日本語版 v1.3.3 · fc-doc

#平安・源氏・平家の名刀

目次

Canon (fc05内部の新規) + Fiction-Only。 本文書は co-07-02 登載の名品をリンクで処理しつつ、未登載の平安名刀(薄緑)について本巻限定の新規データを提示する。平安武士は後代の侍と戦法が異なる — 騎馬・弓馬・宮中権威の文脈を維持する。


#導入断片 — 宮廷の刀の音

平安の夜、貴族は刀を抜かなかった。刀は飾り棚の中にあり、飾り棚の前には香炉が置かれていた。しかし誰かが髭切の名を口にした途端、部屋の中の蝋燭が一度揺れた。

「今、音をお聞きになりましたか?」 若い侍女が囁いた。

老貴族は笑った。「刀の音とは鞘からのみ鳴るものではないのだよ。名が古くなれば、名もまた金属のように鳴り響く。」

外では雨が降り、遠くに武家の馬蹄の音が聞こえた。まだ都の政治は筆で動いていたが、刀の名はすでに部屋の中に入り込んでいた。

「その刀は本当に妖魔を斬ったのですか?」 侍女が問うた。

老貴族は香を少し足した。「大切なのは何を斬ったかよりも、その名を聞いた者が何を恐れるようになったかだ。源氏と平家の刀は人を斬る前に時代の息を斬った。」

その言葉が終わると、飾り棚の奥からごく小さな金属音が鳴った。誰も開けて見なかった。

#§ 香 — 四百年の伝承

794年の平安京遷都から1185年の壇ノ浦まで四百年。その時間の上に一つの家門の刀が名を得て、一つの家門が滅び、一つの家門が去りながら — その刀が散り散りになった。

源氏(源)と平家(平)。一振りの刀がどの家門に付くかによってその刀の逸話が変わる。同じ刀工の同じ時代の刀でも、源氏の手にあるときは鬼を斬り、平家の手にあるときは神宮に奉納される。

この章は平安の刀を集める。後代の室町・戦国の剣豪の手に再び登場することもあるが、名の重みは平安にかかっている


#§ 法 — 源氏の刀

#髭切 (髭切) · 膝丸 (膝丸) — 一対

項目
元データco-07-02 § 髭切 · § 膝丸
刀工同一刀工の一対(伝承)。試し斬りで一振りは髭まで、一振りは膝まで斬った。
平安時点の逸話頼光と四天王の酒呑童子討伐・羅生門事件。渡辺綱が髭切で茨木童子の腕を斬る。
平安後の逸話鎌倉時代に源頼朝へ伝承。幕府の宝。壇ノ浦の後に一部紛失。
本巻での使用二振りを必ず一対で登場させる必要はない。一対のときの効果はGM裁量(下の囲み)。

GMボックス — 二振りが一対のとき (選択) : 二刀流免許保有のPCが二振りを同時装備するとき、片方の武器の名品技法使用後、次の呼吸に他方の武器の名品技法の活力が-1。両名品技法は §間合N回カウンターの独立性 に従う。ただし一呼吸の活力上限はそのまま適用。

#薄緑 (薄綠) — 義経の刀 [新規]

Usumidori: an elegant tachi on cloth, a single faint green-tinted ink wash along the blade's shadow (the "pale green" name); mei blank

Canon — fc05内部限定。 本項目は本巻の新規データだ。薄緑は一部の伝承では膝丸の異名として登場するが、本巻は義経の時点で新たな名に分かれた別個の刀として処理する。データを分離する理由は、一振りを二つの項目に同時登載するとシナリオで矛盾が生じるため。

#香 — 壇ノ浦まで行く刀

義経は堀川で武蔵坊弁慶に出会ったとき膝丸を手にした。その刀は兄頼朝からの認証の証だった。しかし義経が平家追撃戦で壇ノ浦まで行く間、その刀は — 変わった。刃の青みが薄れたという。淡い緑色。人々はそれを恐れ — 刀を薄緑(薄綠)と呼び始めた。

義経が兄の憎しみを買い逃亡していた道中で、薄緑は一度鞘から出ることを拒んだ。義経が刃を見てくれと乞うてようやく — 一手を敵の首に突き立てることができた。刀が主を拒みうるという平安の刀の最も明確な事例。

#法 — 太刀基盤 + 名品技法

基本技法: 太刀と同一。

技法類型活力判定効果限界
[名品] 壇ノ浦の息 (壇ノ浦の息)32d10+勇+剣術+2 >= 防備2戦力。自己の戦力が3以下なら+1戦力。敵の戦力が2以下なら会心範囲+1。「最後まで追った者だけが知る。」間合1回

祝福 [素養]: 装備中の逃走・追跡判定+2。

呪い [素養]: 刀が主を試す — 自己の戦力が2以下のとき、名品技法使用時にd100。01~10ならその呼吸に刀が鞘から出ない(活力のみ消費、効果なし)。義経直系の認証があればd100 01~03に緩和。

所有条件: 源直系または直系の秘伝継承。平家の残滓の近くで振動。

入手シナリオ: co-09-09-minamoto-specter.md 源の亡霊事件の報酬オプション。または co-04-08-22-heroic-spirit-catalog.md 英霊カタログの義経英霊シナリオ報酬。


#童子切安綱 — 頼光の刀

項目
元データco-07-02
平安の逸話頼光が酒呑童子の首を一刀で斬った。 fc04-04-01-shutendoji.md 討伐譚の決定打。
本巻での使用平安シナリオでは頼光シートとともに登場。後代の室町・戦国では源家が宝として保管 — 使用者がほとんどいない。
整合の注意本巻の fc05-02-02-tenka-goken.md 天下五剣の項目と相互参照。この刀は名品であって神器ではない — 酒呑童子を斬った逸話は強力だが神格由来ではない。

#雷鳴 (雷鳴) — 頼政の弓

項目
元データco-07-02
平安の逸話頼政が鵺を射落とした。 鵺は頭が猿・胴が狸・尾が蛇の奇怪な妖魔。天皇の寝殿の上で鳴いたという。
本巻での使用平安の流鏑馬侍PCの後半報酬。fc04-05-01-samurai.md 流鏑馬の変形ルールとともに。

#那須与一の弓

項目
元データco-07-02
平安の逸話壇ノ浦で船上の扇を射当てた。 平家の挑発 — 小さな扇を振りながら「当ててみよ」 — に応じた一矢。
本巻での使用精密射撃シナリオの切り札。装備1個を破壊/奪取する効果は、敵の名品を狙うとき決定的。

#§ 法 — 平家の刀

#小烏丸 (小烏丸)

Kogarasumaru: the distinctive double-edged kissaki-moroha tachi — tip sharpened both sides — so the symmetric point reads clearly; mei blank

項目
元データco-07-02
平安の逸話伊勢神宮に奉納され平家に下賜された宝刀。 棟と刃が一体型(両刃 兩刃) — 異様な形態。烏の鳴き声がするという風聞。
壇ノ浦壇ノ浦で平家の幼帝とともに沈んだとき、小烏丸も共に消えたという説と、平家の残党の一人が手にして逃げたという説が両立。
本巻での使用平家の亡霊シナリオの核心小道具。PCが回収したとき — 奉納へ送るか、使用するかが試される。
整合の注意小烏丸を握ったPCは烏の鳴き声を聞くようになる(素養)。聞かなければ刃が応じない。これは元データに明示されていないRP — 選択ボックスとして分離。

GMボックス — 烏の鳴き声 (選択): 小烏丸の所持者は毎シナリオ開始時に未判定(目標値 13、難しい)。失敗時、そのシナリオの間は名品技法 [両刃] の活力コスト+1。烏が一羽、一定の時刻に鳴く — その時刻を逃すと刀が応じない。

#小烏丸の兄弟 — 小烏造の刀派

小烏丸と同じ両刃(兩刃)形態で鍛造された刀が平安後期にしばらく流行した。これを小烏造と呼び、刀派の一系統と見る。fc05-05-03-smithing-schools.md の刀工流派の項目へ接続。

小烏造の刀派の刀はすべて両刃 — 棟でも斬る。しかし小烏丸本体と異なり烏の鳴き声の効果はない。名品として鍛造されることはできるが、一振りの名刀(小烏丸)と一つの刀派(小烏造)は別個だ。


#§ 法 — 平安武士と武器の関係

#平安侍の戦法

平安武士は fc04-05-01-samurai.md 流鏑馬侍の変形の前提の上に立つ。後代の侍と次の点で異なる。

平安 (流鏑馬)後代 (戦国・江戸)
主武器弓と馬
補助刀・太刀脇差・槍
戦法騎馬弓兵 — 距離から射る歩兵剣術 — 距離から斬り込む
甲冑大鎧 — 活用当世具足 — 歩兵用
名刀の意味弓も刀も — 雷鳴・那須与一は弓の名品刀中心

本巻での処理: 平安シナリオで名品の弓(雷鳴・那須与一の弓)の比重を名品の刀剣と同等に扱う。弓の名品を「ボーナス武器」として扱わない。

#武蔵坊弁慶の棒

co-07-02 § 弁慶の棒 は平安後期の無名の僧兵の棒。弁慶本人が手にしたという伝承は後代の付加だが、本巻はその付加も逸話の一部として認める。シナリオでは僧兵・怪力PCの報酬として適する。

#刀が平安に似合うのか

平安武士の主武器はだが、儀礼・接近戦・宮中警護には刀・太刀が用いられた。したがって上の刀剣の名品が平安に登場しても時代整合に反しない。ただし打刀は後代の様式 — 平安には登場しない形態だ。平安シナリオで名品の打刀(村正など)を使うときは太刀の形態に変換して使用する(GM裁量)。


#§ 法 — 平安シナリオの使用法

#羅生門事件 — 髭切

fc04-04-02-tsuchigumo-rashomon.md の羅生門・茨木童子の事件を本巻シナリオに圧縮するとき。

  1. 道具: 髭切。刀が振動して道を案内。
  2. 事件: 羅生門に茨木童子の腕が再び登場(あるいはその残滓が人を狙う)。
  3. PC資格: 渡辺綱の後裔または源直系の認証。
  4. クライマックス: 斬られた腕を再び斬って奉納。斬れなければシナリオは次のPCの手に渡る。

#酒呑童子討伐 — 童子切安綱 + 神便鬼毒酒

fc04-04-01-shutendoji.mdfc04-03-02-yorimitsu.md を本巻に圧縮。

  1. 道具: 童子切安綱 + 神便鬼毒酒(消耗品)。
  2. 事件: 酒呑童子の残滓(あるいは本人の影)が復活。
  3. PC資格: 5人分隊(頼光+四天王のモチーフ)。
  4. クライマックス: 酒を勧める → 本名を呼ぶ → 一刀。

#壇ノ浦 — 小烏丸の行方

  1. 道具: 小烏丸(未回収)。
  2. 事件: 壇ノ浦の海底から平家の亡霊が浮かび上がる。幼帝の残滓。
  3. PC資格: どこでも — ただし刀を回収した者は奉納と使用を巡って決定せねばならない。
  4. クライマックス: 奉納 → シナリオ報酬は名声・祝福。使用決定 → 刀が主を試す。

#参考リンク


古い刀は錆より先に歌を宿す。