#住民主要8名 — 守る理由、800名の顔
目次
カガミヤマ領の800名は数字ではない。その数字の中に、八つの顔が代表として立っている。彼らが笑えば士気は上がり、彼らが泣けば領主は眠れない。
本編参照
- 必須: 三道六心
- 参考: 国人領地経営
[新規ルール] 住民代表発言権
住民主要8名のうち、同一傾向の3名以上が領主へ嘆願書を提出した場合、領主は公式聴聞を拒否できない(国人慣習法)。聴聞の結果は士気 ±1。住民代表発言権は、PCの介入余地を強制的に作る。
#構成概略
| NPC | 年齢 | 役割 | 三道六心 | 主フック |
|---|---|---|---|---|
| お婆オトネ | 74 | 語り部 | 眞 | 古い伝説の記憶 |
| 少年サンジロウ | 13 | ユキチの息子 | 忠 | 侍の夢、家出 |
| 漁師ゲンベエ | 41 | 水産業代表 | 慈 | 息子の失踪 |
| 子どもたち(4名) | 6~11 | 象徴的 | — | 霊界の子ども感応 |
| 村長ヘイサク | 58 | 住民代表 | 忠 | 領主に真実を要求 |
| 巫女サヨ | 37 | 民間呪術師 | 虛 | 陰陽師との異端性 |
| 商人キュウベエ | 52 | 物資仲介 | 覇 | 非常食糧の二重帳簿 |
| 農婦ウメ | 46 | 農業代表 | 慈 | 漂流時に夫死亡 |
#1. お婆オトネ — 語り部の老婆
#香 — オトネという人
#外見
七十四。背はとても低く、背中が大きく曲がっている。白髪を後ろで一つに結び、顔には無数の皺が網のように刻まれている。両目はどちらもほとんど見えない — 白内障。それでも夜道を自分の家までよく探して帰る。「わしの目はこの村の地図を覚えた」。
黒い木綿の着物の上に、ゆったりした灰色の外套。腰には布袋一つ — 中には煙管と乾いた蓬。
#口調
遅く低い。声には木の皮のような質感がある。語尾をよく濁す — 記憶が曖昧だからではなく、相手が埋めることを期待しているため。敬語・平語の区別はほとんどない。誰にでも「坊や」「おまえさん」。
#日常
- 夜明け: 早く起きて庭の小さな畑を見る
- 午前: 庭に座って煙草を吸う。通りかかった者は誰でも、話しかければ物語を聞かせる。
- 午後: 村の子どもたちが訪ねて来て、昔話を聞く
- 夕方: 一人で夕食。食事量は少ない。
- 夜: ランプ一つを灯し、壁を見ながら座っている — 眠るまで
#心配事
最大の心配: 自分の知っている古い物語が、自分と共に消えること。「受け取る者がいなければ、物語はまた種に戻るもの」と言う。子どもたちが来ても、彼らが覚えるかどうか確信がない。
二つ目の心配: 漂流以後、夢がおかしい。夢に見る人々が見知らぬ顔。霊界住民である可能性。
#法・技能
オトネ(非戦闘NPC、村老 — 段数未割当)
勇 +0 / 技 -1 / 體 -1 / 智 +2 / 美 +0 / 運 +1 (非戦闘少数合計 +1)
活力 9 (10 + 技 -1 = 9, 弱体)
戦力 2 (3 + 體 -1 = 2, 弱体)
防備 10 (一般武装 — 普段着)
三道六心: 眞 (真理 — 物語の伝承)
特技 (非戦闘民間, 1個):
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1(長く生きた老人の蓄積運)
技能 (非戦闘 — 入門/熟練範囲, 名人・聖人不可): 予言入門(1点, 民間占い), 感知入門(1点, 記憶・察し) 生業 (新規 #11): 生業:語り部 (名匠, 4点, +3) — カガミヤマ領口伝の生き証人。本編 生業熟練度最高等級。生業:民間医術 (入門, +0, 伝統薬草) · 生業:農業 (熟練, +1)
#台詞例
平時(煙草を吸いながら):
「坊や……こっちへ来て座ってごらん。あそこに見えるあの山……あの山には昔々な……虎が住んでおったんだよ」
PCが漂流について尋ねる時:
「こういうことが……初めてだと思うかい。この領地ができる前に……この土地から消えた村が二つあった。どこへ行ったと思う。地が飲んだのさ。地が」
領主が訪ねて来る時:
(頭を下げて)「若様が……この老いぼれ婆に何のご用でしょう。ただ茶を一杯飲んでお行きなさい」
#関係・フック
- アキヒサ: オトネはアキヒサの父と祖父を覚えている。領主に時々「あなたのお祖父さまがね……」で始まる話を聞かせる — 領主の知らない家門史。
- サンジロウ: 実の孫のように可愛がる。物語を聞かせるのが一番好きな子。
- フック 1 — 古い伝説: オトネはこの土地が過去にも漂流したことがあるという伝説を覚えている。細部は曖昧だが、手がかりを提供できる。第2章以後の鍵NPC。
- フック 2 — おかしな夢: オトネの夢に現れる顔が、霊界の特定の幽霊と一致する可能性。サイドクエスト お婆の夢。
- フック 3 — 継承者指定: オトネは自分の物語を聞いてくれる者を探している。PCのうち適任者に「物語箱」を譲るイベントが可能。
#2. 少年サンジロウ — ユキチの息子
#香 — サンジロウという人
#外見
十三。同年代の中では平均的な背丈。腕は細いが、掌には幼い年齢にもかかわらず硬い胼胝 — 鍛冶場の仕事を手伝うため。顔は父に似て目つきが強い。髪は短く刈っている — 父が面倒がってよく刈ってしまう。
普段着は粗い茶色の作業着。腰には小さな木刀 — 折れかけたものを直したもの。ユキチが作ってくれた玩具だが、サンジロウにとっては真剣。
#口調
早く高い。感情がそのまま出る。敬語を覚えてはいるが、興奮するとため口になる。アキヒサに敬語を使おうと努力するが、親しさがつい飛び出す。
#日常
- 夜明け: 父の鍛冶場の炉を点検(父に命じられた仕事)
- 午前: 父の仕事を手伝う — 不満だらけ
- 午後: 時々城前で家臣たちの訓練を見学 → 真似する
- 夕方: 家で父と夕食。言葉は少ない。
- 夜: こっそり木刀を振る
#心配事
最大の心配: 父が自分を鍛冶師にすること。「俺は槌が嫌いだ。刀が好きだ」と心の中でいつも叫んでいる。
二つ目の心配: アキヒサの目に留まりたい。どうすれば領主が自分に気づいてくれるか悩んでいる。
三つ目の心配: 父が老いていく。父がいなくなったら誰が鍛冶場を? — 矛盾した感情。
#法・技能
サンジロウ(非戦闘NPC、見習い — 段数未割当)
勇 +1 / 技 +1 / 體 +0 / 智 +0 / 美 +0 / 運 +0 (非戦闘少数合計 +2)
活力 11 (10 + 技 +1 = 11)
戦力 3 (3 + 體 +0 = 3)
防備 10 (一般武装 — 作業着)
三道六心: 忠 (領主)
特技 (非戦闘民間, 1個):
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1(夢を抱く少年の加護)
生業 (新規 #11): 生業:鍛冶仕事 (熟練, +1) — 父ユキチから学んでいる最中
- 技能 (非戦闘 — 入門範囲): 感知入門(1点), 歩法入門(1点), 闘志入門(1点)
- 剣術関連: 正式技能未保有 — 剣術判定時、未熟練ペナルティ -2適用。木刀は玩具扱い。
#台詞例
平時(訓練を見学した後):
「おじさん……どうすればカゲミツ様みたいに速く刀を抜けるんですか? あ、いや — ええと — 貴公にお尋ねしているのです!」
父が鍛冶仕事をさせる時:
「父上、俺は鍛冶屋なんかやりません。領主様のそばで死ぬのが夢なんです!」
(ユキチ: 「……死ぬのが夢のやつは鍛冶屋より長生きできんぞ、この馬鹿」)
領主と直接話す時(稀な機会):
(震える声で)「りょ、領主様! 俺は……俺は領主様を守れます! 槌じゃなくて刀をください!」
#関係・フック
- ユキチ: 父子関係の葛藤。ユキチは息子に強要しないが、内心では鍛冶場を継いでほしい。
- カゲミツ: 英雄。サンジロウの憧れ。カゲミツはそれに気づいており、面倒がりながらも技をいくつか教える。
- アキヒサ: 神。サンジロウはアキヒサに話しかける機会だけをうかがっている。
- 子どもたち: 同年代だが、サンジロウはすでに「働く少年」なので子どもたちとは距離感がある。
- フック 1 — 家出: サンジロウがある日姿を消す。追跡すると森の中で一人で霊界妖魔に立ち向かおうとして危機。救出クエスト。
- フック 2 — 侍の道: サンジロウをカゲミツかトウマの正式弟子に推薦した場合、長期的には3段侍成長経路。ただし、ユキチの悲しみ。
- フック 3 — 鍛冶場継承: 逆にサンジロウが成長し、鍛冶仕事の価値に気づく経路。ユキチの未完成の太刀を継ぐ者になるかもしれない。
#3. 漁師ゲンベエ — 水産業代表
#香 — ゲンベエという人
#外見
四十一。背が高く、体格は堅い。肌は濃い銅色 — 一生、海や川で陽に当たって生きた結果。手は大きく荒い。顔には塩分が乾いて貼りついた跡。
普段着は腰に麻の褌、上半身は上着だけを掛けている。腰には鉄縄で作った帯 — 釣り道具と小刀を吊るしている。
#口調
低く無骨。海辺の訛りが混じる。敬語は不得手だが、心は恭しい。口数は少ないが、一度言えば断固としている。
#日常
- 夜明け: 領地の川辺で釣り(領地に小さな川がある — 漂流後も維持)
- 午前: 獲った魚の処理、市場販売
- 午後: 漁具修理、他の漁師との会合
- 夕方: 家で妻・娘と食事
- 夜: 早く寝る
#心配事
最大の心配: 長男の失踪。漂流直後、長男(18歳)が「川の向こうに何かがある」と言って出て行き、戻らない。3か月目。ゲンベエは息子が霊界へ渡ったと信じている。
二つ目の心配: 川の水が汚染され始めている。漂流後、川底に黒い泡が混じる。魚の個体数が減少。
三つ目の心配: 領地への魚供給が途切れれば栄養不足。商人キュウベエと対立 — キュウベエが魚の価格を買いたたく。
#法・技能
ゲンベエ(非戦闘NPC → 非常時は補助, 段数未割当)
勇 +0 / 技 +1 / 體 +2 / 智 +0 / 美 +0 / 運 -1 (非戦闘少数合計 +2)
活力 11 (10 + 技 +1 = 11)
戦力 5 (3 + 體 +2 = 5, 非戦闘上限に近い — 堅い体格)
防備 10 (一般武装 — 麻褌)
三道六心: 慈 (共存)
特技 (非戦闘民間, 1個):
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1(海の者の加護)
技能 (非戦闘 — 入門/熟練範囲): 感知熟練(2点, 海の観察), 生存入門(1点) 生業 (新規 #11): 生業:漁業 (職人, +2) — 領地最高の漁師。生業:航海 (入門, +0, 沿岸のみ)
非戦闘だが非常時: 銛や釣り用の網で牽制可能 — PCの補助(未熟練戦闘ペナルティ -2適用)。
#台詞例
平時:
「今日、川に妙な泡が浮いた。三度目だ。陰陽師様に話そうとしたが……お忙しいだろう? そうか、そうか」
息子の話:
(頭を下げて)「ゲンイチです。あれは……三か月前。川の向こうが妙だと言って……行きました。帰ってきません。妻は毎晩泣きます。私は……」
(息を整えて)「……私は泣きます。昼でも」
PCが息子を探すと言う時:
「本当ですか。本当に探してくださるのですか。生きてさえいれば……生きてさえいれば、私の分一つを領主様に捧げてもいい。いや、領主様に捧げても — いや、それはできません、あの子は私の子です。探してくだされ」
#関係・フック
- アキヒサ: 敬語。領主が息子失踪の報告を受け、個人的に慰問した記憶。
- キュウベエ: 対立。価格交渉でやられている。
- ウメ: 似た喪失の共感。互いに話をする仲。
- フック 1 — 息子探し: ゲンイチ(18歳)が霊界にいる可能性。第1~2章サイドクエスト。発見時: 生存・幽霊化・変容の三状態があり得る。
- フック 2 — 川の汚染: 川底の黒い泡は等活地獄残滓。退魔が必要。放置すると住民の病が増える。
- フック 3 — 水産資源危機: ゲンベエと共に霊界湖を探索可能。霊界魚の捕獲 = 食糧補充。
#4. 子どもたち — 4名の象徴的存在
#香 — 子どもたち
彼らは一人ずつよりもグループとして扱われるNPC。 それぞれの名前と短い特徴だけ。
| 名前 | 年齢 | 性別 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| マリ(マリコの略) | 6 | 女 | いつも人形一つを持ち歩く。口数は少ない。 |
| ハチ | 8 | 男 | 一番活発。いつも走り回る。怖がらない。 |
| ユメ | 9 | 女 | 物語を聞くのが好き。オトネの常連聴衆。 |
| タロウ | 11 | 男 | このグループのリーダー。子どもたちを率いる。 |
#共通外見
皆、粗末な茶色・灰色の作業着。履物は草鞋または裸足。汚れた顔、髪は適当に切っている。目は澄んでいる。
#共通口調
明るい。漂流の重みを大人ほど実感していない — あるいは実感しながらも遊びで乗り越えている。敬語は使わない。PCには「おじさん」「お姉ちゃん」「お兄ちゃん」。
#日常
- 午前: 使い走り、大人の手伝い
- 午後: 遊び。主に城の周辺でかくれんぼ、または石投げ。
- 夕方: それぞれ家へ。
- 夜: 時々ユメがオトネの家に残り、物語を聞く。
#心配事
マリ: 人形が「昨日の夜、話しかけてきた」と言う。大人たちは子どもの幻想だと思っているが、マリの人形は霊界魂の媒介体である可能性。
ハチ: 兄が漂流時に死んだ。ハチは悲しんでいないように見えるが、夜に静かに泣く。
ユメ: オトネの物語を日記帳に筆写している。オトネの唯一の継承候補。
タロウ: 子どもたちを守ろうとする責任感。11歳なのにすでに小さな家長。父は漂流時に傷つき、半身不随。
#法・技能
子どもたち(非戦闘NPC, 各自 — 段数未割当)
平均: 勇 -1 / 技 -1 / 體 -1 / 智 +1 / 美 +0 / 運 +1 (幼い体格, 非戦闘少数合計 -1)
活力 9 (10 + 技 -1 = 9, 弱体 — 幼いせい)
戦力 2 (3 + 體 -1 = 2, 弱体)
防備 10 (一般武装 — 作業着)
三道六心: まだ未確定 (幼いせい)
特技: なし(幼いせい、未成熟)
共通技能 (非戦闘 — 入門のみ): 歩法入門(1点, 走る), 潜入入門(1点, 隠れる), 感知入門(1点, 察し — ユメのみ)
#台詞例
ハチ(遊びに来て):
「おじさん! これなに? この霊界の刀、本物? 触ってもいい? ねえ? ねえ!?」
マリ(静かに、人形を抱いて):
「おじさん。この子が……おじさんのそばに悪いものがいるって。気をつけて」
ユメ(オトネの話を聞いて来て):
「おばあちゃんが言ってたんですけど、昔この土地が一度消えたことがあるんですって。本当ですか?」
タロウ(子どもたちを集めながら):
「みんな来い。日が暮れる前に家へ帰るぞ。マリ、ハチ — 俺の後ろに立て。ユメ、おばあちゃんの家に寄るんだろ? そこまで送ってやる」
#関係・フック
- アキヒサ: 子どもたちは領主を怖がらない。むしろ「幼い王子のお兄ちゃん」のように扱う。アキヒサはこの関係を大切にしている。
- オトネ: 子どもたちのおばあちゃん。特にユメ。
- サンジロウ: すでに「大人側」に属しており、子どもたちとは距離がある。
- フック 1 — マリの人形: 人形が霊界魂の媒介体。第2章クエスト。成仏させて送るか、媒介体として維持するか選択。
- フック 2 — ハチの兄: ハチの兄の幽霊が霊界境界にいる可能性。発見時、ハチの癒やし。
- フック 3 — ユメの継承: オトネ死亡時、ユメが語り部を継承。長期エンディング装置。
- フック 4 — タロウの家長: タロウの父を治療できる方法(ミナコ・リョウザン協力)。サイドクエスト。
- フック 5 — 子どもの死亡: 最悪の可能性。キャンペーンで子どもが死ぬことは士気 -3の災厄。GMは最大限避けること。
#5. 村長ヘイサク — 住民代表
#香 — ヘイサクという人
#外見
五十八。背丈は普通、体つきは痩せ気味。白髪が多く混じり、顔には深い皺。目つきは鋭い。村長の目 — 誰を見ても、その人に今何が足りないか判断する目。
普段着は暗い藍色の着物。腰には古い印章袋 — 村長の象徴である小さな木印が入っている。杖一つ — 権威用であり、実際に歩く時にも頼る。
#口調
丁寧だが断固としている。侍にも領主にも言うべきことを言う人。敬語は正確。文が長くなる時、修辞を使う — 農民出身だが読み書きができ、故事をいくつか引用する。
#日常
- 夜明け: 領地を回り、各家の状態を点検
- 午前: 村長役所(自宅兼用)で住民の訴えを聞く
- 午後: 領主へ週報(公式)
- 夕方: 家で妻と夕食。子どもは独立済み。
- 夜: 文書作成 — 住民嘆願書・要請書など
#心配事
最大の心配: 領主が住民に真実を隠していると疑っている。「我々がどこにいるのか、いつ戻れるのか、戻れるのか — この三つを住民は知る権利がある」と信じている。
二つ目の心配: 漂流後、住民の間に異端的信仰(サヨの巫術)が広がっている。陰陽師の権威を揺るがすのではないかと懸念。
三つ目の心配: 村長自身が年を取った。後継者がいない。
#法・技能
ヘイサク(3段, 民衆) ([新規ルール #12](../ex1-99-appendix/ex1-99-06-commoner-class.md))
勇 -1 / 技 +0 / 體 -1 / 智 +3 / 美 +1 / 運 +2 (合計 +4 = 本編 3段標準)
活力 10 (10 + 技+0)
戦力 2 (3 + 體-1)
防備 10 (普段着)
三道六心: 忠 (家門 — カミジョウ家への忠誠)
特技 (4個 = 背景 1 + 一般 1 + 3段一般 2。民衆クラスは自動特技なし):
- 村長の印章 [背景, 素養] — 国人村長背景。領民交渉判定 +2
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1
- 徹頭徹尾 [一般, 素養] — 長期観察・記録に有利(感知判定 +1)
- 長寿の知恵 [一般, 素養] — 58年の経歴。策謀・予言判定 +1
技能 (1段9点[自由配分 5 + 背景 2 + 自由 2] + 2段 +2点 = 11点。免許以上の保有上限は2個[2段]、使用1): 交渉免許(3点), 策謀熟練(2点), 感知入門(1点), 予言入門(1点, 占い・天気), 威圧入門(1点, 村長の権威), 買収入門(1点, 村の家計調整), 虚言入門(1点, 紛争仲裁の弁), 天運入門(1点, 老村長の勘) 生業 (新規 #11): 生業:書記 (職人, +2) — 領地行政・帳簿管理の一生
職位 — 住民代表村長: ヘイサクは領地の公式村長。技能・生業以外の社会的権限として、領主会議参加権・住民800名代表発言権を持つ。本編 国人領地構造参照。
#台詞例
平時の領主謁見:
「領主様にご報告いたします。今週は出産一つ、死亡三つ。川西の家三軒が屋根修理を要請。そして……領主様に一つお尋ねしたいことがございます」
PCが訪ねて来た時:
「貴公ら。領地の恩人でございましょう。しかし住民が問うております — いつ戻れるのか、と。私に答えられることが何一つないなら、私は何のためにこの印を下げているのですか」
嘆願書提出後:
(正式な姿勢で)「領主様、住民代表三名の嘆願書を上げます。内容は……真実の公開要請。私もこの場に立ちました」
#関係・フック
- アキヒサ: 敬語だが距離がある。ヘイサクはアキヒサを若き領主ではなく、カミジョウ家の現在の当主として見る。そのため容赦なく言うべきことを言う。
- ゲンショウ: 長年の協力者。陰陽師の権威に頼っている。
- サヨ: 警戒。サヨの巫術が領地に広がることを快く思っていない。
- キュウベエ: 商売の相手であり監視対象。キュウベエの二重帳簿に気づいている可能性。
- フック 1 — 真実公開要求: ヘイサクが住民代表発言権を行使。PCは領主側・住民側を選ばなければならない。三道六心変化の契機。
- フック 2 — 後継者指定: ヘイサクが後継者をPCに相談する。PCが推薦した者が次期村長になる可能性。
- フック 3 — サヨとの衝突: サヨの異端信仰が大きくなれば、ヘイサクとサヨが公開衝突する。PCが仲裁できる余地。
#6. 巫女サヨ — 民間呪術師
#香 — サヨという人
#外見
三十七。背丈は中ほど。髪が長く、解き放っている — 髪を結ばない。顔立ちは美しいほうだが、目がひときわ大きく、焦点が時々ぼやける。裸足か、古い草鞋。衣服は時折、奇妙な色の布をまとっている — 赤、紫など。
首に呪術珠をいくつも。腰に乾いた狐の尾(本物ではない飾り)。片手には鈴杖 — 振ると音がぞっと響く。
#口調
二つの声がある。平時には普通の中年女性の声で落ち着いている。接神状態では低く割れた声、文法が乱れ、意味が曖昧。
平時の口調は丁寧だが、少し秘密めいている。敬語は状況によって選ぶ — 領主・陰陽師にはきちんと敬語、それ以外は状況しだい。
#日常
- 夜明け: 家の裏の小さな神堂で祈る(彼女だけの神)
- 午前: 住民相談 — 霊的問題、病、運勢
- 午後: 薬草採集(領地内限定)
- 夕方: 一人で夕食。家族なし。
- 夜: しばしば接神儀式 — 一人で、または数名の信者と共に
#心配事
最大の心配: 陰陽師が自分を異端として糾弾すること。サヨの呪術は陰陽寮系統ではない民間巫術 — 公式には認められていない。
二つ目の心配: 接神能力が漂流以後おかしくなった。降りてくる霊が本編の神ではなく、霊界の何か。サヨ本人も恐れている。
三つ目の心配: サヨの信者(非公式)が増えている。ヘイサクの警戒を買っている。
#法・技能
サヨ(2段, 修験者 — 異端巫女)
勇 -1 / 技 +1 / 體 +0 / 智 +1 / 美 +2 / 運 +1 (合計 +4 = 本編 2段標準)
活力 11 (10 + 技 +1 = 11)
戦力 3 (3 + 體 +0 = 3)
防備 10 (一般武装 — 奇妙な布)
三道六心: 虛 (秘密 — 信仰の秘義)
特技 (3個 = 1段自動 + 背景 1 + 一般 1。偶数段特技なし):
- 不動明王の誓約 [素養] — 本編修験者 1段自動(異端的解釈)
- 民間巫女の鈴 [背景, 素養] — 巫女背景。霊感知判定 +2
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1(本編一般)
技能 (1段9点[職業5+背景2+自由2] + 2段成長 +2点 = 11点。免許以上は段別上限内(1段1・2段2)、名人は2段から): 退魔熟練(2点), 薬草熟練(2点), 予言熟練(2点, 占い), 感知入門(1点), 交渉入門(1点, 村の相談), 風格入門(1点, 祭祀の存在感), 強健入門(1点, 憑依儀式の忍耐), 虚言入門(1点, 占い・祈祷の話術) 生業 (新規 #11): 生業:巫女 (職人, +2) — 民間接神・鈴・祈り。本編 呪術公式体系と区別される異端
注意: サヨの呪術はゲンショウの安倍流派と両立不可。共に儀式を行うと混乱。本編 流派関係参照。
#台詞例
平時:
「おいでください、おいでください。このサヨがお目にかかります。何が貴公をここまで導いたのか……私の鈴が知っております」
接神中(低い声):
「……黒縄の……秤が……傾いた……おまえの名が……そこに……刻まれた……」
領主へ:
「若様。私は陰陽師様を尊敬しております。ただ……この土地が抱く神霊たちが、陰陽寮のものだけとは限りませぬ。一柱の神に仕える者が複数いても……神は嫌がられぬでしょう」
#関係・フック
- アキヒサ: 丁寧な距離。領主はサヨを公式認定していないが、禁じてもいない。
- ゲンショウ: 表面は尊重、内心は警戒。互いに深く話さない。
- ヘイサク: 対立。ヘイサクはサヨを領地秩序の不安要素と見ている。
- オトネ: 意外な友人。オトネはサヨの接神を「昔の時代にはよくあったこと」と受け入れる。
- フック 1 — 異端性衝突: サヨの信者が10名以上になると、領地内部が分裂。PCの仲裁が必要。
- フック 2 — 霊界霊接続: サヨの接神能力は、霊界知性体との交渉補助として使える。第3・4章クエスト。
- フック 3 — サヨの真実: サヨは過去の陰陽寮落第生だった。公式認定を受けられなかった劣等感が、民間呪術への道を開いた。好感度が高ければ公開。
#7. 商人キュウベエ — 物資仲介
#香 — キュウベエという人
#外見
五十二。背は低く、丸々した体型。顔は丸く、いつも笑顔 — しかし目は笑っていない。禿げ始め、残った髪は後ろへ整えている。髭なし。
衣服は裕福な商人の着物 — 他の住民より明らかに良い布。腰に算盤と小さな帳簿。
#口調
早く流暢。敬語を非常に巧みに使う — ただし過剰に。聞くには恭しいが、下心が読める敬語。
#日常
- 夜明け: 倉庫点検
- 午前: 領地内の店を巡回、物資需給
- 午後: 住民との取引
- 夕方: 家で家族と食事 — 妻と二人の息子
- 夜: 帳簿整理 — 二重帳簿作成
#心配事
最大の心配: 領地が長期漂流すれば、自分の富が無意味になること。戻れなければ商人の資本は役に立たない。
二つ目の心配: 非常食糧隠匿を領主に気づかれること。キュウベエは現在、約3週間分の米を自分の倉庫に別途保管している。公式には「ない」と報告。
三つ目の心配: 霊界商人との接触。キュウベエはすでに第3章以後、霊界商人と取引する意図を抱いている。危険な同盟。
#法・技能
キュウベエ(2段, 商人 — 非戦闘型)
勇 -1 / 技 +1 / 體 +0 / 智 +2 / 美 +1 / 運 +1 (合計 +4 = 本編 2段標準)
活力 11 (10 + 技 +1 = 11)
戦力 3 (3 + 體 +0 = 3)
防備 10 (一般武装 — 商人着物)
三道六心: 覇 (利益中心)
特技 (3個 = 1段自動 + 背景 1 + 一般 1):
- 計算者 [素養] — 本編 商人 1段自動。売買判定 +2
- 交易路知識 [背景, 素養] — 商人背景。霊界商人接触解釈 +1
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1
技能 (1段9点[職業5+背景2+自由2] + 2段成長 +2点 = 11点。免許以上は段別上限内(1段1・2段2)、名人は2段から): 交渉熟練(2点), 買収熟練(2点), 策謀熟練(2点), 感知入門(1点), 地理入門(1点, 交易路), 虚言入門(1点, 駆け引きの如才なさ), 扇動入門(1点, 市場の世論), 天運入門(1点, 商人の勘) 生業 (新規 #11): 生業:商業 (職人, +2) — 領地経済の実質管理者。会計・在庫・価格担当。生業:書記 (熟練, +1)
#台詞例
平時:
「いやあ、貴公。よくお越しくださいました。このキュウベエ、貴公の便宜のためなら何なりと。品が必要ですか? どれほど? 金額は……ああ、貴公には特別に、特別に」
PCが疑う時:
「何のお話でございましょう、はは。このキュウベエが二重帳簿などと。私の帳簿は領主様に透明でございます。ただ……貴公が何を疑っておられるのか……このキュウベエが助けになれるならば……」
非常食糧発覚時:
(冷や汗)「貴公。これは……私財でございます。私財を供出する法はございませんでしょう。ただし領主様にご相談することはできます。相談することは」
#関係・フック
- アキヒサ: 表面の敬語。内心は領主の判断力を試そうとする心理。
- ヘイサク: 警戒関係。ヘイサクはキュウベエの二重帳簿を直感している。
- ゲンベエ: 価格対立。キュウベエが魚価格を買いたたく。
- コマチ: 密かに観察されている。コマチはキュウベエの二重帳簿の位置を把握中。
- フック 1 — 二重帳簿発覚: PCがキュウベエの非常食糧隠匿を発見。領主に報告した場合、キュウベエ処分問題。士気変動の契機。
- フック 2 — 霊界商人接触: キュウベエが霊界商人との取引を試みる。危険な同盟であり、資源確保の道でもある。
- フック 3 — 悔い改めの可能性: キュウベエは悪人ではなく、臆病な利己主義者。劇的状況で自発的供出を選ぶ可能性(士気 +3)。
#8. 農婦ウメ — 寡婦
#香 — ウメという人
#外見
四十六。背丈は中ほど、体つきは痩せて堅い。手は大きく胼胝が多い。顔は日に焼けているが、表情は柔らかい — 悲しみに沈んでいるが、悲痛ではない。髪は後ろで一つに結び、銀白の髪が数筋混じる。
普段着は夫が着ていた古い紺の着物を詰めて着たもの。腰に小さな鎌 — 農作用。
#口調
温かく低い。文は短いが余韻がある。敬語は自然に、しかし過剰ではなく使う。誰にでも実母のように接する。
#日常
- 夜明け: 畑の世話
- 午前: 農作業
- 午後: 近所の老婆たちと家事を分担
- 夕方: 一人で夕食。子どもはいない(流産経験あり、その後妊娠できず)。
- 夜: 夫の位牌の前で少し祈ってから就寝
#心配事
最大の心配: 夫の死をまだ完全には受け入れられていない。漂流初日、夫は家を守っていて落下物に当たり死亡。ウメはその瞬間、畑にいた。
二つ目の心配: 領地の食糧自給。ウメは農業代表として食糧計算の中心人物。今年の収穫がどうなるか不安。
三つ目の心配: 領主アキヒサ。ウメはアキヒサを自分の息子と同じ年頃と見ている。あの子がこの重さを背負えるのだろうか。
#法・技能
ウメ(2段, 民衆) ([新規ルール #12](../ex1-99-appendix/ex1-99-06-commoner-class.md))
勇 +0 / 技 +1 / 體 +1 / 智 +1 / 美 +1 / 運 +0 (合計 +4 = 本編 2段標準)
活力 11 (10 + 技+1)
戦力 4 (3 + 體+1)
防備 10 (普段着, 夫の形見の着物)
三道六心: 慈 (共存 — 母性的)
特技 (2個 = 背景 1 + 一般 1。民衆クラスは自動特技なし, 偶数段特技なし):
- 母性の慰め [背景, 素養] — 寡婦背景。交渉判定 +1(憐憫訴求)
- 幸運児 [一般, 素養] — 運命介入 +1
技能 (1段9点[自由配分 5 + 背景 2 + 自由 2] + 2段成長 +2点 = 11点。免許以上は段別上限内(1段1・2段2)、名人は2段から): 感知熟練(2点, 雲・土を読む), 生存熟練(2点), 交渉入門(1点), 薬草入門(1点), 天運入門(1点, 豊凶を占う農夫の勘), 医術入門(1点, 産婆・民間治療), 強健入門(1点, 畑仕事・出産の忍耐), 風格入門(1点, 村の長老の威厳), 扇動入門(1点, 結(ゆい)の結集) 生業 (新規 #11): 生業:農業 (職人, +2) — 領地最高の農婦ウメ。一年の米で800名を食べさせる。生業:民間医術 (熟練, +1, 伝統伝承)
#台詞例
平時(茶を出しながら):
「さあ、お飲みください。今朝、私の畑で採れたばかりの南瓜で煮たものです。手が冷えておいでで……気をつけて召し上がってください」
領主が訪ねて来る時:
(頭を下げて)「若様、どうしてこのような粗末なところまで。茶の一杯でも……飲んでお行きください。この婆は……あ……姉のような者と思ってくださってもよいのです」
夫の話:
「夫は……あの日の朝も私の手を握って出て行きました。『今日も畑を頼む』と。それが最後でした。私が畑から戻った時には……もう」
(しばし沈黙)「……悲しくないと言えば嘘でしょう。けれど私は、悲しみ以外にも生きていけるものが多いと教わりました」
#関係・フック
- アキヒサ: 母性的愛着。アキヒサもこの大人に少し寄りかかる。時々ウメの家に立ち寄り、茶を一杯飲む。
- オトネ: おばあさん友だち。互いに家の前に座って話す。
- ゲンベエ: 喪失に共感する友人。
- フック 1 — 夫の幽霊: 第2章サイドクエスト。夫の霊が霊界からウメを呼ぶ可能性。成仏させる選択 vs 一度だけ会う選択。
- フック 2 — 収穫祈願儀式: ウメが主宰する農業祈願祭。PCが参加すれば収穫判定に好影響。
- フック 3 — アキヒサの母代わり: 長期的にウメがアキヒサの私的助言者になる。領主の感情的な安息所。
#住民士気システムとの連携
主要8名の状態は 住民士気に直接影響する。
#士気変動トリガー
| イベント | 士気変動 |
|---|---|
| 主要8名のうち1名死亡 | -3(致命的) |
| 子ども1名死亡 | -4(災厄) |
| 主要8名のうち1名のフック解決 | +2 |
| 主要8名間の対立放置 | -1/週 |
| ヘイサクの嘆願受諾 | +1(透明性報酬) |
| ヘイサクの嘆願拒否 | -2(信頼低下) |
| キュウベエの非常食糧供出 | +3(結束) |
| サヨの異端拡散(放置) | -1/章 |
#聴聞規則
[新規ルール] 住民代表発言権詳細:
- 主要8名のうち同一傾向3名以上が嘆願書に署名 → 聴聞強制
- 聴聞場: 領主が公開の場で嘆願を聴取
- PCは聴聞に陪席可能 — 領主または住民側の発言
- 結果3分岐:
- 受諾: 士気 +1, 住民代表満足
- 部分受諾: 士気 ±0, 妥協
- 拒否: 士気 -2, ヘイサクの信頼低下
嘆願内容例:
- 真実公開要求(ヘイサク主導)
- 非常食糧公平分配(ウメ・ゲンベエ・ヘイサク)
- 巫女規制要求(ヘイサク・キュウベエ・村老2名)
#GM運用のコツ
#住民8名の役割
- 感情的地盤: 彼らの顔があってこそ、800名は数字ではない。
- クエストフック源: 各NPCのフックは1~3個。セッション素材。
- 領主の鏡: 領主の決定が住民にどう見えるかを、ヘイサク・キュウベエなどが反映する。
#運用推奨
- 毎セッション1~2名登場: ローテーション。一人のNPCが3セッション以上未登場なら、消耗品化する。
- 名前を呼ぶ: PCが住民の名前を覚えるよう誘導。覚えなければ愛着は生まれない。
- 死亡は稀に: 住民死亡はキャンペーン全体で2~4名程度が重みを持つ。乱発禁止。
#間違えやすいこと
- 住民を背景としてだけ扱う: 一言ずつでも台詞を与えること。
- 子どもの乱用: 子どもは稀な登場 → 重みを維持。
- サヨ・キュウベエの悪人化: 彼らは弱い者であって悪人ではない。理解の余地を残すこと。
- ヘイサクの領主反対を否定的にだけ扱う: ヘイサクは領地の良心。彼の反対が領主をより良い決定へ導くこともある。
#接続文書
「800名のうち80名を覚えれば、あなたはよい領主だ。8名を覚えれば、あなたには領主の資格がある」 — お婆オトネが幼いアキヒサに語った言葉。



