#自衛官
目次
権威。 本文書は変形規則(Variant)である —— セット総論が「Variant中のVariant」と記したまさにその文書だ。本巻のすべての変形規則がそうであるようにGM許可を前提とし、fcは
co正典(Canon)を覆せない。開始漂流物のセット固有カード数値は狭いCanon —— 本巻の中でのみ正典だ。そしてセット総論の正典保護原則を冒頭に再び記す —— 直接戦闘力を与えるセットは自衛官一つだけであり、その戦闘力は火器と消尽に縛られた時限付きだ。銃が沈黙する日、自衛官も正典現代人に戻る。
#香 — 命令を待つ体
#導入断片 — 伏せた体
音が先に来た。喊声 —— 数百の喉から一斉に噴き出す、訓練場のどのスピーカーも真似たことのない音。
体が考えるより先に動いた。膝、肘、低い匍匐。我に返ったとき彼は泥濘に伏せており、一呼吸前まで背を叩いていた豪雨は —— なかった。空は晴れていた。膝下の泥濘は雨水ではなく田だった。
「3小隊、応答せよ。」彼は無線機の送信ボタンを押したまま言った。「現在位置不明。応答せよ。」
雑音。雑音だけ。
頭を半寸上げた。畦の向こうに旗が見えた。見たことのない紋章だった。槍を持った人々の列が互いに向かって走っており、その間を縫って矢が —— 矢が? —— 斜めに降り注いだ。
「……訓練ではない。」口の中で言った。どの部隊がこんな演習をするのか。撮影か。ならばカメラはどこにある。
矢が一本、彼の左、手の届く距離の泥濘に突き刺さった。羽が濡れた鳥のように震えた。小道具ではなかった。
体が再び先に動いた。肩の小銃を下ろして頬付けし、セレクターに親指を載せて —— 止まった。薬室は空だった。弾倉も空だった。災害派遣に実弾はない。彼は三十分前まで崩れた堤防で行方不明者を捜していた。三十分前まで —— そして四百年後で。
畦の下から呻きが聞こえた。肩に矢を受けた足軽が一人、槍を取り落としたまま滑り落ちてきた。十七にもなっただろうか。彼は這い寄って少年の襟首を掴み、堤の下へ引きずり下ろし、小銃の負い紐を解いて肩の上を縛り締めた。
「ぶ、武家の方か?」少年が問うた。「その甲冑は —— どの家門の……。」
「問いたいのはこちらだ。」彼は止血の結び目を最後まで引きながら問うた。「今がいつだ。」
「……いつとは。」少年はその問いを遂に理解できなかった。「合戦の最中でござる。」
喊声がもう一度山を揺らした。彼は空の小銃を背負い直し、少年を担ぎ上げた。どこへ行くべきかは分からなかった。ただどちらが射線かは —— それだけは体が知っていた。
#香 — 弾薬が残っている間だけ
訓練を受けた軍人。この時代の誰よりもよく戦う —— 弾薬が残っている間だけ。
自衛官は六つのセットの中で唯一、戦いを職業として持って渡ってきた者だ。だから本巻で均衡が最も危ういセットであり、だから消尽に最も深く縛られたセットだ。このセットの強さはすべて背嚢と弾倉の中に入っている —— 一発撃つたびに減り、果てまで行けば沈黙する。背骨の紋章はこのセットで最も残酷に、最も正確に作動する。この本は現代人を強くする本ではない。消耗してゆく未来のドラマを与える本だ。 自衛官セットは「強い現代人」ではなく、まだ摩り減りきっていない現代人だ。
漂流は夜間バスだけを選びはしない(漂流の原理)。災害派遣の泥濘で、夜間訓練の霧の中で —— 軍服のまま渡ってくる者たちがいる。そして自衛官にとって漂流の瞬間はすなわち運命の分岐だ。何を背負って渡ってきたか。 戦闘装具を完備していたか、実弾なき救助任務中だったか —— その差が以下の二つのパッケージを分ける。
最後に、このセットの最も深い傷を記しておく。自衛官は命令で動く職業だった。起床も食事も発砲も命令が定めてくれた。この時代にはその命令がない —— 指揮系統も、交戦規則も、責任を取ってくれる国家も共に消えた。神隠し(神隱し)された軍人が最も遅く身につけるのは刀でも礼法でもない。命令なしに動く法だ。
#セットデータ
セット総論法 1の五要素そのままだ。運用規則も総論に従う —— セットはキャラクターあたり1個、生成時のみ、GM許可必須。加えて本セットだけの一行 —— 許可はパッケージ単位でも割ける。 戦闘派遣型を止めて災害派遣型だけを開く卓も正当だ —— むしろ本巻の背骨に最も近い卓だ。
#要素 1 — 開始機能調整
正典現代人の開始自動機能四つ —— 策謀習得、医術入門、交渉入門、感知入門 —— のうち一つを変える。
医術入門 → 弓術(銃器限定)入門 (二つのパッケージ共通 —— 訓練は派遣を選ばない)
- 弓術である、新規機能ではない。 正典弓術は弓と鉄砲を包括する遠距離武芸であり、現代火器も同じ軸に立つ(火器法 1)。本巻は「射撃」という機能を作らない。
- 銃器限定。 自衛官が得るのは弓術(銃器限定) —— 現代火器や鉄砲など銃には腕が通じるが、弓には通じない。正典が武器区分の有意な場で用いる
弓術(鉄砲)の括弧表記と同じ方式だ。弓を引くには弓術を別に入れねばならない。 - 免許上限。 セット置換で得た弓術(銃器限定)は免許(3)までしか上がらない —— 名人不可。総論の文言そのままだ —— 前職の技術は渡ってきたその日が頂点であり、名人の門は正典のみが開く。
- 医術を失う理由。 衛生兵でない限り、自衛官の応急処置は医術ではなく「救急嚢を使えること」だ。処置は装備がした —— そして装備は[消尽]だ。手ではなく嚢が覚えた技術は、嚢が空になれば終わる。
- 感知と策謀はそのままだ。 歩哨の眼と戦術教理は弾薬なしでも摩り減らない。この二つが消尽以後の自衛官を支える。
- 生存は置換する必要がない。 正典現代人の名人可能目録に生存がすでにある。野営と行軍を知る者なら機能点数をそちらへ注げ —— セットが与えるものではなく、正典がすでに開いてある門だ。
#要素 2 — セット特技
1段・3段各1種。総論そのまま択一である、追加ではない —— そして二つの特技はいずれも火器と弾薬がなければ息をしない。本巻で消尽依存が最も強い特技二つであり、それが設計意図だ。
[素養] 火器熟練 — セット1段 (正典「先見の明」と択一)
効果: 現代火器([火器]のカード全部)を扱う判定 — 故障判定(2d10+技+弓術)、
銃剣技法、GMが要求する取扱判定 — において能力値特殊の勇/技 -1
ペナルティを無視する。火器の装填・分解結合・応急処置は非戦闘状況で
判定なく成功し、弾詰まり排出(摩耗段階の宣言)に活力を使わない。
限定: 現代火器のみ。刀・槍・弓 — そして鉄砲 — には何の効果もない。
銃剣を着けた小銃は現代火器だ。銃から外した大剣はただの刀だ。
火器熟練を選べば先見の明の知識 —— 歴史知識、医術 +3、妖魔交渉 +2 —— を放棄する。ただし総論の正典保護原則どおり活力譲渡と能力値特殊は職業の骨格として維持される。 そして正典5段「戦闘適応」とは領域が違う —— 火器熟練は銃の特技であり戦闘適応は体の特技だ。重なる効果はなく、一方が他方を前倒しにもしない。
知って選ぶべきものがもう一つある。銃が沈黙すれば、火器熟練も沈黙する。 その日この枠は空席ではなく記念碑になる —— その取引までがこの特技の値だ。
[型] 制圧射撃 (制壓射擊) — セット3段 (正典3段択一と択一)
費用: 活力 3 + 小銃弾 5発 ([消尽] 5 減少)。 限界: 間合 1回。
条件: 点射・連射が可能な現代火器 — 本巻では89式小銃。
(機関銃は自カードの掃射特則に従う。)
効果: 射程内の区域 1個指定。命中判定も被害もない。
その区域の敵分隊(卒・雑兵)は結束力 -1。
次の自己呼吸まで、その区域から他の区域へ出る
すべての敵の移動に活力 +1。
銃声: 銃声規則([火器])がそのまま発動する — 隠密終了、そして遭遇誘引。
正典弓矢分隊技法「制圧射撃」とは別個の特技だ —— 名が同じなのは訓練の目的が同じだからであり、数値は各自のものに従う。
区域単位の制圧は武器ではなく訓練の分だ —— 火器が予告したその特技がこれだ。六十発なら十二回。制圧射撃は区域一つの主導権を発数五と引き換える取引であり、その勘定をPLの手に握らせるのが目的だ。
そして3段の岐路がこのセットの縮図だ。制圧射撃を選べば正典「分隊指揮」を放棄する —— 五発ずつ燃えていく火力か、果てまで残る声か。 どちらを選んでも間違いではない。ただ一方はキャンペーン中盤に沈黙し、他方は最後の合戦まで残る。
#要素 3 — 開始漂流物:二つの派遣
漂流物の束は2種パッケージのうち一つで選ぶ(キャラクター生成時、GM許可)。背嚢一つ原則そのまま —— 車両と重火器はどのパッケージにもない。残弾の記録はPLの分だ —— 残量記録紙に弾種別に記し、撃つたびに消す。
| 品目 | 戦闘派遣型 (戰鬪派遣型) | 災害派遣型 |
|---|---|---|
| 一行 | 合戦のような訓練から、訓練のような合戦へ | 人を救いに行って、時代を失った |
| 89式小銃 | 1挺 —— [消尽 60・発数] (弾倉2個分 —— 火器カード) | 1挺 —— [消尽 0~10・発数] (GM選択 —— 実弾極少) |
| 自動拳銃 | 1挺 —— [消尽 15・発数] (予備弾倉なし —— 火器カード) | — |
| 銃剣 | ○ —— 装着時、正典バヨネット技法 | — |
| 防弾胴衣 | ○ —— [消尽 3・回数] (下のカード) | — (作業服のみ) |
| 鉄帽 | ○ | ○ |
| 個人救急嚢 | 1個 —— [消尽 3・回数] (下のカード) | 2個 —— 各 [消尽 3・回数] |
| 戦闘食糧 | [消尽 6・回数] (下のカード) | [消尽 6・回数] |
| 携帯無線機 | — | 1台 —— カードと[消尽]は電子機器 |
| ライト | 懐中電灯カード準用 —— [消尽 4・時計] | 同じ |
| その他 ([消尽]なし) | 戦闘服・水筒・野戦シャベル・手袋 | 作業服・水筒・野戦シャベル・ロープ一巻き・救助手袋 |
六十発はタイトであれと選んだ数だ。 一つのキャンペーンの中で必ず底をつく設計 —— その根拠と勘定は火器の「六十発の設計」が扱う。GMはGMガイドのダイヤルでこの数を上げられるが、消尽システムの「遅い」警告をまず読め。
災害派遣型は取引だ。 火力の代わりに救急嚢二個と無線機、そしてほぼ空の銃を受け取る。銃はあるが未来がほとんどない —— 始まりがすなわち沈黙の傍らにある自衛官、本巻の背骨に最も近い自衛官だ。軍人の体と軍人の眼はそのままなので、機能調整と特技は二つのパッケージが同じだ。ただし災害派遣型の制圧射撃は大抵、生涯に二度を超えない —— その二度がいつかが、そのキャラクターの物語だ。
セット固有品目三つのカードを記す。様式は消尽システム法 4の七欄そのままだ。
#防弾胴衣 (防彈胴衣)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 名称 | 防弾胴衣 (防彈胴衣) |
| 分類 | 装備・物資 |
| 効果 | 防備 +1 (軽甲未満 —— 甲冑追加分1として扱い、[貫通]・[直撃]の精算時に追加分1)、活力ペナルティなし。着用中、遠距離射撃(矢・鉛玉・銃弾)の会心1回を一般的中に格下げできる —— 宣言時[消尽]1減少。 |
| [消尽] | [消尽 3・回数] —— 防弾板が受け止められる回数。 |
| 劣化特則 | トリガー:会心を受け止めた場面(酷使扱い)、浸水。判定は基本式(2d10+技+解除)。摩耗:防備 +1 喪失(格下げ機能は残る)。 |
| 一握りの物語 | 胸板の内側に写真一枚入る場所がある。規定違反だが —— 皆そうしていた。 |
| 沈黙後の価値 | 罅の入った防弾板はこの時代のどの鏃も貫いたことのない素材だ。職人は欠片を研いでみて夜を明かし、噂はもっと速く値をつける —— 「当たっても死なぬ鎧を着た神隠し」と。 |
#個人救急嚢 (個人救急囊)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 名称 | 個人救急嚢 (個人救急囊) |
| 分類 | 装備・物資 |
| 効果 | 1回消費:医術か薬草の判定 +2、その処置が回復させる戦力 +1。または1回消費:出血・中毒の悪化をその場面の間、判定なしに止める。使用者は医術がなくてもよい —— 処置は嚢がする。 |
| [消尽] | [消尽 3・回数] |
| 劣化特則 | 消耗品 —— 劣化せず、整備できない。減るだけだ。 |
| 一握りの物語 | 止血帯に油性ペンで使い方が書かれている —— 本人が本人に使うときのために。その字を読める者は、もうこの時代に彼一人だけだ。 |
| 沈黙後の価値 | 空の嚢の仕切りと留め金は薬売りの夢だ。医僧は空の嚢を受け取り、薬ではなく「区画を分ける」という発想を写し取っていく。 |
#戦闘食糧 (戰鬪食糧)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 名称 | 戦闘食糧 (戰鬪食糧) |
| 分類 | 装備・物資 |
| 効果 | 1回消費:一人の一食。火なしで温めて食える —— 煙がない。野営の食事に使えばその夜の生存判定の食糧確保が不要になる。 |
| [消尽] | [消尽 6・回数] |
| 劣化特則 | 消耗品 —— 劣化なし。保存期限は本巻のキャンペーンより長い。 |
| 一握りの物語 | 袋に印刷された文字 —— 「非常用。命令なく開封禁止」。最初の袋を破った夜、彼はその一文を長く見つめた。命令は、来なかった。 |
| 沈黙後の価値 | 水の漏れない嚢はこの時代にない物だ。空の袋は山人の火口入れになり、加熱剤の原理はある職人の生涯の宿題になる。 |
#要素 4 — 葛藤フック
正典現代人の三道六心の葛藤目録を自衛官の視点に狭める。新たな葛藤軸ではなくレンズだ。
- 命令なき引き金 —— 「忠か自由か」のレンズ。発砲を許可してくれる上官も、責任を取ってくれる国家もない。引き金の責任が初めて丸ごと己のものになる。そのときある大名が手を差し伸べる —— 「私がお前の命令になってやろう」。その言葉は恐ろしいほど甘い。忠へ傾くか、命令なしに立つ法を学ぶか。
- 照準線上の人 —— 「戦争の意味」のレンズ。彼は人に向けて撃ったことのない軍隊から来た。妖魔を撃つ手は震えない —— しかし合戦は人と人の事だ。引き金一度が残弾一発という勘定と、その一発が人の命だという勘定が、同じ指の上に共に掛かる。仁はその指で揺らぐ。
#要素 5 — 適応変形
適応の正典規則はすべてそのままだ。色は二行。
- 速い道 —— 侍。 陣形、分隊、軍紀 —— 軍人は軍人を見分ける。侍から借用する最初の特技から同職業免除を適用する。塹壕を掘っていた体は陣形も一日で読む。
- 塞がれた道 —— 忍びの領域。 暗殺、攪乱、影の戦い。この領域の借用には免除規則が最後まで適用されない —— 活力ペナルティが残る。軍服と旗と交戦規則で育てられた体は、命令も正面もない戦いに最後まで不慣れだ。
#時代との摩擦
摩擦はペナルティではなく場面の材料だ —— 総論の文言そのまま、自衛官はその材料が最も豊富なセットだ。
#銃声が呼ぶもの
自衛官のすべての強さは音と共に来る。現代火器の銃声は雷の級であり、この時代の野と夜は我々の時代よりはるかに静かだ —— 開けた野で十町先の歩哨が頭を上げ、風が助ければ一里先の村が眠りから覚める(用語・度量衡辞典)。引き金を引くたびに火器の銃声規則が発動する —— 隠密は終わり、場面が終わるときGMは「銃声を聞いたのは」表を振る。村、野伏、斥候、妖魔、そして —— 知る者。
これが自衛官運用の第一の教理だ。撃つ者は二度支払う。一度は発数で、一度は噂で。
#鉄砲より恐ろしい鉄砲
一度でもその射撃を見た大名は眠りを浅くする。火縄なしに、雨の日にも、一呼吸に三度鳴く鉄砲 —— 招致競争は速く、執拗で、丁重だ。国友座は銃を欲しがり、カグラ藩は部隊を欲しがり、堺座は値をつけに来る(外人の世界が先に均してあった道だ)。
ただしその歓待の正体を見よ。軍勢が欲しがるのは武士ではなく武器だ。良い住まい、良い俸禄、そして実演要求 —— 「一発だけ見せてくだされ」。残弾を知る自衛官にとってその一発の値は俸禄より重く、残弾を知らぬ大名にとって自衛官の拒絶は無礼だ。歓待はある日鳥籠になる。六十発が尽きる日に鳥籠の扉が開くか、より固く閉じるかは —— そのときまで彼が火力以外の何を見せたかに懸かる。
#職分なき軍人
この時代は名より職分を問う —— ところが自衛官の職分はこの時代のどの枠にもない。武家かと思えば家門がなく、足軽かと思えば戦いすぎ、浪人かと思えば主を失ったことがない —— 主が丸ごと消えただけ。階級章は布切れであり、敬礼は見慣れぬ礼であり、「所属」を問う関門で彼は毎度、半呼吸遅れて答える。正典現代人の時代不適応 —— 礼法と身分のペナルティ —— は軍人だからと免除されない。むしろ軍の礼法が体に深く染みているだけ、この時代の礼法とぶつかる音がより大きい。
#成長曲線 — 火力から指揮へ
自衛官のキャンペーンは残弾が三つに分かつ。段ではなく発数が幕を区切る。
火力の季節 —— 残弾が潤沢なとき。 パーティの遠距離解決役。野犬の群れも、野伏の伏兵も、名も知らぬ妖魔も彼の射線の中で終わる。ただしすべての解決は発数で支払われ、すべての銃声は噂で請求される。この季節のGMへ —— 活躍を止めるな、数えさせろ。減っていく記録紙がすなわちこの季節のドラマだ。
勘定の季節 —— 残弾が減るとき。 三十発を下回ると、キャラクターが変わり始める。制圧射撃が惜しくなり、点射の代わりに単発を選び、撃たずに勝つ道を先に探す。銃剣術と体術が手に戻り、この時代の装備が腰に増える —— 竹槍を削る手、鉄砲を見積もる眼。鉄砲もまた銃だから、弓術(銃器限定)免許(3)までの腕がこの時代の銃にも通じる —— ただし火縄の呼吸はこの時代の師に学ばねばならない(幕間一つ —— この時代の人物が現代火器を身につける勘定の逆方向)。そしてその腕は遂に免許で止まる。育てられる雷の道は外人のものだ。
指揮の季節 —— 銃が沈黙した後。 残るのは分隊を動かす眼だ。遮蔽を選ぶ眼、射線を読む眼、恐れに怯える十七人を一つの声で動かす訓練 —— それは[消尽]が持っていけない。5段からセット特技は存在しないので、自衛官は正典現代人の特技目録へ合流する —— 情報戦、戦場統制、そして戦略の極限。消尽が尽きれば正典に戻る —— このセットの成長曲線はそう設計されており、その果ては敗北ではなく、正典現代人が初めからよくやっていた席、参謀であり指揮者の席だ。
総論の様式そのまま釘を刺す。この曲線は前職も二重ビルドも開かない(正典択一原則)。沈黙した銃を背負ったまま陣形を号令する自衛官が「事実上の軍学者(軍學者)」のように見えるなら —— それは叙事であってデータではない。
#卓フック
- 三十発の護衛行。 商団の護送依頼。道は三日、峠は二つ、野伏は三つほど。出発前にGMはPLと共に残弾を声に出して数える —— そして到着したとき再び数える。減った数がすなわちこのシナリオの本編であり、残った数が報酬交渉の手札になる。
- 同じ部隊マーク。 漂う噂 —— 同じ連隊マークをつけた神隠しがある軍勢の鉄砲隊を調練しているという。訪ねれば何があるか。再会か、敵の教官か。彼が持つのは弾薬か、部隊名簿か、それとも「いつか部隊へ復帰する」という遂に捨てきれぬ幻想か。
- 一発の実演。 大名の招待状が来る —— 丁重で、断りにくい。御前で一発撃てば後援と俸禄と噂が共に来て、撃たねば無礼になる。残弾一発と居場所一つの駆け引き。そしてどちらを選んでも、その場にいた誰かがその銃を覚えている。
セット別のサンプルキャラクターと共通の導入は付録にある。
軍人は命令で動く。命令が絶たれた野で彼の軍隊は六十発 —— それが尽きる朝、解散するのは火力であって軍人ではない。