#第4幕(クライマックス) — 森の主との談判
目次
"この森の主は一つではない。二つの顔を持つ一つの執着だ。君たちは、そのどちらの顔に答えるのか?"
本編参照
- 必須: 戦闘進行 · 非戦闘判定 · 妖魔図鑑 · 三道六心
- この補充内: 11-00 · 11-03 · 黒縄地獄ガイド · 第2章 NPC図鑑 · 第2章妖魔図鑑 — 黒縄の顔たち · 黒縄流流派
#香 — 穴の肌理
封印の穴へ向かう道は短くない。祠の空き地を離れて東の通路に入ると、その道は下へ降りていく。少しずつ。一歩ごとに一寸、次に二寸。足元は床ではなく坂だ。そして空気が変わる。
上では感じなかった何かが、下から上がってくる。熱くはない。だが厚い。息が重くなる。耳の奥で脈拍のような音が響く — 自分の心臓ではない。誰かの心臓。穴の底から上がってくる鼓動。
道の終わりに立った時、君たちは見る。下へ大きくえぐれた巨大な穴。直径は100歩ほど。深さは30歩。その中心に —
鎖に巻きつかれた女が横たわっている。
彼女は鎖の母とまったく同じ姿をしている。だが大きい。二倍、あるいは三倍。そして彼女の鎖は細くない — 君たちの腰ほども太い鉄鎖が数千本、彼女を穴の底へ打ちつけるように巻いている。鎖は森全体へ伸びていく。君たちがこれまで見てきたすべての鎖が — この一人の女から出ているのだ。
彼女は目を閉じている。眠っているのか、意識しているのかはわからない。口元にはかすかな笑み。苦痛ではない — 平和だ。
穴の縁に鎖の母が立っている。契約を結んだなら一緒に来ているはずであり、裏切ったなら向こうが先に到着しているはずだ。彼女の顔は、これまで見たことのない表情をしている — 自分自身を見つめる顔。
彼女は君たちを見る。ただ一言だけ言う。
"君たちが決めて。"
#法 — 第4幕ゲームデータ
#幕メタ
| 項目 | 値 |
|---|---|
| セッション番号 | セッション 8 (第2章最後のセッション、クライマックス) |
| 実プレイ時間 | 4~5時間 |
| 主要場面数 | 6個 (穴への進入 / 大母対面 / 三元選択提示 / 各ルート展開 / 結末 / 余波) |
| 主要判定 | 戦闘全般, 感知, 交渉, 精神耐性, 結界, 青銅鏡判定 |
| PC成長期待値 | 4段序盤維持 |
| 主要NPC | 鎖の母 (同行・対立・不在のいずれか), 黒縄大母 (ボス), ハルヒコ (回想) |
| 主要妖魔 | 黒縄大母(主級), 大母配下4種 |
#結界HP変動
| 時点 | 変動 |
|---|---|
| セッション開始 | 0 |
| クライマックス中 | -10 ~ -20 (ルート依存) |
| 結末余波 | +5 (友好結末) / -5 (敵対結末) / +0 (中立) |
特記事項: 戦闘ルートでは結界HPが劇的に低下する。交渉・犠牲ルートでは相対的に安定する。
#三元選択
この幕の中心は三元選択である。PCは大母と対面した後、三つの分岐から一つを選ばなければならない。
| ルート | 名前 | 核心方式 |
|---|---|---|
| 覇 | 戦闘 | 大母と正面から撃破 |
| 眞・慈 | 交渉 | 大母との談判を成立させる |
| 虚 | 犠牲 | PCの一人が大母と場所を交換 |
各ルートはエンディング・報酬・次章進入条件が異なる。詳細は下の「ルート別展開」節。
#遭遇 — 場面別進行
#場面 1. 穴への進入 — 降りる道
- 位置: 祠の東通路の終点。
- 時間: セッション 8開始。
#描写
通路に沿って降りる間、三度止まる地点がある。各停止でGMは短い描写を与える。
- 最初の停止 (1/3地点) — 壁の鎖が突然君たちへ頭を上げる。攻撃はしない。だが見ている。
- 二番目の停止 (2/3地点) — 耳の奥の脈拍が君たちの分隊員の一人の脈拍と同期する。GMはダイスでランダムPCを選ぶ。そのPCは「一瞬、自分の心臓が他人のもののようだ」と感じる。
- 三番目の停止 (穴の縁の直前) — 空気が完全な静寂に変わる。風も音もない。息を吸うと、自分の息だけが聞こえる。
#判定: 精神安定
PCそれぞれが精神 目標値 13判定:
| 結果 | 意味 |
|---|---|
| 7以下 | 動揺。対面場面で最初の間合の行動 -1。 |
| 8~11 | 不安。判定結果を保持し、別途ペナルティなし。 |
| 12~15 | 安定。対面時の判定に +1利点。 |
| 16以上 | 超然。大母の最初の視線に影響されない。 |
#場面 2. 大母対面 — 目を開く
- 位置: 穴の縁。
- 時間: 場面 1直後。
#描写
君たちが穴の縁に立つ瞬間、鎖の母 (契約誠実時)が一歩、君たちのそばへ近づく。裏切りルートなら彼女は向こう側の縁に立ち、顔には裏切られた感情が宿っている。拒絶ルートなら、そもそもいない。この三つの状態が序盤の空気を決める。
そして彼女 — 下に横たわる黒縄大母が目を開く。
彼女の目は鎖の母と同じように深い。だが、より長く深い。100年間の執着が凝縮した深み。彼女がゆっくり頭を上げる。鎖が大きな音を立てて動く。しかし彼女は起き上がらない。起き上がれない。鎖が彼女を縛っている。
彼女が口を開く。声は鎖の母より一オクターブ低い。そして鎖の母の穏やかさの代わりに、冷たい確信がある。
"長く待った。"
"お前が来ると知っていた。お前でなければ、別の者でも。鎖が君たちをこの場所へ引き寄せることは、定められていた。"
"問おう。君たちは — 私を自由にするのか、より深く縛るのか、それとも私の場所に入るのか?"
#三つの分岐の宣言
大母のこの一言が三元選択を公式化する。GMはプレイヤーに三つの分岐を明示する — ただし機械的にではなく、台詞の中に溶かして。
"自由にする者は己の鎖を掲げよ。縛る者は己の封印を加えよ。入る者は衣を脱げ。……三つのうち何を選ぶか、急いで決めるな。私は100年待った。一間合くらい、さらに待てる。"
#青銅鏡使用有無
PCが青銅鏡の欠片を持っているなら、この時点で使用可能。
| 使用タイミング | 効果 |
|---|---|
| 対面直後に使用 | 大母と鎖の母が重なって見える。両方とも1間合の間、攻撃不可。感知 +3ボーナス持続。 |
| ルート選択後に使用 | 特定ルートでのみ効果 (詳細は各ルート項目) |
| 使用しない | 鏡は4幕終了時に自動で消える |
#場面 3. 覇ルート — 戦闘
#進入条件
PCが「自由にする」(封印解除後に撃破)または「より縛る」(再封印強化)のうち、戦闘を選んだ場合。
#戦闘セッティング
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ボス | 黒縄大母 (主級) — 第2章妖魔図鑑 — 黒縄の顔たち 参照 |
| 配下 | 黒縄使(4) — 場面中盤に登場 |
| 地形 | 穴の中心。鎖が三面から巻きつく |
| 時間制限 | 10間合以内に決着。超過時、大母の狂乱局面に進入 |
| 同盟有無 | 鎖の母が同盟時、補助参戦 |
#戦闘ギミック
- 鎖再生: 大母の鎖は切っても次の間合に1筋再生。全員が同時に断つまで、彼女の制約は維持される。
- 鎖の輪: PCが戦闘中に3間合連続で攻撃すると、そのPCに鎖が巻きつく。体術または解除判定 目標値 13で脱出する。
- 大母の歌: 大母は3間合ごとに子守唄を使用。範囲内PCは精神 目標値 15、失敗時「眠り」1間合 (行動不可)。
- 狂乱局面: 10間合超過または大母の戦力半分以下で発動。鎖が穴の外部へ爆発的に拡散。結界HP -10追加差し引き。
#勝利条件
- 大母の戦力 0または意識喪失。
- または大母の鎖核心5筋同時切断 (代替勝利)。
#戦闘結果
勝利時:
- 大母は「消滅」処理。ただし死んだわけではない — 鎖の母の内面へ帰還。
- 鎖の母崩壊 — 彼女が膝をつき、泣く。1間合の間、言葉がない。
- 大母の鎖の一本が黒縄流核に変換。獲得。
- 黒縄流流派解禁 (ただし鎖の母が敵対なら伝授者なし)。
敗北時:
- PC全員が穴の底へ落ちる。大母の鎖に巻かれる。
- PC 1名「安着」判定 (精神 目標値 15)。失敗時、そのPCはNPC化して森に残る。
- 残りのPCはセッション終了後、黒縄外郭に捨てられた状態で発見される。結界HP -20。
#場面 4. 眞・慈ルート — 交渉
#進入条件
PCが「三つのどれでもない第4の道」を提示するか、三元選択後に交渉を明示的に選んだ場合。
#交渉の構造
交渉は3段階で進行する。各段階ごとに判定があり、段階別成功が累積してはじめて最終成立する。
#段階 1 — 傾聴 (彼女の話を聞く)
大母は自分の話を聞かせる。100年間封印された者としての独白。
"100年前、彼女は私を切り離した。私は彼女の執着だった。愛した者を掴んだ手だった。彼女は私を消そうとした — だが消せず、縛っておいた。"
"この場所で、私は解き放たれることも消えることもできなかった。その間で育った。100年かかった。今の私は単なる執着ではない。私は選択だ。"
PCはこの話を最後まで聞く。途中で言葉を遮ると交渉失敗。
- 判定: 精神 目標値 11 (集中維持)。
- 失敗時: 大母が口を閉じる。交渉1段階終了、以後の段階へ進入不可 (覇または虚ルートへ迂回)。
#段階 2 — 共感 (彼女の存在を認める)
PCの一人が前に出て大母へ語る。機械的ではない — RP中心。GMはプレイヤーの実際の台詞を評価する。
- 判定: 交渉 目標値 15 + RP品質加減。
- 成功条件: 「あなたを消さない。だが、あなたの選択も問う」系の態度。
- 失敗時: 大母が「お前たちは私の存在を理解していない」と言って目を閉じる。交渉終了、覇ルートへ自動転換。
#段階 3 — 提案 (共同の答えを探す)
PCが大母へ提案する。次の三つの提案のうち一つ (または創造的代案):
| 提案 | 内容 | 大母の反応 |
|---|---|---|
| 統合 | 大母と鎖の母を再び一つに | 肯定的 (目標値 13 交渉)。成立時、鎖の母は「完全な一人」になる |
| 共存 | 大母と鎖の母が別個の存在として森を共同管理 | 中立 (目標値 15 感知)。成立時、森は「二人の母の森」になる |
| 移動 | 大母を領地へ招き、別の場所を用意 | 危険 (目標値 18 交渉 + 領地同意)。成立時、大母が領地の門を守る |
- 各提案により判定目標値と次章効果が異なる。
- 成立時、大母は目を閉じる。ただし今回は平穏な閉じ方だ。彼女の鎖は自ら解ける。
#交渉成立結果
- 黒縄大母同盟1人確保。霊界知性体8人 — 交渉可能な他者 へ接続。
- 鎖の母好感度崇敬水準到達。
- 黒縄流流派伝授可能。鎖の母が領地を訪問し、1~3段を伝授。
- 結界HP +5回復。
- 三道六心: 選択したPC 眞・慈 +2。
#青銅鏡の補助効果
段階 2で鏡使用時、交渉 目標値 -3。段階 3で鏡使用時、統合提案 目標値 10へ低下。
#場面 5. 虚ルート — 犠牲
#進入条件
PCの一人が大母との場所交換を提案した場合。これは最も稀なルート。
#犠牲の意味
「虚」は自分を空にして場所を譲る選択。PCが大母の場所に入り、大母を解き放ち、自分が鎖に巻かれる。このPCは以後、黒縄の新しい母になる。
#進入判定
| 判定 | 目標値 | 意味 |
|---|---|---|
| 精神耐性 | 17 | 虚の境地へ進入可能か |
| 交渉 | 14 | 大母が場所を譲る理由を交渉 |
| 結界 | 12 | 鎖を自分の体に巻く儀式遂行 |
三つの判定すべて成功時、犠牲成立。一つでも失敗すれば犠牲無効、ルート転換 (覇または眞・慈)。
#犠牲の結果
- 該当PCはNPC化。ただし死ではない。黒縄に縛られたまま存続。
- 大母は解き放たれ — 鎖の母と合わさる。鎖の母は真の一人として自己同一性を回復。
- 犠牲になったPCは以後のキャンペーンで助力者NPCとして再登場可能。領地に彼の鎖一本が戻る (共鳴結界維持)。
- 結界HP +10回復。黒縄流流派自動解禁。
- 三道六心: 犠牲PC 虚 +3 (キャラクターそのものが虚の象徴になる)。
#犠牲の重さ — GM演出
このルートはPCの生を賭ける選択である。GMは軽く許可しない。プレイヤーに次の質問を直接投げる。
- "このPCはあなたにとってどれほど大切か? 以後のキャンペーンでこのキャラクターを再び使うことはできない。よいか?"
- "犠牲の動機は何か? 罪悪感? 英雄心? 諦念? その動機がこのキャラクターの最後の台詞に反映されてほしい。"
- "犠牲場面をどう演出したいか? 短く? 長く? 無言で? 別れの挨拶の後で?"
プレイヤーの答えに「少しでも迷い」が見えたなら、GMはルート転換を提案する。本当に準備できたプレイヤーだけが虚ルートを踏む。
#場面 6. 結末と余波
#各ルート結末描写
#覇勝利時
大母が目を閉じる。最後に。彼女の鎖が塵となって散る。森は — そのままだ。だが空気が一層軽くなる。鎖の母は長い間、何も言わない。そして小さく、独り言のように言う — 「ありがとう……いや、ごめん。……わからない。」彼女の涙が鎖に染み込む。
#眞・慈成立時
大母が笑う。初めて。彼女の鎖が自ら解ける。解けた鎖は地面に落ちない — 空中で光となって散る。鎖の母と大母が目を合わせる。二人は一言も言わない。ただ互いを見る。100年間互いを見られなかった二つの顔が、互いを見る。
#虚成立時
君たちの一人が鎖に巻かれる。彼は笑っている。怖くないと言う — 嘘かもしれず、真実かもしれない。鎖の母が彼に近づき、手を取る。「子よ。ここでは、あなたが母です。私はこれから娘になる。」大母は解き放たれ、塵になる。森は静かだ。
#余波: 領地帰還
三つのルートすべてで、PCは森を出て領地へ帰還する。帰還場面でGMは次の状態を伝える。
| ルート | 領地状態 | 住民反応 |
|---|---|---|
| 覇 | 結界HP回復速度 +1/週 | 「我らの武士たちが悪を退けた」 |
| 眞・慈 | 結界HP +5, 鎖の母訪問予定 | 「見知らぬ者が領地を助けてくれる」 |
| 虚 | 結界HP +10, PC 1名不在 | 「我らを守るため、一人が残った」 |
#鎖の母の最後の別れ
すべてのルートで、鎖の母はPCと別れる。彼女の言葉はルートごとに異なる。
#覇ルート
"君たちは勇敢だった。私が決められなかったことを代わってくれてありがとう。これからこの森は私の荷だ。一人で背負う。……二度と訪ねてこなくてもいい。ただ、忘れないで。"
#眞・慈ルート
"君たちが私たちを生かした。いいえ、正確には — 私たちが私たちを理解できるようにしてくれた。私と彼女は今、一つの場所にいる。領地が必要とするなら、呼ばれた時に行く。約束の糸が解けても、記憶の糸は残る。"
#虚ルート
"あなたの仲間を私が世話する。永遠に。彼は今、私の子であり母です。……君たちは帰りなさい。そして彼を覚えていて。覚えてくれる限り、彼は生きているのです。"
#段階別進行ガイド (セッション全体 4~5時間)
#1段階 — 穴への進入 (30分)
- 降りる道の描写。
- 三度の停止演出。
- 精神安定判定。
#2段階 — 大母対面 (45分)
- 大母の登場を朗読 (GM台詞)。
- 三元選択提示。
- プレイヤー相談時間を許可 (20~30分)。
- 青銅鏡使用有無を決定。
#3段階 — ルート進入分岐 (ここからルート別分岐)
#覇ルート (90~120分)
- 戦闘セッティング。
- 10間合以内に撃破。
- 狂乱局面対応。
- 勝利または敗北判定。
#眞・慈ルート (90~120分)
- 3段階交渉進行。
- 各段階のRPを豊かにする。
- 成立または失敗判定。
#虚ルート (45~60分)
- 犠牲儀式。
- 感情的RP。
- 別れ。
#4段階 — 結末および帰還 (30~45分)
- 結末描写。
- 領地帰還。
- 鎖の母との別れ。
- 次章接続予告。
#5段階 — 章終了儀式 (15分)
- 各PCの一言回顧。
- GMメモ。
- セッション終了。
#成功/失敗分岐
#4幕 (章全体) 成功条件
- [ ] 三元選択のうち一つのルートを明確に完遂。
- [ ] 大母の鎖のうち最低1筋を獲得 (黒縄流核)。
- [ ] 結界HP 25以上維持。
- [ ] PC最低2人生存。
#4幕失敗条件
- [ ] PC全員死亡または安着。
- [ ] 結界HP 0。
- [ ] 大母の狂乱局面進入後、制御不能。
- [ ] 鎖の母敵対 + 交渉失敗 + 戦闘敗北が同時発生。
#中間分岐 (エンディングタイプ決定)
- 友好エンディング: 眞・慈成立または虚成立。黒縄大母の記憶が領地に肯定的。
- 勝利エンディング: 覇勝利。領地は強くなったが重さが残る。
- 悲劇エンディング: 覇敗北または交渉・犠牲失敗。黒縄が領地へ拡張する脅威 (3章難易度 +1)。
- 安着エンディング (単独エンディング): PC全員が黒縄に安着。領地は「黒縄の静かな小さな村」として残る。キャンペーン終了可能。
#GMコントロール
#三元選択を強要しないこと
PCが「どれでもない道」を探そうとするなら、GMは歓迎する。黒縄は選択の地獄だ。定められた道だけが正解ではない。
予想可能な第4、第5の道:
- 「彼女に領地を見せよう」 → 領地招待サブアーク。衰弱度 +1、ただし長期的同盟強化。
- 「封印を変えよう — もっと柔らかなものに」 → 黒縄流学習 + 霊界術法研究。2~3間合所要、RP中心。
- 「大母を交渉して自ら消えさせよう」 → 最も難しい交渉 (目標値 20+)。成立時、大母自発的消滅、黒縄が半分に縮小。
#戦闘を機械的に回さないこと
大母戦闘は一般戦闘と異なる。彼女は言葉を話すボスだ。毎間合、彼女は一言ずつ投げる。例:
- 1間合: 「私の体を打つのだな。お前の体はどこから来た?」
- 3間合: 「お前が振るう剣は、お前のものか? それともお前に与えられたものか?」
- 5間合: 「この鎖は重いだろう? お前はもっと重いものを背負っている。」
- 7間合: 「続けろ。私は痛くない。100年痛んできたからな。」
これらの台詞がPCの三道六心に影響する。GMは戦闘中にも物語を保つ。
#交渉を急がないこと
眞・慈ルートは時間がかかる。プレイヤーがRPに入り込んでいるなら、GMは許可する。3時間を超えても構わない — これが第2章の頂点だ。
#虚ルートの重さ
前述の通り、虚ルートはPCのキャンペーン離脱を意味する。GMはプレイヤーに十分な思考時間を与える。即興の決定であってはならない。
#結界HP管理 (この幕の特別ルール)
この幕では結界HPがルートごとに大きく異なる。
| ルート | 結界HP影響 |
|---|---|
| 覇勝利 | -15 (戦闘余波) + 5 (回復) = -10 |
| 覇敗北 | -25 (戦闘 + 狂乱) |
| 眞・慈成立 | -5 (序盤圧力) + 10 (回復) = +5 |
| 眞・慈失敗 | -10 |
| 虚成立 | -5 (序盤圧力) + 15 (犠牲共鳴) = +10 |
| 虚失敗 | -15 (犠牲試行失敗時の逆風) |
#三道影響 (最終)
各ルート終結時、PC三道が大幅に変動。
| ルート | 主な影響 | 副次影響 |
|---|---|---|
| 覇 | 覇 +2 | 慈 -1 (もし残酷だったなら) |
| 眞・慈 | 眞 +1, 慈 +1 | 覇 -0.5 |
| 虚 | 虚 +3 (犠牲者のみ) | 慈 +1 (残りのPCたち) |
#付録 A — 黒縄大母台詞プール (GM参考)
#A.1 対面初期 — 冷ややかな挨拶
"長く待った。お前が何を持ってきたのか、興味がある。"
"お前は彼女の使者だな。彼女がお前を私に会わせるために送った。"
"それとも、お前自身の意志か。なおよい。"
#A.2 傾聴段階 — 自己独白
"私はかつて名前を持っていた。今は忘れた。いや、忘れられた — 彼女が私を切り離した時に。"
"愛は執着になる。執着は鎖になる。鎖はやがて自分自身になる。"
"100年が過ぎた。今の私は、愛の記憶より、縛られた記憶の方が大きい。"
#A.3 共感段階 — 試験
"お前の言葉には真心がある。だが真心は答えではない。答えは — 行動だ。"
"お前は私を理解すると言うが、理解は救いではない。"
"彼女が私を理解していたなら、私はここにいなかっただろう。彼女は私を理解せず、縛った。"
#A.4 提案段階 — 受諾あるいは拒絶
"統合? ……彼女と私が再び一つに。拒む理由はない。だが — 彼女の意志を問うたか?"
"共存? この森が二人の母を抱けるか。興味深い提案だ。"
"移動? 君たちの領地へ? ……危険な提案だ。だが可能性はある。"
#A.5 戦闘中 — 徐々に露わになる脆さ
"打て。私の鎖が痛い。私が痛いのではない。"
"君たちは強いな。だが強さは答えではない。彼女も強かった。彼女は解けなかった。"
"(最後の局面) 今わかった。君たちは彼女より勇敢だ。私を消すことを選んだのだから。"
#A.6 犠牲対面 — 驚きと悲しみ
"お前が? ……お前は私の場所を望むのか?"
"なぜ? 私はお前に会ったことがない。お前の理由を聞かせろ。"
"(受諾) よい。私の場所をお前に与える。だがこの場所は易しくない。100年前、私もこの言葉を聞いた。……ありがとう。"
#付録 B — 黒縄流流派伝授条件総整理
#B.1 解禁条件
次のうち一つ以上を満たす。
- 眞・慈ルート成立。
- 覇ルート勝利 + 鎖の母好感度友好以上。
- 虚ルート成立。
#B.2 伝授者
- 鎖の母 (友好以上の関係維持時)。
- 大母の残滓 (虚ルート時、犠牲PC自身)。
#B.3 伝授詳細
- 伝授場所: 祠の空き地 (生存時) または領地 (鎖の母訪問時)。
- 伝授期間: 30日領地時間。
- 伝授対象: 陰陽師または侠愛 3以上PC。
- 1~3段技法から選択 1 (3段以上は後続章で)。
詳細技法は 黒縄流 参照。
#付録 C — 虚ルート安全合意 (メタ)
虚ルートはプレイヤーに深い情緒的影響を与える。GMはセッション開始前に次を確認する。
- "このセッションではPCの犠牲可能性がある。大丈夫か?"
- "犠牲になったPCはNPC化するが、以後のキャンペーンで助力者として再登場可能だ。この設定に同意するか?"
- "犠牲場面をどう演出するとよいか — 荘厳に? 静かに? ユーモアで?"
プレイヤーの答えを尊重してセッションを進行する。
#4幕終了チェックリスト
- [ ] ルート決定記録 (覇/眞・慈/虚/その他)。
- [ ] 結末タイプ (友好/勝利/悲劇/安着)。
- [ ] 結界HP最終数値。
- [ ] 衰弱度最終数値。
- [ ] 鎖の母最終関係 (敵対/中立/友好/崇敬)。
- [ ] 黒縄大母状態 (消滅/封印維持/統合/領地移動)。
- [ ] PC生存状態、犠牲有無。
- [ ] 黒縄流解禁有無。
- [ ] 獲得核・アイテム一覧。
- [ ] PC別三道六心最終変動。
#次段階
- 章終了整理: 第2章 報酬・領地変化・次章接続
- 第3章接続確認: 各エンディングタイプが第3章(叫喚)進入にどう影響するか。
- GM記録: PCそれぞれの「この章で最も記憶に残る瞬間」を短くメモ。これが第3章序盤の個人フックとして活用される。
第4幕は対面の幕だった。次章は騒音の幕になる。静かな対面に耐えた者だけが、騒音に耐えられる。
最後のGMノート: 4幕終了後、プレイヤーそれぞれに質問せよ — "君のPCは今、何に縛られているのか? そしてその縛りは、ここへ来る前と同じか?" 答えを記録せよ。その答えが第3章でそのPCの最初の場面を決める。
黒縄の最後の三文:
1. "自由にすることも、縛ることも、場所を替えることも — すべて答えだ。"
2. "答えがないことが答えである時もある。だがその答えは、探した者だけが知る。"
3. "誰もがどこかに縛られている。ただ、自分の鎖を知る者が稀なだけだ。"