#第9章 成長 (成長)
目次
初めて刀を握った手と、戦国に名を轟かせる手は、同じ手だ。その間に十度の悟りがある。奇数段で君は戦場の悟りを特技として刻み、偶数段で絶え間ない修練によって能力値と技能という基礎を固める。1段は刀を握ったばかりの青二才、5段は名の知られた武将、達人(10段)は戦国に名を轟かせる伝説だ。
この章は君のキャラクターが育つ規則を扱う。昇段が何を与えるのか、熟練等級をどれほど深く掘れるのか、最後の十度目の悟りでどんな名を残すのか — そして一人の武士が1段から5段までどのように育つのかを、実際のシートで示す。
#昇段 — 十度の悟り

| 番号 | 意味 |
|---|---|
| 1/3/5/7/9 | 奇数段 — 特技獲得 |
| 2/4/6/8/10 | 偶数段 — 能力値・技能成長 |
| 10 | 最終分岐 |
#マイルストーン
昇段は経験値を積み上げるものではない。戦場での悟り、生死の岐路で迎えた成長の瞬間だ。GMと君が合意して昇段を決める。下の条件のうち一つ以上を満たせば、GMが昇段を宣言する。
| 条件(1つ以上を選択) | 備考 |
|---|---|
| 戦闘完遂 2~3回 | GM裁量。基本条件 |
| 叙事的マイルストーン 達成 | 個人目標、重要事件など |
| 技能活用に関わる悟り | 「剣術で危機を乗り越えた」など |
| セッション終了時のGM宣言 | マイルストーン方式 |
出典: co-04-02 §昇段条件。
#奇数段と偶数段
10段階は二つを交互に与える。奇数段(1・3・5・7・9段)では特技を得る。偶数段(2・4・6・8・10段)では能力値 +1と技能2点を得る。
| 段 | 偶数段 — 基礎成長 | 奇数段 — 特技獲得 |
|---|---|---|
| 1段 | 初期技能セット(9点) | クラス1段固有特技(自動) + 背景特技1 + 一般特技1 |
| 2段 | 能力値 +1 / 技能 +2点 | — |
| 3段 | — | クラス特技1(3段目録) + 一般特技1 |
| 4段 | 能力値 +1 / 技能 +2点 | — |
| 5段 | — | クラス特技1(5段目録) + 背景成長または一般特技1 |
| 6段 | 能力値 +1 / 技能 +2点 | — |
| 7段 | — | クラス上級特技1(7段目録) + 一般特技1 |
| 8段 | 能力値 +1 / 技能 +2点 | — |
| 9段 | — | クラス上級特技1(9段目録) + 背景成長または一般特技2 |
| 達人 | 能力値 +1 / 技能 +2点 | クラス上級特技1 + 威名特技1 |
- 能力値 +1: 望む能力値1つに +1。PC上限は +3だ。
- 技能 +2点: 技能点2点を自由に配分する。ただし、下の熟練等級の項の免許以上の個数制限を守らねばならない。
出典: co-04-02 §法 — 10段階交差成長表、§基礎成長詳細。
#下位段特技選択の自由
昇段で新しい特技スロットを得るとき、その段の特技だけでなく、下位段の特技も選べる。5段の侍が5段クラススロットで3段特技「一騎討ち宣言」を遅ればせながら習うことも、9段のキャラクターが9段スロットを一般特技「強靭」に使うこともできる。一般特技スロットは常にすべての一般特技から段階制約なしで選ぶ。同じ特技を二度取得することはできない(強靭のように反復可能と明示された特技は例外)。
出典: co-04-02 §特技選択の自由。
#二つの道がある — 二重構成
大半のキャラクターは一つの職業を最後まで掘る。しかし二つの道を歩む者もいる。侍でありながら学者である者、浄土僧でありながら現人神である者。これが二重構成だ。
二重構成は、副職業の前提能力値・技能を満たした上で3・5・7・9段への昇段時に宣言し、以後は変更できない。キャラクターの段は一つだけで、すべて主職業の段として数える。副職業の段は記録・配分・累積しない。宣言した段と、その後の5・7・9段への昇段時、その段の一般特技スロットを最大1つ支払い、現在段以下にある副職業の1・3・5段クラス特技一つを借用できる。1段自動特技も無料では得ない。名人可能技能は主・副職業一覧の和集合となるが、技能点や各種上限は増えない。10段では三つの威名軸から正確に1つだけ選び、組み合わせ威名は追加威名ではなく、職業奥義を選ぶ場合にだけその分岐を置き換える。
拡張職業のうちアウトサイダー(現代人・英霊・天人)の3職は二重構成の代わりに適応を使う。この時代の技法を正式な師事なしに観察と模倣で身につける規則で、二重構成とは択一だ。両規則の詳細な表が必要になれば基本ルールブック(co-04-02)にある。
出典: co-04-02 §二重構成、§適応。
#熟練等級 — 免許以上は何個までか
技能は5段階の熟練度を持つ。各段階は投資点数と判定ボーナスが異なる。
| 段階 | 投資点数 | 判定ボーナス | 特殊利点 | 制限 |
|---|---|---|---|---|
| 入門 (入門) | 1 | +0 | 非熟練ペナルティ解除 | — |
| 習得 (習得) | 2 | +1 | — | — |
| 免許 (免許) | 3 | +2 | 技能別の戦術的利点 | 免許以上の合算個数制限 |
| 名人 (名人) | 4 | +3 | 活力規則を捻じ曲げる恩恵 | 2段+ · クラス6技能 · 個数共有 |
| 聖人 (聖人) | 5 | 自動成功 | 神話的能力 | 10段達人専用 |
入門すらない技能を使えば、判定に-2ペナルティ(非熟練ペナルティ)が付く。
出典: co-04-09-00 §熟練度5段階。
#免許以上の個数規則(再照合)

| 番号 | 意味 |
|---|---|
| 1-10 | 段別免許以上上限 |
| 2/4/6/8/10 | 偶数段で上限上昇 |
免許・名人・聖人は強力ゆえに保有個数に限度があり、三つはこの限度を共に使う。限度は段に従って増える。
- 1段: 1個
- 偶数段昇段(2・4・6・8・10段)ごとに +1個
これを解いて書けば次のようになる。
| 段 | 免許以上の保有上限 |
|---|---|
| 1段 | 1個 |
| 2段 | 2個 |
| 4段 | 3個 |
| 6段 | 4個 |
| 8段 | 5個 |
| 10段 | 6個 |
注意すべき点は三つ。
- 3・5・7・9段(奇数段)では上限が上がらない。個数の増加は偶数段昇段でのみ起こる。
- 名人(4点)は2段から可能であり、クラスが許容した6技能の中でのみ到達する。1段キャラクターは名人を持てない。
- 聖人(5点)は10段達人専用であり、威名の「技能聖人」の項でのみ得られる。
出典: co-04-09-00 §熟練度5段階 ※、co-04-02 §基礎成長詳細。
#威名 — 最後の一つの道
10度の昇段を経て達人(10段)に上れば、三つの岐路が開ける。そのうちただ一つだけを選ぶ。その選択がキャラクターの物語を完成させる。
| 岐路 | 何を完成させるか |
|---|---|
| 1. クラスキャップストーン (職業の極意) | 職業固有の戦術的潜在力を爆発させる究極技。侍の無双全身、浄土僧の法王など。 |
| 2. 背景キャップストーン (背景の極意) | 1段から育ててきた背景を進化させ、世界の支配層となる。5段分岐路(A/B)に応じて異なるキャップストーン。没落貴族Aの大名、農夫Aの一向一揆など。 |
| 3. 技能聖人 (技能聖人) | クラス許容の名人技能一つを5段階(聖人)へ突破。剣術の剣聖、弓術の神弓など。サイコロ判定を超越する。 |
出典: co-04-05 §法 — 3元体系。
#威名はキャンペーン終結装置だ
威名の効果は意図的にコアシステムを無効化するよう設計されている。剣聖は判定自体を(自動命中・自動回避)、軍神は活力経済を、法王は戦闘不能システムを崩す。これは欠陥ではなく意図だ。10段に到達したキャラクターは物語の頂点にあり、威名はクライマックス戦闘1~2回のためのものであって、以後さらに十セッションを回すためのものではない。
推奨キャンペーン構造は三シーズンだ。1~5段(シーズン1)は突破・制圧力・心府・分隊が完全に意味を持つ時期、5~9段(シーズン2)は特技と流派がメカニズムを捻じ曲げる時期、10段(シーズン3)は威名で最終敵対者を撃破し物語を終える時期だ。同じパーティに威名を持つPCが二人以上いれば核心メカニズムがすべて無効化されるので、GMは威名獲得をキャンペーン終結の合図として扱う。
出典: co-04-05 §GM警告 — 威名とキャンペーン終結、§推奨キャンペーン構造。
#1→5段年代記 — 神樂正宗の五つのシーズン
先の規則を一人のキャラクターの成長に繋げて示す。第5章(キャラクター作成ウォークスルー)で作った侍・神樂正宗(没落貴族)を、1段から5段まで五つのシーズンにわたって育てる。フィクションは例示のために新たに書いたものであり、数値は実際の規則そのままだ。
基本派生数値の公式を覚えておけ: 活力 = 10+技、戦力 = 3+體、制圧力オーラ = 美(正の値のみ)、運命介入 = 運(最小1)。偶数段の能力値 +1がこの派生値も共に引き上げる。
#1段 — 若き武将
神樂家は三代にわたって領主の先鋒を務めた武家だった。父・正次が妖魔討伐中に戦死し、領地が隣接の豪族に吸収された後、残ったのは古びた屋敷一軒と家臣二人、そして父の打刀一振りだけ。十六の春、カグラ藩の軍師・小泉が訪ねて来て言った — 「君の父の影がまだ戦場に残っている。」初陣は国境山道の小鬼討伐。足軽槍兵五人とともに狭い橋の上で不動の構えを取ったとき、正宗は父がなぜ一歩も退かなかったのかを、身体で理解した。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 能力値 | 勇+2 · 技+1 · 體+1 · 智0 · 美0 · 運-1 |
| 派生 | 活力 11(10+技1) · 戦力 5(3+體1+強靭1) · 防備 14(重鎧) · 運命介入 1 |
| 技能(9点) | 剣術 習得 · 闘志 入門 · 軍学 入門 · 威圧 入門(クラス自動) + 交渉 入門 · 風格 入門 · 馬術 入門 · 生存 入門(背景・自由) |
| 特技 | 不動の陣(1段自動・構え) · 家名(背景) · [空きの一般スロット1] |
| 免許以上 | 0個 / 上限 1 |
| 背景・心 | 没落貴族(ルート未選択) · 忠 |
正宗は1段の一般特技スロットを次のシーズンへ回しておいた。剣術はすでに習得(+1)だ。
#2段 — 初めての冬を越えて(偶数段)
国境守備の初めての冬、正宗は二度の接戦をさらにこなした。雪に覆われた峠道で足軽が凍えた手で槍を落としたとき、彼は自らの身体で風を防ぎ、隊列を立て直した。力が付いた — 刀を握る腕がより重くなり、馬上での姿勢も安定した。偶数段の成長は華やかではない。ただ基礎が厚くなる。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 能力値 +1 | 勇 +2 → +3 |
| 技能 +2点 | 剣術 習得 → 免許(3点、1点消費) · 馬術 入門 → 習得(2点、1点消費) |
| 派生変化 | なし(活力・戦力不変)。近接攻撃判定 +1上昇 |
| 免許以上 | 1個(剣術免許) / 上限 2 |
昇級は等級値の差額だけを払う — 習得(2点)から免許(3点)へ上げるのに要するのは1点だ。ゆえに2段の技能 +2点のうち1点が残り、正宗はその1点で馬術を入門から習得へ上げた。冬の峠道で身につけた馬上の均衡だ。剣術を免許に上げた瞬間、正宗は初の免許以上技能を持つ — 剣術免許の利点「剣膜」で打刀の防御技法予約費用が1→0になる。免許以上の上限2のうち1を使ったので、まだもう一つ余裕がある。
#3段 — 名が付く(奇数段)
春、永蔵城外郭の小戦闘で正宗は敵将・小鬼の頭目と正面から向き合った。彼は初めて一騎討ちを宣言した — 狭い区域で二人だけの戦いを強い、部下たちをその外へ退けた。父が遺した剣が初めて「自分のもの」のように手に馴染んだ瞬間だった。戦闘が終わった後、彼は自ら甲賀の職人の工房へ行き剣を再び研いだ。「この剣に付く血は私が責任を負う。」その決意が身体をより固くした。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| クラス特技(3段) | 一騎討ち宣言([型]、2活力、間合1回) |
| 一般特技 | 熟練([素養]、技能1個に +1点 — 感知に配分) |
| 派生変化 | 感知 +1点(戦力は1段の強靭以来 5を維持) |
| 免許以上 | 1個(剣術免許) / 上限 2(奇数段ゆえ上限不変) |
奇数段では免許以上の上限が上がらないという点を確認せよ。正宗の上限は依然として 2だ。
#4段 — 剣を立て直す(偶数段)
二度目の大きな接戦で、足軽分隊一つが壊滅するのを防げなかった。その夜、幕舎で正宗は初めて涙を流し、翌日から手さばきを研いだ。刀を抜いて戻す動作が一呼吸のうちに滑らかに繋がり始めた — 技の成長とは即ち一呼吸に込められる行動の数だ。彼はこの頃、香取神道流の門を叩いた。老師範が言った。「君はすでに戦場で香取の半分を知っている。残りの半分は先を読む術だ。」
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 能力値 +1 | 技 +1 → +2 |
| 技能 +2点 | 馬術 習得 → 免許(3点、1点消費) — 騎馬指揮用 · 感知 入門 → 習得(2点、1点消費) — 先を読む眼 |
| 派生変化 | 活力 11 → 12(10+技2) |
| 流派習得 | 香取神道流(剣術) — 一般特技スロット1個を投資。剣術免許マニューバが流派免許マニューバ「先の態度」に代替 |
| 免許以上 | 2個(剣術・馬術免許) / 上限 3 |
偶数段昇段で免許以上の上限が2→3に上がった。正宗は馬術を免許に上げて2個を満たし、まだもう一つ余裕がある。流派は特技スロット1個を消費するが技能個数限度とは無関係だ — 流派はすでに持つ剣術免許のマニューバを代替するだけだ。
#5段 — 逆転の将(奇数段)
永蔵城攻城戦、味方前列が突破される瞬間、正宗は不動の陣で崩れる戦線を遮った。小鬼と足軽が入り乱れる乱戦の中で一時間を耐え、その間に後列が再編成に成功した。戦闘後、カグラ藩主が言った。「君の戦線は崩れなかった。」その一言で家の封地が回復された。正宗は再建の道を選んだ。去った昔の家臣たちが一人また一人と戻り、年老いた手で再び刀を握った。彼は彼らを一つの分隊に組織した — 名を取り戻した者たちの分隊だった。部下たちは今、彼を「鉄壁」と呼ぶ。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| クラス特技(5段) | 鉄壁守備([素養]) — 不動の陣維持中に防備 +2、無防備免疫 |
| 背景分岐路 | 再建の道(A) → 5段特技 家臣召喚(戦闘時に練分隊1個を無料配置) |
| 派生変化 | なし(奇数段) |
| 免許以上 | 2個 / 上限 3(奇数段ゆえ上限不変) |
| 背景・心 | 没落貴族ルートA(再建) · 忠 · 流派 香取神道流 |
5段完成シート
神樂正宗 — 侍 5段
勇+3 · 技+2 · 體+1 · 智0 · 美0 · 運-1
活力 12(10+技2) · 戦力 5(3+體1+強靭1) · 防備 14 · 運命介入 1
背景: 没落貴族ルートA(再建) | 心: 忠 | 流派: 香取神道流(剣術)
武器: 打刀 — 横斬り(勇2) / 突き(技2·[貫通2]) / 受け流し(予1/即2)
[免許] 一閃(3活力·間合1回) / [流派免許] 先の態度(構え)
特技: 不動の陣(構え) · 家名 · 強靭 · 一騎討ち宣言(型)
· 鉄壁守備(素養) · 家臣召喚(背景A)
免許以上 2/3: 剣術免許 · 馬術免許
分隊: カグラ精鋭槍兵隊(卒5、防備13) + 家臣分隊(練3、防備13)
五つのシーズンの間に正宗は能力値二つ(勇・技)を上げ、技能二つを免許まで掘り、五つの特技を刻み、背景の分岐路で再建を選んだ。ここで5段だ。まだ剣聖も、大名も、威名もない。それはシーズン2と3の物語だ。正宗がどのように「鉄壁の正宗」となって威名・無双全身を得るのかは、基本ルールブックのサンプルシート(co-04-08-01)で続く。
出典: 数値典拠 co-04-08-01(侍サンプル1・5段)、co-04-07-01(侍特技)、co-04-01(没落貴族背景)、co-04-02(成長)。フィクションは例示用の新規執筆。
#要約
- 昇段はマイルストーンだ。戦闘完遂 2~3回、叙事的マイルストーン、技能活用の悟り、セッション終了時のGM宣言のうち一つでGMが宣言する。経験値の累積ではない。
- 奇数段は特技、偶数段は基礎。 偶数段(2・4・6・8・10)ごとに能力値 +1(上限 +3)と技能 +2点。新しい特技スロットは下位段特技も選べる。
- 二重構成は、主職業の段一つの上に副職業の選択肢を有償で借用する。副職業の段はなく、1・3・5段特技の借用、名人可能技能の和集合、職業奥義だけを置き換える組み合わせ威名分岐を提供する。威名は依然として正確に1つ。アウトサイダー3職は代わりに適応を使い、二つは択一だ。
- 免許以上(免許・名人・聖人)の個数上限は共に使う: 1段 1個、偶数段昇段ごとに +1(1・2・4・6・8・10段 = 1・2・3・4・5・6個)。奇数段では上がらない。名人は2段から、聖人は10段専用。
- 威名は3元のうち一つ(クラスキャップストーン · 背景キャップストーン · 技能聖人)であり、キャンペーン終結装置だ。獲得は物語の終わり1~3セッション前の合図だ。
- 1→5段年代記: 正宗は勇・技 +1ずつ、剣術・馬術免許、特技五つ、再建の道を経て5段「鉄壁」となった。威名はまだ遠くにある。

