#神性記シナリオシード
目次
Scene Tool + Fiction-Only. 各シードは1~3セッション分に拡張可能な骨格のみを提供する。数値・展開はGMの裁量で調整。
#香 — 神が動く五つの夜
神が直接刀を振るうことは稀だ。代わりに——人を動かす。 村の老婆、争う二人の侍、廃墟と化した神社の狐の影、地下に隠れた聖像、海を越えて南下する熊。五編のシードは、神が一人の背に手を置く瞬間から始まる。
各シードは1~3セッション分。長く展開して長大なアークにすることもできれば、一夜の単幕劇として終わらせることもできる。
#シード1 — 隠れた氏神
#香
小さな村鳥川(とりかわ) で奇妙な出来事が起きている。一人の老婆が、不気味なほど病にかからない。彼女の周囲では疫病が流行らず、彼女の畑は凶作を知らない。村人たちは彼女をただ「福のあるお婆さん」 としか思っていない。
領主がこの噂を聞いた。その恩寵を自分のものにしたがっている。 領主の騎馬隊が村の方向へ動き始めたという報せが入る——三日後には到着するだろう。
「誰も彼女を疑わなかった。彼女自身も自分を疑わなかった。」 — GMのオープニング朗読候補
#法
#登場神
- 鳥川氏神 — 老婆 = 本人。神性2 小神。本人も知らない。
- ドメイン:「鳥川村 ・ 疫病排斥」
- 権能:村内の疫病・凶作を自動遮断。
- 領主 — この「恩寵」を征服・抑留で奪おうとする。侍5段。
#主要判定
- 老婆の正体をPCが先に気づけるか(観察・霊視判定)。
- 領主の兵力が村へ来たときどう対応するか。
- 老婆に自分が神だと告げるべきか — 最も重い選択。告げた瞬間、彼女は村を去らねばならないかもしれない。
#分岐
| 分岐 | 結果 |
|---|---|
| 告げない | 村は守られ続けるが、領主が彼女を殺すか拉致する可能性が残る。 |
| 告げる | 老婆は神社へ移され、村の恩寵が公式化される。しかし彼女の「平凡なお婆さんの人生」は終わる。 |
| 領主排除 | 戦争・暗殺分岐。神性の助けは村内でのみ。 |
#関連ファイル
#シード2 — 戦場の八幡
#香
二人の侍が出陣前に同じ八幡神社で祈った。 彼らはそれぞれ別の大名に属し、明日互いを斬らねばならない。
その夜、八幡の欠片が二人ともに宿った。 八幡は誰の味方でもない。彼は弓を射る者すべてを見守るだけだ。
PCたちはその二人の侍と同じ部隊にいるか、仲裁者の立場にいるか、片方の家臣である。明朝二張りの弓が互いを狙う。
「八幡は誰の味方でもない。彼はただ約束を守る者の味方であるだけだ。」 — 侍の家訓
#法
#登場神
- 八幡 (大神4 / ドメイン:戦争・弓術・武士守護・皇室正統性)
- 今回のシナリオでは欠片を二つ送る。八幡本人は誰の側に立つか決めない。
- 二人の侍 — それぞれ6段・7段 + 八幡の欠片 (神性1~2)。
#主要判定
- PCが二人の侍のどちらかの側、または両者の仲裁者。
- 戦場で八幡の加護が両方同時に発動するときどう解消するか。
- 八幡の欠片を持つ者が倒れたとき、その欠片はどこへ行くのか。
#分岐
| 分岐 | 結果 |
|---|---|
| 片側につく | 味方したPC側の侍へ欠片が傾く。もう一方の欠片は消滅。 |
| 仲裁成功 | 二人の侍の決闘を回避。八幡が二人の誓いを受け、敵ではない関係に結ぶ。欠片は二つの体に共存。 |
| 両者とも倒れる | 欠片は八幡の本社へ帰還。PCたちはなぜ自分たちが介入できなかったのかを生涯回想する。 |
#関連ファイル
#シード3 — 祟り化した稲荷
#香
京都外郭の小さな稲荷神社が廃墟と化した。 狐の影が夜ごと村に現れ、食糧を奪い、人を惑わす。調査に行った者は戻らないか、狂気を得て戻ってくる。
この神社の稲荷は忘れられ、裏切られた。 そして稲荷の「変化」ドメインが祟りの方向へ反転した。 穀物ドメインは「飢え」へ、商業ドメインは「略奪」へ、変化ドメインは「狂気の幻影」へ。
「忘れられた神は静かに祟りとなる。怒りではなく飢えゆえに。」 — 陰陽師の格言
#法
#登場神
- 稲荷 (大神4 → 祟り転換中、神性3水準へ一時下落)
- ドメイン変形:
- 「穀物」→ 飢え
- 「変化」→ 狂気の幻影
- 「商業」→ 略奪
- 職業転換:現人神 → 祟り神 (co職業転換)。
#主要判定
- 稲荷が祟り化した理由の調査 (神社破壊・祭官死亡・裏切りの誓約のいずれか?)。
- 祟り状態の稲荷と対話するか、封印するか、浄化するか。
- 浄化を選択した場合:イザナギ系の禊呪術が必要 (
fc01-04-00-divine-regalia-and-rites.md)。
#分岐
| 分岐 | 結果 |
|---|---|
| 封印 | 祟り稲荷を古い鳥居に封印。一時しのぎ。いつか目覚める。 |
| 浄化成功 | 稲荷が本来の姿へ復帰。しかしPCの一人が生涯稲荷に束縛される。 |
| 浄化失敗 ・ 消滅 | 祟り稲荷は消滅するが、その地域の穀物・狐すべてが3年間不在となる。 |
| 対話成功 | 稲荷の怨みを解く方法を得る (おおむね神社復元 + 祭官の復讐)。 |
#関連ファイル
#シード4 — キリシタンの聖母
#香
九州の海辺の村にキリシタン共同体が隠れ住む。禁教令が下されて間もない時期。村の地下から「マリア観音」 像が発見され、その前で祈った病者たちが奇跡的に回復している。
領主の巡察隊がこれを邪なる信仰とみなし討伐しようとする。近くの寺院の僧侶——不動明王の欠片が宿った者——もこれを異端と指弾する。しかしマリア観音と不動明王の「悪排斥」ドメインが実際に重なり、微妙な緊張がある。
「観音はマリアであり、マリアは観音である。隠れているときだけ。」 — 隠れキリシタンの諺
#法
#登場神
- 聖母マリア (マリア観音) — 外部神減衰後 中神3 ・ 日本国内
- ドメイン:「慈悲 ・ 母性 ・ 隠れ家」
- 権能:共同体の探知ペナルティ、病者治癒など。
- 不動明王の欠片が宿った僧侶 — 中神3の欠片を保有。
- マリアと「悪排斥」ドメインが重なる — 衝突の解決が必要。
#主要判定
- キリシタン共同体の側に立つか、領主・幕府の側に立つか、仲裁するか。
- マリア観音と不動明王のドメイン衝突がどう解消されるか (同じ領域だが異なる伝統)。
- 巡察隊が村へ来る時点 (時限あり)。
#分岐
| 分岐 | 結果 |
|---|---|
| 共同体保護 | キリシタンを隠すことに成功。マリア観音の「隠れ家」ドメインがより強くなる。しかし幕府の手配者となる。 |
| 密告 | 領主へ通報。共同体壊滅。マリア観音の欠片はいくつかの聖像に残り漂うようになる。 |
| 仲裁・非公開合意 | 僧侶(不動明王の欠片) とマリア観音の欠片が互いを無視する協定。共同体は隠れ住み続けるが、公的活動は禁止。 |
#関連ファイル
#シード5 — カムイの南下
#香
北海道のキムンカムイ(山のカムイ ・ 熊) が和人(本土人) の南下開拓に怒り、本州北端へ下ってきた。 小さな熊たちではない——巨大な白い熊の姿。その地域の侍・農民すべてが恐慌状態。
これは単なる獣の出現ではない。カムイ自体が顕現したのだ。日本の神々は自らの地に外来の神が入ったことを遅れて気づきつつある。その地域の山王大神は威勢を押され、土地の氏神は身を隠した。
「その熊は熊ではない。その熊の大きさが、熊ではないことを物語る。」 — アイヌの貿易商の警告
#法
#登場神
- キムンカムイ — 本来は大神4、日本本土への南下で一時中神3
- ドメイン:「山 ・ 熊 ・ 狩りの誓約」
- 権能:熊召喚・山岳支配・狩りの誓約更新の要求。
- 地域の日本神々 — 山王大神の欠片・土地の氏神などがカムイによって後退させられる。
#主要判定
- PCがキムンカムイの正体を先に突き止められるか (北海道出身者・アイヌの貿易商の情報)。
- 戦闘で追い払うか、対話で退かせるか、イヨマンテ(熊送りの儀礼)を執り行うか。
- イヨマンテを選択した場合:アイヌの伝統儀礼を執り行う資格を持つ者を探すのが下位課題。
#分岐
| 分岐 | 結果 |
|---|---|
| 戦闘 | 不可能に近い。日本本土の神々の協力が必要。辛うじて追い払うがPC数名が戦力消耗 (重傷)。 |
| 対話 | カムイの要求 (和人の南下中止の誓い) を大名が受け入れてこそ成功。政治課題。 |
| イヨマンテ | アイヌの貿易商またはアイヌ血統の巫女を手配 → 本州で熊送りの儀礼を挙行 → キムンカムイが満足し北海道へ復帰。平和的結末。しかしこの地域の山王大神が「異邦の神に譲った」という汚名を得る。 |
#関連ファイル
#法 — シナリオシード活用の助言
#GMへ
- 各シードは1~3セッションに拡張可能。単幕も可。
- シードに登場する神のデータカードをセッション直前に開けば十分。
- ドメインの外では神ではない原則を忘れないこと — これがシナリオの緊張を生む。
#PC動機づけのヒント
- シード1 (隠れた氏神) ・ シード2 (戦場の八幡) — 侍キャンペーン。
- シード3 (祟り化した稲荷) — 陰陽師・巫女中心。
- シード4 (キリシタンの聖母) — 政治・九州キャンペーン。
- シード5 (カムイの南下) — 北方・辺境キャンペーン。
#一目でわかるシードのトーン
| シード | 主トーン | 主神性等級 | 核心の葛藤 |
|---|---|---|---|
| 1 隠れた氏神 | 素朴・温かさ・別れ | 2 小神 | 正体公開の是非 |
| 2 戦場の八幡 | 戦争・栄光・悲劇 | 4 大神 | 誰の加護か |
| 3 祟り化した稲荷 | 恐怖・浄化 | 4 → 祟り | 封印/浄化/消滅 |
| 4 キリシタンの聖母 | 弾圧・信仰 | 3 中神 (減衰) | 隠匿/密告/仲裁 |
| 5 カムイの南下 | 辺境・異文化 | 4 大神 (異界) | 追放/対話/儀礼 |
#香 — 一文
「神が動くことは稀だ。しかし動けば、人一人がその夜を耐える。」
