#幕間の設計 — 五つの手法
目次
zn11 · 選択ルール(Variant)+ 五手法表(Summary)+ 運用(Reference Only)。
#選択ルール — 幕間の設計(Interlude Design)
- 時機。 幕間に、手元の観察記録(
02)1件を選ぶ。
幕間(確定)=機構化しない、純粋な叙事的規定。 十分な修練・研究の時間を確保できる「間(あいだ)」を指す。通常は一つのシナリオ単位のセッションが終わり、次のセッションが始まるまでの間。ただし物語上、十分な時間が確保できるなら——長い旅程・籠城・冬越し・療養の間など——セッション中でも設計してよい。季節行動のような独立した手番化はしない。
- 解釈。 下の 五手法 のいずれかを選び、その記録から 免許/秘技を1つ設計する(各手法のテンプレに従う)。
- 収納(段階ゲート)。 設計した技は、対象技能の 免許メニュー欄/秘技欄(
01開始セットアップ)を埋める形で収まる。
- 免許の自己流技=対象技能が 免許(3点) 以上。
- 秘技の自己流技=対象技能が 名人(4点) 以上(
co-04-02準拠で 2段以上 & クラス指定6技能)。
- 数値。 活力・判定式・効果は co 準拠+GM 承認(
co-08-02の固定補正慣例 ±1〜+3 に準ずる。判定は2d10+能力値+技能 ≧ 目標値、目標値は奇数梯子)。
#表 — 五つの手法
同じ観察記録でも、選ぶ手法で生成技の型タグと効果の向きが変わる。一つの種から複数の流派像が分岐し得る。各手法は戦術上の役割を一つずつ担う。
| 手法 | 戦術役割 | 設計の方向 | 生成技の傾向(型) |
|---|---|---|---|
| 再現 | 攻 | 見た技をそのまま再現する | 観察元を継承([形]→[形] 等)、やや弱体 |
| 予防 | 封 | その技が起こらないようにする | [構え]/[素養]、その系統を封じる |
| 対処 | 防 | 受けた時に備える | [形/防御] リアクション、被害軽減 |
| 打破 | 反 | その技に打ち勝つ | [形]、条件付きの反撃。看板技の本命 |
| 模倣 | 変 | 着想を得て作り変える | 別の型・別の能力値へ移植 |
#各手法の設計テンプレ
設計技は常に [形]/[構え]/[素養]/[整備] の特技形を取り、武器の面許技スロットや他流派のスロットを占有しない。
再現(攻) — 観た一手を、ほぼそのまま己の手に移す。
[観察元と同型] ○○(自己流)
活力:観察元の活力(下げない・端数切上・最低1) 限界:観察元の限界(緩和不可。間合1回が標準)
判定:2d10 +(観察元の能力値)+(対応技能) ≧ 目標値/防備
効果:観察元の効果を「数値 -1 / 戦力 -1 / 範囲を単体化」の <いずれか1軸だけ> 劣化して再現。
複合効果・会心拡張などの特殊ルールは継承しない。会心=観察元と同じ特殊効果を1つまで。
※この手法だけは観察記録が必須(白紙から再現はできない)。
※段階の継承:観察元が秘技(名人段の流派秘技など)なら、再現する側も名人(4点)到達が要る。
予防(封) — その一手が、そもそも起きないようにする。
[構え/素養] ○○封じ(自己流)
活力:0(素養)/2 宣言(構え・同時1構え) 限界:—/維持(解除・移動で自動解除)
効果:観察記録で指定した型タグの相手がその技を使うとき、その判定を -2(構え)/-1(素養)。
または発動前提(射程の優位・特定の構え・初間合の先攻)を1つ無効化。
自分はその相手への回避/受け判定 +1(他の構えの防備ボーナスとは重ねず、最も高い1つだけ)。
攻撃力は持たない(予防は「起こさせない」に特化)。
対処(防) — 受ける前提で、受けの構えを立てる。
[形/防御リアクション] ○○受け(自己流)
活力:予約1/即興2(観察元が強力なら 予約2/即興3) 限界:間合1回
判定:2d10 + 技 +(防御に関わる技能) ≧ 相手の攻撃判定値 (受けの主体が体術・棒術などなら、GM 合意で能力値を体 等に付け替え可)
効果:成功で、観察した特定の系統(連打/貫通/範囲——観察記録と1対1で指定)の一撃を無効。
失敗しても被害 -1戦力(最低1)。会心=無効+次の自分の攻撃 +1(一呼吸限界の内)。
会心拡張は付与しない(打破専用)。
打破(反) — 真っ向から勝つ。看板技の本命。
[形] ○○破り(自己流)
活力:3〜4 限界:間合1回(戦闘1回まで強化可)
判定:2d10 +(勇 または 技)+(対応技能)+1 ≧ 防備
トリガー:観察/被弾した特定の技(またはその型タグ群)を、相手が直前の間合に使用/宣言した場合のみ発動。
効果:命中で2戦力、会心で3戦力。会心拡張を明示付与できる <唯一の手法>(差が1の目も成功なら会心)。
看板技に昇格(天命)したとき、+1 または [貫通2] を得る(追加スロットなし・GM承認)。
※条件付きゆえに通常攻撃より強い枠を許す(co-08-02 固定補正 ±1〜+3 の範囲・一呼吸限界7 内)。
模倣(変) — 着想だけ借りて、別物に作り変える。
[任意の型] ○○改(自己流)
活力:2〜3(観察元 ±1) 限界:間合1回〜一段厳しく
判定:2d10 +(観察元と違う能力値・6種から1)+(違う技能) ≧ 目標値(奇数梯子)
効果:観察元の長所を1つだけ抜き、別の型・別の区域へ移植(例:剣の防御反撃→体術の組み反撃、
射撃の命中→近接+区域支配)。成功効果は原本より一段控えめ+移植先の状況ボーナス +1(該当限定)。
会心=移植先固有の小効果1つ。二重取り禁止——原本と同じ型+同じ数値を同時には持たない。
#選択ルール — 未完成 → 試行 → 完全習得
設計したばかりの技は 未完成。実戦で成功させるまで、手に馴染まない。
- 未完成技の使用:判定 -2。
- 試行のたびにペナルティが1段階減少(-2 → -1 → 0)。何度も振るうほど、体が覚えていく。
- 成功した瞬間にペナルティ消滅 → 完全習得。
- GM 代替選択肢: 技の性質により、ペナルティを「効果半減」または「活力+1」に替えてよい。ただし一文書内の混乱を避けるため、本則は「判定 -2 漸減」に統一する。
- 複数の未完成技は別々に追跡する。 ペナルティの漸減は技ごとに独立して進む(一方の成功が他方を完成させはしない)。
- 試行中に 業報(1-1)が出たら、 通常どおり
co-03-01の致命的失策表に従う。未完成の技そのものは壊れない(ペナルティは据え置き、GM 裁量)。
#実験中の会心・天命(Breakthrough)
試行の最中に、ふいに運命が交わることがある。
- 試行中に 会心。 その場で 完全習得(ペナルティ即消滅)+手法と技に応じた小さな追加ボーナス(会心拡張付与/+1戦力/活力 -1/間合一段 など、GM 付与)。
- 試行中に 天命。 その場で 完全習得+その技が流派の 看板技 として結晶する → 流派命名(「無名の○○」を捨てる)+ささやかな永続強化([貫通2] または +1。追加スロットなし・GM 承認)。+1 を選ぶ場合、打破式の内蔵 +1 と合わせても 合計 +2 まで(一呼吸限界7・co-08-02 ±+3 の内。それ以上は累積しない)。
- 看板技は1流派につき1つ。 *「看板技」は本号の新語であって、co 正本の用語ではない。
要点——分岐を取り違えない。 会心 は「即・完全習得」(その技が自分のものになる)。天命 は「看板技昇格+命名」(その技が流派の顔になる)。会心しただけでは命名は起きない。下の設計例2件が、この分岐を対比して見せる。
#運用 — GM 向け
- 承認基準。 設計技は「観た種 + 手法テンプレ + co の数値慣例」で再現できるか。固定補正は ±1〜+3(
co-08-02)、一呼吸の正ボーナス合計は概ね7まで(co-03-07 §2.7)、目標値は奇数梯子。任意の数値を勝手に差し込ませない。 - 強すぎる技の抑制。 高威力は必ずトリガー/条件付きで(打破)か、一段控えめ+限定ボーナスで(模倣)渡す。看板技は1つだけ、天命の永続強化は追加スロットを消費しない範囲に留める。
- 五手法の使い分け。 攻めが欲しいなら再現、相手の十八番を消したいなら予防、受けて生き延びたいなら対処、宿敵の一手を超えたいなら打破、手持ちの技能で別解を作りたいなら模倣。同じ記録から二人のPCが別の流派を立ててよい。
- 幕間の頻度。 幕間は機構化しない。領地経営の季節行動のような独立手番にはせず、物語の「間」に委ねる。一つの技を立てるのに、観察→設計→数戦の試行と、ふつう一山のセッションぶんの時間がかかる。それでよい。
- 適応との区別。 育てる自己流は、自己流の流派を取れるすべての職業のオプションだ。アウトサイダー3職専用の「適応」(
co-04-02 §適応・公式18職の特技を頻度制限で借りる)とは別のエンジンである。とりわけ五手法の模倣は「観察記録を種に新しい一手を設計する」ものであって、既存特技を借用する適応とは峻別する(アウトサイダーも望めば1特技スロットで自己流の流派を取れる)。
#例 — 設計の一場面
設計例1(業報 → 打破 → 天命の看板技)。 観察記録は 02 例1の続き——剣士・佐助(剣術 名人4点・勇+3・技+2)が、業報で巖流の〔燕返し〕に敗れた記憶。
- 設計(幕間)。 [打破] テンプレで一手を立てる。
[形] 反り返し(自己流) 活力4 限界:間合1回
判定:2d10 + 技 + 剣術 +1 ≧ 防備
トリガー:2連打/波動系の技(燕返しの型タグ群)を相手が直前の間合に使用/宣言した直後のみ。
効果:命中で2戦力、会心で3戦力。会心拡張を明示付与(打破専用)。
着想——燕返しの「引きの反動で二の太刀」を逆手に、相手が二の太刀へ反る半拍を斬り落とす反撃。見切りの一手ゆえ、打破式の能力値は勇でなく技を選んだ。剣術 名人段の秘技欄に収める(co-04-02:佐助は名人=免許以上の保有数を1つ占有)。
- 試行(未完成 -2)。 別の巖流剣士との再戦。第一間合、相手が燕返しを宣言した直後に発動。
- 試行1: 2d10 [6,4]=10 +技2+剣術3+1 −2(未完成) = 14 ≧ 防備13 → 成功(目が違うので会心ではない)。ペナルティ -1 に。
- 次の戦闘で再発動: 2d10 [9,9]=18 +技2+剣術3+1 −1 = 23 ≧ 13 → 成功+[9,9]ダブル=会心 → 即・完全習得(-2消滅)。3戦力。
- ※ここでは会心のみなので、看板技昇格はまだ起きない——これが「会心=即習得/天命=看板技昇格」の分岐だ。
- ★天命ルート(対比)。 もし試行の目が [10,10]=合20=天命だったなら——即・完全習得に加え、反り返しが流派の看板技に結晶し、佐助は「無名の剣」を捨てて 「反返流」と命名、反り返しに [貫通2] が永続で加わる。業報で受けた一敗が、看板技として昇華する。
設計例2(会心 → 模倣 → 命名は保留)。 観察記録は 02 例2の続き——野人・熊(体術 免許3点・体+3・勇+2)が、会心で巖流の〔長剣射程〕([素養]・射程の優位)を見切った記憶。
- 設計(幕間)。 [模倣] テンプレで、長柄の「射程の優位」を近接の拘束へ作り変える([素養]→[形] へ型をずらす=模倣の証)。
[形] 組み凍て(自己流) 活力3 限界:間合1回
判定:2d10 + 体 + 体術 ≧ 防備
効果:成功で対象1体に組み付き、次の間合まで互いに該当対象のみ攻撃可(一騎打ちの凍結)+対象は移動不可。
効果は原本より一段控えめ(攻撃ボーナス無し)、移植先の心府ボーナス +1(体術が冴える心府限定)。
二重取り禁止——射程+1の数値は継承しない(届かせるのでなく、入って殺す)。
体術 免許段の免許メニュー欄に収める(熊は体術 免許3点)。
- 試行(未完成 -2)。 心府の格闘で、鬼の将級(防備15)に発動。
- 試行1: 2d10 [7,5]=12 +体3+体術2(免許)+1(心府) −2(未完成) = 16 ≧ 防備15 → 成功(凍結成立、会心ではない)。ペナルティ -1 に。
- 次の戦闘で再発動: 2d10 [8,8]=16 +体3+体術2+1 −1 = 21 ≧ 15 → 成功+[8,8]ダブル=会心 → 即・完全習得。移植先固有の小効果「脱出判定にも -1」が会心で発火。
- ※会心のみなので、看板技昇格・流派命名は起きない。熊の自己流はまだ無名のまま——天命が出た日に、はじめて命名できる。設計例1の天命ルートと対をなす。
#香 — 一文
「五つの眼で同じ一瞬を見れば、一つの種から五つの流派が生まれる。」
