日本語版 v1.3.3

#第1章 2幕 — "閾を越える最初の一歩"

目次

セッション2詳細。 初めての霊界進出。結界のすぐ外、等活の縁。復活する妖魔との初遭遇。PC 1~2段。最初の不安定核収穫。

本編参照

- 必須: ダイス体系 · 間合・一呼吸 · マヌーバ体系

- 必須: 妖魔図鑑: 餓鬼

- 参考: 分隊命令 · 非戦闘判定

この補遺内参照

- 必須: 結界システム · 核経済 · 分隊制限

- 必須: 霊界移動ルール · 結界境界イベント · 等活GMガイド

- 必須: 若き領主 · 隠居陰陽師 · 家臣6人

- 同じ章: 章概要 · 1幕 · 3幕 · 章妖魔


#香 — このセッションの感覚

#導入朗読

"昨夜、眠れなかった。それを知っているのは、自分自身だけだ。"

"夜明け。東の城門の前に君たちは立っている。分隊の四人が君たちの後ろにいる。領主が城門の内側に立ち、うなずく。ゲンショウ翁がその傍らで一言、低く唱える — '戻って来なさい。必ず。'"

"城門が開く。結界の青い膜に手が触れる。膜は薄い。指一本分の厚さだ。その膜を越える。"

"迎えるのは — 鉄臭さだ。舌の下に金属の味が敷かれる。そして空の色。灰色ではなく、錆びた赤。"

"ここが等活。第一地獄の縁だ。"

#感覚カード — 2幕の空気

  • : 風がある。その風に鉄片がぶつかる音が混じっている。誰かが遠くで歩みを移しているような音。
  • 匂い: 鉄臭さ。古い血の匂いと混じった鉄分の匂い。唾を飲み込みにくくなる。
  • : 二つの月が空に低い。光は昼でも赤い気を帯びている。影が普段より濃い。
  • 触感: 地面にわずかな弾力がある。死んでいるものを踏むような感覚。足裏から伝わる微細な脈動。

#感覚密度

この幕の核は、境界を越える感覚である。結界の内側と外側の違いを、PCが感覚で見分けられるようにする。GMは結界を越えた瞬間から最初の5分間、すべての感覚語を「鉄・赤・裂け・再び」の語群に置き換える。


#法 — このセッションで使うルール

#このセッションに初めて登場するルール

ルール使用箇所参照
霊界露出度場面終了時に1回03-02
間合戦闘最初の妖魔戦闘本編 03-06 · 03-07
核収穫判定 (不安定核)成功可能01-03
分隊命令活力PC指揮官が卒級分隊に命令01-07
等活 "復活の刻" (深度2以上)2幕後半部の実演03-06
結界境界 d100 (選択)境界地帯滞在時03-05

#このセッションにまだ登場しないルール

  • 将級妖魔との正面対決 — 3幕後半部
  • 主級妖魔登場 — 4幕
  • 陰陽師緊急維持 — 4幕
  • 烙印(印) — この章ではなし

#判定目標値ガイド (2幕専用)

判定目標値試行者
結界境界地帯感知 (安全区域識別)11感知技能者
鉄色の平原地形読解 (地図作成)12地理・偵察技能者
復活餓鬼との最初の戦闘 (攻撃基本目標値)防備 11全員
復活餓鬼核収穫11薬草・医術・退魔のうち最も高い熟練度
錆びた鬼単独個体との対峙防備 13全員
錆びた鬼撤退誘導 (交戦回避)13交渉・指揮
露出度補正 (等活深度1)+1全員自動
等活 "復活の刻" 認定判定 (深度2突入時)12精神耐性

#主要遭遇 — 2幕構造

#遭遇 1 · 城門出発 (15分)

  • 場所: 領地東側城門
  • 登場: アキヒサ、ゲンショウ、住民少数 (見送り)、スロットB分隊4人
  • 目的: 遠征の儀式化。「出る」ことを感覚化。
  • 核心イベント: ゲンショウの祝文 · 領主の黙礼 · 城門開放

#遭遇 2 · 境界地帯15分滞在 (20分)

  • 場所: 結界外、一間合幅の灰色回廊
  • 登場: (選択) 結界境界 d100 イベント1回
  • 目的: 霊界移動ルールの初適用。露出度数値公開。
  • 核心イベント: 最初の霊界露出度上昇

#遭遇 3 · 鉄色の平原進入 (30分)

  • 場所: 等活方位深度1 (平原)
  • 登場: 地形探索 · 分隊巡察
  • 目的: 地獄風景の初目撃。折れた刃が草のように突き刺さっている平原。
  • 核心イベント: 鉄色の平原進入 · 最初の雑鬼観察 (戦闘ではない)

#遭遇 4 · 復活餓鬼分隊遭遇 (60分)

  • 場所: 平原の小さな盆地。乾いた血跡が染みている。
  • 登場: 復活餓鬼5体 (分隊) — 卒級、10-06 妖魔参照
  • 目的: 最初の霊界戦闘。間合・マヌーバ・分隊命令の実戦。
  • 核心イベント: 最初の戦死者(NPC) の可能性、最初の核収穫成功

#遭遇 5 · 錆びた鬼単独個体 (45分)

  • 場所: 平原の向こう、低い丘
  • 登場: 錆びた鬼1体 (練級放浪個体)、10-06 妖魔参照
  • 目的: 上位敵との初対峙。交戦または回避の選択。
  • 核心イベント: PCが初めて「戦わない選択」をする機会

#遭遇 6 · 帰還 (30分)

  • 場所: 境界地帯 → 結界内部
  • 登場: ゲンショウ · アキヒサ
  • 目的: 最初の遠征の帰還儀式。戦利品確認・報告。
  • 核心イベント: 結界HP変動公開 · 核等級公開 · 疲労リセット

#段階別進行ガイド

#段階 1 — 城門出発儀式 (15分)

チェックポイントタイミングGMプレイヤー信号
城門前集合0~3分分隊4人の顔を短く描写分隊員名1人確認分隊結束力公開
領主の黙礼3~6分アキヒサの挨拶一言PCの挨拶"戻って来なさい" 台詞
ゲンショウの祝文6~10分一文の祝文 (下記)静かに聞く香一束点火
城門開放10~12分門の微かな震えを描写陣形決定 (先頭・後衛)結界膜に手が触れる
越える12~15分結界通過の感覚描写一人ずつ順次通過鉄臭さの初感知

#ゲンショウの祝文 (10分頃)

"一つの間合に一つの息。一つの息に一つの歩(步)。外はこの息を奪うだろう。息を守りなさい。息が戻るように。"

この祝文は4幕でゲンショウが緊急維持を行う時に再び聞こえる。対称装置。

#段階 2 — 境界地帯滞在 (20分)

チェックポイントタイミングGMプレイヤー信号
最初の間合0~3分露出度 +1 説明各自露出度記録数値の重み
結界外の初見3~8分結界の裏面描写 (内側から見たものと違う)観察自由"我が家はあんなふうに見えるのか"
(選択) 境界 d1008~15分03-05 1回ロールイベント対応イベント別処理
方位決定15~20分どちらへ向かうか (北/東)合意鉄臭さが濃くなる方向 = 等活

#境界 d100 ロール (選択)

GMが密度を足したいなら一度ロールする。61~100は無事件なので、おおむね無事件。イベントが起きた場合:

  • 結界封合機会 → 心偏向 +1 機会
  • 結界の縁の雑鬼 → 素早い退治 (初戦闘の圧縮)
  • 外部から来る誰かの気配 → 緊張上昇

#段階 3 — 鉄色の平原進入 (30分)

チェックポイントタイミングGMプレイヤー信号
地形描写0~10分折れた刃が草のように突き刺さった平原観察自由PCが刀を抜いてみるか
折れた刀イベント10~15分刀一本がPCの足元で抜ける取る/捨てる決定魔/虛偏向
遠くに見える人影15~20分二つの影が遠くで動く追跡するか決定接近決定時は遭遇 4へ
地図作成20~30分地理判定 目標値 11判定 · 地図記録眞偏向機会

#折れた刀イベントの意味

PCが刀を抜くなら:

  • 取る: 刀 +1 武器スロット。ただし「復活の刻」影響圏で持っていると傷が反復する (4幕以後に知る)。魔偏向 +1。
  • 捨てる: 一人のPCが「この地の残滓は持ち帰らない」と宣言。眞偏向 +1。
  • 立てておく (元の場所に): 等活の住民(居住者)の標識。慈偏向 +1。

この選択は3幕後半の遺跡発見への暗示になる。

#段階 4 — 復活餓鬼分隊遭遇 (60分)

チェックポイントタイミングGMプレイヤー信号
発見0~5分盆地の底に倒れた5体の灰色の形接近するか決定死体が動くか観察
起床5~10分5体が順番に起き上がる (復活演出)戦闘準備復活の刻の実演
最初の間合10~18分間合1: 先攻決定先攻補正確認PCが初めて殺す
二つ目の間合18~25分倒れた餓鬼が再び起き上がる混乱 · 対応「復活」学習の瞬間
再戦闘25~40分3~4間合延長戦闘マヌーバ使用 · 分隊命令結束力変化
決着40~45分最後の餓鬼が倒れる (永久)退治確定なぜ今回は起きないのか
収穫判定45~55分2~3体の核収穫試行判定 · 結果最初の不安定核
事後描写55~60分平原の静けさ · 死体が消える休息 · 疲労チェック核だけが残る

#復活餓鬼の「復活1回」ルール

復活餓鬼は卒級なので、10-06 妖魔詳細参照。核心:

  • 初めて戦力が0になると、2間合後に戦力1で起き上がる (1回)。
  • その状態で再び戦力0になると永久消滅。
  • 永久消滅時にのみ核収穫可能。
  • 「2回倒さなければならない」ことが、この妖魔の核心学習ポイント。

#最初の核収穫のドラマ

結果処理
成功 (目標値 11以上)不安定核1個獲得 · 赤いガラス玉の大きさ · 手のひらに低温の振動
失敗 (目標値未満)核損傷 · 変質核 (結界回復 +2のみ)
大成功 (10-10)不安定核 + 妖魔の最後の記憶1片 ("誰かが私を二度目に殺した")
業報 (1-1)核爆発 · 収穫者1戦力 · 成果物なし

最初の成功は公開で祝う。GMは「手にしたものが温かい」を必ず描写。

#段階 5 — 錆びた鬼単独個体 (45分)

チェックポイントタイミングGMプレイヤー信号
遭遇0~5分丘の上に一つのシルエット観察 · 準備大きな肩と錆びた金棒
接近5~15分鬼が歩き始める · 距離短縮準備姿勢 · 会話試行可能PCが「戦うかどうか」選択
分岐点15~20分鬼の無言の凝視選択 (下記3分岐)心偏向発動
選択 1: 交戦20~40分間合戦闘 (鬼の技法実演)マヌーバ全稼働練級戦闘
選択 2: 回避20~30分後退判定 目標値 13判定 · 非戦闘解決露出度 +1追加
選択 3: 会話20~35分鬼は話さない · PCが一言かける私的台詞 · 鬼離脱慈·眞偏向
結果40~45分鬼が去る、または倒れる · 核収穫収穫判定 (交戦時)不安定核可能

#錆びた鬼の役割

この鬼は「今すぐPCを殺しに来た敵」ではない。等活の居住者の一人が、たまたまこの領域を通り過ぎているだけである。この事実がPCの道徳的混乱を作る。

選択詳細心偏向
交戦20間合以内に決着。分隊員1~2人重傷の可能性。覇 +1 または 魔 +1
回避後退判定 + 露出度 +2虛 +1 または 眞 +1
会話 (声をかける)鬼は話さないが、うなずいて去る慈 +1

#段階 6 — 帰還 (30分)

チェックポイントタイミングGMプレイヤー信号
帰路移動0~10分露出度累積公開数値確認体が重い
境界地帯通過10~15分結界外から見た領地 · 結界内側通過順序戻って来た
城門到着15~20分ゲンショウ・アキヒサ待機中核提出アキヒサの目が揺れる
報告20~25分何を見たのか共有PCが描写会議室から次セッションへの橋
休息宣言25~30分セッション終了ナレーション露出度リセット確認眠り

#成功 / 失敗分岐

#「成功」の形

成功部分成功失敗
不安定核獲得2個以上1個0個 (すべて変質)
分隊結束結束力維持または +1±0-1
露出度管理全PC 3以下1~2 PCが 4~61 PCが 7+
錆びた鬼処理核獲得または教訓的回避無事回避分隊員1~2戦死

#失敗時対応

1幕と違い、2幕からは失敗が数値として残る。ただし致命的失敗はまだない

  • 核未獲得 → 3幕で機会2回を追加提供。
  • 分隊結束 -1 → 3幕指揮判定 目標値 +1 一時増加。
  • 露出度累積 → 4幕結界HP変動に軽微影響。
  • 錆びた鬼で分隊員戦死 → NPCの一人の名が追悼名簿に上がる (3幕・4幕で記憶される)。

#結界HP変動 (2幕決算)

原因変動
自然減少 (漂流週2)-3 (週間減少の初適用可)
PC外部活動による結界微細漏出-1
不安定核注入2個 (2幕帰還直後)+20 (+10 ×2)
2幕終了時結界HP75 → 91 (標準シナリオ)

注意: 週間減少時点は、GMが週リセットを1週目月曜日にするか、実際のセッション順にするかを選ぶ。この章の4セッションを週1~2にまたがる2週間の物語と置くなら、2幕終了は週1の水曜日 ~ 週2の月曜日の間にあたる。

#陰陽師衰弱度変動

原因変動
基本0
遠征中の儀式集中補助0
2幕終了時衰弱度0/10

#住民士気変動

条件変動
PCが核を持って帰還 (公開共有)+1
分隊員戦死が目撃される-1
アキヒサが遠征成功を公式発表+1
露出度累積がPC外見に現れる-1

#GMコントロール — 2幕特有の注意点

#等活 "復活の刻" 実演

このセッションでPCは復活の刻の存在を学ぶが、直接受けることはない (深度1だからである)。GMは復活餓鬼の2回の起床を通じてこのルールを妖魔に先に見せてから、3幕で深度2へ入る時にPCへ適用する。

#最初の露出度上昇の演出

場面終了時に露出度を一度上げる。この計算は短く処理し、場面中は「香一束がさらに燃える」「指先の感覚が鈍る」のように露出の兆候を描写する。

#最初の戦闘の重み

  • 間合を短く。1段PCの最初の戦闘である。間合一つが5分以上かからないように。
  • 分隊命令を一度は必ず使用。指揮官PCが分隊命令活力を初めて支払う瞬間が学習ポイント。
  • 復活1回演出を劇的に。倒れた餓鬼が起きる時、1~2秒の沈黙、その次に「再び起き上がった」。

#錆びた鬼の意図的緊張

錆びた鬼はPCが回避できる敵として設計されている。交戦を強制しないこと。GMがこのNPCを「戦うべきボス」として扱うと、セッションが崩れる。

#速度調整

状況調整
プレイヤーが戦闘を恐れる復活餓鬼を3体に縮小
プレイヤーが戦闘だけをしようとする錆びた鬼対峙で会話オプションを強調
プレイヤーが感覚描写に無関心鉄臭さを反復言及 (間合ごとに1回)
プレイヤーが感情的に没入遭遇 5を長く (交戦でも回避でも)

#危機管理 — 全滅回避

1段PCの全滅はこのセッションの目的ではない。もしPCのうち1人の戦力が0に達したら:

  1. そのPCは「意識を失う」として処理。死亡判定なし。
  2. 分隊員のうち1人が即死 (復活餓鬼の突進の物語として)。
  3. ゲンショウが遠隔結界で「PCを回収」する緊急イベント発動 (結界HP -5の代価)。
  4. 遠征が強制終了。2幕は早期終了するが、物語は続く。

この装置は1回だけ使用。2回目の危機では実際の死亡を許可する。

#トーンの罠を避ける

  • 鉄臭さに触れすぎない。2~3間合に1回程度。毎間合で触れると感覚が麻痺する。
  • 復活餓鬼をホラーにしない。これは「もう一度殺さなければならない敵」であり、「怪物の恐怖」ではない。
  • 錆びた鬼を恐怖の対象だけとして扱わない。彼はPCが「いつか会話できるかもしれない」存在の暗示。
  • 帰還場面を単なる戦利品発表にしない。ゲンショウとアキヒサの視線に感情を込める。

#セッション終了宣言

信号台詞例
時間到達"城門が閉じる。今日はここまでだ。"
感情クライマックス"核が卓上に置かれた。それが最初だった。"
フェードアウト"領主の手が、その核の上にしばらく留まった。そしてゆっくり下りた。"

#次へ


"一度倒してから、それが再び立つのを見た者は — 自分自身を再び見る。" — 漂流3日目遠征隊員の日記片、3幕遺跡で発見される文の予告。