#何者か — 神社に立つ者たち
目次
本文書は front に属する。職位の描写は実在の歴史に、結界・穢れの霊的効果は 本編の信仰観 に従う。香は Fiction-Only。
#序説 — 神社の人々
神道には教祖も、経典も、単一の教義もない。あるのは カミ(神) と、カミを祀る 座 のみである。山が、岩が、滝が、古い木がカミだ。そしてそのカミと人間の間に立つ二種類の人がいる。
神官 は 常設の職位 である。神社に所属して祭祀を主宰し、奉納を管理し、穢れを祓うはらえ(祓い)を執り行う。大きな神社には規模と時代に応じて宮司(宮司、神社の長)・禰宜(禰宜、補佐)・祝(祝、祭礼の実務)といった名称と位階が付き、地方では代を継いで家々が担う場合が多い。彼らの権威は 血統と職位と格式 から生まれる。本質的に 智 の人々 — 儀礼を知り、禁忌を知り、境界を知る。
巫女 の根は異なる。本来、巫女は カミが降りる器 であった — 神懸かりで神の言葉を伝えるシャーマン。時代が流れて多くの巫女が神官を補佐し神楽を舞う職務に定着したが、その血筋には今なお 神を招き霊を鎮める 力が残っている。彼女らは 美 の人々 — 舞と鈴と声で見えざるものを動かす。芸人クラス の「巫女の舞」がまさにこの血筋に通じている。
神官と巫女は対立しない。一つの神社の二つの手である。一方の手は 秩序を立て(結界・祭礼)、もう一方の手は 霊を鎮める(神楽・鎮魂)。本号の 新規クラス が両者を一つの職業の二つの顔として束ねる理由だ。
#表 — 職位と役割
| 職位 | 漢字 | 系統 | 中核の職務 | 判定軸 |
|---|---|---|---|---|
| 宮司・禰宜 | 宮司・禰宜 | 神官 | 神社運営、大祭執行、格式 | 智 + 交渉・教養 |
| 祝 | 祝 | 神官 | はらえ(祓い)、奉納、結界維持 | 智 + [結界]・[退魔] |
| 巫女(みこ) | 巫女 | 巫女 | 神楽奉納、神託、穢れ祓い | 美 + [風格]・[予言] |
| 神懸かり巫女 | 神懸かり | 巫女 | 降霊、口寄せに近い霊媒 | 美 + 呪術(混世霊妖譚ではヴィラン イタコ と境界が接する) |
| 斎宮・斎女 | 斎宮・斎女 | 巫女 | 王家・有力家門が捧げた格の高い祭儀の女性。斎宮は特に王女・内親王級の制度 | 美/智 |
角括弧の技能(例:
[結界])は正本36技能(co-04-09-01)の結界・退魔・予言・呪術である。神官・巫女は これらの技能を使う人 であって、それ自体が新しい技能体系なのではない。
#香 — 見聞:夕暮れの祠
編者の注:ある地方の神社の老いた巫女から聞いた話。
村の外れ、杉の森の奥に小さな祠がある。巫女は毎日日暮れ時にその周りを一巡りする。箒で落ち葉を掃き、注連縄(しめなわ)の乱れた所を結び直し、四隅に塩を撒く。人々はそれを掃除と呼ぶが — 巫女は知っている。それは 結界を結び直す仕事 だ。
「穢れは大きな音を立ててやって来はしない。」老いた巫女は言った。「死を見た者が祓わずに村へ入れば、その者の影に紛れて入り込む。傷ついた心、解けぬ恨み、誤って埋めた亡骸 — そんなものが積もれば、ある夜、祠の注連縄がひとりでに切れる。そしてその日、森から何かが歩み出てくる。」
だから巫女は何かが出てくる 前に 周りを巡る。神楽を舞う夜であれば、その舞は見世物ではなく — カミを招き、もう一晩、門を閉じておくための請いである。「私たちのする仕事は妖魔を斬ることではない。」彼女が鈴を振ると、澄んだ音が薄闇に広がった。「斬らねばならぬ時が来たなら、もう私たちの負けなのだよ。」
カグラ藩(神樂藩) 傘下の公式の神職たちは、この仕事を国の規模で行う。退魔の大義を掲げた領地の結界、都の穢れ、大きな神社の奉納 — その大きな祠を結ぶ手たちである。そしてその仕事が一人の身にあまりに深く入り込むと、時にその者は 現人神 になる。神を祀っていた器が、神そのものになってしまうのだ。
#そして — 二つの問い
神官・巫女を知れば、自然と二つの問いが残る。
- 「ではいまの規則で神官・巫女をどう作るのか?」 →
02 ビルドクックブック - 「いっそ『神官・巫女』という職業の枠があってはいけないのか?」 →
03 クラスデータ
