日本語版 v1.3.3 · ex-index

#江戸異聞録 — インデックス

目次

江戸異聞録 表紙

作成範囲: 江戸時代で混世霊妖譚をどのようにプレイするかを案内する。新しいプレイヤールールは最小限にとどめ、江戸キャンペーンに必要な妖魔・人間敵手データはcoの形式で提供する。


#導入断片 — 何もなかった夜

江戸の南の小さな渡し場で三人が消えた夜、川の水は異様なほど静かだった。荷役たちの下駄は倉庫の前に揃えて置かれており、濡れた縄からは海水でも川の水でもない匂いがした。同心の酒井は提灯を低くかざして帳面を広げた。

「酔って船を乗り間違えた。そう記せばよい」

渡し場の主人は両手をこすり合わせた。「はい、お役人様。私どもは何も見ておりません」

「何も見ていない者が三人も消えたのか」

門口に立っていたカグラ藩の付人が静かに問うた。主人は答えられなかった。その代わり、裏の湯屋の路地から来た芸人のお花が扇で口元を隠した。

「湯屋では別の話が出回っておりますよ。消えた三人がみな同じ老人を見たと。倉の主のように座っておったそうですが、この倉にはそんな主はいなかったとか」

監察は倉の奥へ歩み入った。帳面の一行が黒い墨で塗り潰されていた。消された文字の下から、まだ乾かぬ手の跡がゆっくりと浮かび上がってきた。人の手ではなく、水が手の形を模したように見えた。

「お役人様」酒井が震える声で言った。「これは治安事件ではございません」

監察は帳面を閉じた。「だから治安事件として処理する」

カグラ藩付人の手が鞘を押さえ、お花はその話がどんな怪談として売られるかをすでに知っていた。翌日、幕府の記録には死傷なし、騒ぎ収束、風聞禁止と記された。江戸の夜はそうして始まる。誰もが見たが、誰も見なかったこととして。


#香 — 閉じられていない平和

江戸の街は静かだ。刀は腰にあるが、みだりに抜くことはなく、戦の太鼓は帳面と印と改めへと変わった。しかし夜が深まると、閉じた戸の隙間で名を失った妖魔が息をし、幕府の文書はその息遣いをなかったことにする。

#法 — この書の書き方

  • 基本判定、活力、戦力、防備、制圧力、分隊運用はcoに従う。
  • 本巻は新しいプレイヤールールブックではなく、江戸時代適用ガイドだ。新しいデータは江戸キャンペーンで繰り返し使われる妖魔と人間敵手に限定する。
  • 各文書はで場面の感覚を先に掴み、で卓で適用する基準を整理する。

#場面解説 — 巻全体を開く方法

このインデックスは目次だが、同時にex3のプレイ約束でもある。江戸異聞録は妖魔を隠す時代の書だ。だから読者は、どこに何があるかを探すのと同時に、どの事件がどの章へと続くかを感じ取らなければならない。勢力戦を準備するなら02章と03章を先に読み、剣戟を準備するなら04章・05章・06章を続けて読む。

商業ルールブックのように使うには、目次も場面の一部でなければならない。「どの文書を読むべきか」ではなく、「今夜どんな江戸を開くか」を選べるようにしなければならない。このインデックスの推奨経路はそのような選択を素早く行うためのものだ。

初回セッション準備の順序:

  • キャンペーンフレームを一つ選ぶ。
  • 中心勢力と妨害勢力をそれぞれ一つ選ぶ。
  • 最初の場所と最初の目撃者を決めたのち、必要な敵手を06章から取り出す。

#序文

江戸は戦が終わった時代だ。しかし霊界の門は、戦とともに消えたわけではない。血と炎が減った後も怨みは残り、人の名を借りた妖魔は都市の路地と屋敷の門口、湯屋の湯気、芝居小屋の幕の裏へと入り込んだ。

徳川幕府が作った天下泰平は、自然の状態ではない。それは法、検閲、身分、戸籍、寺請制度、藩監察、道路統制、秘密退魔組織が共に支える巨大な封印だ。封印が完全であれば物語は始まらない。封印が割れ、記録が改竄され、妖魔を利用しようとする人間と、人間の恐怖を喰らって生き延びようとする妖魔が互いに別の道を選ぶとき、江戸異聞録の物語が開かれる。

本巻は江戸をcoの法でプレイするための書だ。大規模な戦の代わりに、決闘と逮捕戦、街道護衛、屋敷侵入、道場政治、怪談調査、藩内部の隠蔽事件を扱う。妖魔は消えた敵ではなく、時代に合った顔を得た。


#メタカード

項目
シリーズex 第03巻
題名江戸異聞録
時代1603~1853 中心。幕末は連結部としてのみ処理
性格背景拡張 + 運営ガイド + 敵手録
核心命題霊界の門は閉じていない。幕府が隠し管理しているにすぎない
勢力構図幕府秘密退魔体制 / ぬらりひょんの百物会 / 人間暗躍勢力3派
依存co 必須 / ex1ex2fc01~08 参照
権威Canon + Data Catalog + Scene Tool + Fiction-Only 混合
現在のバージョンv1.3.1 (ex3-VERSION)

#制作およびAI告知

項目内容
制作者シェルマン
問い合わせおよびフィードバックX(旧Twitter)@ds62hg, @trpg_ds62
生成AIの使用告知本資料の相当部分は、企画・初稿作成・文章整理・校正の過程で生成AI(LLM)の補助を受けて制作された。画像生成の過程にはGPT Image 2モデルを使用した。最終編集と公開責任は制作者にある。AI活用著作物に関する国内外の法律変動がある場合、該当法律に従う。
ライセンス別途表記がない限り CC BY-NC-SA 4.0 に従い配布される。

#地図集

地図位置用途
江戸都市概観図ex3-01-02-three-cities-roads.md本文の空間関係を一目で確認する。
三都と五街道ex3-01-02-three-cities-roads.md本文の空間関係を一目で確認する。
勢力三角関係図ex3-03-01-faction-map.md本文の空間関係を一目で確認する。
裏路地3層図ex3-07-03-urban-backstreet-campaign.md本文の空間関係を一目で確認する。

#書の構成

#00. メタ

#01. 江戸という舞台

#02. 閉じられていない門

#03. 勢力

#04. 職業と所属

#05. プレイ運営

#06. 江戸敵手録

#07. キャンペーンフレーム

#08. GMツール

#99. 参照


#共通作成原則

  • 江戸専用のPCルールは作らない。基本18職を江戸社会に配置する。
  • 新しい敵手データはco-08-02のスタットブロック形式に従う。
  • 本編の人間勢力は江戸で原形のまま残らない。幕府機関、藩、寺社、商団、道場、暗躍組織に分かれた残影として扱う。
  • 本編の妖魔勢力は、百物会や人間暗躍勢力に吸収された場合を除けば、霊界の門が幕府管理に入った後、大半が勢力単位で消滅した。
  • ぬらりひょんの百物会は都市妖怪の第3勢力として存在するが、旧妖魔王国の復活ではなく、噂と怪談で耐え忍ぶ生存圏だ。
  • エンリョ館は瓦解した本編勢力の基準事例だ。一部は幕府に吸収され、大多数の後裔は危険分子として押し出され裏般若と人間暗躍勢力へ流れ込み、消えた研究資料は百物会の江戸定着の基盤となった。
  • 人間暗躍勢力は3つに統合する:黒札房裏般若黒札組
  • 幕末は本文の中心ではない。ペリー来航以後は後続巻の連結部としてのみ置く。

#推奨読書順序

読者推奨経路
初読GM00 → 01 → 02 → 03 → 07
日本史の前提知識が薄いGM00 → 01-01 → 01-04 → 01-03 → 02
江戸勢力戦を準備するGM02 → 03 → 06 → 08
キャラクターを作るプレイヤー01 → 04 → 05
剣戟キャンペーンを望む卓04 → 05-02 → 06-02 → 07-04
怪談キャンペーンを望む卓02 → 03-04 → 05-03 → 06-01 → 07-03

#他巻との連結

連結点
co基本ルール、江戸に残った本編勢力の残影、妖魔データの基準。
ex1霊界漂流や帰還後遺症を江戸幕府の隠蔽体系と結びつける際に参照。
ex2道場、流派、小道具、ハウスルール、有名分隊を江戸風に付け足す際に参照。
fc01寺社封印網、神聖、小神・俗信の政治的管理に使用。
fc03江戸剣豪、道場政治、決闘と流派系譜に使用。
fc05江戸の名刀、家宝、押収品、呪われた所有権を扱う際に使用。
fc06江戸社会の儒教秩序、仏教葬礼、禅宗修行、三道六心RPの補助。
fc07裏般若、黒札組、暗面組織、悪役キャンペーンへ傾く際に使用。
fc08百物会、江戸怪談型妖魔、妖魔組織と仲間化変形を補強する際に使用。

#一行の招待

門は閉じていない。ただ江戸はその門に印を押し、帳面を閉じ、何もなかったと言う。


「天下泰平は封印であり、封印は毎日新たに押さなければならない印である。」