日本語版 v1.3.3

#士気・恐怖 — 領地の心

目次

A village notice board with blank paper, a cracked cup, and an extinguished lamp, morale fraying without any text.

新規ルール。 領地住民全体の士気0~10恐怖0~5を定量化する。本編にはない補充固有の体系。

本編参照

- 必須: 三道六心 · 非戦闘判定

- 参考: 領地管理 · 侍の忠誠

- この補充内: 結界システム · 領地施設 · 分隊制限

[新規ルール] 士気・恐怖システム

本編 領地管理 は領地経済を中心に扱い、住民士気は物語要素としてのみ扱う。本補充では漂流状況における長期閉鎖の恐怖・生存圧を定量化し、住民の心を結界・核・分隊と同格の資源へ引き上げる。毎週追跡され、規定された連鎖によって領地崩壊にまでつながりうる。


#香 — 心というもの

800人の心が一つの秤に載っている。

その秤は重さが不公平だ。一人が泣けば二人が黙り、一人が笑えば五人が楽になる。士気は平均ではない。最も弱い者の声が最も大きく響く。

領地の士気を知りたければ、朝に井戸端へ立ってみればよい。

士気8。 人々は話す。隣人と今日の天気を語る。赤子が泣く。母が笑う。釣瓶の音が軽い。

士気6。 言葉はある。だが短い。今夜の結界がどうなるかを尋ねない。尋ねないことが慣習になる。釣瓶の音は変わらない。

士気4。 列に並ぶ。互いに前後を譲る。だが、その譲り合いには疲労がある。老人が若者に先に汲めと言う。若者は礼を言わない――もうそういう日常になった。

士気2。 井戸端に人が来ない。水を汲むとしても一人だ。赤子が泣いても母があやさない。あやす言葉がないからだ。釣瓶の音は静かだ。音の頻度が減った。

士気0。 何の音もしない。井戸が枯れたからではない。誰も汲まないからだ。


#法 — 士気尺度

#基本構造

項目
士気範囲0 ~ 10(整数)
開始値6(漂流直後、まだ希望が残った状態)
週間自然変動±0(特殊イベントがない場合)
危険線3以下――反乱リスク
極端0――領地機能停止
最大10――理想的、一時的にのみ到達可

#士気帯ごとの状態

士気住民の雰囲気領地への影響GM叙事
9~10高揚すべての判定 +1、アップグレード進捗 +1祭り、勝利、帰還の希望
7~8前向き日常安定、士気基本維持普通の朝、笑い声
5~6普通基本状態、補正なし沈黙と会話が半々
3~4不安アップグレード進捗 -1、分隊結束 -1目をそらす、会話が短い
1~2絶望すべての判定 -1、反乱リスク泣き声が時折、子どもの一部が病む
0崩壊領地機能停止、分隊解体の可能性沈黙、脱走開始

#一時的超過

  • 士気10超過不可(到達時は維持、週末に自動 -1)
  • 特殊イベント(帰還成功など)で一時11~12は可能、即座に10へ収束

#士気変動原因

#士気上昇(+)原因

原因変動頻度
結界HP 80以上を1週維持+1週間
高純度核獲得・注入成功+2非常にまれ
アップグレード完工+1完工週に1回
領主RP成功(主要決断)+1アークごとに1~2回
PC英雄的帰還(主級妖魔撃破)+1アークごとに1回
祭り・慰労イベント+1領主宣言時に1回
外人NPC合流+1イベント
神社集団祈祷(月1回)+1月曜朝

#士気低下(-)原因

原因変動頻度
結界HP 30以下-1週間維持時
結界HP 15以下-2危機週間
遠征分隊死傷(1名あたり)-1死傷報告週
分隊全滅-3イベント
領主のRP失敗(沈黙・約束破り)-1判定失敗時
施設破壊(状態2→0)-2破壊週
陰陽師衰弱度 +1(公開される)-1住民が目撃時
陰陽師死亡-4イベント
農場凶作警告-1季節別
長い沈黙の領主(3日以上会議不参加)-1イベント
核不足2週連続-1累積

#自動減少

  • 士気維持イベントなしで3週連続上昇なし → 自動 -1(倦怠減少)。
  • GM裁量で省略可(物語のペースに合わせる)。

#恐怖尺度

士気とは別に恐怖0~5を追跡する。恐怖は特定の恐れの蓄積であり、士気と違ってすぐには下がらない

#恐怖構造

項目
恐怖範囲0 ~ 5
開始値1(漂流直後、基本不安)
自然減少1週間に-0 ~ -1(条件付き)
危険線3以上――反乱確率 ↑
極端5――集団恐慌

#恐怖帯ごとの状態

恐怖状態GM叙事
0平穏無事ほぼ到達不可
1日常的不安夜に時々寝つけない
2意識された恐れ子どもたちが結界の外を指ささない
3沈黙の恐怖妖魔の話が禁忌
4集団恐慌直前一部住民が脱走を試みる
5集団恐慌反乱・自傷・脱走が爆発

#恐怖上昇(+)原因

原因変動頻度
結界端で妖魔目撃+1週間1回上限
結界HP 15以下突入+2即時
主級妖魔突破試行の知らせ+1イベント
陰陽師の公開失神+1イベント
住民直接被害(負傷・死亡)+2イベント
結界危機の夜失敗+3イベント
闇・沈黙演出(3日以上)+1GM裁量

#恐怖減少(-)原因

原因変動条件
領主の公式演説(成功判定)-1週間1回
結界HP 60以上回復-1即時
主級妖魔撃破-1イベント
神社浄化儀式(月1回)-1陰陽師執行
1週無事件経過-0.5自動(丸め)

恐怖は士気よりゆっくり下がる。 一度4まで上がると、回復に3~5週必要。


#士気・恐怖の相互作用

二つの数値は独立しているが、互いに影響する。

#相互作用表

状況士気恐怖追加影響
士気3以下 + 恐怖3以上維持維持反乱判定を活性化
士気2以下 + 恐怖4以上維持維持反乱判定目標値 -2
士気8以上 + 恐怖2以下維持維持アップグレード進捗 +1
士気10 + 恐怖0不可能一時的のみ(設定上)

#連鎖の可能性

士気低下 → 恐怖上昇加速
  士気3以下状態で週間恐怖 +1(自動)

恐怖上昇 → 士気低下加速
  恐怖4以上状態で週間士気 -1(自動)

両方崩壊 → 反乱
  士気2以下 + 恐怖4以上 = 反乱判定

#反乱判定

領地住民の集団意思決定。領主・陰陽師への信頼が崩れたときに発生する。

#判定条件

  • 士気2以下 + 恐怖4以上が同時に1週以上維持
  • OR 士気0到達
  • OR 結界HP0到達前3週以内 + 士気4以下

#判定公式

反乱判定:
  2d10 + 領主アキヒサ影響力(+1基本) + 三道六心補正 vs 目標値

目標値:
  基本: 13
  士気1以下: 15
  恐怖5: 15
  陰陽師死亡後: 17

判定結果:
  成功: 反乱を1週遅延、士気 +0維持
  失敗: 反乱発生(軽/中/大)
  大失敗(1-1): 暴動
  大成功(10-10): 士気 +2、恐怖 -1(領主の再確立)

#反乱タイプ

軽反乱(判定失敗):
  - 住民一部(50名)が脱走を試みる
  - スロットA分隊結束 -1
  - 士気 -1永続低下
  - 収拾に1週必要

中反乱(判定 -5以下):
  - 住民多数(150名)が籠城または脱走
  - 分隊結束 -2
  - 施設1個破壊(d10ロール)
  - 士気 -2永続
  - 収拾に2週必要

大反乱(判定 -10以下、大失敗):
  - 内乱発生
  - 領主危機――交代の可能性
  - スロットA分隊死傷 d10名
  - 施設2~3個破壊
  - 士気 -3永続
  - キャンペーンのエンディング分岐に影響

#領主の介入方法

反乱判定前の1週以内に、領主RPで介入できる。

行動効果リスク
公式演説恐怖 -1、判定 +1失敗時、恐怖 +1(逆効果)
武器配布(武装試行)判定 +1鍛冶場在庫を消耗
米配給拡大士気 +1農場在庫 -500石
住民代表面談判定 +2時間消費(1週)
陰陽師との共同宣言判定 +3陰陽師衰弱度 +1

#領主の心と士気

士気は単なる数値ではなく、領主の三道六心の反映である。

#心ごとの士気効果

士気ボーナス恐怖ボーナス状況
+1 週間-0住民と共にいるとき
+0-1結界危機・戦闘後
+1-1負傷者訪問
-1+0領主隠遁時
+0-1陰陽師と共感
-2+2領主破綻時

#領主RP判定

主要な領主決断シーンでダイス判定を行う。

領主RP判定:
  2d10 + 領主段数(+1) + 心(+1~+3) vs 目標値

目標値:
  演説: 11
  決断: 13
  内外対立調整: 15
  反乱介入: 17

#週間士気・恐怖確認手順

毎週月曜朝、または日曜夜。

#手順

1. 先週のイベント集計(士気 +/-)
2. 結界HP区間確認 → 自動補正
3. 自然変動適用(3週停滞時 -1)
4. 恐怖自動変動(条件付き)
5. 反乱条件チェック
6. 週間士気・恐怖確定
7. 住民シーン演出(該当区間)

#タイミング

  • 毎週月曜朝(セッション内時間): 先週決算
  • 毎週日曜夜(セッションエンディング): 今週決算
  • キャンペーン内で2回計算(叙事リズム)

#住民層別士気(選択ルール)

全体士気一つだけでは平均的すぎるなら、住民層別の詳細追跡が可能。キャンペーン難易度上昇オプション。

#4層

人員士気独立
家臣・武士20独立士気(領主忠誠)
職人・商人50独立士気(ノハチ・ヤスコ中心)
農民・一般380独立士気(村長中心)
老弱者・子ども250独立士気(恐怖に敏感)

各層の士気は0~10。層ごとに反応が異なる。平均が全体士気。

#層別士気崩壊

  • 武士層士気2以下: 分隊結束 -2
  • 職人層士気2以下: 施設週間産出 -50%
  • 農民層士気2以下: 農場凶作確率 +50%
  • 老弱者層士気2以下: 領地全体恐怖 +1(週間)

警告: 層別管理はGM負担を増やす。選択ルール。


#恐怖・狂気の接続(選択ルール)

本編 狂気 概念をPCにも適用可能。

#PC恐怖蓄積

  • 領地恐怖4以上の週にPCが滞在している場合、PC個人恐怖 +1
  • PC恐怖5到達 → 三道六心の特定心を強制変動(GM裁量)
  • PC恐怖5を3週維持 → 一時的狂気判定

#狂気判定

狂気抵抗判定:
  2d10 + 勇 + 智 + 領主好感 vs 15
  失敗: 1間合 混乱状態(判定 -2)
  大失敗: 一時狂気(一日の行動をGMが代行)

このルールは恐怖が心理的資源であるという概念を深める。キャンペーンのダークトーン強化オプション。


#GM運用のコツ — 心を生きたものにする

#数字を言う前に場面を見せる

  • 士気5 → 6: 「井戸端で今朝、笑い声が一つ増えた。」
  • 恐怖3 → 4: 「子どもたちは結界の方を見ない。わざと背を向けて遊んでいる。」
  • 反乱直前: 「領主が朝会へ行ったとき、家臣の一人が顔を上げなかった。」

#士気変動の公開

  • 士気変化はプレイヤーに公開する。ただし絶対値ではなく相対的変動
  • 「先週より士気が上がった」――数値はGMシートだけ。
  • 恐怖も同じ。

ただし、反乱判定活性化時は明示する(「士気・恐怖条件上、反乱判定が活性化」)。

#領主RPの重み

  • 領主の決断シーンは実際のダイス判定。軽く流さないこと。
  • 失敗に意味がなければならない。一度失敗すれば、次週にも影響が残る。
  • 領主の心変動があるときはプレイヤーと相談する。

#連鎖を実際に回す

一つの事件が2~3週間の余波を生むことを見せる。

  • 遠征分隊全滅(-3) → 次週恐怖 +1 → その次週、反乱条件活性化
  • アップグレード完工(+1) → 次週士気維持 → その次週、アップグレードボーナス

プレイヤーが「自分たちの行動は3週後まで影響する」と体感できる必要がある。

#避けるべき罠

  1. 士気を一度だけ下げて放置すること: 毎週追跡してこそ意味がある。
  2. 恐怖を簡単に下げること: 恐怖は一度積もると長く残る。
  3. 反乱を仮想脅威だけにすること: キャンペーン中に1~2回は実際に発動推奨。
  4. 領主の失敗を許さないこと: 失敗可能性こそ物語の緊張。

#キャンペーンアーク別 士気・恐怖ペース推奨

士気平均恐怖平均反乱リスク
1章6~71~2なし
2章5~62~3なし
3章4~53~4条件付き
4章3~43~41~2回
5章2~6(極端)4~5 または 1~22~3回

5章は二極化。クライマックス進行により、士気が極端に動く。


#シート書式 — GM追跡用

[士気・恐怖シート]
現在週次: ___週目

士気: ___/10
  前週比: +__/-__
  主な変動原因:
    - ___
    - ___
  次週予想: ___

恐怖: ___/5
  前週比: +__/-__
  主な変動原因:
    - ___
    - ___
  次週予想: ___

反乱リスク:
  [ ] 非活性(正常)
  [ ] 条件付き活性(士気3 / 恐怖3+)
  [ ] 強制活性(士気2 / 恐怖4+)
  前回判定: ___

今週の領主RP:
  - ___
  判定: ___ vs 目標 ___
  結果: ___

層別士気(選択適用時):
  武士: __/10
  職人: __/10
  農民: __/10
  老弱: __/10

特記事項:
  ___

専用シートは 80-06-morale-tracker.md 参照。


#士気・恐怖とエンディング分岐

第5章クライマックスで、士気・恐怖状態がエンディング分岐に影響する。

最終状態可能なエンディング
士気7+ / 恐怖1~2帰還エンディング(大成功)――住民90%生還
士気5~6 / 恐怖2~3帰還エンディング(通常)――住民70%生還
士気4 / 恐怖3~4定住エンディング――領地に残る
士気3 / 恐怖4+変容エンディング――領地変質、部分生還
士気2以下陥落エンディング――内部崩壊
反乱大失敗週反乱エンディング(特殊)――領主没落

士気は最後の一矢である。どれほど結界HPが残っていても、住民の心が崩れれば領地は陥落する。


#接続される新規ルール / 文書


「数値が0になる前に、すでに声は消える。我らは声の数を数えねばならない。それが領地というものだ。」 — ホシノ・ゲンショウ、アキヒサに士気の本質を説明しながら。