日本語版 v1.3.3 · fc-doc

#サンプル漂流者 (漂流者見本)

目次

Sample modern drifters as a quiet lineup of five upper silhouettes, soldier, rescuer, doctor, engineer, and student, all facing a white historical road.

権威。 本文書のサンプル6人の数値は狭い Canon —— 本巻の中でのみ正本であり、正典現代人のいかなる項目も覆さない。共通導入断片はFiction-Only、§即席運用一ページはScene Toolである。六人は全員正体性セットの使用者なので、本巻のすべての変形がそうであるようにGM許可を前提とする —— そしてfcは co 正本(Canon)を覆せない。


#香 — 同じ霧を渡った人々

#導入断片 — 終バス

The kamikakushi arrival: a stalled modern bus at a thatched-roof village edge at dawn, terraced paddies, no power poles, villagers with hoes ringed at a distance, headlights on a dirt road

谷の入口の停留所を終バスが離れたのは夜九時 —— 乗客は六人、運転手まで七人だった。

一番後ろの席で天野昊は窓に額をつけていた。膝の上の電話機には送りかけのメッセージが浮かんでいた。母さん、私もう出発。三日遅れた修学旅行だった —— 母の入院と、行き違った集合と、乗り逃したバスの三日。隣の席の蓮見先生が黙って缶コーヒーを差し出した。

Amano Sora, 17yo student, the emotional center: school uniform, a phone with an undelivered text, a school bag, the youngest; no screen text

「寝てもいいよ。合流したら起こしてやるから。」

「……先生まで遅れさせてしまって、すみません。」

「引率というのはね、もともと、一番遅い子の隣に立つ仕事だ。」先生はそう言って自分の鞄を抱え込んだ。教科書と指導書が入って重い、どこへでも背負って歩く鞄だった。

通路の向こうには土の乾いた作業服姿の女が大きな背嚢を抱えたまま目を閉じていた。眠った人の息ではなかった —— 休む法を訓練された人の息だった。運転席のすぐ後ろには制服の中年の男が赴任辞令の入った封筒を膝に載せており、その後ろの席では老いた医者が学会資料集の上に眼鏡を載せたまま居眠りしていた。通路の端の若い技術者は工具鞄を抱え、イヤホンの向こうの拍子に合わせて緩く首を振っていた。

バスが長いトンネルに入った。ラジオが先に死んだ。雑音 —— そして沈黙。

昊の電話機の左上からアンテナが消えた。圏外。「トンネルだから。」昊はつぶやいた。

トンネルは長かった。長すぎた。そしてトンネルを出ると —— 霧だった。

前照灯の光が牛乳の中をかき混ぜるようだった。運転手が速度を殺した。「こりゃおかしいな。この道にこんな霧が……。」

ワイパーが二度往復する間に霧が晴れた。運転手がブレーキを踏み、七人の体が一斉に前へ傾いた。

中央線がなかった。アスファルトがなかった。前照灯が照らすのは車輪の轍が二筋深く刻まれた、狭い土の道だった。

「道を……間違えたか。」運転手がナビゲーションを叩いた。画面は衛星を探していた。探して、探して、ずっと探し続けていた。

制服の男が先に立ち上がった。「運転手さん、ひとまず停車しましょう。— 皆さん、お怪我はありませんか。人員確認します。」声が異様なほど落ち着いていたので、人々はその言葉に従った。乗客六人、運転手一人。全員無事。

作業服の女はいつの間にか一番前に来ていた。フロントガラスの向こうの闇をしばらく読んでから、低く言った。「引き返す道も霧です。いっそ灯りを探しましょう。」

バスは土の道の上を這った。灯りはなかった。燃料の針が目に見えて下がり、若い技術者が運転席の傍らにしゃがみ込んで計器盤を覗き込んだ。

「車はまともです。」彼女が言った。「壊れているのは — 車の外側です。」

夜明けが霧を残らず晴らしていった。棚田が現れた。茅葺き屋根が現れた。電柱は、ついに現れなかった。

村の入口でバスは二度咳をして止まった。燃料が尽きた。

一番先に来たのは子供たちだった。柿をもぐ竿を持ったまま、鉄でできた巨大なものと、その中から降りてくる七人を交互に見上げた。大人たちは鍬を握ったまま遠巻きに囲み —— やがて腰の曲がった老人が人々を掻き分けて出てきた。

老いた医者が、バスでずっと居眠りしていたその人が先に頭を下げた。「お騒がせします。ここは — どちらの村でしょうか。」

言葉が通じた。老人の目が大きくなり、七人の肩から本人たちも知らなかった力が一握り抜けた。問う言葉に答えが返ってくるということ —— それがその朝の最初の奇跡だった。

老人はバスをしばらく見上げ、七人を順に見た。勘定を終えた顔だった。

「神隠し(神隱し)じゃのう。」老人が言った。「神霊が隠して戻されたのじゃ。— 一度に七人も。」

昊はその言葉を聞き取れぬまま電話機を見下ろした。圏外。送りかけのメッセージの下に赤い文字が浮かんでいた。

送信失敗。再試行しますか?

昊は再試行を押した。その癖が終わるのには、それから一季がかかった。

#香 — 一台のバス、七つの物語

漂流は一度の事件ではなく続く現象だ(漂流の原理)。02シリーズの断片ごとに立っていた人々 —— 関門の看護師、泥濘の自衛官、燃える村の黒い衣、街道の医者、山寺の研究者、納屋の整備士、地下通路の青年 —— は全部別の夜、別の門の神隠しだ。このバスはその現象の一事件にすぎず、本巻が即席プレイ用に予め整えておいた一膳だ。

七人目の人 —— 運転手 —— はGMのNPCだ。名と物語は卓のものとして残しておく。ただし一つだけ提案を記しておくなら:バスの傍らをついに離れられぬ人にせよ。遠い後にその車体が鉄の祠になる日 —— 最初の祠守りの席がすでに埋まっているだろう。

そしてこの一行の情緒的中心は最も強い人ではなく最も弱い人 —— 末っ子だ。一般人・学生セットの設計そのまま、職業の鎧なしに渡ってきた者だけが「帰りたい、ただ」と言える。本巻の脊椎はここでも撓まない。この本は現代人を強くする本ではない。消耗してゆく未来のドラマを与える本だ。 以下の六枚のシートはそのドラマの始まりの残量表だ。


#サンプル六人 — 終バスの一行

六人全員が正典現代人1段であり、セットあたり一人ずつ —— 02シリーズ六文書のセットデータをそのまま着た。数値文法は正典サンプルのものに従い、漂流物残量表記はそのまま残量記録紙の記入例を兼ねる。活力譲渡と能力値特殊(勇/技/體 -1、智/美/運 +1)は六人全員、職業の骨格として維持される —— 総論法 2の正典保護原則そのままだ。背景は名前だけ記した —— 詳細は正典背景にあり、セット置換機能と背景機能特典が同じ機能を指せば総論法 2の強制移動規則が仕事をする。

#名前セット一行
1深沢凛 (28)自衛官 — 災害派遣型八発の軍人

Fukazawa Rin, JSDF disaster-dispatch drifter: relief fatigues, a slung rifle and a switched-off field radio, trained stillness; no insignia

| 2 | 小川守 (47) | 救難職 — 警察 | 管轄なき巡査部長 |

Ogawa Mamoru, lone policeman drifter: uniform, a holstered revolver never fired, a whistle and handcuffs, the posture of a man counting his seven

| 3 | 刈谷昭一 (58) | 医療人 — 医師 | 奇跡三瓶を背負った医者 |

Kariya Shoichi, old country doctor: an open house-call bag with three small bottles, glasses, weary dignity ("three bottles, a long line")

| 4 | 蓮見千秋 (34) | 学者・教師 — 教師 | 教室を失った引率者 |

Hasumi Chiaki, history teacher who lost her classroom: civilian clothes, a heavy bag of textbooks and a map-book, glasses, the habit of calling roll

| 5 | 辻早苗 (23) | 技術者 — 電気技師 | 一行の時計番 |

Tsuji Sanae, young engineer: work coveralls, a tool bag, a work lamp, head tilted to a beat in dead earbuds (the convoy's timekeeper)

| 6 | 天野昊 (17) | 一般人・学生 — 学生 | 送れなかったメッセージの主 |

#1. 自衛官 — 深沢凛

半月の水害派遣が終わった夜、部隊の車便を逃して装具ごと終バスに乗った3等陸曹 —— 弾入帯の底には返納台帳に上る前の八発が残っていた。最初の夜、彼女は習慣のように無線機を一呼吸入れ、四百年分の空っぽの空が出す雑音だけを聞いて消した。それ以来、無線機は消えている —— 再び入れる日は、彼女が定める。

深沢凛 — 現代人1段 · 自衛官セット (災害派遣型)
戦力 4、防備 10(災害派遣作業服)、活力 11。勇+0、技+1、體+1、智+1、美+0、運+0。
背景: 放浪者 (ルート未選択) | 心: 忠
機能: 策謀●● 弓術(銃器限定)● 交渉● 感知● 生存● 天運● 強健● 偵察●  (セット置換: 医術入門→弓術(銃器限定)入門 — 免許上限; 背景 放浪者: 生存・天運 / 自由: 強健・偵察)
特技: 火器熟練 [素養] (セット1段 — 正典「先見の明」と択一)、適応可能スロット 1
適応: 速い道 侍 / 塞がれた道 忍び
漂流物: 89式小銃 1挺 [消尽 8・発数] — GM選択0~10の記入例 (カードは火器文書)
  個人救急嚢 ×2 (各 [消尽 3・回数]) · 戦闘食糧 [消尽 6・回数]
  携帯無線機 [消尽 6・時計] · 懐中電灯 [消尽 4・時計]
  鉄帽・作業服・水筒・野戦シャベル・ロープ一巻き・救助手袋 ([消尽] なし)
葛藤: 命令なき引き金 — 八発の責任者が、今や彼女一人だけだ。

漂流物のカード全文は自衛官火器電子機器にある。災害派遣型の制圧射撃は生涯一度になる公算が大きい —— その一度がいつかが、このキャラクターの物語だ。

「銃はないものと思え。それが一番正確な勘定だ。」

#2. 救難職 — 小川守

都市で二十五年を巡査として過ごし、山里の駐在所の辞令を受けて一人先に赴任する道だった —— 家族は春に追ってくることになっており、その春は四百年外に残った。最初の朝、彼は七人の人員を確認し、その日から一日もその勘定を欠かさない。拳銃は二十五年の間に二度抜き、一度も撃たなかった —— その記録は、まだ破られていない。

小川守 — 現代人1段 · 救難職セット (警察)
戦力 3、防備 10(制服)、活力 11。勇+0、技+1、體+0、智+1、美+1、運+0。
背景: 現代の記憶 | 心: 義
機能: 体術●● 威圧● 交渉● 感知● 策謀● 医術● 虚言● 偵察●
  (セット置換: 策謀習得→体術習得、医術入門→威圧入門 — 免許上限; 背景 現代の記憶: 策謀・医術 / 自由: 虚言・偵察)
特技: 制圧術 [型] (セット1段 — 「先見の明」と択一。非殺傷 — 2d10+技+体術)、適応可能スロット 1
適応: 速い道 野人 / 塞がれた道 忍び
漂流物: 回転式拳銃 [消尽 5・発数] (予備弾 0 — 基本推奨) · 手錠 (鍵は一つ)
  警棒 (非殺傷) · 号笛 · 懐中電灯 [消尽 4・時計]
葛藤: 誰の法か — 彼が守っていた法は、この時代のどの領地のものでもない。

五発はこのセットのエンジンではない —— 救難職の文章そのまま、最後に取っておいた五句の台詞だ。拳銃が沈黙した翌日も彼は昨日と同じ仕事をする。

「全員無事確認。— よし。では今日の仕事を始めよう。」

#3. 医療人 — 刈谷昭一

山間の診療所で三十年 —— 「医者は鞄を置いて歩かない」が彼の信条であり、学会から帰る終バスでも往診鞄は膝の上にあった。その意地がこの時代に奇跡三瓶を運んできた。初日の夜、彼は鞄を開けては音もなく閉じた —— 勘定はその一度で終わり、その後は減らす仕事だけが残った。

刈谷昭一 — 現代人1段 · 医療人セット (医師)
戦力 3、防備 10(背広)、活力 10。勇-1、技+0、體+0、智+3、美+1、運+0。
背景: 現代の記憶 | 心: 仁
機能: 医術●● 策謀●● 交渉●● 感知● 薬草● 強健●  (セット置換: 策謀習得↔医術入門 — 等級交換; 背景 現代の記憶: 策謀・交渉 昇格 / 自由: 薬草・強健)
特技: 消毒と縫合 [素養] (セット1段 — 「先見の明」と択一: 応急医学 +3を捨てて
  「清潔な処置」を選んだ — セットが売るのは数ではなく質だ)、適応可能スロット 1
適応: 速い道 浄土僧 / 塞がれた道 殺法
漂流物: 往診鞄 — 手術道具 ([消尽] なし — 器物) · 処置消耗品 [消尽 6・回数]
  抗生物質 [消尽 3・回数]
葛藤: 誰を生かすか — 薬瓶は三つ、列は長い。

最後の1回分が問いになる日の運用は医療人の「最後の1回分」項が整えておいた —— このキャラクターを回すGMはその項から読め。

「抗生物質は三瓶だけだ。だから皆 — 頼むから、病まないでくれ。」

#4. 学者・教師 — 蓮見千秋

歴史を教える十年目の教師 —— 家庭の事情で遅れた教え子一人を連れて本隊を追う引率者だった。教室は消えたが、鞄の中の教科書と出席を取る癖は共に渡ってきた。専攻が歴史だということは冗談のような幸運であり —— その歴史が半ばほど別の世界の記憶だという事実は、冗談ではない。

蓮見千秋 — 現代人1段 · 学者・教師セット (教師)
戦力 3、防備 10(民間服装)、活力 10。勇-1、技+0、體+0、智+2、美+2、運+0。
背景: 現代の記憶 | 心: 慈
機能: 策謀●● 医術●● 交渉●● 扇動● 感知● 虚言●  (セット置換: 感知入門→扇動入門 — 免許上限; 背景 現代の記憶: 医術・交渉 昇格 / 自由: 感知・虚言)
特技: 先見の明 [素養] (正典1段維持 — セット「文献鑑識」との択一で正典を
  選んだ。どちらを選んでも正解だ)、適応可能スロット 1
適応: 速い道 学者 / 塞がれた道 忍び
漂流物: 教科書二、三冊・教師用指導書 (専攻書籍 — [消尽] なし、濡れるだけだ)
  筆記具一揃え [消尽 6・回数] · 眼鏡 ([消尽] なし — 割れれば終わり)
葛藤: 文字は誰のものか — 教えることが罪になる時代で、彼女は教師だ。

3段に届く日、彼女の前には教える者が待つ —— それまで彼女の教壇は焚き火の傍らであり、学級名簿には一人の名が記されている。

「出席を取る。— 天野。……そう、よし。今日も全員出席。」

#5. 技術者 — 辻早苗

山頂の中継局の夜間点検を終えて降りてくる二十三の電気技師 —— 工具鞄を抱えたまま終バスで居眠りしていた。生涯直していたのは信号だったのに、この時代の空には信号が一筋もない。代わりに彼女は最初の幕間に一行の荷を全部広げさせた —— 拭き、締め、時計を遅らせるのが己の仕事だと、誰かに言われる前に知っていた。

辻早苗 — 現代人1段 · 技術者セット (電気技師)
戦力 3、防備 10(作業服)、活力 12。勇-1、技+2、體+0、智+2、美+0、運+0。
背景: 放浪者 (ルート未選択) | 心: 無心
機能: 解除●● 医術● 交渉● 感知● 潜入● 天運● 策謀● 強健●  (セット置換: 策謀習得→解除習得 — 免許上限; 背景 放浪者: 潜入・天運 / 自由: 策謀・強健)
特技: 応急修理 [素養] (セット1段 — 「先見の明」と択一。一行全員の消尽時計が
  この手に懸かっている)、適応可能スロット 1
適応: 速い道 工人 / 塞がれた道 神秘の領域
漂流物: 工具一式 ([消尽] なし — 失くすだけ、紛失特則) · 作業灯 [消尽 6・時計]
  予備部品袋 [消尽 3・回数]
葛藤: 直すか、埋めるか — 直す手は、真似される手だ。

技術者の文章をこの一行の言葉に移せばこうだ —— 早苗を失う日、一行が失うのは仲間一人ではなく全員の残された日数だ。

「バスはまともでした。今でもそれが、一番怖いんです。」

#6. 一般人・学生 — 天野昊

母の入院で三日遅れた修学旅行 —— 本隊を追う終バスで送れなかったメッセージを握っていた十七だ。職も資格もなく渡ってきて、だからこの時代の人々の目には七人の中で最も理解しやすい顔だ。最初の夜、大人たちの勘定が全部暗くなったとき菓子二袋を黙って破って配ったのが —— この末っ子だ。

天野昊 — 現代人1段 · 一般人・学生セット (学生)
戦力 3、防備 10(制服)、活力 10。勇+0、技+0、體+0、智+1、美+1、運+1。
背景: 放浪者 (ルート未選択) | 心: 無心 → 仁 (漸進)
機能: 策謀●● 変装● 交渉● 感知● 生存● 天運● 歩法● 虚言●  (セット置換: 医術入門→変装入門 — 免許上限; 背景 放浪者: 生存・天運 / 自由: 歩法・虚言)
特技: 生活の知恵 [素養] (セット1段 — 「先見の明」と択一。本巻で初めから
  摩り減らぬ側に立つ特技)、適応可能スロット 1
適応: 速い道 白紙委任 (最初の借用職業がその瞬間に確定する) / 塞がれた道 対極の合意
漂流物: スマートフォン [消尽 4・時計] (点けた場面ごとに — 寛容なし) · 財布 ([消尽] なし)
  鞄の中の日用品 d10 — 4・9を選んだ例: 菓子二袋 [消尽 2・回数] · 学生証 ([消尽] なし)
葛藤: なぜ私だったか — 同じバスの大人たちには職業が残った。彼女に残ったのは
  未発信1通だ。

スマートフォンと日用品のカード全文は電子機器一般人・学生にある。帰還の問いが卓に浮かぶ夜ごとに、GMはこの末っ子の顔を照らせ —— 「帰って何をするんだ」に「ただ、いつも通りに生きる」と答えられる唯一の人だ。

「電波が届いたら一番先に送るメッセージがあるんです。— だから私、帰るんです。」

#六つの勘定

この一行の火力は十三発が全部だ —— 凛の八発と守の五発。それが尽きる日、一行は正典現代人六人に戻り、その日からが本編だ。医術は昭一の鞄と凛の救急嚢の二つが支え、時計は早苗が遅らせ、記録は千秋の筆記具が残し —— 真ん中には、何者でもない末っ子が立つ。残量はわざとタイトに整えた。始まりの残量の調整は消尽システムの§運用ダイヤルとGMガイドの分だ —— ただし上げる前に、「遅い」の警告文をまず読め。


#先に来た先輩 — 高木さやか

バスより数年先に、別の門 —— 帰路の電車 —— で渡ってきた神隠しがいる。正典サンプルの医大生、カグラ藩の国境で「中国式の医者」と呼ばれる人。本巻は彼女のシートに一文字も加えない —— 数値は正典の1・5・10段シートをそのまま使い、セットも着せない。セットなしの正典現代人はそれ自体で完全だ(総論法 2)。彼女はセットが作られる前にこの時代を生き抜いた、その文章の生き証明だ。

噂が峠を越えるのには半月もあれば足りる。「一度に七人も」の噂が彼女の陣中に届く日 —— 先輩が来る。

昭一の往診鞄を見た瞬間、彼女の最初の一言は決まっている。「……同業者ですね。」鞄を開ける手つきで互いを見分ける二人の医者の傍らで、一行は初めて自分たちの未来一つを見る —— 生き残れるということ。そして彼女が四年目も帰れていないということ。その二つは同じ人の顔の上に共に浮かんでいる。

  • 段の選択。 ワンショットの推奨は5段 —— 四年目の野戦医、適応を終えて「帰りたいか」の答えを先送りにした人。キャンペーンの時期に応じて正典の1段・10段シートをそのまま出して使ってもよい。
  • 何をするか。 三つで十分だ。① 名と値 —— 神隠しがこの時代で生きる法を三行で教える:職分を見せよ、仕事には値を取れ、減っていくものを数えよ。② 生きた証拠 —— 生存の証明であり、帰還できぬことの証明。③ 伝承の出処 —— 帰還キャンペーンへ向かう卓なら、GMガイドの帰還条件フックが指す「先に渡ってきた者たちの伝承」の生きた出処がまさに彼女だ。
  • 注意。 先輩は解決屋ではない。登場は一場面、処方は一行 —— 六人の物語を代わりに解いてやる瞬間、カメオは主役を食う。彼女には彼女の患者たちがいる —— 一晩泊まり、去らせよ。

去る朝、彼女が末っ子に残す言葉でこの節を閉じる。— 「四年前の私にしてやりたかった言葉をしてあげる。勘定をしなさい。悲しみは数えられないけど、残ったものは数えられる。数えている間は — 生きられる。」そして峠を越える前に一度振り返り、笑う。「六人だなんて、羨ましい。私は一人だったから。」


#即席運用一ページ

この節だけScene Tool —— 規則ではなくGMの取っ手だ。この文書と残量記録紙一枚あれば、準備なき晩にも卓が開く。

  1. 選ぶ —— PLごとに上の六人から一人。残る人物はGMの同行NPCだ。上のブロックそのまま回してもよく、正典シートに書き写してもよい。
  2. 記す —— 各ブロックの[消尽]を残量記録紙に移す。上の表記がそのまま記入例だ —— 記録はPLの分であり、GMは数えてやらない(消尽システム)。
  3. 読む —— §香の断片を声に出して読む。最初の場面で見せるべきこと三つは漂流の原理の目録そのまま —— 通じる言葉の安堵、死んだ物の不安、そして呼称が付く瞬間。
  4. 開く —— 最初のセッションはフック一つで足りる:日が沈む —— 寝床と食べ物の交渉、そして闇の中で泣く何か。バス非常箱の懐中電灯一本(消尽システムの見本カード —— 「ついに辿り着けなかった終点」のその物)を共用漂流物として握らせて始めよ。より長い盤は02シリーズ各文書の卓フックとGMガイドの味付け型の盛り方が受ける。
  5. 回す —— 消尽ダイヤルは手をつけなくてよい。上の六人の残量はすでにタイトに整っている —— 八発、五発、三瓶。標準そのまま回しても最初の沈黙は遠くない。そしてワンショットの最後の場面には先輩を送れ —— 上のさやかが、その席のために記されている。

終バスは終点に届かなかった。その代わり — その日の夜明けに七人が降りた場所が、それぞれの物語の最初の停留所になった。