#サイドクエスト 01 — 初めての核獲得入門
目次
本編参照
この補足内参照
#§ 概要
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 段数区間 | 1~2段 |
| 推奨セッション | 1セッション (2~3時間) |
| 領地時間消費 | 1日 (朝出陣 → 夕方帰還) |
| 強制イベント | いいえ |
| 核心メカニクス | 核収穫判定 (2d10 + 智 + 医術/退魔) |
| 推奨アーク配置 | 第1章 2幕~3幕の間 |
| 最終質問 | 「資源という言葉を初めて使う時、それが何を意味するのかわかっているか?」 |
#一行要約
ゲンショウ翁がPCのうち智(知)系キャラクターに核収穫の基礎を教える。結界のすぐ外で卒級餓鬼3~4体を撃破し、核を収穫する教育クエスト。最初の成功と最初の失敗をどちらも体感させる設計。
#設計意図
プレイヤーに核経済システムを手で覚えさせるチュートリアル。機械的なルールを読むことと、実際に核を手に握ることは違う。このクエストは後者の感覚を作る。
#§ 香 — このクエストの空気
#導入朗読
「ゲンショウ翁が明け方に呼ぶ。神社の裏庭。昨日、雑鬼を斬ったその場所だ。」
「彼の手には、漆の剥げた小さな箱がある。箱を開く。中には——灰色の土がひと握り、それだけだ。」
「『昨日斬った雑鬼の体。核はなかったのではない。いや、あったが、我々が取り出せなかったのだ』と彼は言う。『今日は取り出し方を学ぶ番だ』」
「彼の目は、いつもより1刻遅く瞬く。疲れだ。だが彼が伝えようとしているのは疲れではない——時間がないということだ。」
#感覚カード — このクエストの肌理
- 音: 明け方の梟がいない。ゲンショウ翁の数珠の音だけがはっきりしている。108珠が一度巡るのに約5間合。
- 匂い: 神社裏庭の落葉の匂い。昨夜斬った雑鬼の場所に、まだ香が残っている。
- 光: 日の出の直前。結界の青い光が明け方の灰色と混じり、青灰色の二重の影を作る。
- 触感: 骨刀の重さ。ゲンショウが渡したもの。柄は人の体温より0.5度高い。
#香の核心
このクエストの空気は「初めて教えを受ける者の緊張」である。ゲンショウはゆっくり話す。その休止の間で、PCが自分で考えなければならない。GMはゲンショウの台詞の後に長い沈黙を置け。
#ゲンショウ台詞サンプル
「刀で肉を裂くことと、手で核を取り出すことは違う。前者は勇、後者は智(知)であり医(醫)だ。お前たちは今日、後者を学びに行く。」
「核は妖魔が死ぬ直前の5間合以内に取り出さねばならぬ。遅ければ散る。急いで取り出そうとすれば破裂する。その間の呼吸を掴め。」
#§ 構造 — 3幕場面概要
#幕 1 — 教え (神社裏庭, 30~45分)
ゲンショウがPCに核収穫の原理を教える。骨刀を渡す。模擬実習 (目標値 10 — 落葉の上の印を骨刀で正確に剥がす)。最初の判定失敗の可能性は低い。目的: ルール認識。
#幕 2 — 初出陣 (結界境界外500歩, 60~90分)
PC + スロットA分隊2~3人が結界外の短距離地点へ出る。餓鬼3~4体と遭遇。戦闘後、核収穫判定を連続3回試行。 成功と失敗をどちらも経験させる設計。目的: メカニクス体験。
#幕 3 — 帰還と評価 (倉庫 · 神社, 30~45分)
ゲンショウがPCの獲得した核を調べる。成功・失敗をともに振り返る。三道六心偏向ポイント · 智(知)軸 +1。目的: 結果整理。
#§ NPC
#ホシノ・ゲンショウ (教師 · 本編 02-02 参照)
このクエストでゲンショウは教師の役割だけで登場する。戦闘には出ない (衰弱度維持)。神社裏庭で教え、PC帰還時に評価だけ行う。台詞は短く、遅い。
#ヤマグチ・イワオ (護衛 · 家臣6人のうち先任武官)
中年の侍。PCとともに結界外へ出る。戦闘支援 (戦力 3, 攻撃 2d10+3)。台詞はほとんどない。PCの失敗を見ても指摘しない——それを学ぶのはお前たちの役目だ、という姿勢。
- 特徴台詞: 「収穫はお前たちの役目だ。首を落とすことだけが俺の役目だ。」
- 戦闘役割: 餓鬼を致命傷寸前まで追い込み、決定打はPCへ渡す
- 三道六心: 忠 — 自分の場所を守る者
#(選択) ミョウエン (見学者 · 02-05 漂流者の一行)
流浪の僧。このクエストへの同行を頼める。同行時、追加判定補助 (+1補正)。代わりに核1個を彼女へ奉納する条件 (教団伝統 — 妖魔の執着を供養して解くため)。
- 特徴台詞: 「それはもともと人のものでした。受け取りなさい。ただし、一粒はその人へ返しなさい。」
- 三道六心影響: 慈 +1 (ミョウエンへ一粒奉納した場合)
#§ 各幕詳細
#幕 1詳細 — 教え (神社裏庭)
#場面設定
神社の裏庭。欅の下。ゲンショウが低い木箱の上に骨刀三本・乾いた落葉ひと山・小さな符紙五枚を置いている。朝日が欅の葉の間から三筋。
#ゲンショウの講義の流れ
- 原理: 妖魔の核は心臓ではない。執着の結晶である。位置はおおむね鳩尾のすぐ下 · 一寸内側。妖魔の種類ごとに少し違う。
- 時間: 撃破直後5間合以内に取り出さねばならない。それ以後は霊体が包み、散っていく。
- 道具: 骨刀。鉄刀不可——鉄は核を汚染する。骨刀は人の骨で作ったものではなく、ショウメンオニ(正面鬼)の脛骨。PCがこれを知ると少し後ずさる。
- 判定: 2d10 + 智 + (医術または退魔)。目標値は妖魔等級により11~17。
#模擬実習判定
| 段階 | 判定 | 目標値 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 印認識 | 2d10 + 智 | 8 | 落葉の上の小さな墨点を骨刀の先で指す |
| 切開角度 | 2d10 + 智 + 医術 | 10 | 墨点の周囲を45度の角度で狭く剥がす |
| 回収 | 2d10 + 美 | 9 | 剥がしたものを床に落とさず、掌で受ける |
三つの判定すべてに失敗しても、ゲンショウがもう一度見せる。この幕では判定失敗は致命打ではない。
#ゲンショウの決定的な教え
「お前たちが学ぶべきものは手の技術ではない。今、目の前にあるものが本来何だったのかを認識することだ。雑鬼はもともと誰かの怨念だった。餓鬼はもともと飢えていた人だった。核を取り出す時、それが誰の執着の残滓なのか——一瞬でも考えよ。それが収穫の礼法だ。」
三道六心示唆: PCがこの教えに同意 — 慈 +1。拒否 — 眞(真) +1 (効率重視)。
#幕 2詳細 — 初出陣 (結界外500歩)
#場面設定
結界東門。ヤマグチ + 分隊2人が合流。日が完全には昇っていない。結界外へ出る。500歩ほど。鉄色の平原の境界。餓鬼三、四体が低い藪のような形で凝集している。
#遭遇 1 — 集団餓鬼 (卒級 × 3)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 等級 | 卒級 |
| 戦力 | 1 (集団3体 = 複合戦力 2) |
| 防備 | 11 |
| 攻撃 | 2d10+1 >= 防備 · 核舐め (1戦力, 会心時2戦力) |
| 特殊 | 復活 (等活ギミック, 1回) |
| 核収穫目標値 | 11 |
| 結界HP回復量 | +7 |
戦闘は短い。ヤマグチが主導する。PCは仕上げに参加。撃破後、即座に収穫判定。
#最初の収穫判定シーケンス
PCのうち最も智(知)が高いキャラクターが試みる。ヤマグチと分隊が周囲を警戒。
| 試行 | 判定 | 想定結果 |
|---|---|---|
| 1体目の餓鬼 | 2d10 + 智 + 医術/退魔 vs 目標値 11 | 成功推奨 — 運が悪くてもGMが分隊補助(+1)を介入可能 |
| 2体目の餓鬼 | 同一 | 失敗可能性あり — そのまま薄れていくように演出 |
| 3体目の餓鬼 | 同一 | PC回復機会 · 成功時、結果肯定 |
#失敗演出 (核心)
「掌に触れた瞬間——核が崩れる。乾いた葉のように粉になる。光が一瞬だけ閃き、指の間から落ちる。残ったものは灰色の灰ひと握り。その灰は3間合で風に散る。」
GMはこの失敗を数値で罰しない。教えの一部だ。ヤマグチはただ頷く。
#遭遇 2 — 首切り1体 (練級) · 選択
時間が残り、PCに余裕があれば登場。練級の首切りは目標値 13。成功時、不安定核 +1を確保。失敗時、そのまま帰還。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 等級 | 練級 |
| 戦力 | 3 |
| 防備 | 13 |
| 活力 | 8 |
| 攻撃 | 2d10+4 · 首切断試行 |
| 特殊 | 復活 1回 |
| 核収穫目標値 | 13 |
| 結界HP回復量 | +15 |
#幕 3詳細 — 帰還と評価 (倉庫・神社)
#場面設定
日暮れ。PCが結界へ帰還。倉庫でゲンショウが待っている。真鍮の壺たちが低く脈打っている。
#ゲンショウの評価手順
- 獲得核確認: 保管壺へ入れる。等級別に分類。
- 失敗事例の振り返り: PCに「失敗の原因は何だったと思うか」と尋ねる。
- 次段階提示: 「次は一人で出てもよい」という許可。
#ゲンショウの決定台詞
「お前たちが今日持ち帰った核で、結界HPが数日長く耐える。お前たち自身が結界の一部になったのだ。この事実を忘れるな。」
#三道六心偏向ポイント
| PCの行動 | 偏向 |
|---|---|
| 核収穫時、妖魔の本来の姿を黙想 | 慈 +1 |
| 核収穫効率の最適化に集中 | 眞(真) +1 |
| 失敗時に怒る、または諦める | 魔 +1 (軽微) |
| 失敗を謙虚に受け入れて再試行 | 忠 +1 |
| ミョウエンへ核1粒を奉納 | 慈 +1, 眞(真) -1 |
#§ 段階別進行ガイド表
| チェックポイント | タイミング | GM | プレイヤー | 信号 |
|---|---|---|---|---|
| ゲンショウの呼び出し | 0:00 | 朗読導入 | 神社へ移動 | 数珠の音 |
| 講義開始 | 0:10 | 骨刀を渡す | 原理を聞く | 骨刀の温もり |
| 模擬実習 | 0:20 | 目標値 10判定3回を誘導 | ダイスを振る | 落葉の上の墨点 |
| 実習終了 | 0:40 | ゲンショウ決定台詞 | 三道六心記録 | 数珠一巡 |
| 出陣準備 | 0:45 | 分隊合流 | 装備点検 | ヤマグチの挨拶 |
| 結界外出 | 1:00 | 鉄臭さを描写 | 感覚反応 | 最初の一歩の弾力 |
| 餓鬼遭遇 | 1:10 | 3体配置 | 戦闘開始 | 低い呻き |
| 撃破直後 | 1:25 | 5間合カウント開始 | 即時収穫判定 | 時間の圧迫 |
| 最初の収穫成功 | 1:30 | 核描写 · 手の温度 | 保管 | 震え停止 |
| 二度目の失敗 | 1:40 | 粉になる演出 | 挫折許容 | 風に散る |
| 三度目の試行 | 1:50 | PC回復機会 | 再試行判定 | ヤマグチの視線 |
| (選択) 首切り | 2:00 | 目標値 13提示 | 決定 | 錆びた血の匂い |
| 帰還 | 2:30 | 結界通過描写 | 整理 | 青い光への再進入 |
| 倉庫整理 | 2:45 | 壺の脈拍 | 核分類 | 真鍮共鳴 |
| ゲンショウ評価 | 3:00 | 決定台詞 | 三道六心確定 | 数珠停止 |
#§ 成功/失敗分岐
#完全成功 (判定 3/3成功 + 首切り追加討伐)
- 不安定核 × 4獲得
- 結界HP +40 (+10 ×4)
- ヤマグチ好感 +1
- ゲンショウの短い称賛 → 三道六心 眞(真) または 忠 +1
- 次クエスト進行時、核収穫目標値 -1補正 (1回性, セッション次セッションまで)
#部分成功 (判定 1~2/3成功)
- 不安定核 × 1~2獲得
- 結界HP +10~20
- ヤマグチ頷き (中立)
- 三道六心変動なし (練習の本質)
- ゲンショウ: 「初めてならこの程度で十分だ。」
#失敗 (判定 0/3成功)
- 核獲得0個
- 結界HP変動なし
- ヤマグチ沈黙 (なお非難なし)
- ゲンショウ: 「来月、もう一度来なさい。その時は違うだろう。」
- 特殊報酬: PCは「失敗の感覚」を学んだ → 次の収穫判定時、精神的補正 +1 (1回性)
#災厄 (分隊員負傷 · 餓鬼に包囲)
- ヤマグチ負傷 (活力 -3, 次週活動不可)
- 核獲得0
- 士気 -1 (分隊負傷ニュース)
- PC三道六心 忠 または 魔 +1 (決定により)
- ゲンショウ: 「何もかもうまくいかぬ日もある。今日はあなたの日ではなかった。」
#§ 報酬
#基本報酬
| 資源 | 最小 | 最大 |
|---|---|---|
| 不安定核 | 0 | 4 |
| 金貨 | 0 | 0 (報酬なし) |
| 士気 | -1 | +1 |
| 結界HP | +0 | +40 |
#特殊報酬
- 骨刀: このクエスト完遂時、PC 1人へ譲渡。以後すべての核収穫判定 +1補正。ただしPCが
眞(真)または忠傾向の技能/叙事を維持している場合のみ使用継続可能 (そうでなければ回収)。 - ゲンショウの短い書簡: 完全成功時に譲渡。「次の世代を見た。」 — この書簡は後に 21-09 破られた誓約で解禁条件の一つ。
- 三道六心軸変動: 上の偏向ポイント参照。このセッションで固定され得る。
#§ GMコントロール
#GM注意事項
- 失敗を罰しないこと。 このクエストの目的はPCが規則を体感すること。判定失敗時は空気だけに反映。
- 5間合カウントを実際に数えろ。 タイマーをホワイトボードに載せる、またはダイスを置いて5回振る形式。緊張感の源。
- ゲンショウの衰弱度は0維持。 このクエストでゲンショウが直接結界外へ出ることはない。GMが混同しないこと。
- 分隊員死亡禁止。 ヤマグチ負傷はあり得るが、死亡はこのクエストでは起きない (チュートリアル性格)。
#選択的延長 — 2セッションへ
プレイヤーがクエストを楽しみ、時間があれば2セッションへ拡張:
- セッション 1: 幕 1~2 (教え + 初出陣)
- セッション 2: 単独2次出陣 (ヤマグチなしでPCのみ) + 不安定核収穫挑戦 (目標値 13)
2セッション拡張時の結果スケール:
- 追加不安定核1~2個
- 追加結界HP +15~30
- PC独立初成功 → 三道六心 忠 +1可能
#次クエスト接続
このクエスト完遂は、次クエストの自然な開始条件:
- 21-02 巡察隊失踪 — PCが収穫判定に慣れた後、3~4段区間で発動
- 21-05 霊界へ消えた子 — 結界境界を出入りする感覚を覚えたPCに推奨
- 21-08 毒井戸 — 領地内部事件。核収穫とは無関係だが、このクエスト直後のトーン転換用途に配置可能
#リスク表
| リスク | 対応 |
|---|---|
| 判定が簡単すぎる | 目標値を +1~+2上昇 (13/15) |
| 判定が難しすぎる | ゲンショウの遠隔支援 (+2補正) |
| PCが収穫に興味なし | 幕 2遭遇1回へ短縮 · 幕 3ゲンショウの秘伝共有へ転換 |
| PCが長くかかりすぎる | 5間合カウント厳守 · 超過時、核消失 |
#セッション終了チェックリスト
- [ ] 核獲得量記録 · 倉庫壺更新
- [ ] 結界HP数値公開更新
- [ ] 三道六心偏向軸記録
- [ ] ヤマグチ状態確認
- [ ] 骨刀所有者明示
- [ ] ゲンショウの書簡存在有無記録 (完全成功時)
- [ ] 次セッション予告 — メインアークへ復帰、または別サイド
#関連リンク
初めての核を手に握る瞬間、PCは資源を「読む者」から「触れる者」へ移る。この転換が起こらなければ、本クエストは失敗である。判定数値は副次的だ——感覚が一次だ。