) — 神社の入口に座っている。立ち上がれない。
  • カミジョウ・アキヒサ — 礼装の甲冑。章開始時点ではじめて完全武装した姿。
  • 家臣6人のうち年長者 (引退予定の家臣) — 領地防衛の主軸を担う。
  • 住民代表3~5名 — 見送る。言葉はない。

#描写導入文

「夜はまだ明けていない。第4章の灰がまだ領地の空気に混じり、住民の咳が村の端から時おり聞こえる。広場の中央には出陣の準備を終えた君たちが立ち、前には領主アキヒサが、後ろには神社の入口に座るゲンショウ翁がいる。結界は今日、ことさら弱く見える。ゲンショウの息づかいも結界のそれと重なり、薄くなっていた。」

#アキヒサの見送り台詞

アキヒサは正式な出陣宣言を行う。短い。だが第4章の少年とは違う。

「今日、君たちは無間へ行く。そこに何があるのか、私たちはもう知っている。門がある。その門は、我らの土地の根だ。」

「……私は今日、五つのことを頼みたい。」

「一つ、必ず生きて戻れ。」

「二つ、見てこい。聞いたことを私に話してくれ。」

「三つ、もし今日答えを見つけられなくても、次を約束してくれ。」

「四つ……ゲンショウ翁に、あまり多くを送り返さないでくれ。あの方はもう十分だ。」

「五つ……」

(長い間。)

「……行ってこい。」

#ゲンショウの一言

ゲンショウは数度息をしてから、細い声で一文だけ告げる。

「……無間には門が一つしかありませぬ。門の前に長く立ちすぎてはなりませぬ。立っていれば……門が、あなた方の代わりに開きます。」

(この一言は1幕全体に残響として残る。3幕で意味が明らかになる。)

#出発儀式 — 選択判定

出発直前、アキヒサがPCに急須の茶を注ぐ。一杯ずつである。 PCはその茶を飲むか、残すかを選べる。

  • 飲んだPC: 3幕で「領地を忘れない記憶」ボーナス +2 (帰還エンディング判定時)。
  • 残したPC: この茶は、帰還後に残った領地の者たちが一緒に飲むと約束された茶である。3幕で「霊界に留まる根」ボーナス +2 (定住・変容エンディング判定時)。

どちらの選択も誤りではない。PCがこの瞬間に何を優先するのかが現れる場面。


#シーン 1.2 — 焦熱境界通過

#場所

焦熱地獄の外れ。第4章ですでに通ってきた灰の野。いまは灰が冷え、灰色の粉だけが残っている。

#描写導入文

「灰は冷えた。第4章の炎が過ぎた場所に残ったものは、灰色の粉だけだ。この粉は風にも動かない。足跡はそのまま残り、先に進んだ誰かの道をたどれる。——しかし、誰のものでも、君たちより先に進んだ痕跡はない。」

#判定

周辺判定 目標値 10 — 灰の野の奇妙さを感知する。成功した場合、GMはヒントを与える。

「この灰は冷えたのではない——冷えることを拒んだのだ。熱は消えたが、熱があったという記憶だけが残っている。無間が近づいた。」

#遭遇 — なし

このシーンに敵対的遭遇はない。無間の境目の静けさを演出する。以前の章との対比。


#シーン 1.3 — 無間荒野進入

#場所

無間地獄。果てしない灰色の荒野。日も月もない。空は濡れた灰色の布のように覆っている。地平線は見えない。視界は約100歩ほど。

#新規ルール — 「無間の沈黙判定」

無間地獄では、すべての声が半分ほど聞こえない。風音、足音、息づかい——40%ほど減衰する。叫び声でさえ3歩の外では聞こえない。

判定: 無間進入時、PC全員が智判定 目標値 11を行う。

  • 成功: 沈黙に適応する。会話可能 (声はなお弱いが意思疎通は可能)。
  • 失敗: 沈黙汚染開始。時間が経つほど自分の名前すら忘れていく感覚。1幕の間ずっと-1判定ペナルティ。累積すると「名前喪失」状態へ悪化する (2幕以降に回復可能、3幕ではこれが封印石対面時の決定的要素となる)。

再判定: 3歩以上の黙想(正座10分)で再判定可能。

#無間の作動原理 — 描写用情報

GMがプレイヤーに伝える。

「無間地獄は苦痛の地獄ではない。無間は間隔がない地獄だ。罰も、報いも、始まりも、終わりもない。ただ続くことだけがある。」

「ここでは時間が進まない。君たちは歩く。歩いても風景は変わらない。だが振り返ると、出発した場所は見えない。無間は君たちが来た道を消す。」

#風景細部

  • : 灰色。雲もない。光の方向がなく、影ができにくい。
  • 地面: 乾いた土。草もなく、石も少ない。ときおり埋もれている名前のない碑——文字が消えた小さな石柱。
  • : ほとんどない。たまに「誰かの息づかいのような風」——実際には風ではなく、かつてここを通った者たちの息の残滓。
  • 匂い: 匂いがない。無臭。これがもっとも不快である。

#シーン 1.4 — 荒野遭遇A: 無間の兵士

#遭遇契機

荒野を1時間歩いた後、地平線に小さな人影が現れる。動かない。しかし近づくほど遠ざかる (無間の空間歪曲)。PCが「近づこう」と力まず、「そのまま近づく」と、ある瞬間その前に到達する。

#無間の兵士 — 妖魔図鑑

妖魔図鑑14-06無間の兵士項目を参照。

要約:

  • 6段妖魔。外見は日本甲冑を着た男性武士。顔がぼやけている——目・鼻・口がにじんでいる。
  • 名前を失った者。過去の漂流者、または遠い過去の戦士。
  • 敵対的ではない。交渉・非交渉のどちらも可能。

#遭遇展開

無間の兵士はPCへ向かってゆっくり歩いてくる。武器は構えない。3歩前で止まる。

兵士は口を開く。だが音は出ない。口だけが動く。

判定: 交渉判定 目標値 11、または退魔判定 目標値 11、または読心術判定 目標値 10 (修験者/陰陽師専用)。

  • 成功: 兵士の口の動きから一語を読む。その語はPCごとに異なる (GMがPCの核心感情キーワードを即席で与える——「後悔」「懐かしさ」「恐れ」「愛」など)。
  • 失敗: 語を読めない。兵士は頭を下げ、背を向けて荒野へ消える。

#選択肢

PCは兵士に何ができるか。

  • 武器を向けるなら: 兵士は動かない。斬れば斬られる。血はない。兵士は倒れ、その場に小さな碑が生える (名前のない碑)。戦闘ではなく虐殺になる。PCの三道六心に影響 (から遠ざかり、に近づく)。
  • 話しかけるなら: 兵士は答えられない。ただし頷く、または首を横に振ることはできる。簡単なはい/いいえの会話は可能。
  • そのまま通り過ぎるなら: 兵士は背を向けて荒野へ消える。PC判定には何の変化もない。無間の自然な通過。

#隠された報酬

PCが兵士の名前を探り出そうとする場合 (学者/呪術/退魔 3以上):

  • 判定 目標値 15。成功すると、PCは兵士が誰だったのかを直観的に知る。(GMは過去の漂流者の名を与える——以前の漂流者の魂シーンで明かされる名と接続する。)
  • この直観は4幕エンディングで一度使用できる「名前回復」アイテムとなる。変容エンディング時に決定的役割を持つ。

#シーン 1.5 — 以前の漂流者の魂

#場所

荒野の中央地点。小さな空き地。中央に古い神社の残骸——崩れた鳥居一つ、割れた石灯籠一つ。これは第4章で発見した鏡の街残骸の一部である。

#NPC

サイゴウ・ユキミチ (西郷 幸道) — 以前の漂流者。80年前ここに落ちた別の領地の当主。死亡して久しいが、無間に「意識の欠片」として残っている。変容エンディングを選んだ者の結果がこれである。(詳しい設定は第5章 NPC — 無間の存在たち参照。)

#描写導入文

「鳥居の陰に一人の男が座っている。白い長衣、ひどく古い。背は曲がり、顔は片側へ傾いている。彼は顔を上げない。だが君たちが来たことは知っている。」

#サイゴウの台詞

サイゴウは無間に変容した者——声は弱いが聞こえる (無間の沈黙を越える存在であるため)。

「お越しになったか。……80年ぶりの客人ですな。」

「ここに来た者は何人かおりました。その誰も戻れなかった。私は最後であり、最後の前の最後は……名を忘れました。」

PCが質問できること (Q&A):

Q: あなたは誰か?

「私はサイゴウ・ユキミチ。もとは伊勢国の小さな領地の当主でございました。永禄10年(1567)、我らの領地が落ちたのです。……あの時、我らは80人でした。今はおりませぬ。誰も。」

Q: ここは何か?

「ここは無間です。門の前の荒野。門はあの向こうにあります。」

(彼はかすかに手を上げる。同じ方向を指す。)

Q: 門とは何か?

「門は封印石です。私が知る名はそれだけです。それ以上は……開けてみねばわかりませぬ。」

Q: あなたたちはどうなったのか?

「我らは三つのうち一つを選びました。私は変容を選び、我が領主は定住を選んだ。我らのうち何人かは帰還を選びました。彼らは……戻りました。だが帰還者たちが送り返した代償は重かった。」

Q: 私たちはどうすべきか?

「……それがわかっていれば、ここに座ってはおりませぬ。」

(長い間。)

「ただ一つ。門の前に長く立ちすぎてはなりませぬ。門は立つ者のために自ら開きます。開いた門は代償を求めます。その代償は——君たちの知らぬものです。」

Q: 三つのエンディングの違いは何か?

「帰還は領地のためのもの。定住は生きている者のためのもの。変容は……物語のためのものです。」

「私は物語を選びました。そして80年、ここにおります。これが選択の代償であり……選択の贈り物なのです。」

#サイゴウの贈り物

会話が終わるころ、サイゴウは懐から小さな鏡片を取り出し、PC一人へ渡す。(PCが自発的に受け取ると言わなければならない。)

  • アイテム: 「サイゴウの鏡片」 (消耗アイテム、1回用)。
  • 効果: 3幕の封印石対面時に使用。使用すると封印石の真の名を1回公開する。再封印儀式に+5ボーナス。

受け取らなければ、サイゴウは鏡片を懐へ戻す。不機嫌にはならない。

#サイゴウの最後の言葉

「道を行きなされ。君たちの番です。私は……ここで待ちましょう。どちらにせよ、君たちの選択が私の選択の重荷を軽くしてくれることを願います。」

「私は長く居すぎました。……少し疲れましたな。」

PCが振り返ると、サイゴウはすでに消えている。鳥居だけが残る。


#シーン 1.6 — 名前のない門との対面

#場所

荒野の果て。地面がわずかに傾斜して下がり、その傾斜の底に名前のない門が立っている。

#名前のない門の描写

「それは門だ。だが門と呼ぶには——門の大半がない。」

「残っているのは門枠が二つ。左の柱と右の柱。その間にあるはずの扉板はない。下の敷居もない。上の上引枋は……あるのかないのか曖昧だ。見る角度によって、あるようにも、ないようにも見える。」

「石柱が二つ。それぞれ成人男性の背丈より少し高い。表面は滑らかだが、近くで見ると——文字が刻まれていた跡だけがある。文字はない。文字の痕跡だけがある。」

「門の向こうは見えない。門の間を通る空気もない。ただ、その間に立つと——立つ者の足元がなくなるような感覚。」

#3分岐の幻

門の前に立つと、PC全員にが見える。幻はPCごとに異なるが、共通して三つの道が幻の中に現れる。

GMはPCごとに幻を即席で構築する (約1~2分ずつ)。

幻1 — 帰還の道 (白い道): 領地へ戻る姿。住民たちが喜ぶ。しかしゲンショウはすでにおらず、アキヒサの顔には陰がある。片目が閉じている。

幻2 — 定住の道 (金色の道): 霊界領地の風景。住民たちが暮らしている。しかし風景は日本ではない。アキヒサはさらに成長しているが、その姿には人間の温かみがかすかである。

幻3 — 変容の道 (紫の道): PC自身がこの荒野に立っている姿。サイゴウのように鳥居の横へ座っている。領地は本編世界へ戻った。PCだけが残った。

#3分岐質問の公式提示

幻が終わると、門は音もなくPCたちへ質問を投げる。この質問は声ではなく、空気の震えとしてPCの頭に直接入ってくる。

「君たちは何を送り返し、何を残すのか?」

この瞬間、PCは答えられない。答える準備ができていない。GMは答えを求めない。ただ、質問が入ってきたことをPCたちに認識させる。

#門の作動 — まだ開かない

PCが門を開こうとする場合:

  • 智判定 目標値 20以上が必要。1幕ではほぼ不可能である。
  • 強制的に試みる場合、門が「早すぎる時点で開き」、PC全員が-2判定ペナルティ (永久)を受ける——無間の汚染。回復不可。

GMはプレイヤーに明確に警告する: 「この門は、まだ君たちが開けられるものではない。」 プレイヤーが無理に試みるなら、上記のペナルティを適用する。ただし警告後にのみ。

#ゲンショウの一言 — 幻聴

門の前に立っている間、PCそれぞれの耳にゲンショウの声が細く聞こえる (領地からの遠距離共鳴):

「……門の前に長く……」

その一言を聞き、PCは自然と門から下がる。この後退が1幕の完結動作である。


#シーン 1.7 — 帰還後の領地会合

#場所

鏡山領。日暮れどき。PCたちは領地へ帰還した。ゲンショウは広場の片側に座っており、アキヒサは広場の中央で待っている。住民代表たちが周囲にいる。

#会合構成

アキヒサが正式な会議を主宰する。内容は次を含む。

  1. 1幕報告: PCたちが見たもの。特に門とサイゴウの存在。住民たちは衝撃を受けない——すでに予想していたことだからである。
  2. 3分岐選択肢の明示: アキヒサが三つのエンディングをPCに正式提示する。
  3. 2幕課題の配分: 各エンディング準備に必要な課題をPCに分担させる。

#アキヒサの3分岐説明台詞

「……君たちは門を見た。その門が何であるか、私はゲンショウ翁とともにすでに推測していた。その門は、我らの土地の下にあったものだ。我らが落ちた理由であり、我らが帰れる唯一の道でもある。」

「三つの道があると聞いた。」

「第一——帰還。我ら全員が本編の地へ戻る。門を再び封じる。領地は生き、ゲンショウ翁は……亡くなられる。封印には10段の威名が必要だ。」

「第二——定住。我らはここに残る。霊界と協定を結び、領地を新たな土地に植える。私は……名が変わる。人間の資格を失い、領主としてだけ残る。住民の何人かはついて来られないだろう。」

「第三——変容。君たちのうち何人かが霊界のものになる。領地は戻るが、その代償として君たちが霊界に残る。……君たちがサイゴウのような存在になるということだ。」

(長い間。)

「……私の意志は私の意志だ。君たちの意志を聞きたい。今答えろということではない。明日から、君たちにはそれぞれ果たすべき仕事がある。その仕事をしながら答えを探せ。全員が同じ答えを出す必要はない。一人が帰還を選び、一人が変容を選んでもよい。ただし——答えは今週のうちに出してくれ。」

#2幕課題の公式配分

アキヒサがPCごとに課題を割り振る。各課題は2幕で遂行される。課題はエンディングに直結する (一つの課題を複数のエンディングが共有することもある)。

課題A — ゲンショウの準備を助ける

  • 誰: 陰陽師・修験者PC、またはゲンショウと個人的な絆が深いPC
  • 内容: ゲンショウが威名宣言を準備できるよう、儀式手順を把握する。ゲンショウが自然退場する場合にも関係する準備。
  • エンディング影響: 帰還エンディングに必須。

課題B — 住民委任

  • 誰: 交渉・指揮PC
  • 内容: 領主代理・住民代表の任命。定住エンディングの場合、霊界協定について住民を説得する。
  • エンディング影響: 定住エンディングに必須。

課題C — ロマンス結末整理

  • 誰: ロマンスアーク進行中のPC
  • 内容: パートナーとの最後の会話。エンディングごとに変わる関係の整理。
  • エンディング影響: エンディング選択に+1 (パートナーの出自によって異なる)。

課題D — 封印石対面準備

  • 誰: 戦闘特化PC
  • 内容: 3幕の封印石守護者との戦闘準備。武器・防具・消耗品の最終確認。領地の武器庫から隠された武具を発掘できる。
  • エンディング影響: 全エンディングに必要。特に帰還・変容。

課題E — 記録を残す

  • 誰: 学者PC、または記録担当志願者
  • 内容: 領地の歴史、漂流の経緯、PCたちの行跡を記録する。サイゴウのように次の漂流者のための証言。
  • エンディング影響: 変容エンディングに特に有効 (変容したPCが記録の一部となる)。

#ゲンショウの最後の助言

会合の終わり。ゲンショウが立ち上がらず、座ったまま一言。

「……三つの道すべてで、誰かは残ります。その残る者が誰なのかを決めることが……この章の仕事です。」

「皆が残らぬように。皆が行ってしまわぬように。一人二人が残り、一人二人が行く——それが物語の均衡でございます。」

#1幕終了

会合後、各PCは自分の課題を持って散る。2幕の開始。GMはセッションをここで切っても、2幕の最初の場面へ続けてもよい。


#1幕判定要約

判定目標値効果
無間沈黙適応智 11会話可能 / 名前汚染
無間の兵士交渉交渉 11語を獲得 / 無名
サイゴウ対話交渉交渉 10鏡片を獲得可能
兵士名直観学者/呪術 15名前回復アイテムを獲得
門の強制開門智 20 (禁止推奨)永久-2ペナルティ

#1幕報酬および進行状態

#獲得可能アイテム

  • サイゴウの鏡片 (交渉成功時): 3幕封印石対面 +5。
  • 名前回復アイテム (兵士名直観成功時): 4幕変容エンディングで1回使用。
  • 急須茶の記憶 (出発時に飲んだ場合): 帰還エンディング +2。
  • 約束の急須の記憶 (出発時に残した場合): 定住・変容エンディング +2。

#累積状態

  • 沈黙汚染: PC別0~3段階 (3到達時、名前喪失状態)。
  • 無間累積滞在時間: 約8~10時間。2幕では領地で回復。
  • ゲンショウ衰弱度: 1幕中+0~+1 (大きな負担なし)。
  • 結界HP: 1幕中-1~-3 (自然減少)。

#ペーシング調整ガイド

GMがセッションが長くなった場合に省略できるシーン:

  • シーン 1.2 焦熱境界通過 (描写だけ短く)
  • シーン 1.4 荒野遭遇A (無間の兵士をシーン 1.3へ統合)

省略不可シーン:

  • シーン 1.5 サイゴウの魂 (2幕準備に必要)
  • シーン 1.6 門との対面 (3分岐選択肢の基盤)
  • シーン 1.7 領地会合 (2幕課題配分)

#1幕GM運用原則

#原則 1 — 無間の「無」を守れ

無間はないものの地獄である。風景、音、匂い、敵——すべて、あるべきものがない。GMの誘惑は「何かを足そう」になるだろう。足してはならない。プレイヤーがに不快さを覚えるようにせよ。それが無間である。

#原則 2 — サイゴウは助言者ではない

サイゴウは親切な情報提供者ではない。疲れた目撃者である。台詞に疲労が滲むべきだ。プレイヤーが多く質問しても、サイゴウは簡潔に答える。知らないことは知らないと言う。

#原則 3 — 門は門ではない

名前のない門は一般的な門ではない。開閉するものではなく、通過と不通がある境界である。プレイヤーが「そのまま通ればいいのでは?」と尋ねたら、GMは「君たちは通過できないものを通過することはできない」とだけ答える。

#原則 4 — 3分岐の対等性

三つのエンディングのうち、どれも「正解」ではない。GMはいずれか一つのエンディングへ暗に誘導しないこと。プレイヤーがどのエンディングを好んでも尊重する。ただし条件を満たさない場合、そのエンディングは閉じる。

#原則 5 — 1幕の情緒

1幕の情緒は「無重力」である。期待でも絶望でもない、浮遊。この浮遊状態が2幕で「決心」へ転換されることが、この章の感情曲線である。1幕で決心を急がせてはならない。


#リンク文書


「門は門ではない。門は、君たちの心が立っている場所なのです。」 — サイゴウ・ユキミチ、1幕最後の台詞。