日本語版 v1.3.3 · fc-doc

#一般人・学生 (一般人·學生)

目次

権威。 本文書のセット規則は変形規則(Variant)である。本巻のすべての変形規則がそうであるようにGM許可を前提とし —— セット一つ一つが別個の許可単位である —— fcは co 正典(Canon)を覆せない。本セットはセット総論が確定した構成5要素と文書様式をそのまま従う。開始漂流物のカードと数値は狭いCanon(本巻限定の正典)、香と断片はFiction-Only、卓フックはScene Toolである。


#香 — 何者でもなかった者

#導入断片 — 飯は食ったか

地下通路を抜け出たとき、都市がなかった。

夜明けのバイトを終え、始発を待つのが嫌でいつも歩いていた道だった。階段を上れば、バス停が、その向こうにコンビニの看板が見えるはずだった。ところが階段の上には、霧に沈んだ田の畦があった。青年は三度後ろを振り返り、三度とも —— 降りてきた階段は、なかった。

電話機を取り出した。圏外。時間だけが律儀に流れていた。電池六十二。

「……夢だ。夢であってくれ。」

日が昇るまで畦に座っていた。日は昇った。夢は覚めなかった。遠く煙の上る方へ、青年は歩いた。

村の入り口で彼を最初に見たのは子供たちだった。柿をもいでいた竿を下ろし、見たことのない服を着た人をまじまじと見上げた。逃げはしなかった。子供は大人より早く信じる。

「兄さん、どこから来た?」

「……ソウル。」

「セウル?」

そのとき一番小さな子が石につまずいて転んだ。膝が擦れて血が滲み、泣き出す直前の息を吸い込んだ。青年は考える前にしゃがみ込んで鞄を漁った。いつもやっていたことだった —— コンビニの前で転んだ小さな客にしてやっていた、ちょうどそれだけのこと。

「痛くないようにしてやる。ちょっとだけ。」

ウェットティッシュで拭き、絆創膏を貼った。黄色いひよこの描かれた絆創膏だった。泣くのを堪えていた子が自分の膝のひよこを見下ろし、ほかの子供たちが頭を寄せ合って集まってきた。「絵が貼られた。」「痛いところに絵が貼られた。」

大人たちが来たとき、青年は子供たちに囲まれたまま菓子袋を破いていた。鍬を握った手が強張っていた。一番前の男が問うた。

「どこの者か。」

「それが……申し上げても、おわかりにならないでしょう。」

「何をしていた者か。」

「物を売る店で、夜に……勘定をして、片付けて……」青年は言いながらも、それがどれほど何者でもないかを知っていた。「ただの、学生なんですけど。ちょっと休んでる。」

男の眉間が狭まった。間者か、狂人か —— その勘定をする顔だった。そのとき腰の曲がった老婆が人々を掻き分けて出てきた。老婆は青年の服と、子の膝のひよこと、菓子を分け持った子供たちの手を順に見た。

「神隠しじゃのう。」老婆が言った。「神霊が隠して戻したのじゃ。」

そして青年に問うた。「飯は、食ったか。」

その言葉に青年の目から突然涙があふれた。本人が一番驚いた。四百年を越えてきて初めて —— 最後まで聞き取れた言葉だったからだ。

#香 — 特技がないのが特技

上の断片は本巻のサンプル一行 —— 夜間バスの人々(サンプルキャラクター) —— とは別の漂流の記録である。神隠しは一つの事件ではなく一つの現象だ。門は幾度も、幾所でも開き、そのたびに軍人や医者だけが落ちたのではない。統計があれば、むしろこちらが多数だろう —— 会社員、学生、アルバイター。何者でもない人々。

ほかの五セットは「何をしていた手か」という問いに差し出す答えを携えて渡ってくる。一般人はその問いの前に空手だ。ところが奇妙なことが起こる —— 関守に槍を収めさせるのは看護師の手さばきだが、村が食膳に席を空けるのは空手の方だ。自衛官の肩は恐ろしく、学者の言葉は怪しい。しかし転んだ子の前にしゃがみ込む平凡な手は、この時代の人々にとって最も理解しやすい顔だ。村の入り口では子供が先に見る —— 到着の処理の表が記すそのままだ。

だからこのセットは六セットの中で最も薄く、その薄さが本体である。セット一行で記せばこうだ。何者でもない者。だから何にでもなれる者。 セットなしで正典現代人だけで卓に着いたPLがいるなら、そのキャラクターはすでにこのセットの隣人だ —— 本文書はそういう卓のための鏡でもある。

そして本巻の背骨はこのセットで最も奇妙に響く。この書は現代人を強くする書ではない。消耗してゆく未来のドラマを与える書だ。 ほかのセットは前職が摩り減って消えるドラマを生きる。一般人には摩り減って消える前職すらない —— 彼が消耗するのは背嚢の中の物と、「ただの学生」だった日々の記憶だけだ。ほかの五セットは摩り減って普通の人になる。一般人はそこから始める。


#セットデータ — 五要素

セット総論法 1の枠そのままだ。五要素 —— それ以外の項目はない。

#要素一般人・学生
1開始機能調整医術入門 → 変装入門(置換1個 —— 六セット中最小)
2セット特技1段「生活の知恵」 / 3段「機微」
3開始漂流物スマートフォン、財布、そして鞄の中の日用品d10表から2個
4葛藤フック「なぜ私だったか」 / 「帰りたい、ただ」
5適応変形速い道:白紙委任 —— 最初の借用職業 / 塞がれた道:その対極

#要素 1 — 開始機能調整:最も小さな置換

正典現代人の開始自動機能四つ —— 策謀習得、医術入門、交渉入門、感知入門 —— のうち、本セットはただ一つだけを変える。

医術入門 → 変装入門。 等級保存(入門→入門)、機能点数の増加なし、免許(3)上限 —— すべてセット総論要素 1そのままだ。

置換が一つだけである理由は単純だ —— 正典現代人の開始機能目録が、すなわち現代の普通教育の目録だからだ。策謀は学校と映像媒体が植え付けた勘定と分析であり、交渉は値切りと面接の記憶であり、感知は都市で生き延びた者の触角だ。一般人はその目録の原型に最も近い。ただし保健の時間に習った心肺蘇生は手に残っていない —— 代わりに残ったのは、制服と面接の正装と接客用の微笑みで鍛えた技だ。どの列に立てば目立たないかを知る体。 それが変装だ。この機能がこの時代で何になるかは§時代との摩擦で見る。

#要素 2 — セット特技:生活の知恵と機微

ほかのセットの特技が狭く深いなら、一般人の特技は広く浅い。1段・3段各1種 —— 5段からは正典現代人の特技目録に合流する。

[素養] 生活の知恵 — 1段 (正典「先見の明」と択一)
効果: 広く浅い生活技術の束。常時効果:
  - 暮らしの手: 炊事・洗濯・繕い・勘定・掃除・荷造りなど「生活雑事」範疇の
    非戦闘判定に +2。
  - 相場感覚: 場面につき1回、物と手間賃の「この時代の値の見積もり」をGMに
    問うことができる。答えは値切りの出発点であって、正解ではない。
  - 倹約: 幕間につき1回、一行の食糧・生活消耗品に付いた [消尽] 減少
    1を無視する (火器弾薬・医薬品・電子機器・燃料には使えない)。
注意: 「先見の明」の歴史知識・医術ボーナス・妖魔交渉ボーナスを全て
  放棄する。活力譲渡と能力値特殊は職業の骨格なので維持される
  (セット総論 法 2 — 正典保護原則)。

未来を知る者の代わりに、今日を生きる術を知る者。軍人の射撃術は六十発で尽き医者の抗生物質は三度で尽きるが、米を炊き衣を繕い勘定を合わせる手は消尽されない —— 本巻で初めから摩り減らぬ側に立つ唯一のセット特技だ。

[素養] 機微 — 3段 (正典3段択一と択一)
効果: 社会場面(市・宴・関門・交渉・尋問)限定。常時効果:
  - 危機感知: その場の敵意が行動になる一呼吸前にGMが知らせて
    くれる —— 笑い顔の抜刀、宴の毒杯、仕組まれた値切り。その警告に
    反応する最初の判定に +2。
  - 雰囲気読み: 身分・礼法の失敗で受ける状況ペナルティを場面につき1回
    無視する。失敗がなかったことになるわけではない —— 刀が抜かれる前に
    頭を下げる間ができるだけだ。
注意: 戦場の奇襲・待ち伏せには関与しない —— そちらは一般特技
  「危機感知」の領域だ。機微は刀より先に空気を読む技だ。

迷惑客の語気が荒くなる半拍前、職員室の空気が変わる瞬間 —— 一般人はその感覚を授業料なしで学んできた。この時代の宴席で、その感覚は命の値をする。

二つの特技はいずれも択一であり、追加ではない。 そしてセット総論法 2の宣言そのまま —— 本セットはいかなる形でも攻撃判定にボーナスを足さない。

#要素 3 — 開始漂流物:背嚢一つ、平日一日分

背嚢一つ原則。一般人の背嚢には任務装備も往診鞄もない —— 平日一日分の日常が入っているだけだ。固定品目二つに、鞄の中でd10表を二度振る(振っても選んでもよい。重なれば振り直す)。

  • スマートフォン [消尽 4・時計] —— 一般人は電子機器カードの代表的な使い手だ。圏外画面、写真帳、懐中電灯、そしてレンズに絡んだ規則の全て —— カード全文はそちらにある。
  • 財布 —— 下のカード。[消尽]すら付かない、本セットの情緒小道具。
  • 鞄の中の日用品 —— 下のd10表から2個。
項目
名称財布
分類装備・物資
効果規則効果なし。紙幣もカードもこの時代では一文の値も払えない。ただしその精巧な印刷物と写真は「証拠」として、見る目のある者 —— 堺座の鑑定人、城下の学者 —— には全く違う値を持つ。
[消尽]なし —— 減ることがない。使い所がないので。
劣化特則なし —— 基本値(消尽システム法 2)。革はこの時代でも革だ。
一握りの物語一万ウォン札三枚、千ウォン札二枚、領収書一束。一番上の領収書に押された日付が —— 彼が生きていた世界の最後の日付だ。
沈黙後の価値この物は渡ってきた日から沈黙していた。だから勘定が逆に進む —— 残量ではなく歳月が値を上げる。百年後、読めない文字の押された紙は、お守りになっているだろう。

#鞄の中の日用品 (d10)

d10品目[消尽]一握りの物語沈黙後の価値
1補助電池 (豫備電池)[消尽 3・時計]四枡に三枡。昨夜きっちり充電しておけば、という後悔が一枡。中を開けても職人が読めない銀色の内臓 —— 沈黙した後も堺座の鑑定目録に上る。
2折り畳み傘 (折疊傘)なし梅雨時から鞄の底に住み着いた主。広げた瞬間、村が見物に来る。水を弾く布はこの時代にない。蓑百着とも替えぬという薬売りが現れる。
3鎮痛剤一筒 (鎭痛劑)[消尽 6・回数]頭痛の多い人だった。今は頭痛の理由が変わった。空の筒は文字が浮き彫りにされた小さな盒 —— それだけで薬売りの威勢品になる。
4菓子二袋 (菓子)[消尽 2・回数]バイト帰りに家で開けるはずだったもの。甘味はこの時代最高級の贅沢だ。空袋の内側の銀色は鏡の破片のように光る —— 子供の宝、烏の標的。
5ウェットティッシュ (紙巾)[消尽 8・回数]一枚抜くたびにする、あの匂い —— この時代のどこにもない、「清潔さ」の匂い。乾いた後も布より丈夫な紙 —— 紙売りがしばらく見つめて首をかしげる。
6ライター (點火器)[消尽 4・時計]煙草も吸わないのに鞄ごとに一つ転がっていた物。今では最も貴い物。火種が半日の手間賃だった時代に、親指一度で火を呼んだ鉄片 —— 沈黙しても火打石より不思議だ。
7ボールペンと手帳 (筆記具)なし約束と借りとやるべきことの目録 —— 全て無効になった目録。最初の空白の頁に何を記すか。紙は貴く、文字はさらに貴い。字を知る手という証拠一つで仕事が生まれる。
8手鏡と化粧品 (手鏡)化粧品 [消尽 4・回数]面接に行く日に買ったもの。鏡の中の顔だけがまだあの世界に生きている。玻璃の鏡の鮮明さは神鏡の領域 —— 売れば大金、売られた先で神物になる。
9学生証・社員証 (身分證)なし誰も読めない文字。しかし写真の中の顔は確かにお前だ —— この時代に唯一一枚の、お前がお前だという証拠。陰陽寮が欲しがる。「魂を閉じ込めた札」という鑑定書が付く。
10文庫本一冊 (文庫本)なし通勤路で読みかけた本。時間がなくて読めなかったのに —— 今は時間だけが多い。未来の活字と紙 —— 学者一人が生涯を賭ける研究の種。本は摩り減らない、濡れるだけだ。

上の表は略式だ —— 分類は全て装備・物資、効果は常識の範疇(GM裁量)、劣化は基本値。効果欄が必要な品目(補助電池、鎮痛剤など)のカード全文は電子機器装備・物資に載り、そちらが優先する。開始残量は消尽システムの§運用ダイヤルで調整できる。

#要素 4 — 葛藤フック

正典現代人の三道六心の葛藤目録を一般人の視点で具体化した二つ。新たな葛藤軸ではない —— レンズだ。

  • 「なぜ私だったか」 —— 「戦争の意味」の具体化。この時代の戦場は毎日人を消す。自衛官には任務が、医療人には患者がいる —— 生き延びた理由を職業が作ってくれる。一般人にはその理由がない。何の資格もなく渡ってきて、何の資格もなく生き延びる。最初の戦場で名も知らぬ足軽が自分の代わりに倒れるのを見た夜、この問いは三道六心を正面から打つ。一緒に消えた人々がいるなら —— 同じ学校の、同じ街の —— 問いは一重さらに重くなる。彼らはどこに落ちたのか。生きているのか。
  • 「帰りたい、ただ」 —— 「帰るか、残るか」の最も純粋な担い手。自衛官には復帰報告があり学者には研究室がある —— 帰還にすら職業の名分が付く。一般人の帰還動機には名分がない。母に会いたい。自分の部屋のベッド。金曜の夕方。名分がないから最も純粋で、純粋だから最も強い。帰還キャンペーン(GMガイド)を回す卓なら、その物語の情緒的中心はほとんどいつもこのセットのPCになる —— 「帰って何をするんだ」という問いに「ただ、いつも通りに生きる」と答えられる唯一の人だからだ。

#要素 5 — 適応変形:白紙の速い道

適応メカニックの正典規則は全てそのままだ。本セットが塗る色は二行 —— ただしその二行が、六セット中このセットでのみ白紙で始まる。

  • 速い道 —— 白紙委任。 キャラクター生成時に速い道を定めない。最初に適応借用した公式職業が、その瞬間に速い道として確定する —— その職業から借用する最初の特技から同職業免除を適用する(正典は2個目から —— セット総論要素 5)。一度確定すれば変えられない。看護師は医僧に、自衛官は侍に —— ほかのセットの速い道は前職が定めた道だ。一般人の速い道はこの時代で出会った人が定める。 誰の手を最も長く見つめたか —— それが答えだ。
  • 塞がれた道 —— 対極の合意。 速い道が確定する瞬間、PLとGMが合意してその職業の手と最も遠い公式職業一つを塞がれた道に定める —— 生かす手を選んだなら殺す手を、隠れる手を選んだなら導く手を。その職業の借用には免除規則が適用されず、活力ペナルティが最後まで残る。何にでもなれるという言葉は、何かになる瞬間に終わる言葉だ。白紙が一つの色に染まり始めれば —— 最も遠い色には、ついに届かない。

そして警告を一行。白紙は速く染まる —— 諦めにも速く染まる。 正典現代人の三道六心転換トリガーは2回、六セット中職業的信念の鎧がないこのセットでその鐘は最も頻繁に鳴る。「この時代はもともとこういうものだ」と言うPCの声が早すぎるほど安らかになれば、GMはその適応が成長か摩耗か一度問うてやるべきだ。規則は変わらない —— 見守る目が一つ多く要るだけだ。


#時代との摩擦 — 身分なき者の居場所探し

この時代は人を職分で数える。武家の者、寺の者、田の者、座の者。一般人はそのどの帳面にもない —— 家門がなく、師がなく、何より保証人がない。 関門が問い、旅籠が問い、座が問うのは常に同じだ。「誰が貴方を保証するのか。」一般人の最初の答えは沈黙であり、だから彼の最初の身分は士農工商四つの階級の外 —— 落魄だ。

落魄から始まるということは絶望の宣告ではなく出発線の表記だ。道の上には道の上の法度がある —— 落魄同士は互いを問わない。問わないことが慈悲だ。ある軒下で浪人が席を半寸空け、流れの芸人が汁一杯を分けてくれるとき、彼らは出自を問わない。神隠しされた者にこれほど有り難い礼法はない —— 一般人の最初の共同体は高い確率で、世の柵の外の人々だ。

そして梯子はそこから始まる。下男奉公一季、行商の荷担ぎ一季、茶屋の働き手一年。「生活の知恵」が手間賃の値をし、「機微」が縄張りの刃を避けさせ、変装 —— どの列に立てば目立たないかを知る体 —— がいつしか彼を「あの家の働き手」に見せる。六セット中、軍人も学者も真似できぬ技がこれだ。消える技。 自衛官はどの市に立っても自衛官に見える。一般人は三月でその界隈の者に見える。

摩擦はペナルティではなく場面の材料だ —— 保証人を求める物語、初めての給金を受け取る物語、何をしていた者かという問いに初めて「この家の仕事をしています」と答える物語。その一行の答えを得るまでの道が、このセットの最初のキャンペーンだ。


#成長曲線 — 何にでもなれるという言葉の値

まずデータの線を引く。本セットは前職も二重構成も開かない。 正典成長体系の択一原則 —— 適応使用職業は二重構成を使えない —— はそのままであり、シートの職業欄には最後まで現代人と記されている。以下に記すのはデータではなく叙事だ —— セット総論法 3の文言そのまま、適応が加速した果てが「事実上の新職業」のように見えるのは物語の事であって規則の事ではない。

  • 1~3段 — 堪える手。 生活の知恵で一日を買い、機微で命を買う時期。背嚢の中の[消尽]が一つずつ沈黙し、落魄の軒下で最初の冬が過ぎる。この時期の一般人は本巻で最も弱いPCだ —— そして最も失う物のないPCでもある。
  • 5段前後 — 最初の染まり。 最初の適応スロット、最初の借用、速い道の確定。ほかのセットが前職の影を生きる間 —— 自衛官の銃が沈黙へ向かい(自衛官)、医療人の薬箱が空いていく間 —— 一般人だけがこの時代で職業を選ぶ。 六セット中唯一、過去ではなく未来へ向けて適応するセットだ。GMはこの最初の借用をシート上のチェックではなく場面として扱え —— 誰の手を肩越しに盗み学んだか、その人はそれを知っていたか。
  • 7~9段 — 名が付く時期。 借用した特技が一つの輪郭を成し、村人が彼を職分で呼び始める。医僧の手を学んだ者は「先生」と、商人の勘定を学んだ者は「支配人」と。適応加速の終着点は —— 帳面上では最後まで現代人だが —— 事実上の新職業だ。ただしその「職業」はキャラクターシートではなく村人の口に記されている。それが本巻の許す唯一の前職であり、もしかすると最も良い前職だ。
  • その果て — 帰化(歸化)。 背嚢は空になり、手はこの時代の仕事を知る。消尽の果てに神隠しは正典に帰ってくると消尽システムは記した —— 一般人はその一文の最も速い証明だ。失う未来が少なかった分、この時代の人になる道も短い。それを勝利と読むか喪失と読むかは、卓の分け前だ。

#卓フック (Scene Tool)

GMがその場で取って使える大きさで、三つ。

  • 「同じ制服」 —— 隣の領地の市で同じ制服を着た子を見たという行商の言葉。本物の同級生か、売られた制服一着か、時間の匂いを覚えている妖魔の餌か —— どの答えでも「なぜ私だったか」の問いが道の上に解ける。捜索の果てにPCが探すのは人ではなく、自分が独りではないという証拠だ。
  • 「紙一枚の値」 —— 堺座の鑑定人が財布の中の紙幣を見てしまった。「この印刷、お売りなさい。言い値で差し上げよう。」この時代のどの版木も真似できぬ精密さ —— 座は見本として、学者は研究の種として、贋作師は師として、その紙を欲しがる。問題は一つだ。それはPCに残った、生きていた世界の最後の物証だ。
  • 「井戸の知恵」 —— 留まっていた村に腹下しが回る。「水を沸かして飲み、手を洗え」 —— 一般人の常識一行が村を救い、噂は膨らんで領主の耳に届く。「疫病を治める知恵ある者」の召喚状が下った日、PCは選ぶ —— 非凡な者を演じるか、平凡さを自白するか。どちらにせよ、市の薬売り一人が自分の飯の種を脅かす彼を注視し始める。

「何をしていた手か」という問いに空手の者だけが —— 「何になる手か」という問いを受ける。