日本語版 v1.3.3 · fc-doc

#GMガイド (運用指南)

目次

権威。 本文書の骨格はScene Tool —— 規則ではなくGMの取っ手だ。ただし集団漂流の共同在庫、帰還の代償、世界の抵抗のように変形規則の性格を持つ節はVariantであり、本巻のすべての変形がそうであるようにGM許可を前提とする。fcは co 正典(Canon)を覆せない。そして本巻の危険物 —— 戦闘型セット、車両、時代汚染 —— の安全ピンがすべてこの文書に集まる。安全ピンの形はすべて同じだ。この本は現代人を強くする本ではない。消耗してゆく未来のドラマを与える本だ。


#香 — 四冊の帳簿

#導入断片 — 枕の下の帳簿

書院の灯火が二本目の芯を替える頃、書記が最初の帳簿を開いた。

「一冊目です。東村の神隠し—— 女が一人。先月、山崩れに埋まった人足三人を救い出したとか。村はもうその女なしには立ち行かぬと。」

「一人いれば村一つが変わる。」家老は茶を冷ましながら言った。「続けよ。」

「二冊目。人はおらず物だけ —— 渡し場に流れ着いた櫃です。中身は堺座が鑑定中ですが、値を呼ぶ者がすでに三人。」

「物は常に人より先に来た。連表にもそう記してある。三冊目は。」

書記は帳簿をめくる前に一度息を整えた。「……五十です。五十人が一度に。鉄の車一台とともに、峠が一つ丸ごと。あの者たちは己ら同士で組を作り、見張りを立て、蔵を建てました。まるで —— 小さな藩のように。」

茶碗が止まった。「武装は。」

「雷の棒が幾筋かあるとか。ただし頭目が勘定に明るい者で、みだりに鳴らしません。鳴らすたびに減る物だと申して。」

「減る物を数えられる者なら、話の通じる者だ。」家老は茶碗を置いた。「四冊目は。」

「……これは帳簿というより噂の束です。」書記が最も薄い本を開いた。「帰る道を探す者たちです。亀裂を尋ね歩き、出どころ知れぬ貴物を買い集め、めいめい最初に落ちた場所を掘り返してみるとか。」

家老はしばらく言葉がなかった。灯火の芯がぱちりと一度鳴いた。

「四冊目だけ別に置け。枕の下に置く。」

「なにゆえですか。四つのうち最も害のない者たちと見えますが。」

「害はない —— 道を見つけるまではな。」老人は窓の外の闇を見た。「あの者たちがついに道を見つければ門が開く。そして門というものはな、いいか。片方だけに開く道理はないのだ。」

#香 — 四つの卓

家老の帳簿四冊が、すなわち本巻のキャンペーン四形態だ。一人の神隠しが薬味として落ちた卓、人はおらず物だけが流れ込む卓、集団が丸ごと渡ってきた卓、そして帰る道を探す卓。本文書はその四つの卓の仕立て方と —— より重要には —— 各卓に挿しておく安全ピンを扱う。

読む順は自由だが、一節だけは飛ばすな。法 2の消尽ダイヤル。 本巻の均衡は数値ではなく速度の上に立っており、その速度の取っ手を握る者がGM —— あなただ。


#法 1 — 四つのキャンペーン形態

この節の1・2形はScene Tool、3形の共同在庫はVariant(GM許可前提)だ。

一行卓の形
1形薬味型既存キャンペーンに神隠し一人正典パーティ + 漂流者PC 1名 —— 基本値
2形漂流物だけ人はおらず物だけ現代人PCのいない正典卓 —— 最小活用線
3形集団漂流部隊・バス・学級が丸ごとPCたち + NPC分隊 —— 戦国自衛隊(戰國自衛隊)フレーム
4形帰還キャンペーン帰る道を探す長期アーク法 3で詳説

#1形 — 薬味型:汁に加える一匙(基本値)

最も安く、最も安全で、それゆえ基本値だ。回っていた正典キャンペーンに神隠しPCが一人入ってくる —— 変わるのはそれだけだ。

GMの準備物は四つで終わる。

  1. 正典現代人 —— 職業本体。本巻がなくとも完全な骨格であり、本巻はここに一字も加えない。
  2. セット許可1件 —— セット総論から出自パッケージ一つ。セット一つ一つが別個の許可単位だ —— 自衛官だけを止める卓も正当だ。
  3. 背嚢カード数枚 —— 03シリーズからそのPCの開始漂流物カードだけ。カタログの通読は要らない。
  4. 残量記録紙 —— クイックリファレンスの一枚。記録はPLの役目であり、GMは数えてやらない。

運用の要点は一つだ。漂流者一人は戦力ではなく視点(視點)だ。 この時代のPCたちに当然のこと —— 身分、合戦、妖魔、死の勘定 —— を見慣れぬものとして見る眼が卓に一つ生まれる。関門で、戦場で、処刑場でその眼が問う「なぜ?」が薬味型の本編だ。バランスの心配は下ろしてよい —— セット総論の正典保護原則が仕事をすべてしてあり、唯一の戦闘型である自衛官すらその戦闘力が消尽に縛られた時限付きだ。始まりは到着場面から —— 漂流の原理の表二つがその最初の場面を仕立ててくれる。

#2形 — 漂流物だけ:人のいない漂流(最小活用線)

現代人PCが一人もいない卓 —— 神隠しという題材そのものが気乗りしない卓すら —— 本巻を買った値はここですべて回収される。この節が本巻購入者全員に保証する最小活用線だ。

根拠は本巻ではなく正典にある。正典連表によれば時間を逸脱した物 —— 霊界鬼物 —— は十年前からこの世界に流れ込んでおり、今も戦国を漂う。人はおらず物だけを使うキャンペーンはそれゆえ変形ですらない —— 正典文章の直系運用だ。本巻の03シリーズ五編が丸ごとその事件集になる。

  • 火器 —— 堺座の競売に「出どころ不明、強力さ保証」で出された沈黙した小銃。撃つ物ではなく、奪い鑑定し祀られる物として。
  • 装備・物資電子機器 —— 行商の荷から出た読めぬ文字の筒、満月の夜ごとに独りで光る黒い札。怪談の種として。
  • 車両 —— 村の入り口に止まった鉄の祠。発見はダンジョンであり、信仰は紛争になる。
  • 漂流貴物 —— この形のシナリオ集そのもの。六点すべてが「主はすでに死んだ」から始まる事件だ。

読み方も一つきりだ。各カードの一握りの物語の欄が死んだ主の事情 —— すなわちシナリオの依頼文であり、沈黙後の価値の欄がこの時代の欲望 —— すなわちその物を狙う勢力の名簿だ。カード一枚が事件一つだ。神隠しは舞台の外に置け —— 物がすなわちNPCだ。

#3形 — 集団漂流:戦国自衛隊(戰國自衛隊)フレーム

陣地一つが、夜間バス一台が、修学旅行の学級一つが丸ごと隠される —— 本巻で最も大きな事件であり、最も欲をそそるキャンペーンであり、規則が最も重くなりそうな形態だ。

だからこそ最初の宣言が最も重要だ。新しい規則はない。漂流集団は正典分隊文法で回す。 部隊運用が分隊・結束力・分隊命令・無指揮をすでにすべて作ってある —— 本巻はその文法に名札だけ付け替える。漂流集団 = NPC分隊いくつか + PCたち。 それがすべてだ。

束ね方。 正典の分隊定義 —— 同じ等級、同じ武器の3~6名の束 —— を本巻の言葉に移せば「同じ境遇、同じ道具」だ。小銃を背負った小隊員たちは卒分隊一つ、バスの乗客たちは雑または卒の非武装分隊、衛生兵と養護教師は正典補助分隊(医務隊)の文法そのまま。名前と顔が要る者だけ個人NPCに抜き出せ —— 残りは分隊という器が受ける。五十人のシートを書く瞬間、このキャンペーンは死ぬ。分隊五行なら五十人が生きる。

指揮と結束。 分隊命令の費用は正典そのままだ —— 基本2活力、智+2以上なら1活力。本巻はこの勘定から一銭も削らない。 正典現代人の能力値特殊(智 +1)と3段特技「分隊指揮」がここで光る —— 現代人はそもそも参謀の職業であり、集団漂流はその職業の本陣だ。結束力はこのキャンペーンの計器盤だ。戦闘の減少規則は正典そのまま使うが、野営地でも同じ結をGM宣言で準用せよ —— 食糧が底を見せるとき、妖魔を初めて見た夜、指導者が揺らいだ日。そして指揮していたPCが倒れたら正典無指揮差等表を開け —— 自衛隊部隊なら正規軍表、乗客と学生たちなら徴集兵表が合う服だ。

無線機。 電子機器の携帯無線機はこの形の名物だ —— 互いに異なる区域・場面の間の即時情報伝達、そして分隊命令が届く可聴距離の拡張。ただし線は明確だ。無線機が変えるのは声の届く距離であり、命令の重さではない。 活力費用の体系は不可侵だ。

集団の消尽 —— 共同在庫 (Variant)。 五十人分の個人残量を別々に数えるのは記録ではなく刑罰だ。集団単位の物資は品目別に束ねて抽象化する。

共同在庫 —— 集団漂流限定特則 (GM許可前提)
生活物資: 食糧・水・薪など品目ごとに共同 [消尽 N・時計] 一つ。
  目盛は場面ではなく一日だ —— 集団が一日を凌ぐたびに1減少。
  (標準の単一時計の枠はそのままだ。車両の二重時計がそうだったように、
   目盛の歩幅だけカード特則で変える。)
  始値は蔵ではなくドラマを見て定めよ —— 最初の食糧危機が
  半月以内に来る値が良い。
弾薬: [火器]の法そのまま弾種別の共同発数。小銃分隊の一斉
  射撃1回ごとに共同残弾5減少を推奨する。
補充: 狩り・買い入れ・開墾・略奪 —— すべて場面として扱う。補充は
  振りではなくシナリオだ。
記録: PL一人の役目。兵站担当という役割自体がドラマだ ——
  蔵の鍵を握る手は、蔵が空く日に最も先に疑われる。

リーダーシップのドラマ。 この形の本編は合戦ではなく野営地だ。階級章は四百年外の紙切れであり、命令権の正当性は毎晩また議決される。減っていく共同時計の前で票が割れ —— 戦うか、仕えるか、散るか —— 結束力が2を下回った日の焚き火の傍に一場面を与えよ。その場面で振られるのは賽ではなく三道六心だ —— その運用は法 5が受ける。

均衡警告。 分隊は火力だ。現代火器を握った分隊も正典の分隊装備規則を準用せよ —— 関連判定 +1、カード特則と技法は未適用。分隊は道具の極限を引き出す存在ではない —— 正典の文章そのままだ。そして小銃分隊一つの存在はそれ自体で火器のGM専用火器級事件だ。敵として使うときは合戦一つの結末を定めるカードとして惜しんで使い、味方として使うときは共同弾薬時計で固く縛れ。バランス基準点の勘定 —— 通常戦闘の敵総火力 —— の外に出る瞬間、その戦闘は戦闘ではなく処刑になる。最後に、集団の生命線がトラック一台に載っているなら車両の輸送護衛運用論を開け —— 止まれば終わる車が、止まれない理由を載せて走る。

#4形 — 帰還キャンペーン

四冊目の帳簿 —— 帰る道を探す者たち。正典現代人の葛藤の最終項目をキャンペーンアークに格上げする、本巻で最も長い物語だ。法 3全体をこの形に捧げる。


#法 2 — 消尽ダイヤル運用

Scene Tool. 消尽システムが定義だけ置いて本文書に委ねたあのダイヤルだ。消尽の速度はすなわちキャンペーンの難易度でありジャンルだ —— そしてその取っ手は数値ではなくGMの手に懸かっている。

#運用表 — キャンペーン長さ別の推奨速度

キャンペーン長さ推奨ダイヤル時計の結運用一行
短編 (セッション1~3)速い —— サバイバル開始残量はカード基本値の半分、幕間ごとに時計点検最初のセッション内に最初の沈黙を見せよ。短い物語には速い結末が要る
中編 (セッション4~10)標準 —— 漂流記カード基本値そのまま六十発の設計が正確にこの長さに向いている(火器)—— 手をつけるな
長編 (セッション10+)遅い —— 英雄譚時計はGMが定めた道標の場面でのみ残量の代わりに劣化をまめに —— 遅いキャンペーンで装備を押すのは発数ではなく歳月だ

速いの要点は残量ではなく視線だ —— すべての場面の終わりに記録紙を見させよ。標準は手をつけることがない。そして遅い —— 遅いには別に記すことがある。

#遅い = 英雄譚 —— 停止ではなく長い呼吸

遅いは消尽を切るダイヤルではない。呼吸を延ばすダイヤルだ。 時計が道標でのみ回るとしても、劣化のトリガー —— 酷使、落下・浸水、非専門家の分解、GM宣言 —— は普段よりまめに打て。残量が減らないキャンペーンで終わりを保証するのは劣化だけだ。弾が余っても銃は死ぬ —— その一行が遅いダイヤルの命綱だ。

維持される門 —— オプション一行。 開いたまま維持される門、行き来する補給、本国の命令 —— この本についてが基本から排除したその構造を、それでも開くなら、遅いダイヤルの上でのみ開け。そして門はGMのNPCとして扱え —— 気まぐれで、値を呼び、いつでも閉じる。補給はシナリオ報酬としてのみ、弾薬は一度に30発を超えさせるな(火器)。警告はそのままだ —— 補給線のある神隠しは神隠しではなく遠征軍であり、その卓のドラマは消尽から外交に変わる。 それを知って選ぶ卓なら、良いキャンペーンになることもある。知らずに選ぶ卓は —— 三月後にこの節へ戻ってくる。

#警告節 —— 消尽を切ると起きること

ダイヤルの果て、遅いの向こうには目盛がない。そこはダイヤルではなく崖だからだ。消尽をいっそ切ってしまった卓で何が起きるか、順に記す。

  1. 摩り減らぬ89式小銃一挺は武器図鑑全体の上位互換になる。鉄砲比較表の下二行 —— 補給と修理、鉄砲が圧倒していた二行 —— が消され、上二行だけが残る。
  2. 「長期戦なら鉄砲が勝つ」が偽になる。本巻のすべての数値が守るよう設計された、ただ一文が。
  3. 外人が職業ごと飾りになる。流派と分隊と補給線 —— 国友座の百年が丸ごと。
  4. その瞬間、本巻は変形規則ではなく正典武器体系の交替になる。そしてfcはcoを覆せない —— これは好みではなく本シリーズの絶対規則だ。

それゆえ断固として記す。消尽を切るスイッチは本巻にない。それでも切りたければ方法は一つきりだ —— この本を閉じることだ。 非難ではない。摩り減らぬ銃で戦国を席巻する物語はそれはそれで一つのジャンルだ —— ただしそれは別の本の仕事であり、この本の脊椎はその重さを支えるように作られていない。

#外人・鉄砲PCとの共存点検リスト

パーティに外人または鉄砲を扱うPCがいるなら、キャンペーン開始前に一度 —— そして自衛官の残弾が半分を下回ったときにもう一度 —— 以下を確認せよ。一つでも引っかかれば再検討だ。

  • [ ] 自衛官の開始残弾を上げたか → 外人がいるなら上げるな。六十発は外人の成長曲線と噛み合うよう選んだ数だ —— 一方は摩り減る雷、一方は育てられる雷(火器「外人の席」)。
  • [ ] シナリオ報酬として弾薬を放出したか → 一度に30発上限。30発はキャンペーン一幕だ。
  • [ ] 現代火器に鉄砲流派・技法を乗せてくれという要請を受けたか → 不可。流派は火縄の呼吸で練られた技術だ —— 鉄砲のものに留めよ。
  • [ ] 外人の補給線場面(堺・国友)を削ったか → 削るな。自衛官の雷が死んでいくほど、その空席を受けるのが外人の場面だ。
  • [ ] ダイヤル「遅い」で外人がきまり悪く見えるか → 遅いほど上の四行がより重い。摩り減らぬ銃の傍の鉄砲は最も速く飾りになる。

#法 3 — 帰還キャンペーン:帰るのか

帰還条件とエンディングの運用はScene Tool、帰還の代償はVariant(GM許可前提)だ。

正典現代人の三道六心の葛藤目録はこう終わる —— 「帰るのか、残るのか」 —— 帰る道が開けるなら、この時代の仲間を捨てられるか。最終選択。 正典が葛藤一行に記しておいたその文章を、本節はキャンペーンアークに格上げする。漂流の原理が「帰る道は規則ではなく物語の報酬」とだけ記して本文書に委ねたその道だ。

原則は三つだ。

  1. 道は物語の報酬だ。 帰還判定はない。振って開く門は門ではなく罠解除だ。
  2. ただの帰還はない。 値なき門はドラマを溺れさせる —— 下の「帰還の代償」がその値の目録だ。
  3. 門が開く日が最終回だ。 帰還キャンペーンのクライマックスは門の向こうではなく門の前だ —— 越えるのか、誰が越えるのか、何を置いて越えるのか。

#帰還条件フック6種

六つの道だ。振る表ではなく選ぶ表だ —— 一つをキャンペーンの背骨とし、残りを空噂と袋小路に敷け。本物の道一つに偽の道五つが混ざってこそ、尋ね歩くこと自体がキャンペーンになる。

#フック
1時間亀裂の逆流正典連表の風水師は警告した —— 「霊界鬼物があまりに多く集まれば時間亀裂が発生する。」その警告を裏返せば地図になる。亀裂は時として逆に吹く —— その逆風が吹く時と場所を読める者は、無視されたあの風水師の系譜だけだ。危険は一つ —— 逆流する門は人を選んで受けない。何が共に渡ってくるか。
2霊界の門の通過霊界は時間の流れが異なる次元だ —— 過去と未来が同時に存在する場所(漂流の原理)。ならば亀裂に入り、霊界の中で「現代へ出る門」を探す道も勘定は立つ。本巻は霊界の地図を描かない —— 門を開く条件(封印、儀式、鍵となる貴物)をキャンペーンの本編とし、通過自体は最後の一場面に抽象せよ。門の中の旅路を長く広げるのはGMの自作領域だ —— 本巻なしでも、別の本なしでも、このフックはその一場面で完結する。
3妖魔との取引妖魔補充巻の欲望理論(霊界の門、妖魔の欲望)にはこんな欲望が例として記されている —— 「門が閉じる前に帰る。」 同じ門の反対側で、同じものを欲する存在がいる。道を知る妖魔との取引 —— 値はその妖魔の欲望軸で定めよ。喰らう者には記憶一葉を、名を得ようとする者には向こうの世界に広める噂を。妖魔は嘘をつかない —— ただ契約書の文字より小さく語るだけだ。
4漂流貴物集め漂流貴物の正典引用そのまま —— 貴物が一所に三つ以上集まればその場の門が揺らぐ。散らばった貴物を探し集める収集の旅路 —— 03シリーズのカードたちがそのまま道標になる。ただし代償の種を予め蒔いておけ。貴物に淀んだものはこの時代の心だ —— 門を開いた貴物たちが共に渡ってくれるかは、まったく別の問題だ。
5神隠したちの伝承先に渡ってきた者たちがいる —— そして彼らの間には伝承がある。帰ったという噂の人物、帰るのをやめた先輩、道を探して死んだ者の手記。本巻のサンプル一行より先に渡ってきてこの時代に根を下ろした先輩神隠し(サンプルキャラクター)が、その伝承の生きた出どころだ。伝承は常に半分だ —— 残りの半分を埋めるのがキャンペーンであり、半分のまま信じた値を払うのもキャンペーンだ。
6最初に落ちた場所の再開放門は背後で閉じたが、蝶番はその場に残っている。同じ場所、同じ季節、同じ条件 —— 到着の記憶(漂流の原理の表 1)がそのまま帰還の地図になる。夜間バスで渡ってきた一行ならその場にはすでに鉄の祠が立っている(漂流貴物)—— 始点がすなわち終点になる、最も円いキャンペーン。

#帰還の代償 —— ただの帰還禁止 (Variant)

門は値を受ける。下から最低一つを選んでキャンペーンの秤に予め乗せておけ —— そして門が開く前に、必ずその値をPLたちに見せよ。値を隠した取引は取引ではなく罠だ。 選択がドラマになるのは、値を知って選ぶときだけだ。

置いて行くものその値の結
仲間門は神隠しだけを受ける。この時代で結んだ縁 —— 義兄弟、恋人、引き取った子 —— は敷居を越えられない。手を放す場面には判定がない。振りなく演じさせよ。
持って行くもの身一つの帰還。漂流物も、貴物も、四百年の証も —— 門のこちらに残る。帰った世界でこのすべては証明できぬ夢になる。
成したもの名、俸禄、救った村、防いだ亀裂。去った者の痕跡は世界がゆっくり埋める(法 4の抵抗そのまま)—— 残る者たちの記憶の中にだけ残る。
記憶神隠し伝承の結末そのまま —— 数年後にぼんやり帰ってきた者。この時代のすべてを忘れる。PLは覚えていてPCだけ忘れるエピローグは残酷で、それゆえ美しい。
歳月帰ったそこが去ったあの夜だという保証はない。十年後かもしれず、あの夜明けかもしれず —— ずれた時間の中への帰還。門は物差しを使わない。
門が受ける頭数が定まっている。全員は行けない —— 誰が行くかをGMが定めるな。PCたちに定めさせよ。その議論がキャンペーン全体の最終試験だ。

#エンディング3形

エンディングエピローグの助言
帰る値を払って門を越える帰った者の最初の朝を一場面与えよ —— 電波の繋がる画面、蛇口の湯。そしてそのすべてが見慣れぬということ。帰還は二度目の漂流の始まりだ —— その一コマで終えよ。
残る門の前で背を向ける帰化(歸化)の完成 —— 本巻の脊椎が最も好きな終わりだ。背嚢は空になり、手はこの時代の仕事を知る。最後の漂流物一つをどこに置くか —— 墓に、神壇に、次の神隠しの手に —— その選択で終えよ。
第3の道帰りも、溶け込みもしない時代の隙間に住む。 門と門の間の番人 —— 次に落ちる誰かを迎える者、鉄の祠の祠守、亀裂の地図を描く案内人。キャンペーンは終わっても世界に残る終わりだ。

第3の道には撒き餌を一つ埋めておく。戦国が終わっても門はすべては閉じないだろうし、百年後の夜にも神隠しは落ちるだろう。彼らを迎え、隠し、連れて行く者たちがその時代の裏路地にいるなら —— 太平の世の陰で隠蔽された事件を扱う者たちの時代(江戸異聞録)に —— その系譜の最初の行に記されるのは、あなたの卓のPCだ。


#法 4 — 時代汚染:未来知識の流出管理

基本前提は正典引用、補助ダイヤル二つはScene Tool、世界の抵抗の積極運用と文明開化物はVariant(GM許可前提)だ。

問題をまず真っ直ぐに記そう。技術者が国友座の炉の傍に立てば —— 無煙火薬が四百年早く来るのか? 医療人が大名の専属医員になれば —— 歴史が割れていくのか? 未来から来た知識は弾薬と違って摩り減らない。だから消尽の安全ピンが届かない唯一の漂流物であり、GMの不安が集まる場所だ。

#基本前提 —— 変える歴史がない (正典)

その不安の解毒剤は本巻の発明品ではなく正典の宣言だ。正典連表は釘を刺してある —— 「混世霊妖譚は実際の歴史と分岐した世界だ。」 霊界振動、鬼の山、天狗の警告 —— 我々の歴史のどこにもない百年がこの世界の背骨であり、「現在」の年すら正典は固定せずGMの選択に委ねる。

それゆえこの世界には守る正史がない。 神隠しが桶狭間を耳打ちして歴史が「壊れる」こともない —— 変える原本がそもそもないからだ。卓の上で起こることがすなわちこの世界の正史だ。漂流の原理がこの宣言を全巻の原則に格上げしてある —— 神隠しが知る歴史はこの世界の予言ではなく別の世界の記憶であり、だから当たるときは薄ら寒く当たり、外れるときは最も重要な瞬間に外れる。これは制御装置目録の1番ではなく、その目録全体が敷いて座る床だ。 下の二つのダイヤルはこの床の上で —— 分岐世界でも汚染の速度を調節したい卓のために —— 回す補助の取っ手にすぎない。

#補助ダイヤル 1 —— 材料・精度の壁

知ることと作れることは違う。無煙火薬を例に取れば —— それは黒色火薬をより細かく挽いたものではなく、まったく別の物質だ。きつい酸で綿を蝕んで作り、洗い安定させ、粒子を均等に練り、火がつかぬよう乾かして保管せねばならない。その工程一つ一つが酸を作る産業と、純度を量る計器と、失敗しても工房が丸ごと吹き飛ばぬ安全を要求する。国友座の名匠百人が集まっても成らぬことだ —— 足りぬのが腕ではなく世紀だからだ。医術も同じだ。抗生物質の名を知ることと、それを培い濾し取ることの間には工場一つではなく文明一つが横たわっている。

運用は三つの問いで足りる。PLが「それ私が作れますけど」と言う瞬間、微笑とともに問え。

  1. 材料がこの時代にあるか?
  2. その精度を量れるか?
  3. 失敗の値は誰が払うのか?

一つでも「いいえ」なら、その製作は整備判定の仕事ではなくシナリオ級の課題だ —— 消尽システムが沈黙の復活に引いておいたあの線と同じだ。そしてこの壁の良い点を見逃すな。壁は「できない」ではなく「できるにはキャンペーン一つが要る」だ。材料を探す旅路、計器を代わる職人の手、失敗が呼んだ火災 —— 壁を登る物語そのものが良いキャンペーンだ。登らせよ。ただし一セッションで登らせるな。

#補助ダイヤル 2 —— 世界の抵抗

壁でも足りなければ —— 世界そのものを動かせ。霊界が開いた世界はずれを自ら埋める。風水師の警告を一段広げて読むのだ。貴物が集まれば亀裂が生じるように、時代外の知識があまりに大きく鳴れば世界の因果が迷信の側に与する。

表現は三つで充分だ。

  • 噂が異様に速く死ぬ。 村を救った煮立てた湯の知恵が、一季が過ぎれば「ある流れ者の神霊の霊験」に変わっている。
  • 記録が失われる。 その製法を記した写本のその一葉だけ虫が食い、その職人だけ急に召されて遠い領地へ発つ。
  • 匂いを嗅ぐものたちが来る。 時代外の事が大きく鳴った場所には時間の匂いを嗅ぐものたちが集まってくる —— 火器の銃声表で妖魔の眼が頻繁に出始めたと宣言してもよい。

強度はGMの手にある —— そして零(0)でもよい。分岐世界宣言だけで充分な卓が実は大半だ。このダイヤルを積極的に —— PCの成就を消す方向に —— 回すのは変形規則の領域なので、卓の合意をまず取れ。世界の抵抗は演出であり、没収ではない。

#汚染を許すキャンペーン —— 文明開化物 (Variant中のVariant)

最後に、反対側の門も一段落だけ開けておく。壁を壊し抵抗を打ち勝って —— この時代に未来を植えるキャンペーン。種痘法が広まり、活字が回り、ある領地の農法が百年を先取りする物語。やりたければやれ —— ただし三つを知ってやれ。第一に、これはVariant中のVariantだ —— GM許可ではなく卓全員の合意が要る。第二に、その世界は正典連表の世界からもう一度分かれた「二度分岐した世界」だと宣言せよ —— 本巻の他の文書も正典のいかなる柱もその世界を引き受けない。第三に、本巻はその道の地図を描いてやらない —— ここからはあなたの本だ。本巻がしてやれるのは門を指すことまでだ。


#法 5 — 漂流者と三道六心

Scene Tool. 数値はない —— 本巻の最後の安全ピンは規則ではなく心の運用だからだ。

#セット別葛藤フック総括表

02シリーズ六セットがそれぞれの場所に散らしておいた葛藤フックを一つの表にまとめる。すべて正典現代人の三道六心の葛藤目録 —— 忠か自由か、身分制と平等、戦争の意味、妖魔との共存、帰るのか —— の具体化であり、新たな葛藤軸はただの一つもない。レンズだけが六組だ。

セット葛藤フック照らす正典葛藤
自衛官命令なき引き金 / 照準線上の人忠か自由か / 戦争の意味
救難職誰の法か / 救えぬ規模忠・身分制 / 戦争の意味
医療人誰を生かすのか / 奇跡の代償身分制と平等 / 忠・妖魔との共存
学者・教師真なる答えと聞きたい答え / 文字は誰のものか忠か自由か / 身分制と平等
技術者直すか、埋めるか / 職人の自尊心戦争の意味 / 帰るのか
一般人・学生なぜ私だったのか / 帰りたい、ただ戦争の意味 / 帰るのか

表の最後の列を上から下へ読んでみよ。六セットのレンズがめいめい別の場所を照らしていって、終わりで同じ問いに集まる —— 帰るのか。 法 3の帰還キャンペーンが本巻の最後の章である理由がこの表の中にある。

#転換トリガー2回 —— 運用助言

正典のデータを再び記す。一般職業の三道六心転換トリガーは3回 —— 現代人は2回だ。 この時代の価値観に揺らぎやすいということが、叙事ではなく数値で刻まれている。この2回を扱う手が本巻GMの最後の技だ。

  • 幕単位で惜しめ。 セッションごとに葛藤場面を打てば2回は二月を持たない。トリガーに触れる場面はキャンペーンの幕ごとに一つ —— その一つを深く。
  • 罰ではなく照明として。 葛藤フックはPCを削る罠ではなくPCを照らす照明だ。正解のある場面は葛藤ではない —— どちらを選んでも何かを失う二者択一だけがトリガーに触れる資格がある。
  • [消尽]と結べ。 心が最も揺らぐ夜は物が沈黙した直後だ。最後の抗生物質を使った夜、残弾が零になった朝 —— 残量記録紙の零(0)と葛藤場面を重ねよ。本巻の二つの軸はそうして一つのドラマになる。
  • 転換は失敗ではない。 トリガー2回が尽きて心が折れるのはキャラクターの終わりではなく2部の始まりだ —— 特に帰還キャンペーンで、一度折れた心こそ「残る」エンディングの最も深い種になる。

#まとめ —— 真の戦場

最後に一歩退いて見よ。本巻がGMに握らせたもの —— 六十発の小銃、止まる日が定まったトラック、満月の夜にのみ目覚める黒い札 —— はすべて小道具だ。その小道具たちがすべて一方向を指す。減っていく残量は勘定ではなく焦りであり、沈黙した銃は鉄屑ではなく喪失であり、帰還の門は出口ではなく問いだ。

漂流者の心が本巻の真の戦場だ。 キャンペーン四形態も、ダイヤル三目盛も、安全ピンすべても —— その戦場を守るための舞台装置にすぎない。残量が減っていく音の向こうからPLの声が「この人、帰るべきでしょうか」と問うてくる夜 —— その夜が来れば、この文書は己の役目を果たしたのだ。


四冊の帳簿のどれを開こうと、最後の章で振られるのは賽ではない —— 帰るのかという、ただ一行の問いだ。